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MWSが顕微鏡下の世界を伝えるコーナーです。
日々の業務メモやちょっとした記事もここに記します


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2010年4月30日


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珪藻の精細さをモニタ上で表現するのはほとんど不可能に近いのですが,その一つの原因は微細構造と全体の大きさの関係があります。100μmの大きさの珪藻に0.2μmの微細構造があるとします。このとき0.2μmの周期構造を10ピクセルで表現するならば,1μmは50ピクセル,100μmの全体を表現するには5000ピクセル必要になります。その珪藻が円形なら5000×5000ピクセルのモニタ・撮像素子が必要になるわけです。このコーナーの画像サイズは原則として700×525ピクセルですから,珪藻の美しさを表現するには,小さい珪藻を選んだり,部分的に表現したり,あえて細部を潰すなどの工夫が必要になります。上の珪藻は分解能が活かされるような拡大率の例ですが,この珪藻の全体像を表現するならば,1704×1704以上のサイズが必要になります。見本を用意しましたので,ごらんになりたい方は,こちらからLZH圧縮ファイル(15.2MB)をダウンロードしてください(BF,撮影/MWS)。





2010年4月29日


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これはアクナンテス(Achnanthes)という珪藻で,和名はツメケイソウとなっています。と,書くと自信ありげですが,実は不安です。この仲間は分類が大きく変わってきていて,昔アクナンテスと呼ばれた種がいまは別の名前になっていたりします。上の画像の種は,20年ほど前にアクナンテスと呼ばれていたのは確かなのですが…。珪藻の種類は万の単位に及びますので調べるのが難しく,属名,種名をweb上など公の場に記載するのは躊躇してしまいます(oblique,撮影/MWS)。





2010年4月28日


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これはミスミケイソウ(Trigonium)の微細構造です。油浸(NA=1.4)での撮影です。4月23日付けの画像に見られるようなハニカム構造の内部には,このような構造物が隠されているのです。注意深く観察する人が見ることのできる,秘めたる構造物です(oblique,撮影/MWS)。





2010年4月27日


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MZR-01代替品は順調に仕上がり,先にご案内したミスミケイソウ(Trigonium)に加えて,上の画像(Arachnoidiscus属の一種)のようなきれいな個体が多数含まれる製品になりそうです。5月中に販売開始の予定です(BF,撮影/MWS)。





2010年4月26日


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25日はよく晴れました。今年は天候不順で休日の快晴は何日ぶりか思い出せないほどです。白銀に輝く芽吹きに,春の定番アミガサタケが顔を出し,各所で八重桜が八分咲きでした。東京郊外にもようやく春がやってきたという感じです(撮影/MWS)。





2010年4月25日


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この珪藻はArachnoidiscus属の一種で,クモノスケイソウという和名がついています。放射状に広がる模様が蜘蛛の巣を連想させることが和名の由来なのでしょう。しかし筆者は何度見ても,何か大伽藍のような建築物を想像します。蜘蛛の巣みたいな繊細なものというよりは,ステンドグラスで全面が装飾された建築物を思い浮かべてしまうのです。皆さんはどうでしょうか(DF,撮影/MWS)。





2010年4月24日


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きょうの画像は今週改訂版が出た学研の図鑑です。当サービスも一枚だけ画像提供しています。この図鑑はカラーの美しい図版を用いて専門家が平易に植物の生態を解説しています。内容が濃く,質の高い写真が豊富です。興味のある方は一冊購入して家に転がしておくのもよいかもしれません。大事なことは転がしておくことです。読書を薦めたりしてはいけません。誰でも手に取れるように転がしておくのです。特に関心もないときに「読んでみなさい」と言われると,「読んでみなさい」と言われたことが記憶に残ります。自分から手を取って読むと,自分で手を伸ばしたことはほとんど記憶に残らず,読んだ内容が記憶に残るのです(撮影/MWS)。





2010年4月23日


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保管していた試料の処理を行っています。廃盤になったMZR-01の代替品と考えています。上の画像のようなトリゴニウム(Trigonium)という珪藻を多く含んだ面白い試料です。この珪藻を壊さずに,被殻もバラバラにしないで観察できる試料を目指しています。この珪藻,ミスミケイソウという和名がついています。三隅珪藻ということでしょうか。しかし筆者には,夕飯前に検鏡しているせいか,オニギリケイソウに思えて仕方ありません(BF,撮影/MWS)。





