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ミクロワールドサービスが顕微鏡の世界を伝えるコーナーです。
日々の業務メモやちょっとした記事もここに記します


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2015年5月31日


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インターネット接続の通信状態が悪く,ここ29日は3時間,30日は6時間もの間,接続できませんでした。原因は不明ですが,おそらくプロバイダ側の設定不良と思います。この状況はここしばらく続く可能性があります。メール等に対する返事が遅い場合は,通信障害が起きているかもしれませんので,気長にお待ち下さい。よろしくお願い致します(画像/MWS)。








2015年5月30日


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プロの仕事を自分の仕事の参考にするという意味では,料理はよい素材かもしれません。料理のプロはどこにでもいますし,それぞれの方が独自の創作を行っていて,その発想力に学ぶところ大なのです。筆者も一年365日,毎日ごはんを作るわけですが,創作というのはほど遠く,たまにプロの仕事を見せつけられると感嘆します。。きょうの画像は知り合いの料理人さんが作ったもの。一枚目は五目ちらしですが,おいしそう…なだけでなく色彩の調和も具材の組み合わせも味も計算されています。こういうのは,複雑な味の足し算が暗算でできないと作るのは難しいですね。画像二枚目は,ケーキに見えるポテトサラダ。そもそも,こういったものを作ろうという発想力がない。やはり学ぶところ大なのです。美味しゅうございました(画像/MWS)。








2015年5月29日


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会津田島の名産の干しゼンマイはフキと一緒に調理するのがいちばんだと思っているので,フキの入荷にあわせてゼンマイを戻し,山菜定食となりました。右はフキの茎とゼンマイとちくわとこんにゃくをごまの油で炒め,酒,しょうゆ,塩で味付けしたもの。田舎の味で,まことにおいしい…。左は,フキの葉と,これまた会津田島名産の干しヒラタケと,こんにゃくとゼンマイを,ヒラタケの戻し汁と酒としょうゆで煮たもの。ふきの苦みが素敵で,きのこのダシが染みたゼンマイが上等な感じです。中年になって思うのですが,子どもの頃に好きだったものというのは,体質にもあっているのかもしれません。筆者は山菜と魚が好みだった変な子どもだったのですが,こういった食事はお腹にやさしく,また顕微鏡作業にもむいているのです(画像/MWS)。








2015年5月28日


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28日は通信設備の更新・メンテナンスがあります。これにあわせて機材の整理等を行います。夕方くらいまでお休みいたしますのでご承知下さいますようにお願い申し上げます(画像/MWS)。








2015年5月27日


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双眼顕微鏡で検鏡を行うと,酔ってしまう人がいます。俗に『顕微鏡酔い』とも呼ばれています。筆者も大学院生の頃,実体顕微鏡でプランクトンの拾い出しや計数をしていて,なんとなく頭がぐるんぐるんした覚えがあります。ひどい人になると,酔い止めを飲んでも,作業続行は不可能で,気分が悪くなってしまいぐったりというケースもあります。日常生活のスケールと異なる視野が,運動感覚を無視して高速で動くので,酔いが生じるのだろうと思っています。

きょう流れたニュースによれば,動画などの画面をみて酔うのは,右脳と左脳の活動が乖離することと関係があるのだそうです。

こちら −京都大学(研究成果)

だから何なのだと言われると困ってしまいますが,脳内で何が起こっているのか,解明が一歩進んだのはよいことと思います。研究手法も興味深く,今後に注目したいところです。もし,脳内で起きていることと,人間の感覚や動作との関係がより深く理解できれば,酔わなくなるような体の動かし方や,映像の作り方などもできるかもしれないからです。

たぶん顕微鏡酔いも動画をみて酔うのと同じことだと思います。これに対するよい方法はあまり思いつかないのですが,筆者も当初はいろいろ試しました。それで少しだけわかったことは,

・食後の方が酔いにくい
・実体顕微鏡の方が早く慣れるかもしれない
・生物顕微鏡で計数するときは,視野移動をゆっくりにする
・視野移動は一方向で行う
・視度補正はきちんと合わせる
・明視野よりも暗視野の方が酔いにくい気がする
・とにかく毎日検鏡して慣れる
・可能な場合は,視野を移動しているときに目を閉じる(そらす)

