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ミクロワールドサービスが顕微鏡の世界を伝えるコーナーです。
日々の業務メモやちょっとした記事もここに記します


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【2007年】  9月  10月  11月  12月

【今月にもどる】 




お知らせ 

作業時間確保のため,当面の間,在庫販売のみとさせていただきます。在庫もほとんどのもので払底しています。リサーチグレード,教育用セットの実質的な販売再開は来春となる見込みです。DL-TESTにつきましても当面の間,販売休止します。特注品についても,納期は年明け以降になります。ご了承下さい。




2016年12月31日


ps

年末恒例の大忘年会が終わり,本ページを更新しているところです…。これはメンバーの面々に用意したお気に入りの箸置き。鮎の塩焼きが箸置きになっているという素晴らしい逸品です。しかしメンバーの誰一人として,この箸置きのすばらしさに気がつくことはなく,口から泡を飛ばして議論も深まるうちに,16時からの大忘年会は23時に終わるのでした…。。褒めてくれたらお土産にくれてやると思っていたのに,残念な奴らだ…。まぁ30年も続く大忘年会ですから,箸置き一つくらいでは何も驚かないということかもしれません。

ことしはいろいろなことがありましたが,低空飛行ののちに深く潜行している筆者をサルベージして下さったのは,本ページをご覧の皆様です。生物としては生きているんですけど,ニンゲンとしては生かされているんだなあと。いつもそう思って暮らしていますが,今年もそれを強く感じました。Jシリーズが大変な労力を投入して作られたスライドであることは疑いがありませんが,それと,世間の価格体系とは別の話です。「本日の画像」の購読料として,スライドの中身はさておき,○万円くらいは払っていいかな,という買い物をして下さるお客様がいらっしゃるようにも感じています。

みなさま本年も大変お世話になりました。感謝申し上げます(画像/MWS)。








2016年12月30日


ps

今年の残りの時間を使って作ったJシリーズ一枚(上の画像のもの)を追加販売します。早いもの順です。今期最終品です。

こちら

よろしくお願いいたします


アップ後に15分で売れてしまいました。ありがとうございます(画像/MWS)。








2016年12月29日


ps

これは今回販売した微化石セットの画像。ラベルに主要な微化石の名前を入れてありますが,「海綿骨針」だけスペースの関係で入りませんでした。すみません。海綿骨針はこの画像で言うと,右側外周の4個で,上から,釣り針的なやつ,イカリのようなやつ2個,イガイガのやつです。お手持ちの方は,大体これと同じ形状のものを入れてありますのでご確認下さい。海綿骨針というのはガラスカイメンが作るケイ酸質の針のことで,かなり純粋なシリカでできています。成分的にはオパール的なものとされていますが,アルカリ溶解実験をやってみると抵抗性が強く,なかなか溶けない強靱なものです。

ほかの微化石は,二枚貝の殻みたいなものが貝形虫の炭酸カルシウムの殻,渦巻き状のものとコロネ(パン)みたいなものが有孔虫。これも炭酸カルシウムです。珪藻は皆さんお判りの通り。放散虫も一目でわかりますね。残ったクルマのハンドルみたいなものはムラサキクルマナマコの骨片,そこから斜め右下に連続した2個はマナマコ(たぶん)の骨片です。

産地は佐渡島の珪藻土,北海道の淡水珪藻,相模湾西武の珪藻,ナマコの骨片,相模湾東部の貝形虫,有孔虫,海底堆積物中の海綿骨針などとなっていて,集めるだけでも大変なものです。一つ一つ,微化石の不思議さを味わって頂ければと思っています。

以上,業務連絡でした(画像/MWS)。








2016年12月28日


ps

不眠不休…の二歩手前くらいの状況で限界的な作業を進めた結果,法人様以外の,今期Jシリーズお申し込み分は全て発送が完了しました。17時30分頃に都内の本局で受け付けてもらったので,早ければ明日から,バルバドスの放散虫が配達されます。♪もーいーくつ寝るとーバルバドスーなのです。

数千万年前ころに発生し,堆積した放散虫が,いろいろな地殻活動の動きによってバルバドス島に顔を出したという貴重なサンプル。しかもこのサンプルは国内にはほとんど所持している人がいないのです。そのような貴重なものと運良く出会うことができました。サンプルも幸運だったかもしれません。筆者のもとになければ,せいぜい泥まみれの散布スライドで終わったかもしれませんので。。

この貴重な試料を処理して,中にはただの泥,というものも多数でしたが,放散虫がごろごろ出てくるものもあって,最適な処理法を模索しました。何度か失敗してバラバラ分解事件が起きましたが,それでも幾つかは使える程度の処理ができて,拾い出しが可能になったのです。そこからは拾い出しの耐久レースです。時間も忘れて放散虫をひたすら拾い出し,また,試料と長時間にらめっこすることにより,その試料の種組成に対して目を慣らしました。