2010年4月22日


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その肥後浮丸特級の切れ味ですが,申し分ありません。たぶん値段からしてSK鋼クラスだろうと思いますが,炭素鋼ですからよく切れます。上の画像は革砥で仕上げて毛髪に切り込みを入れた例で,画像中段はその拡大像です。一本の毛髪が3つに切れていることがわかると思います。カミソリと同等の切れ味です。念のために申し上げますと,これは,それなりに研ぎができる人には普通のことで,筆者にはパソコンの向こうから「ぜんぜん大したことねぇよ」という声が聞こえてきそうなくらいです。その通りで,刃線がカーブの刃物は蛤刃に仕上げるのが定石なので,刃先が合いやすく,鋭さが出やすいのです。もしも鉋や切り出しで完全平面を出し,同じだけの鋭さを出そうとしたらちょっと難しくなります。

面白いのは画像三枚目で,一度毛髪を切った刃先には油が付着しています。髪の毛が油っぽいことは誰でも知っているわけですが,切った刃先に0.001mmクラスの油滴が付着することは筆者は知りませんでした。また刃先にはコンマ数μメートルのカエリのようなものが見えています。単なる汚れかもしれませんが,毛髪は銅線なみに硬いですから,鋭い刃先は徐々に鈍っているという可能性もあります(epiDF,撮影/MWS)。





2010年4月21日


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肥後守(肥後浮丸特級)もすっかり仕上がり生き返りました。捨てられる運命だったところ危うく命拾いといったところでしょうか。安価な利器材ということもあって,刃は薄く,修理はとてもやりやすいですね。荒砥で刃線を決め,耐水ペーパーで峰を磨き,中砥で切刃を研ぎ,しのぎをきちっと出します。それからもう一度中砥で丁寧に本刃付けして仕上砥にかけます。上の画像は尾崎合砥+研磨剤で鏡面仕上げにした様子です。下の画像はその一段階前で,丸尾山合さの後に新田産巣板で内曇り効果を出したものです。割込の名のとおり,軟鉄の間にハガネが割り込んであるのがよく見えます。鞘は鉄製で,そのまま刃を収納すると刃先の一部が鞘に当たってしまい傷みます。そのため鞘の幅をペンチで絞り込み,ちょうど挟まるくらいにしますが,刃先が心配ですし,抜けにくくもなります。そこで鞘の中にV字のプラ板を仕込んで刃先を守ります(撮影/MWS)。





2010年4月20日


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これはヒトの毛髪です。表面を落射照明で撮影していますが,テレビコマーシャルでもお馴染みのキューティクルがよくみえます。ちょっと見方を変えればトカゲの尻尾を想像する人もいるかもしれませんね。なお参考までに,この毛髪は美しい20代女性のものでした(^_^)。そう思うとグロテスクには見えないかも。。(epiDF,撮影/MWS)。





2010年4月19日


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サワラの皮を出刃包丁ですき引きのようにすると,体表面の銀色の一部がはがれて,刃先に銀色の粉がたくさんつきます。そういえば顕微鏡で覗いたことがなかったと,そのままカバーグラスで封じて見てみました。肉眼でもキラキラと光る粉が見えますが,顕微鏡で見ると鱗片状物体がたくさん見えます。画像1,2枚目は上から照明して見た観察像ですが,鱗片に干渉縞が見えています。平行平面の鱗片どうしが重なって,その間で光の干渉が起きているようです。画像3枚目は同じ照明ですが,鱗片の密度が高いところを撮影しています。多数の鱗片が重なるところで反射率が高くなり,白銀に輝いていることがわかります。画像4枚目は透過明視野照明によるものですが,多数重なったところで干渉色が見られます(そのような物体はけっこう珍しいです)。

生物というのはタンパク質で何でも作り出す魔法のような存在ですが,魚の銀色も薄膜の光学的性質を巧みに利用しているようです。たくさんの薄膜が重なっているということは,ブリュースター角では少し深いところまで光が届く可能性があります。こんど魚を見たらいろんな角度に傾けて偏光観察しなければなりません(笑)(epiDF/BF,撮影/MWS)。





2010年4月18日


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春の魚と言えばサワラと相場が決まっていますが,小振りのものを一匹入手してきました。鮮度もよさそうなので刺身にして,あらは潮汁にしました。上の画像は潮汁から取りだしたサワラの下あごで,小さな歯を写しています。筆者が注目するのはその形状です。生物というのは長い歴史の過程で合理的な形態を作り出してきました。この歯も,この独特のカーブに理由があるに違いありません。どことなく,刃物の刃先を連想させる形です(撮影/MWS)。