などという感じです。いちばんよいのは,実体顕微鏡を用いて,顕微鏡下でいろいろな操作をすることかもしれません。そうすると,顕微鏡サイズの物体に対する「体の感覚」が生じてきて,違和感なく操作できるようになり,そうすると酔いも起こらなくなるような気がします。毎日顕微鏡をみている筆者でも,顕微鏡で撮影した動画で,激しく視野移動しているようなものは酔いますし,正視できません。しかし顕微鏡を実際にのぞきながら,激しく視野移動しても,全く酔いません。慣れというのはふしぎなものです。

きょうの画像は,そんな話題とはあまり関係のない,顕微鏡で拡大した泥の粒子。あのどろどろで手を汚す泥を洗ってきれいにすると,数十μmくらいのきれいな鉱物がたくさんです(画像/MWS)。








2015年5月26日


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何か見え方がおかしいと持ち込まれた古いレンズを清拭してみると,落ちない汚れがあります。おかしいなと実体顕微鏡でみてみれば,レンズの貼り合わせ面に気泡が残っていたのでした。それがきょうの画像一枚目です。二枚目の画像は,気泡を撮影してコントラスト強調したもので,ガラス面に汚れが残存していることもよくわかります。このメーカーさんのレンズは,経年変化が著しいものもあり,20年も経てばかなり劣化が進み,30年にもなると白濁しているものもあります。ガラスの耐候性はいろいろあるので,新品時の見えを優先して,デラックスだけれども耐候性の低いガラスを採用して,消耗品的な設計を行う場合もあるでしょう。しかし気泡はいただけませんね。これは技術レベルが低いことと,検品がまともに機能していないことを示しています。レンズの貼合(技術)は顕微鏡メーカーとしては基本中の基本の重要技術ですから,ここがいい加減というのは,そのメーカーさん全体の信用度にかかわると思うのです(画像/MWS)。








2015年5月25日


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ミクロワールドサービスはピンポイントでマニアックな技術を追求していますので,そこに共鳴してくださる方々と,数件の共同研究が進行したりもします。多くは国公立の教育研究機関や専門機関などで,当サービスが技術的に協力するという内容が多いです。ところで筆者は独自に小さな研究を続けてもいるので,筆者の研究に外部から協力してくださるといったケースも希に存在します。日曜日の午後は,そんな関係で専門家をお招きして計測分野の指導を賜ったのでした。やはり専門家の仕事は真似のできないもので協力いただくことで,通常は面倒で入手できなさそうなデータを得られそうな感触も得て,仕事が一歩前進しそうな感じもしました。有り難いことです(画像/MWS)。








2015年5月24日


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土曜日は持ち込まれた対物レンズのメンテナンスをした関係で,手持ちのものも修理してしまう気になって,レンズと戯れる午後となりました…。50年もののレンズともなると,傷みもはげしく,内部も曇っているものが大半なので分解清掃となります。まずシリコン板でフタを外し,レンズスパナを突っ込んでばらすのですが,固着していてそう簡単には外れません。油をさして,万力に固定して,力の限りレンズスパナを回すといった荒療治が必要となります。

ばらしたレンズは,まずバレルの内部を拭いてごくわずかのグリースを使い油拭きします。レンズユニットは,さびが出ている部分は耐水ペーパーで削り取ります。全体をエタノールで清拭してから,レンズ面を精製水,エタノールの順で拭きます。清拭が終われば組み上げて,飾り環を拭き上げてケースに収納します。もちろん,ケースも洗っておきます。たくさんあるときは,中性洗剤と超音波洗浄漕が便利です。こういった作業はほとんどがちまちまとしたものですが,実は相当な重労働です。固着したレンズを外すのには力業が必要で,下手すると翌日からしばらく腕や肩がいたくなったりするのです。

修理は無事に終わりましたので,曇って廃棄寸前だったレンズ群は,また何十年か,ミクロの世界をみせてくれることでしょう(画像/MWS)。








2015年5月23日


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処理中と処理後の種組成を見比べてみると,まるで異なっている感じがするのが毎度のことです。回収がむずかしい小型種は沈降分離の過程で除去してしまうのが大きな原因ですが,中型くらいの珪藻も消えてしまうことが多く,どうしたものかと思っています。たぶん強い処理の過程で破壊されてしまうか,分離の過程で,捨てる分画に混入しているかといったところでしょう。きょうの画像は処理開始時ですが,ずいぶんとギロシグマ,プレウロシグマ的な珪藻がみえます。これが処理後には,中〜小型の両種がめっきりと減ってしまうのです。回収率をあげようとやさしーく処理すると,こんどはゴミが消えずに,最後の乾燥時にお団子ができてしまい試料がパーになります。処理後の試料を乾燥せずに溶液保存し,散布スライドにするのなら,もう少し種数を増やせます。しかし貴重な種類を含んでいる場合は,Jシリーズの原料にしてしまうことがほとんどで,ぜいたくに散布スライドとして提供することは難しいですね。もったいなさすぎる…という気がしてしまうからです(画像/MWS)。