ある程度拾い出しが進めば封入試験です。これまでの技術が使えるかどうかをテストして,少しの改良が必要と判断。作業上の条件をチューニングして最適化して,完璧なものが出来上がりました。あとはひたすら,同じ条件を維持して標本製作に没頭します。簡単なものでも一日2枚が限界で,大物は2〜3日かかります。特に拾い出しが大変です。

できあがればJナンバーを打って一時保管。数が揃ってきたら顕微鏡写真を撮ります。そしてHPを作り販売に備えます。販売開始と同時に,メールとの戦いです。10秒単位で舞い込むメールをチェックし,Jナンバーに当選者を書き込んで,メールに返信し,再びメールをチェックして,Jナンバーに当選者を書き,返信。販売ページの内容を更新してFTP転送。そしたらまたメール。身体はアドレナリンでぶるぶる震えているので,キーボードを打つ手が定まりません。書き込む文字もイトミミズが躍っている感じです。

こうした35分が過ぎ,戦いも静まってきたところで,発注状況を全てチェックして集計。検算。つぎにご注文確定メールを一人一人すべてに返信します。その間にも届くメールにはリアルタイムで対応します。その作業も一段落すれば,25時過ぎから軽く一杯やってバタンQ。

翌日はまず情報の整理。一覧表に番号を振り,発注順に内容を整理します。このとき住所情報,Jナンバー,価格をすべてひとつにまとめます。この作業が終われば,ケースを用意してラベルを打ちます。次に資材のチェック。足りないものを買い出しにでかけます。今回はレターパックプラスとチャック付きビニール袋が足りませんでした。

本日の画像を更新し,次は清拭の準備です。Fontax No.3を脱脂して,ステンレスハサミも脱脂します。これでWhatman105ペーパーを三等分にします。また粗く拭くためのキムワイプもカットします。これを十分に準備して,部屋の空気が落ち着いていることを確認します。次に暗視野検鏡用の凹面鏡を清拭します。そして実体顕微鏡を使いながらの,精密な拭きが始まります。Jシリーズでは,実際には,顕微鏡レベルの欠陥がスライドガラス側に残っていますが,欠陥は可能な限り除去して,また欠陥の少ない面を選んでマウントしています。その効果を最大に引き出すために,完全な拭きは欠かせません。裏,表ともに純エタノールの溶剤拭きも含め,5〜10枚の紙を使います。

拭きはケースに収める作業でもあります。拭いたプレパラートは,空気が汚ければ,秒速で汚れるので,直ちにケースに収納します。このとき,J番号を間違えないように,照合リストを見ながらの作業になります。発注順に氏名入りの番号票を貼り付けます。

拭きは「急ぐ」ということができません。「完璧に拭けた」という結果があるのみです。そこに到達するまで何度でも拭くことになります。19時30分に開始した拭き作業は,一度の休憩もなく,25時30分に終わりました。。そこで軽く一杯。そしてバタンQ。

さて目覚めればあとは発送作業です。まずはひたすら伝票書きです。前日に作っておいたリストを見ながら間違えないように納品/請求書を作成します。数が多いので大変です。これができたら次は宛名シールの作成。これも前日のリストをコピペして作ります。今年は,皆様が郵便番号と住所をすべて書いてくださったので,調べる手間が省けて本当に助かりました。。そして当サービスの宛名シールと,送付物内容のシールを準備して,全てハサミでチョキチョキ。請求書は印刷して押印。Jシリーズ説明書も必要部数印刷しておきます。

次はレターパックにすべての宛名シール,送付内容のシールを貼ります。控えの名前も記入し,郵便番号欄にも念のため手書きで記入します。これを発注順に並べて整理しておきます。

書類と標本は全て,発注順に並べて整理して動線上に置きます。そしてようやく詰め込み作業。標本を手に取り,番号票をはがして,説明書と一緒に袋詰め。これをホコリよけの袋につめて,梱包材のおまけも詰め込みます。番号票と会計用書類の名前が一致していることを確認し,その名前のレターパックプラスを手にとって,中身を詰め込みます。レターパックプラスの発送控えに書いてある名前と,番号票に書いてある名前が一致することを確認し,レターパックプラスを閉じます。発送控えシールを剥がし,番号票と重ねて,ノートに貼り込んで整理します。これで一サイクル終わり。あとはこれの繰り返しです。

などという作業が終わりまして,無事,皆様に発送ということになったのでした。Jシリーズは筆者が一人で製作販売しているものですから,価格には,こうした事務労働作業も含まれているわけなのです。そういった貴重なJシリーズなわけですので,ぜひ,末永く楽しんで頂ければと,願わずにはいられないのです…(画像/MWS)。








2016年12月27日


ps

昨日は20時00分02秒にJシリーズのページが更新されましたが,それから1分08秒後に一番乗りのご注文が入り,以後数秒から数十秒単位で次々にメールが舞い込む事態となりました。本当に有り難いことで,模様眺めをしてくださった方も含め,Jシリーズに関心を示して頂いた全ての方に感謝申し上げます。主要なプレパラートは35分で売れてしまいました。今回入手できなかった方にはお詫び申し上げます。なるべく早く,次回に対応できるようにしたいと思います。