2010年4月17日


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廃棄品になっていた肥後守を引き取ってきました。『登録割込 肥後浮丸特選』とありますから,本家の肥後守のコピー品みたいなものでしょうか。下の画像に見られるように,刃は大欠けし,先端はこじった跡があり捻れています。サビがひどいのは見た目にもわかりますが,顕微鏡で見ると,大きな錆粒子が成長している様子や,地鉄に深い腐蝕穴があいていることがわかります。小さな黒い点々も,虫歯のようにかなり深く浸食しているのです。この肥後守は子どもの教材用の安価なものかと思いますが,一度も研がれたこともなく,ドライバーのようにこじるように使われ,全体がサビ,やがて捨てられるとすれば,道具としてあまりにも不運なものと言わざるを得ません。この刃物は道具としても優秀で,価格からはまったく想像できないほどの切れ味を有するのです(撮影/MWS)。





2010年4月16日


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小刀が研ぎ上がって喜んでいても切れなければ意味がありません。適切な対象で切れ味をチェックしなければ,その刃物が本当に鋭く切れるのかどうかは不明です。そこで有名な切れ味試験,ティシュー吊るし切りを行います。方法は簡単で,二枚重ねのティッシュペーパーを一枚ずつに剥がし,吊るし切りしてみます。一枚はたて,一枚は横に切ります。ティッシュは繊維方向がありますから,切れやすい方向があります。どの向きでも下端の部分まで吊るし切りができれば鋭い刃がついているといえます。少なくとも毛を剃るのには不自由しない程度になっているでしょう。上の画像は切りにくい方向の吊るし切りの結果ですが,何度やっても5/5でパーフェクトです。下の画像は切りやすい繊維方向の結果ですが,楽々切れます。骨董市の買い物は大正解だったようです(撮影/MWS)。





2010年4月15日


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件の小刀はさっそく勉強材料に供され,実用品に生まれ変わりました。備忘録がてら作業を記します。まず裏が出やすくなるように,しのぎの少し下を叩いておきます。次に耐水ペーパー#2000〜5000で裏を磨きます。錆取りをかねて,裏すきが深くなるように祈りながら磨きます。次に荒砥で刃線を決めます。元よりも短くしています。刃線がある程度決まったらダイヤで切刃を磨いて肉を落とします。だいたい切刃の面が出てきたらシャプトンモス(#180)で切刃をつけます。体力と忍耐の作業です。次にシャプトン刃の黒幕オレンジ(#1000)で切刃を完全な平面にします。これがなかなか大変な作業です。平面崩れしないように,天然大村砥でシャプトンオレンジを頻繁に面直しします。切刃の平面が出たらシャプトン刃の黒幕グリーン(#2000)で切刃を滑らかにします。

ここまでできたら裏を付けます。シャプトンオレンジで強く裏を押し,バランスよく裏がつくように力を加減します。一カ所でも浮いていると刃がつかないので刃線全体に裏刃がつくように注意します。裏がついたらシャプトングリーン,丸尾山戸前で仕上げます。

裏が概ねできあがったら表を研ぎ直しします。まずシャプトンオレンジから始め,グリーン,丸尾山合さ,戸前,神前産巣板の順に研いでいきます。裏は研ぎません。仕上げ研ぎの段階になると,整形段階,中研ぎ段階の欠点が浮き上がってくるので,その部分を修正するためにシャプトングリーン,丸尾山天上戸前,鳴滝巣板などを使って整形していきます。整形するときは砥石の組合せが大事です。研磨痕の具合を見ながら早く作業ができる砥石を見極めます。2種の砥石で済まそうとするよりも4種の砥石を使った方が早く作業ができることもあります。

形ができあがったら,先端を切り落とします。好みの重心と強度を確保するためです。換気扇の下でプロクソンを使います。切り落としたら赤レンガ(キング砥石)と新田巣板でバリ取りをしておきます。

最後は仕上げ研ぎです。スエヒロ#8000で丁寧に裏押しして,表も研ぎます。次に鳴滝巣板をかけてから,尾崎産合砥をかけます。尾崎にはスエヒロ#8000の砥汁をつけておきます。これでそろりそろりと表裏を研いでできあがりです。言葉で書くと大したことないですが,なかなか時間のかかる作業です(撮影/MWS)。