2015年5月22日


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筆者は小さな物体をガラスの上に並べて暮らしているわけですが,こういった仕事は19世紀のものでもありました。著名なマウンターが数多く出現して,様々な工夫をして,素敵な標本を作っていたようです。文献もその頃からあったようで,RMSにのっていた1930年頃のレポートのコピーは大事に保管してあります。ではそれを精読して参考にしたのかというと,ほとんど読んでいない…のです。英語の文献を読むのが面倒というのもありますが,もし必要だったら必死になって読むでしょう。問題は「必要」とは思っていないところにあります。

どうも,誰かの真似をして,その通りにやるのが苦手なのです。自分で考えて,自分の思いついた方法で,失敗を繰り返し,方法を見つけてゆく方が合っている気がします。それで,珪藻の並べ方はまともに読んだ文献はありません。もっとも,まったく分野外のものについては,特に標本の取り扱い法などは,関連文献をパラパラと調べることは多いです。特に知りたいのは,どんな薬品を使っているかとか,どんな面白そうな物体があるかとか,そんなことです。

では仕事の参考にどんな本を読んでいるのかというと,一つの例が,きょうの画像です。筆者は将棋のことはほとんど判らず,小学生の頃に遊んだくらいですが,この人のことはずっと気になっています。こういったトッププロが何を考えているのか?というのは,直接の役にはたたなくても,何かボディブロー的にじわじわと効いてくる感じもします。それで羽生さんの書いたものは読むようにしています。タイトル戦も追いかけて,彼が何を考え,実戦で,勝つことよりも遊んでみること・研究してみることを優先している姿を見て,その挑戦する姿に学んだりもしています。

Aという技術を向上させるために,Aを勉強するというのは判りやすいですが,必ず正しいものでもないと筆者は信じています。珪藻を上手に並べるために必要なのは,ひょっとすると散歩かもしれないし,読書かもしれないし,わんこと遊ぶことかもしれません。料理をすることかもしれませんし,数学を勉強することかもしれません。「いっけん関係なさそうな,ほかの何か」が効果がある感じがしています。羽生さんの本を読むと,同じようなことを言っているので,何かを追求するときに出てくる本能的な感覚なのかなと想像しています(画像/MWS)。








2015年5月21日


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ここのところ小型の珪藻をいじり回しています。その主な理由は,珪藻在庫の保有種を増やしたいのです。40μm以上あるような種は,比較的目立ちますし,幅広のものはハンドリングも容易です。そういったものは在庫に追加するのも容易ですが,種数が限られます。小型の珪藻は種数も多いのですが,処理時に鉱物の沈降速度と同じになってしまい,分離することが甚だ困難です。すると,鉱物まみれの珪藻になってしまいます。珪藻の殻はシリカで出来ていますが,多くの鉱物もシリカ系の化合物です。珪藻を酸化剤や酸などでいくら処理したところで,珪藻が溶け残れば,鉱物も溶け残ってしまいます。

もし鉱物だけ溶かして,珪藻を残す方法があれば筆者にとってホクホクなのですけど,そんな都合のよい方法はありません。逆に都合の悪い方法ならあります。珪藻の殻とシリカ系鉱物の溶解速度を比較すると,珪藻の殻はやたらに早く溶けるのです。ですから,溶かすスピードを調節して,珪藻の殻だけを溶かしてシリカ系鉱物を残すことはできます。世の中うまくいかないものです…(画像/MWS)。








2015年5月20日


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この珪藻も,現在処理中の干潟試料に入っているもの。これまで見覚えのないもので,種名はよくわかりません。ひじょうに繊細な薄い被殻で,かなり整然とした点紋列があります。比較的平面性もよく,低コントラストの分解能テストに向いていそうです。こういった軽くて薄い珪藻は,壊れやすいのはもちろんですが,それ以上に厄介なのが汚れやすいことです。なかなか沈んでくれないので,水中を漂っている微粒子が付着しやすいのです。きれいなものだけを集めると,歩留まりが低下してしまいます(画像/MWS)。