現在は発送に向けて作業中です。一つ発送するだけでひじょうにたくさんのことをしなければならないのですが,それが数十の単位になると,別の考え方をしなければなりません。手違いが起きないように計画と準備に十分時間をかけます。それから一気に仕事を進めるのです。画像は発送前のプレパラート。これから完璧な清拭に入り,ケースに入れられます。その僅かな時間が,製作物の最後の検鏡タイムとなります(画像/MWS)。








2016年12月26日


ps

Jシリーズの本年製作分(放散虫)をアップしましたのでご覧下さい。

こちら

ご注文はメールでのみ受け付けます。

・氏名(フルネーム)
・郵便番号
・住所
・電話番号
・希望するJシリーズ

を書いてお申し込みください。合計金額,現在使用の顕微鏡などは書かなくても結構です。販売状況はJシリーズのページ上段の一覧リストに掲示しますので,在庫を確認しながらご注文いただければと思います。よろしくお願いいたします(画像/MWS)。








2016年12月25日(2)


ps

今晩25日夜20時頃に,放散虫プレパラート(Jシリーズ)を販売開始いたします。本ページで販売開始の案内を致します。現在,最後の詰めの調整を行っているところです。ことしも作業が山積みで計画通りに進まず,クリスマスの夜に販売ということになってしまいましたが,皆様よろしくお願い致します。

画像は今年作った珪藻ツリーで特注品です。100倍程度の視野でも大半がおさまるようにデザインしています。ツリー部分の高さは0.88ミリメートルです。きっと,こんなふうにクリスマスを過ごしている方々もいるのかもと想像しながら,お家で待つ人,クルマで帰ってくる人を配置し,作りながらほのぼのとするのです…(画像/MWS)。








2016年12月25日


ps

放散虫プレパラート(Jシリーズ)は,放散虫のケイ酸質骨格を並べたものです。これは生物がつくったガラスです。コンマ何ミリかのガラス細工なのです。このガラス細工の質感をお伝えする画像も必要な気がしましたので掲載します。標本はバルバドスに特徴的な放散虫を拾って並べたものです。大きな画像もおいておきます。

バルバドス放散虫プレパラート −ミクロワールドサービス

バルバドス放散虫プレパラート −ミクロワールドサービス

これらの画像も特別にフリー画像とします。出典を明示すれば自由に転載して構いません。

明視野光束と暗視野光束を適当に混ぜてガラスの質感が出るように撮影しています。肉眼で見ればもっときれいにつやつやして見えます。鏡基はエリザの学習用顕微鏡。コンデンサなし,円盤絞りに拡散板とLEDによる照明。対物レンズはNCF PlanApo 4xで直接焦点。カメラはNikon1J1です。夾雑物のないクリアな空間に放散虫のガラスの質感が再現されており,プレパラートの完成度がきわめて高いことを示しています(画像/MWS)。








2016年12月24日(2)


ps

バルバドス放散虫(Jシリーズ)の真価をお伝えする画像が必要な気もしましたので掲載します。この画像は,専門家が見れば一目でバルバドスと判るであろうというもの。バルバドスに特徴的な放散虫を拾って並べたものです。真価を伝えるべく,大きな画像もおいておきます。

バルバドス放散虫プレパラート −ミクロワールドサービス

この画像は特別に,フリー画像とします。出典を明示すれば自由に転載して構いません。

顕微鏡が研究用のハイエンドだからよく写るんだろうと言われないために,この画像は簡易顕微鏡で撮影しています。鏡基はエリザの学習用顕微鏡。コンデンサなし,円盤絞りに拡散板とLEDによる照明。対物レンズは19世紀終わり頃(1895年頃)のもので,ライツの1番です。Nikon1による直接焦点です(画像/MWS)。








2016年12月24日


ps

バルバドス放散虫(Jシリーズ)は25日20時頃の販売に向けて全力で作業中です。今回はある程度の枚数を供給できますが,全て一点ものなので,気に入ったデザインのものを入手するには争奪戦を勝ち抜く必要があるかもしれません。

ご注文はメールでのみ受け付けます。

・氏名(フルネーム)
・郵便番号
・住所
・電話番号
・希望するJシリーズ

を書いてお申し込み頂くことになります。例年,常連のお客様で,氏名だけ,苗字だけでご注文頂く方々がおられますが,正しく申し込んで頂くお客様と公平を期するためにも,上記の項目は必ず書いて頂くようお願い致します。また住所や郵便番号,電話番号の記載がないと,発送時に過去の記録をこちらで調べる必要が生じ,その手間がかなり面倒です。氏名,送付先は必ず記載してくださるよう重ねてお願い致します。

25日は20時頃の販売開始を予定していますが,21時になっても更新がない場合は何らかのトラブルですので販売を延期します。予めご了承下さい。また,ブラウザによっては,更新ボタンを押しただけでは更新されず,ブラウザの再起動が必要な場合のあることが確認されています。リロードで変化がないと思ったときは,ブラウザの再起動も確認してみる必要があるかもしれません。