2010年4月14日


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小刀を骨董市で買うのには理由があります。むかし新品の小刀(青紙一号)を購入して研いでみたところ,裏の平面が出ませんでした。ねじれているのです。輪郭にきれいに裏が出ているように見えたのは偽物たったのです。思いっきり研いで裏をつけたらベタ裏になってしまいました。筆者はベタ裏の研ぎが苦手なので我慢ならず,裏を砥石で掘って平面を付けなおしましたが,言語に絶する手間を要しました。その後,白紙の小刀を複数購入しましたが,これもダメでした。数千円程度の品物ですから仕方がない面もあるのですが,ニセ裏をつけるくらいなら何もしない方が有り難いですね。

新品でも刃裏を付け直す作業が必要なのですから,それなら安価な骨董市の鉄屑を再生する方が楽しいのです。きょうの画像は新たに入荷した骨董小刀ですが,何と刃裏を研いだ形跡がありません。表は研いでありますが,研ぎといえるレベルではなく,バターナイフ以下です。研ぎが好きな人ならわかると思いますが,これは素材としては最高です。やり甲斐があります(撮影/MWS)。





2010年4月13日


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週末は勉強材料を仕入れに行きました。ふだんはあまり物欲が湧かない筆者も,ついついサイフのヒモが緩むのが骨董市です。道具箱をひっくり返して品定めする時間が楽しいですね。古い鉄屑を買って本当に鉄屑だったり,とても良い刃物だったりと,予想を確かめる時間もまた楽し。使えないものが使えるものに変化してゆくその工程がまた面白いのです。今回もまた,たくさん勉強できそうです(撮影/MWS)。





2010年4月12日


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レンズを溶剤で拭くときに大事なポイントはいくつかあります,中でも重要なのは紙の折りたたみ方です。キムワイプなどの清拭に適した紙を,一度も手を触れていない部分がレンズに接するように折ります。毛羽が出ないように考慮することはもちろん,溶剤の含ませ方や手で持つ部分のコシの強さなども考えて折り方を決めます。上の画像は筆者の折り方の一つです(他にもあります)。これは何かを見て覚えたのではなく,経験的に生まれてきたものです(撮影/MWS)。





2010年4月11日


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レンズ類のメンテナンスには溶剤が欠かせません。接眼レンズの目側などは汚れも激しいので頻繁に清掃が必要です。まず蒸留水で拭き,次にクリーナーや無水エタノールで拭きます。油浸オイルの拭き取りでは,まずチリ紙にオイルを吸わせ,大部分のオイルを除去してから,クリーナーで残りのオイルを拭き取ります。拭き取りの作業性と仕上がりは溶剤によって微妙に異なりますし,レンズの種類によっては無水エタノールが使えないものもあります。そこで幾つかの溶剤を揃えておくことが必要になってきます。上の画像は日頃使っているものです。この他に石油ベンヂン(ノルマルヘキサン)も使います。(撮影/MWS)。





2010年4月10日


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きのうの画像を素材に合成してみました。こうしてみると明視野像で得られたどの部分に葉緑体を持った生物が潜んでいたのかが一目瞭然です。同じことはフィルム時代でもできたわけですが,デジタルだとあまりにも楽チンで高速です。有り難いことです。それにしても蛍光法の検出能力の高さは素晴らしいですね。明視野ではどこに藻類が潜んでいるのかほとんど判別できませんが,蛍光法だと一発ですからね。目を皿のようにして観察することも大事ですが,他の効果的な方法があれば試してみることも大事です(BF&epiFL,撮影/MWS)。





2010年4月9日


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昨年採取した珪藻の一部を,200mlのジャム瓶に海水とともに入れ,粘板岩を一枚入れて屋外に放置しておきました。軽くフタをして10ヶ月,沈殿物を覗いてみたのが上の画像です。ちょっと見た感じでは生物が豊富という感じには見えませんが,珪藻の遺骸がたくさん入っています。落射蛍光顕微鏡(V励起)で観察すると,この沈殿物の中に赤色蛍光を生じる物体がたくさん認められます。厳しい条件にもかかわらず,藻類が生きているのです(BF/epiFL,撮影/MWS)。





2010年4月8日


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硬く締まったヒノキの赤身にカビが生えてきたので削りものをしました。ひじょうに鋭く刃付けした切り出しを使い,15分ほど木口を削りました。刃先先端の変化を顕微鏡で確かめると,小さな刃こぼれが発生しているのがよくわかります。画像の横幅は約6ミリなので,この刃こぼれは肉眼でも何とか見えるサイズです。このくらいの欠けでもよく切れますが,刃先の滑らかな状態を保つためには小刃を入れた方がよさそうです(DF,撮影/MWS)。