2015年5月19日


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カバーグラスをどうするか問題というのが数年間気になっていたのですが,一歩前進させるために,自分でカバーガラスを切ることにしてみました。これまで,マツナミの9×9mmの特注品を使っていたのですが,品質にばらつきがあり,せっかく完璧に拭いても3割は廃棄という有様でした。濁りがあるのです。この濁りは,研磨しても取れません。よく調べるとガラス表面のわずか下側に結晶のようなものができているようなのです。

そこで材料の見直しをはかるべくカバーグラスを切って清拭しJシリーズに使えるかどうかを試すことにしました。材料はカール・ツァイス・マイクロスコピーから供給されているハイパフォーマンスカバーグラス。超高級品です。これを適当なサイズに切って使うわけです。切るときに傷がつくかどうか,適切なサイズに切れるか,歩留まりはどうか,切ったものは清拭できるか,強度はどうか,表面の状態はどうなのか,濁りはないのか,暗視野でバックが明るくならないか…。検討する項目はたくさんあります。

ガラスのカットは苦手中の苦手なので,やりたくない作業の筆頭でもあります。2012年6月23日頃にガラスカッター(オイルカッター)の使い方を教わったことがあるのですが,どうも身に付いていません。切れるのですが,正確な線がひけないのです。いろいろ試してオイルカッターでは精度の高い切断はできないと観念し,途方にくれていたところ,手持ちのマーカーがダイヤモンドペンとして使えることに気づき,早速やってみたところ,ミリメートルの精度できちんと線引きできてカットできることがわかりました。苦手な作業も歩留まりがあがれば楽しい作業になりますね…。

切るとき観察面に傷はつかないようで,清拭もでき,練習すれば歩留まりはこれまでよりもずっとよくなりそうです。濁りも今のところ見あたりません。表面の状態は使ってみないとわかりませんが,大丈夫な予感がします。カット済みの特注品を使うよりも,自分で切った方が歩留まりがあがるというのはおかしな話ですが,可能な限りよい材料を得ようとすると,そんなことも起こるのです(画像/MWS)。








2015年5月18日


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干潟というのは,簡単に言えば,潮の満ち引きの感潮域で泥が堆積したところですから,干潟試料を処理して珪藻を拾い上げるという作業は,泥そのものをいかに扱うかということでもあります。きょうの画像は干潟試料から珪藻を拾い上げているところですが,試料は,画像一枚目や二枚目のような感じなのです。全面びっしりと鉱物粒子で覆われていますが,よーくみると,そこに珪藻が挟まっているのです。そして特筆大書していいたいことは,この試料は,これまでで最高にきれいに処理できたものだということ。それでも,この程度なのです。

この試料に入っている珪藻は小さいものが中心で,被殻の幅は10μmを切るくらいのサイズです。長さは数十μmくらいのものがふつうです。泥の粒子は10μmから1μmくらいが多いです。これを実体顕微鏡下で,毛先をつかって拾い上げるわけです。このレベルになると実体顕微鏡といってもNAが0.1程度では使い物になりません。倍率も200倍程度が必要になります。それよりも難しいのが,体調の管理でしょうか。10μmの精度で指先を動かし,毛先をあやつって珪藻を拾い上げ,鉱物が付着していたらガラスの上を転がして剥がし,きれいなガラス基板上にストックします。

指先の微妙なふるえは,精神状態というよりは,血糖値と関係があるような気がします。むかし発見したことなのですが,甘いものを食べていると血糖値が下がりやすくなり,そのときに,急激な空腹感の発生がおきますが,同時にアドレナリンも出ているようで,指先が震えるのです。そんな状態では,このような繊細な作業はできません。練習すれば上達するなどという甘い世界ではないようです。ので,珪藻を拾い上げる体をつくるための生活を自分で考えて実行し,仕事のレベルを上げる努力をしなければいけません(画像/MWS)。








2015年5月17日


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なんとしてでも確保したい珪藻フリッケア(Frickea)ですが,まだ泥まみれながらも,鉱物粒子をよけながら被殻を分離することに成功しています。まだ鉱物粒子やほかの夾雑物が多すぎて,そのまま乾燥処理すると回収率は30%くらいになってしまう感じです。本当に貴重な試料なので,どうにかして,80%くらいの回収率にしなければなりません。。

分離に成功した被殻は,たった2枚だけですがテスト封入しました。結果がきょうの画像で,これこそがフリッケアの,何ともいえない微細構造です。殻はきれいになっていて,封入剤の浸透も問題なく,取り扱いもそれほど難しくない感じです(画像/MWS)。