一人でも多くの方々にバルバドス放散虫をお届けできることを願っています(画像/MWS)。








2016年12月23日


ps

ps

やってしまった…。たった一個の破片を見逃しただけでも,失敗には違いがありません。B品扱いだな。こりゃ(画像/MWS)。








2016年12月22日


ps

きょうも価格のおはなし。Jシリーズはなぜ高いのか? という疑問を想定して書いてみましょう。当サービスのJシリーズは,筆者が手作業でバイオミネラル類を並べてマウントしたもののうち,特に精密に管理されて製作したものの名称です。一般にはあまり知られていないのですが,顕微鏡でよく見える/見えないを左右する最大の要素は球面収差といってよいかと思います。バイオミネラルを高解像で検鏡しようと思えば,対物レンズのスペックにぴったりあわせた標本でなければなりません。ところが,主に海外などで出回っているテストプレートを調べてみると,対物レンズのスペックにあわせて作っていないものが見られます。標本製作者が,顕微鏡光学を深く理解していないようなのです。そこで当サービスでは,対物レンズの性能を限界まで引き出すことのできる標本製作を一つの目的として,仕事をはじめたのです。Jシリーズも,そのフィロソフィーから生まれたものです。

さてこのJシリーズにはどんなテクノロジーが詰まっているのかというと…

・スライドグラスを研磨
・その結果,光学面といえるクリアな面を確保
・カールツァイス社のハイパフォーマンスカバーグラス使用
・その厚みは0.17±0.005mm
・カバーグラスは自分で切っている
・カバーグラス一枚の清拭には20枚のペーパーを使う
・その結果としての完璧な表面
・完全に透明な封入剤
・固化に伴う収縮までも考慮したマウント
・それにより空気面の平面性を確保
・どうやって作ったのかわからない完成度の高さ
・暗視野での完璧な見え
・顕微鏡光学的に理想
・入手困難なバイオミネラルを惜しみなくマウント
・放散虫は種を集めるだけでも極端に困難

など,なかなか大変なことになっています。手間を考えると一枚数万円は当然になってしまいます。そしてバイオミネラルのマウント数が少なくても,硝子材などの準備に要する手間は同じなのも厳しいところですし,販売するのに顕微鏡写真撮影/画像処理をしなければならないところも,なかなか馬鹿げているのです。ですので実際には,1個マウントしただけでも1万円でおかしくない手数なのです。しかし現実には,それでは売れませんので,複雑な価格方程式を作って,だいたいそれに見合うようにして,大幅な赤字にはならないようにしているのです…。

完璧な暗視野像にこだわらなければ作業工数は大幅に減りますし,資材も厳しく吟味しなくてよいので,全体的に楽になります。しかし完全黒バックを達成しているプレパラートは,知る限り,当サービスのJシリーズのみです。世界最高峰のクリアさなのです。過剰にこだわるのは職人の悪いクセだという意見もあるかもしれませんが,並べてみせれば,全員が完全黒バックの方を選ぶと思います。また,完全黒バックというのは,実用上よい点もあります。一年前くらいに出版した写真集では,暗視野の顕微鏡画像のオンパレードでしたが,画像処理でゴミ消ししたものは一つもありません。見たままに写せばそれでOKなのですから,画像処理でゴミを一つ一つ消す作業がなくなり,作業負担が減るのです。

などという情報で,Jシリーズが高い理由について,少し理解してもらえたかもしれません…と期待することにします。実際のところは,Jシリーズの価値をいちばん知っているのは,一度Jシリーズを購入して,自分で作ってみようと挑戦したお客様だと思います。特注でウン万円もする標本をお買いあげになった方から,これだけの労力が投入されたものを私はこの価格で売ることはできません,と言われたことがあります。おっしゃるとおりで,じつは「Jシリーズは安い」のです(画像/MWS)。








2016年12月21日


ps

きのう,「販売価格はB品数千円から〜の予定です」と書きましたが,このB品はバルバドス放散虫ではありません。紛らわしい書き方をしてすみません。さすがに,バルバドス放散虫を数千円で売ることは無理があります。またB品もいまのところ発生していません。

で,きょうの画像がそのB品。微化石の盛り合わせというところで,この一枚で,珪藻,放散虫,海綿骨針,ナマコ骨片,貝形虫,有孔虫が拝めるという希有なものです。珪藻は現生,放散虫は中山層からとったリクノカノマ入りで,海綿骨針は海底堆積物から採っています。貝形虫は相模湾沿岸の現生,有孔虫も相模湾のものです。驚異的な手間がかかっており,一万円以下というのはあり得ないのですが,残念なことに有孔虫に微細な気泡が発生しています。

この有孔虫,封入試験に2年間もかけたのです…。しかしまともに封入する方法は見つかりませんでした。内部の部屋が極端に閉鎖的で,この部屋の中で何かの反応が起きるらしく,出来上がってみれば気泡が入っていたり,部分的に剥離していたりと,残念なことになってしまいます。しかしながら,微化石を一目で俯瞰できるようなものは教育上は重要なので,有孔虫がダメなことをわかったうえで,微化石盛り合わせを作ったのでした。