2010年4月7日


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また砥石を買ってしまいました。。丸尾山の「合さ」という砥石です。この山の砥石は各層揃えましたので大体の性質は判明しましたが,そうなるとお気に入りの一本が欲しくなるわけです。小学校に入る前から石ころを拾うのが趣味だった筆者にとっては,砥石は眺めるだけでなく,実用性も換え備えた一粒で何度もおいしい存在です。今回の石は30〜40切りのサイズで堂々たる風格があります。一本だけ上の画像に見られるような,石英が詰まっている筋が走っていることもあってか,お手頃な価格で購入させて頂きました。筋の石英は硬くて,針で掘ると周囲が掘れて石英が浮かび上がってきますが,筆者は顕微鏡を見ながら作業できるので,砥石面を予め良好に保てます。なお,この筋は画像では太く見えますが,髪の毛よりも細いものです(DF,撮影/MWS)。





2010年4月6日


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これはピンヌラリアという珪藻の暗視野画像です。ピンヌラリアについてはこれまでも何度か掲載してきましたが,本種はまだのせていなかったかもしれません。無紋域が十字模様になっているのです。ふつうのピンヌラリアは池や沼にいて珍しくありません。でも,この十字模様のヤツはあまり見つかりません。上の画像の個体は河口近くの砂地で見つけたもので,出現頻度はかなり低く,ふつうに散布スライドを数枚作った程度ではまずお目にかかれません。模様がちょっと違うだけで分布が違う,当たり前のようなそうでないような不思議な気分です(DF,撮影/MWS)。





2010年4月5日


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都内は桜が満開です。昨年も4月5日に桜を掲載していますので,だいたい同じ時期に満開になることがわかります。曇天で寒い中,近所を一歩きするとあちこちで花見の宴が賑やかでした(撮影/MWS)。





2010年4月4日


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暗視野法は照明光が散乱した部分が明るく見える方法ですから,散乱光が発生しない部分は真っ黒に抜けてしまいます。上の画像がその例で,海産付着珪藻の一種ですが,中央部付近が黒く抜けています。まるで蝶ネクタイのようです。こういった部分は無紋域といいますが珪酸の被殻自体は存在しています。しかし表面が滑らかなので暗視野法では見えない部分となります(DF,撮影/MWS)。





2010年4月3日


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応用光学的な観点から見ると,暗視野法は物体の微細構造を正確に再現する照明法とはいえません。散乱光を観察する手法なので鉱物粒子の検出などは得意な一方で,切片などの標本中に存在する濃淡や淡い周期構造を可視化することが不得手なのです。しかしながら珪藻はガラス質で構造によっては輪郭がはっきりしていますから,種によっては微細構造からも散乱光が発生して観察が可能になります。明視野法で偏斜などの技法を用いて微細構造を観察するのが正式ですが,暗視野法でもそこそこ見える,これは珪藻標本の持つよい特性といっていいでしょう(DF,撮影/MWS)。





2010年4月2日


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なぜ暗視野法が印象に残って効果的なのか,それはコントラストに原因があると考えています。周囲が暗黒で対象のみが輝いていればコントラストは最大です。そして人間の目の特性から輝いている部分に自然と視線が注がれます。無意識に対象に集中しているのです。これとよく似た状態は花火見物でしょう。暗い空に鮮やかな花火が広がれば何も考えることなく純粋に美しさを堪能できます。もし,明るい曇天に煙の軌跡が描かれる花火大会(例えば大曲の昼花火)ならば,それほどの印象は残らないでしょう。印象に残すためには単に物体が美しいだけではだめで,人体生理学的な観点から印象に残るような見せ方が効果的だと思うのです(DF,撮影/MWS)。





2010年4月1日


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珪藻に関心をもってもらうためにはコツがあるのではないかと思っています。よくない方法はたぶん,精製度の低い鉱物だらけの試料を低倍率・明視野で見せることでしょう。珪藻の周期構造は見えず,視野は鉱物で汚く感じられ,細かくゴチャゴチャした感じがするだけです。逆に効果的な方法は,よく精製された美しい試料を,微細構造が見える適度な倍率で,できれば暗視野法で見せることでしょう。暗い視野に繊細な輝きをもつ珪藻が浮かび上がり驚かされます。それが奇抜な形の珪藻であったり,精密に並べられた試料であればさらに高い効果が期待できます。

生まれて初めて覗くその一瞬がつまらなかったら,それが記憶に刻まれます。驚きの美しさを感じたらいつまでも忘れないでしょう。初見のインパクトが大事なのです。一般の方に珪藻を見せるときに,筆者が密かに注意している点です。(DF,撮影/MWS)。





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