2015年5月16日


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ここのところむずかしい?話が続いたので,少し休憩。この春に撮影した画像から4枚ばかり。筆者のカメラ歴は一眼レフを起点として32年を超えるのですが,カメラが欲しかった理由は風景を残したかったからなのです。ですので,旅先でのちょっとした一コマが,じぶんのための記録として大事だったりします。いまでは誰もがカメラを持ち,自撮りも大流行ですが,そういったことには当初からあまり興味がなく。記憶に残る限りにおいて,セルフタイマーなどで自分を撮影したのは,16歳くらいが最後だったかもしれません。高校時代はアルバム委員で通しましたが,それは,自分が写真に写らないための方法でもありました。世の中にはたくさんの写真集がありますが,そこには必ず撮影者がいます。そして撮影者は通常,おもてには出てきません。それでいいのです…と思っていたのですが,インターネット時代に突入し,撮影者自体に興味をもつ人々も出てきて,画像を公開する意味とは何なのだろうかと考えたりもする今日この頃なのです(画像/MWS)。








2015年5月15日


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これはオリンパスとニコンの心出し望遠鏡。主に位相差検鏡のときに,対物レンズの位相板とコンデンサの環状絞りを合わせるための確認に使います。センタリングテレスコープともいいます。接眼レンズを抜いて,代わりにこれを差し込み,目レンズのヘリコイドを回して,位相差対物レンズ内部の位相板にピントが合うようにして使います。これは対物レンズ後側焦点面(BFP)をみていることに他なりませんから,たとえば偏光顕微鏡でこれを使えばコノスコープ像が見えますし,明視野観察でも,コンデンサ操作と像質の関係を調べるときには重宝します。顕微鏡技術はなんといっても照明が命ですので,最高の照明にこだわる人には利用価値の高いアイテムともいえます。もっとも,接眼レンズを抜いて肉眼で見ても十分なことも多いですが…。

この心出し望遠鏡,そのまま景色を覗けばケプラー式の望遠鏡と同等です。それでニコンとオリンパスを比べてみると面白いのです。オリンパスは視野が明るく広いですが,ニコンは狭い視野で暗い像です。視野周辺で,オリンパスは像が崩れます。ニコンは視野周辺まで像はしっかりしています。両者ともに歪曲はありません。つまりオリンパスはFの明るい光学系に加えて接眼レンズの視野を広げたため,像面湾曲がみえるわけです。ニコンは小さな対物レンズでFを大きくして,視野を狭くして,全面で完全な像が得られるようになっています。

目レンズのヘリコイドは,オリンパスは回していれば抜けて分解してしまいます。ニコンではストッパーがあって行き止まりになり,抜けることはありません。

実用上はどちらを使っても全く問題ないので気にする必要はありません。しかしこうした細かいところにも,メーカーさんの姿勢は出るものですね。個人的には,ニコンの生真面目さが好みです。顕微鏡は光源の輝度を変えられますから,心出し望遠鏡がFの明るい光学系である必要はないのですし,きちんと一体化した造り込みになっているのも耐久性・信頼性につながっていると思うからです(画像/MWS)。








2015年5月14日


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光学顕微鏡は,アッベの結像論的な束縛がありますので,クラシックな検鏡法を採用している限りは,おおまかに言って,「0.5λ/NA」の限界を超えることはありません。光学系のNAが決まり,波長が決まれば解像限界は決まってしまいます。誰が使っても同じです。そういう意味では,光学顕微鏡はとても平等な機器ということもできます。国家の威信をかけて大口径の望遠鏡を作って性能を競い合ったり,多額の予算をぶちこんで超高性能の電子顕微鏡を開発して分解能を競ったりということとは,無縁です。研究者が使っているツァイスの顕微鏡と,本ページの読者が使っているニコンやオリンパスの顕微鏡とを比較しても,波長とNAが同じなら,解像限界は変わりません。

そうすると,誰もが,その波長とNAにおいて,世界最高の画像を得られるということになります。もちろん,同率一位がずらっと並ぶわけですが,打ち止めとなる最高峰の画像を誰もが得られるのが光学顕微鏡という機器です。素晴らしいじゃありませんか。きょうの画像は,世界一に近い絵で,DL-TESTとして封入したプレウロシグマの六角形の構造です(画像/MWS)。