ということで,このB品を泣く泣く値引きして売る予定なのです…(画像/MWS)。








2016年12月20日


ps

今月のJシリーズ販売開始は25日の20時頃とさせていただきます。変更がある場合は本ページでアナウンスしますので皆様チェックをお願い致します。

今回はバルバドス放散虫を中心に販売致します。ある程度まとまった数を供給するために,同じようなデザインで同価格帯のものを多数製作しています。ご注文時には,○○円くらいのどれか,といった内容でも対応できる可能性がありそうです。

販売価格はB品数千円から〜の予定です。可能な限り低価格で出しますので,この機会に入手しておいたほうが金銭的な面からは幸せかもしれません。平均的に見ると,せいぜい一枚/日程度のペースで,しかもその準備に2ヶ月以上をかけているので,工賃を算出するなら一枚三万円以上でないと割にあいません。

しかしながら,高くて手を出せない…と思っている方々に一度は本物を見て頂くために,今後これ以下の価格で出すことは,たぶんないであろう,という価格設定にします。一度入手して顕微鏡を覗いてみれば,「高い!」という考えが思い違いだったことが判って頂けるのではないかと期待しています。

バルバドスの放散虫が一般販売されることはまずありません。今回はひょっとすると日本初かもしれません。購入をお考えの方も,見物の方も,どうぞお見逃しなく(画像/MWS)。



*1 バルバドスの放散虫はまだ試料の残余がありますので,今後も安定供給を目指したいと思います。その過程で,新たな試料の探索が進めば,種の多様性の観点からは今回を超える標本ができる可能性が十分に残されています。しかしながら,完成度の高さではほぼ究極を達成していますので,模様眺めをするよりは,まずは本物を見てみた方が幸せになれるかもしれません。




2016年12月19日


ps

さくらのレンタルサーバーには標準で付属しているアクセスログがあるのですが,そこに,どんな検索ワードで飛んできたかを記してあるらしい項目があります。それを見ると,毎月50人くらいが「珪藻」という言葉で飛んできていたようでした。ところが先月から「珪藻」で飛んでくる人が減り始め,12月には誰も来なくなりました。

そこでgoogleで 珪藻 と打ち込んでみると,当サイトが表示されません。2012年秋以降,2016年の秋頃までは,上位1〜5番目くらいには入っていて動くことはなかったように記憶しています。それが今月は表示されないのですから,先月の終わり頃から何かが起きているようですね。きっと当サイトを憎らしくて仕方がないという人たちがどこかにいらして,当サイトを有害なスパムサイトなどと通報しているのかもしれません…。

経過観察していると,順位が上がってくると,また検索に引っかからなくなります。モグラタタキゲームみたいです。。当サイトには蓄積された情報がありますので,google検索で当サイトが引っかからないということは,読者にとっては不幸なことだろうと思います。

ま,しかし世の中というのはいろいろなことがあるのが当然なので,この程度の変化は痛くもかゆくもないところです。何しろ筆者の仕事は19世紀の,過去の時代のものです。インターネットがあろうがなかろうが,完璧に洗い上げたバイオミネラルを,完璧に拭いた光学面の上に,完璧に透明な封入剤で封じていればよいのです。検索での知名度も低下すれば,へんてこりんな問い合わせも減り,時間の余裕もでき,在庫もたくさんでき,よいことだらけです(^_^)。

きょうの画像はバルコニーのペットボトルに入っていたピンヌラリア。正面と横向きに並んだものを撮影。120年前のライツ対物レンズを用いて,偏斜照明による絵です(画像/MWS)。








2016年12月18日


ps

【重要なお知らせ】

2015年から2016年にかけて販売しました放散虫のスライド(Jシリーズ)について,種名リストを後日送付の予定でしたが,委託先の専門家があまりの多忙のため,対応できないということになりました。このため,該当するJシリーズを購入したお客様には,以下の対応を致します。

1)種名リストがないのであれば標本は不要という場合
→標本を返却頂ければ,全額返金(送料,振込手数料も負担)致します。標本は汚損していても構いません。

2)標本はそのまま手元に置きたいという場合
→7,000円(一律)を返金致します。振込先をお知らせ下さい。

3)次回の購入代金に充てたい場合。
→購入代金から7,000円を差し引きます。

連絡が遅くなり済みません。このような事態が起きないはずだったのですが,委託先の専門家に極度の負荷がかかっていて,これ以上の負担をお願いすることは人道的にも考えられない状況です。どうかこの状況をご理解いただければと思います。

該当するJシリーズのナンバーは以下の通りです。お手元のラベルを見てお確かめください。

J385,J386,J388,J389,J390,J391,J394,J396,J415

期限は設けませんので,ご連絡はいつでも構いません。発注時のついでなどでもOKです。また,この件はこちらの責任によるものですので,一切の遠慮は必要ありません。よろしくお願いいたします(画像/MWS)。