2015年5月13日


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珪藻被殻が顕微鏡対物レンズのテスト試料として優れていることは歴史が証明しています。しかし珪藻試料を持っていない人もおられるわけですし,封入物体ばかりがテスト試料になるわけでもありません。きょうの画像は日本国内で使われ始めているテスト試料です。福沢諭吉が印刷されており,ホログラムシートが貼り付けられ,コウゾなど繊維の長い超高品質の紙片です。この紙片は,鉄道の駅の券売機に吸い込まれたり,税務署にむしり取られたり,役所から奪われたりします。呑みにいったらこの紙片が減っていたり,タクシーに乗ったらこの紙片がなくなっていたりしたりするのもよくあることです。

この紙片(もちろん1万円札ホログラムつきです)には,虹色に光るホログラムがついていて,虹色に光るということは,反射回折格子の役割をするような微細構造があるわけで,光の波長領域かそれにちかい,けっこう微細な構造が当然あるわけです。創始者が誰なのかは知りませんが,

こちら

のご主人が広めるのに多大な影響を及ぼしているような気もしています。

筆者は日頃,珪藻を扱っていますので,表面検鏡でも封入標本でも,珪藻をテスト試料として利用できます。ですので,一万円札をテスト物体として撮影したのは初めてなのですが,珪藻検鏡と似たようなサイズの細かい構造があって,楽しく見ることができました。大きな画像は

こちら

です。初見なので軽々しく感想を言うことはむずかしいですが,高NA対物レンズの,落射照明用の被検物体としてはアリかなと思いました。ただ,紙なので,顕微鏡のステージへの固定も面倒で,湿度変化などでたわんでしまい,ピントは秒速で変化したりもします。また入手も一万円もするので,数千円の珪藻プレパラートの方が安く,安定して検鏡でき,経時変化がなく,微細構造も様々で,照明技法の追求にもよいという感じもしました。

そういった諸問題があるにしても,一万円札は日本国民の多くに行き渡っているという点では,手軽なテストプレートということができると思いました(画像/MWS)。








2015年5月12日


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整然とした微細構造のある珪藻は暗視野でみると青く輝くものが多いですが,フリッケアも例外ではなく,深い青色が印象的です。高開口数の暗視野コンデンサに低開口数の対物レンズで観察すると,発色も鮮やかです。対物レンズの開口数をあげるにしたがって,発色はよわくなり,色が見えなくなると同時に構造が見えてきます。きょうの画像は対物レンズNA=0.65,コンデンサNA=0.8-0.95という条件ですが,まだ青く見えているということは,この対物NAでは構造は見えないということを暗示しています。興味深いのは,微細構造は見えないけれども,「何らかの解像限界以下のサイズの構造が存在している」ことは読み取れることです。微細構造がみえなくても,構造の存在がわかるということは情報としては一歩進んだわけで,このことを念頭において検鏡すれば,「光学顕微鏡では見えないけれども,微細な構造がそこに存在する」,という「情報」が得られるかもしれません(画像/MWS)。








2015年5月11日


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簡易顕微鏡は便利ですが,そればかり使っていると技術が低下しますので,まともな顕微鏡でリハビリしました。サンプルは処理中のフリッケアを一部取り出してスライドグラス上で乾燥させたものです。9日に掲載したものと同じ試料で違う視野を写しています。9日の画像では,NA=0.8の比較的開口数の大きな対物レンズにもかかわらず,微細構造は写っていません。それは対物レンズのNAが不足しているという理由とともに,照明が拡散板による簡易なもので,斜入射の成分が不足しているからという理由もあります。

きょうの画像は対物NA=0.9,照明側NA=0.8-0.95の輪帯照明です。解像限界は計算上260nm±10nm付近かと思います。9日に掲載した画像より,対物NAは0.1おおきいだけですが,照明の効果も相まって,フリッケアの被殻上に存在する微細な構造が浮き上がっています。画像一枚目は全体像を縮小したもの。二枚目は等倍での切り出しです。この珪藻の微細構造は独特で,点紋列の間隔にばらつきがあるので,解像していないところと解像しているところを計測すれば,解像限界の範囲を推測することもできます。テスト用の珪藻として適していると思います(画像/MWS)。








2015年5月10日


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これも現在処理中の干潟試料に入っていた珪藻。ニッチアの仲間ですが,はじめて見た気がします。珪藻は最低でも数万種程度存在しているようなので,見たことのない種がいくらいても不思議ではありません。しかしながら,実際には,いつも扱っているサンプルから出てくる種は大抵きまっていて,見慣れた風景が広がるばかりなことが普通です。たまに特殊な試料が入手でき,見たことのない珪藻や放散虫が入っていると,それはもう嬉しくて,いつまでも顕微鏡を覗いていることになります。このニッチアも回収したいですが,果たして可能なのかどうか…。やってみるしかありません(画像/MWS)。








2015年5月9日


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これは現在処理中の干潟試料に入っていた珪藻。フリッケア(Frickea)といいます。これまでの試料では,ほとんど数が入っていなくて,幻の珪藻という感じでした。今回の試料では本種がかなり入っており,これの回収へ向けて全力作業中です。この珪藻は暗視野で深いブルーに輝き,微細構造も整然として見応えがあり,被殻末端付近の構造も特徴的で,筆者的には見飽きることのないものです。ぜひ皆様にもお届けしたいと思っています。画像は処理中のものから一部を取り出し,水洗いしてスライドグラス上で乾燥させたものです。昨日と同じ条件で撮影しています(画像/MWS)。








2015年5月8日


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連休中はいつもよりのんびりと過ごすこともでき,のらぼうも食べることができ,多少はパワー回復になったかもしれません。もっとも,のんびりの合間には,顕微鏡をいじって,珪藻試料をいじって,放散虫試料を封入し,書籍の処分をしてと,何だかんだとやることはあったわけですが。。

顕微鏡は,作業用の簡易顕微鏡で,金属対物を利用してきちんと性能が出るように改造を行いました。試料の方は,干潟珪藻試料の洗浄処理をすすめています。大型のものは沈降分離やメッシュで洗うなどの方法が利用できることもあるのですが,小型のものはそういう方法が使えません。また沈降分離にしてもメッシュで洗うにしても,ロスがかなりあるので,貴重な試料では相当に気を遣っての作業となりました。放散虫試料は,かなり難易度の高いデリケートな種を壊さず封入する方法の試験を行っています。書籍は,大人一人分くらいの重量を処分対象に整理しました。すぐに捨てられないのがつらい…。

きょうの画像はそういった作業の成果。干潟試料の一部をスライドグラスにとって乾燥させ,それを作業用の簡易顕微鏡で撮影したものです。対物レンズはCF M Plan 60x (0.80) 210/0で直接焦点です。カメラはNikon1J2,照明は拡散板使用です。ギロシグマの条線がよくみえています。簡易顕微鏡でこのくらい写れば合格としていいでしょう(画像/MWS)。








2015年5月7日


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研究用顕微鏡では物体の変形を嫌いますので,接眼レンズは歪曲収差がよく補正されているのがふつうです。広視野のものでも,ステージ上の物体を移動して,視野中央と周辺で,形がゆがむことはほとんどありません。一方,望遠鏡の接眼レンズ(アイピース)は,視野を広げることと引き替えに,大きな糸巻き型の歪曲が見られることも多いです。海外製の有名な超広視界アイピースは80度を超える視野で覗きやすいですが,天の川などを流してみるとぐにゃぐにゃと視野が歪んでいるのがわかります。顕微鏡を見慣れていると,歪曲はあまり気分のよいものではありません。さてそれで,きょうの画像のアイピースですが,ビクセンのLV15mm。年代物ですが,なぜこれを持っているのかというと,歪曲がゼロなのです。筆者の簡易顕微鏡は望遠鏡用のアイピースが付くようになっているのですが,ニコンのCF対物レンズに,ビクセンのLV15mmをつけてみると,収差補正上のマッチングが完璧なのです。視野内の珪藻を移動してみても,変形は皆無です。ながめていて実に気分がよいのです(画像/MWS)。








2015年5月6日


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出張先の札幌では新緑も目に鮮やかでした… と言っても信じてもらえそうな,東京都内の状況。これは文京区で撮影した画像ですが,すがすがしい感じがします。都内で過ごしやすい時期というのは,ほんのわずかなので,有り難く感謝して過ごすことにしましょうー(画像/MWS)。








2015年5月5日


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ゴールデンウィーク中は,都区内を動き回るクルマが減り,産業活動も一休みなので,2,3日もすると,空が青くなってくるのがわかります。いつもの都区内は,遠くの山から見下ろしてみると,薄いスモッグの中なのですが,連休中とお正月と台風のあとは,空気がけっこうきれいになります。4日の都区内は,クルマも減り,南風が一日中続き,夕方になっても空気が澄んでいました。こういうときは,緑の風景を写すのによいのです。Nikon1J1に18.5mmF1.8をつけて,絞り優先モード,F1.8固定で一本勝負のさんぽに出かけました。西日のあたる風景が澄んでいる感じがします。ふだんはこうはいかないのです。連休中の密かなたのしみです(画像/MWS)。