*1 返金額は過去の実績から算定したもので,この価格で同定リストが作れるという意味ではありません。

*2 種同定というのはあらゆる仕事の中でも最難関なもので,放散虫や珪藻の種同定を間違いなくやろうとすると,場合によっては1個体を同定するのに数ヶ月を費やすということもあり得ます。ざーっと眺めて数十分で終わるような仕事ではありません。ある意味,現代的な金銭価値で評価できないような部類の仕事です。

*3 当サービスで原則として種名リストをつけていないのは,それをつけると価格が跳ね上がるということと共に,10万種は存在するであろう珪藻を確実に同定するということが,かなり困難であるという理由があります。もし種名をつけるのであれば,製作したJシリーズを油浸検鏡する必要があり,それでも足りない場合もあります。簡単な種もありますが,正確に全部をやろうとすると恐ろしく難しい世界なのです。

*4 努力して種名リストをつけたとしても,その労力の分,プレパラートの供給はさらに少なくなります。これはとても大きな問題なので,種名リストは外注なのです。





2016年12月17日


ps

今期のJシリーズ販売は,23〜25日の間で行う予定です。近くなりましたらアナウンスします。現在のところでは,25日夜になる可能性が高くなってきています。予めお知らせする次第です。

今回は放散虫プレートがメインで,ほかは微化石セットとなります。十分な時間を確保したにもかかわらず,珪藻は間に合いませんでした。すみません。年明けに着手したいと思いますのでお待ち下さい(画像/MWS)。



*1 夏の終わりから十分な時間を確保したのですが,予定にない出張,契約解除の事務作業,それに伴う活性の著しい低下,厳しい〆切のある継続的な仕事依頼,国立機関からの急な標本製作の割り込み,公立機関からの依頼に伴う大量の事務作業…。これらの仕事が大事な時期に一気に集中した結果,あっという間に標本製作時間の一ヶ月分くらいを消尽しました。そしていずれの仕事も最低賃金になるのかという恐ろしさ。今年は多額の損失の山を築きあげた一年になることが確定しつつある状況です…。ま,ながねんやっていれば,そんな年もあるさ,ということなのでしょう。

*2 というわけで,珪藻は1月から製作に着手する予定ですが,販売時期はどこになるかわかりません。3月後半くらいに何とかなればいいのですけど。うー本来の仕事がしたいよー。





2016年12月16日


ps

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ps

クリスマスも近づいてきた今日この頃,大量の顕微鏡に囲まれて暮らす筆者が,特筆大書して推薦するプレゼントの情報です。先月もお薦めしたわけですが,きょうの画像を見て下さい。これが実売二千円程度のプラスチックの顕微鏡による絵だとは,とても思えないでしょう。下手すれば研究者でも,実体顕微鏡でこれよりへたくそな絵を撮る人はいると思います(^^;。

これらの画像はレイメイ藤井の誇る素晴らしい顕微鏡,RXT203を用いて(コリメート法で)撮影したものです。目で見ればもっと鮮明に見えます。画像一枚目は電球色LEDによる暗視野で,当サービスのJシリーズ(珪藻)の輝きが誰の目にも明かです。画像2枚目はバルバドス放散虫ですが,放散虫たるシリカの骨格が鮮明に判別できます。画像三枚目は小型のバルバドス放散虫(緑色LED照明でモノクロ撮影)ですが,専門家なら,これである程度の種の査定も可能かと思います。驚異的としかいいようがありません。

この証拠画像の前には,何も悩むことはないでしょう。画像一枚目にある顕微鏡,RXT203とRXT150を買えば,当サービスの最高級プレパラート,Jシリーズでさえ楽しむことができるのです。二つ合わせてもたった3500円。これは世知辛い現在にあって,天から光が射してくるような,本当に素晴らしい製品です。ぜひ,たくさん購入して,お子様へのクリスマスプレゼント,知人へのサプライズ,自分へのご褒美,職場での話題づくりなどに活用して下さい(画像/MWS)。



*1 先月の紹介記事以来,「買ったよー」という報告が多数舞い込んでいます。皆さん,大喜びで苦情は一件もありません。一目で像質の良さがわかったという報告も頂いています。報告者は,大学教員(複数),研究者,ママさん,会社員などいろいろです。この製品はホントに素晴らしいので,一家に一台を標準にすべきかと思います。

*2 こんなもんいらねーよと思った人もいるかもしれません。そう思ったアナタ。手や足にトゲが刺さったことはありませんか?。チクチク痛くて,でも目では見えなくて…。これがRXT150だと見えてしまいます。トゲが見えれば,それをスマホで撮影して病院でに抜いてもらってもいいし,毛抜きやピンセットや針先で,自分でやるのもいいでしょう。レンズというのは,不可能を可能にする道具なので,いらねーよということは,ないんですよ。





2016年12月15日


ps

19世紀終わり頃の対物レンズで撮影したバルバドス放散虫。120年前のレンズだけど,いやーよく写る〜。そこいらへんの最近のレンズよりも良いくらいの「気が」しますー(画像/MWS)。