2015年5月4日


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ゴールデンウィーク中は,休息モードで営業中です。画像のわんこのように,伸びきってお休みしていることもあるかもしれません…。メール対応や発送などは通常よりも遅れることもありますのでご承知下さいませ(画像/MWS)。








2015年5月3日


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土曜日の午後は,のらぼうを探す旅に出ました。アブラナ関係の野菜でも最高においしいのではないかと思っている品種ですが,残念なことに産地限定で,都区内ではまず見かけることがありません。昨年はついに見つけることができなかったので,今年こそはと,野菜を探す旅に出たのでした。

のらぼうは東京・五日市方面で栽培されてきたもので,かつてそこの隣町付近に生息していた筆者にとっては,それほど珍しいものではありませんでした。菜の花から苦みを減らして香りと味をよくしたような感じで,食べると体が喜びます。八王子西部,五日市,あきる野市,秩父方面などで見かけるので,今回は秋川駅に出向きました。

その前に,拝島駅で下車して,二軒まわってみましたが,何もありませんでした。7i系の大型スーパーの野菜売り場では,「のらぼう? とっくに終わってるよ,3月くらいじゃないの?」などといい加減なことをのたまうお兄ちゃんがいたりもしました。今年の3月にのらぼうが豊富に収穫できるような陽気でなかったことは,かつての地元民である筆者には明かで,3月には探しに行かなかったのです。4月前半も気温が低く,どうかなーと思っているうちに急に気温があがって,ありゃりゃーとあわてていたのでした。

で,のらぼうは東急系列のスーパーにちゃんと並んでいて,久しぶりの出会いに小躍りして,連れて帰ったのでした。軟らかくなるまで湯がいて,適当に味付けして食べてもいいし(マヨネーズ+しょうゆが簡単),油揚げとちくわと一緒に,酒,しょうゆで調味した菜焼き風もまた格別です(画像/MWS)。








2015年5月2日


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天頂プリズムを入手しました。これは何かというと,主に屈折望遠鏡で星を観察するときに使う,天頂付近をらくな姿勢でみるための道具です。中には直角プリズムが入っており,これの全反射を利用して,光量ロスの少ない,分解能の低下しない像を見ることができるわけです。但し,像は裏像になります。裏像というのは,上下はそのまま,左右が入れ替わったもののことをいいます。

なぜこんなものを買ったのかというと,クビをおかしくした筆者が今期の木星をラクに観察するということが1%くらい,あとの99%は,裏像の顕微鏡が必要になったからです。Jシリーズでは,カバーグラス上に珪藻を並べているので,観察面からみると裏像になっているのです。ですから,アルファベットや漢字などをデザインするときや,ツリーのバランスを考えるときにも,右と左を入れ替えなければなりません。アルファベットは紙に書いて,すかして裏側からなぞり,それをまねてデザインを決めます。涙ぐましい努力です…。そういうわけで,作業中にさっさと覗ける裏像の顕微鏡があればと,ずっと思っていましたが,手近な機材で,現有機材にちょっとした改良を施すだけで実現可能なことがわかったので,プリズムを入手したのでした。

さてこういったものは,早速バラしてしまいます。安価な輸入物に精度や拭きを期待してはいけません。じっさい薄くチリがばらまかれた感じで,最初に完璧に拭いてから使った方が気分もよろしいのです。それでバラしてみれば,驚くほど思い切った(割り切った)つくりでした。プリズムはプラスチックにはめ込んであるだけで,全反射面に黒紙を挟んで,それをスポンジで押しつけて固定という代物です。全反射面は空気面であるのがセオリーで,紙などの接触物があると,そこから光が伝って逃げますから,よくないのです。しかし実害はなかろうと,そこのところを割り切って,驚異的な価格を実現していたわけです。

入射・出射面は単層コート,アメリカンサイズを完全にカバーする大きさの直角プリズムが仕込まれて,3,500円では,国内のどのメーカーさんでも,国内で製造する限りは勝負にならないでしょう。安く入手できることは有り難い一方で,なにか暗澹たる気分にもなるのでした(画像/MWS)。








2015年5月1日


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子どもたちが夢中になって募金しているというニュースが飛び込んできて,それを報告しているツイッターさんを見ると,なるほどコインゲームになっているのでした。楽しく募金できる「仕組み」を考えた人の頭のよさに脱帽です。すばらしいです。驚嘆すべきことは,このコインゲームのデザインは,すべて珪藻を使っているように見えることです。間違いありません。

こちら

で確認してみてください(画像/スクリーンショット)。









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