*1 ま,よく写るのはプレパラートが良いからなんですけどね(^_^)v




2016年12月14日


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なるべく多くの方々に同じようなレベルのプレパラートをお届けしたく,同じ個体数で同じデザインのものを作ろうと努力しています…。言葉で書けば簡単なのですが,たとえば20種のプレートを10枚作るには,放散虫20種をそれぞれ10個体ずつ拾って200個のストックを作らないといけないわけです。実際には,いろいろな制約があって,使えない個体も出てくるので,こういったプレートを作るときは,数千個拾ってからの作業開始となります。単純そうに見えるデザインの背後には,いろんな準備があるわけです(画像/MWS)。








2016年12月13日


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たいていの顕微鏡は視野が円形なので,バルバドスの放散虫も円形に並べれば一視野で全体を見渡しやすくなります。バルバドスの放散虫はぷっくりとしていてコントラストも強く,大型のものがたくさんいて,展示用にも最適です。円形で一望できるようにすれば,博物館展示などでも使いやすいと思います。

個体間の距離はどのくらいがよいのかいつも悩みます。海外の古い標本を見ると,珪藻でも放散虫でも,ぎちぎちに詰め込んでいます。これはこれで賑やかでいいのですが,目が泳いでしまい,一個体をじっくり観察することができなくなります。個体に破損や汚れが多ければ,そこに目がいかないように,ぎっしり詰め込むというのはアリかもしれません。。

当サービスのJシリーズでは,詰め込みはできるだけやらないようにしています。一個一個の個体は,それこそ心を込めて拾って並べたものです。一個で鑑賞に値すると思っているので,少し離して並べ,高倍率では一個体をじっくり観察でき,低倍率では全体を俯瞰して造形の多様性を味わえる,そんなものができればと思っています(画像/MWS)。








2016年12月12日


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バルバドスの放散虫化石は保存状態が悪く,一部の丈夫な種を除けば,産出するほとんどの放散虫は壊れています。また化石試料の処理も難しく,ちょっとでも強く処理すると破壊されてしまう種が多くいます。かといって弱く処理すると化石が石ころのままで放散虫が出てきません。放散虫内部に鉱物などを抱えているものも多く,これを無理に取り除けば壊れてしまいます。こういった難物なのですが,多様性はかなりあって,処理試料から多種類の放散虫を拾い出すことができます。今回お届けを予定している放散虫は,多数のサイトの化石を処理したものです。バルバドスの劣化した保存状況の中にあっても,かなり良好(けれども破損はある)なものを選別した貴重なものになります(画像/MWS)。








2016年12月11日


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放散虫はガラス質のシリカでできていますので,照明を工夫すれば,ガラスっぽく見せることもできます。こういった小さいものは,ガラス的な輝きを表現するには工夫が必要なのですが,背景に少し明視野光束を入れて,落射暗視野の光束と混ぜて,キラキラ感を出せばガラスっぽくなります。そんな感じで撮影したバルバドスの放散虫がきょうの画像です(画像/MWS)。








2016年12月10日


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昼に呼び出しの連絡が入り9日夜は秋葉原でミニ放散虫会議となりました。先端的な三人が放散虫の話だけをして過ごす3時間というのは,ふつうの人から見たら変人よりもう少しおかしい人たちに見えるのかもしれません。しかしこの三人はエビスビールの横に顕微鏡が置いてあっても,全く当然のこととして,各自顕微鏡を覗いて意見交換しながら,店員から焼き鳥を受け取る,そんな感じなのです(画像/MWS)。








2016年12月9日


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きょうもバルバドスの放散虫。全ての製作物の品質を高いレベルで維持するところが難しい…のです(画像/MWS)。








2016年12月8日


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今月後半,23日〜25日の辺りで,Jシリーズの販売を目指しています。このため,当面の間,珪藻プレパラートは在庫販売のみとさせていただきます。在庫もほとんどで払底しております。年明けから散布スライドの製作を再開したいと思いますので,しばらくお待ち下さい。

画像はバルバドス島の化石試料から取り出した放散虫。ここに辿り着くまでに大変な時間を費やしましたが,何とか供給できる体制が整いつつあります。試料が変わると封入法も変わりますので,テストを繰り返しつつ,完全な品質のものを供給できる技術を確立しなければなりません。今回はいろいろなパラメータの調整がうまくいき,バルバドスの放散虫に関しては究極の封入状態を達成できているように感じています。画像ではこの質感を再現できません。ぜひ皆様,バルバドスの放散虫を顕微鏡のお供に加えてあげてくさだい(画像/MWS)。








2016年12月7日


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ミネラルを買いに出かけて連れ帰ったものがこれ。画像一枚目はダイヤモンド原石。なかなか感動的な絵です。ダイヤというのはこういう風に結晶化するんですね。4,5歳くらいのころにダイヤモンドを知り,6歳くらいの頃にダイヤモンドが最も硬い部類のものということを知り,その後,かんたんに砕けること,燃えることを知りました。さらに小学生の頃に58面カットを知り,144面カットも知り,さらに屈折率を知ることとなりました。そして工業用ダイヤはそこいらへんで作られていることを知り,ボーリングコアのチップにもダイヤが使われているものがあるらしいことを学び,ダイヤのガラス切りを使いました。

ダイヤの電動工具を使うようになっていろんな刃物の製作が容易になりました。ダイヤのペーストを買ってサファイヤを研磨して,カバーガラス切断用のガラスカッターのダイヤを研磨したのはここ数年での出来事です。などというダイヤモンドの経験を通じても,天然ダイヤの結晶を見たことがなく,こういった観察は何とも言い難いものがありますねえ。

画像二枚目は,蛍光ダイヤモンド。405nm励起で黄色に光ります。これ,何が入っているんでしょう。思わずスペクトルを取りたくなりますが,そんなことしている暇はないはずです。いかんいかん(画像/MWS)。



*1 つっこまれる前に言い訳をしておきます。結晶が汚れているのは買ったままを撮影しているから。洗っていませんので,誰かの皮膚の角質らしいもので汚れています。撮影も簡易なものです。MPlan5x,Nikon1J1の直接焦点です。




2016年12月6日


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先日(3日)に電子工学系のエキスパートエンジニアさんが出張修理に立ち寄ってくれました。LEDドライブ回路のチューニングといった内容で,進化し続ける世の中の多様なLEDを点灯できるようにとの改造です。工具や部品一式を背負って来室頂き恐縮でした。その道具の中には,もちろんFontaxのNo.3が入っていました。これが5本そろうことは滅多にないので記念撮影。右端がエンジニアさんのNo.3です。

ちょっと借りて触ってみたところでは,やや感触が違います。また帯磁しているようでした。taxalとの表示がなく,INOXとだけ書かれています。あまり見たことのないバージョンですが,たぶんFontaxのNo.3には,taxal以外にも,単なるINOXだけの製品もあるということかもしれません。あるとき所属の部署で20本ほどまとめ買いをしたということです。大企業ともなると,買い物の規模が違いますね…(画像/MWS)。








2016年12月5日


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近所で世界中のミネラルを集めて販売するイベントをやっていたので買い物にでかけました。毎年恒例の冬の行事ですが,たくさんの人が押しかけて,真剣に石ころを選ぶ姿は何度見ても世の中捨てたものではないなと思わせる,そんな気がするのです。筆者はこのイベントに,宝石を買うわけでも,化石を買うわけでもなく出向くのです。では何を探しているのかというと,光学材料になりそうなもの,工具などに使えそうなもの,標本になりそうなものです。ま,仕入れみたいなもんです。

今年は,ダイヤモンド3種を計6粒。オプチカルといえるレベルの方解石を2個,それにビスマス結晶でした。ダイヤモンドは工具用で,ガラスカッターを自作できないかと思っての購入です。市販のものはどれも使いにくいので,でっかいダイヤモンドのチップでケガキを入れられるものができないかと思案中。方解石は,もう手に入らない感じになりつつあるので,光学用に使えそうなものはとりあえず押さえます。ビスマスは,演色性のチェック標本によさげな感じがしたので購入。石華工匠さんの製品で,安価でたっぷり入っているので,一部業界では有名なものです(画像/MWS)。








2016年12月4日


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釣鐘型の放散虫は,てっぺんの部分が半閉鎖的な部屋になっていて,簡単には封入剤が入りません。いいかげんに封入すれば,この部分に気泡が残存したままになります。それでも他の部分がまともなら,十分鑑賞価値はありますが…。研究者的には,このてっぺんの部屋の中の骨針の構造,方位が重要らしいのです。そうなると,この部分にしっかりと封入剤を浸透させ,高度な観察に耐えるようにしなければなりません。これがけっこう難しくて時間を費やします。

放散虫一個を拾って,封入剤に浸してみると,どこから浸すかによって浸透具合が異なり,方向が悪いと巨大な気泡ができてしまいます。溶媒を染み込ませてから封入剤をかけて,気泡を作らない方法もありますが,その方法はかなり危険で,放散虫に気泡ができない代わりに,封入剤の強度ムラができて数年後には剥離の可能性が高まります。こういう複雑な多次元方程式に対し,観察と経験という武器で立ち向かい,解析的ではなくても安定した「解」を得るというのは,しんどいけど,なかなか面白い仕事でもあります。画像は格闘中のバルバドス放散虫です(画像/MWS)。








2016年12月3日


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画像一枚目は,生きているバクテリアを偏斜照明で撮影したもの。無染色ですが,ちゃんと見えますし,撮影時にピント合わせもできます。対物レンズは19世紀終わり頃のもの。つまり,当時の方々は,このくらいの像をふつうにみていたのです。もちろん,染めて,もっと鮮明にみていた学者もいたことでしょう。

画像二枚目は,一枚目の画像を処理したもの。偏斜照明というのは,単に斜めに照明したというだけのことですが,その方法と画像処理(あるいは硬調現像処理)を組み合わせるだけで,位相差も微分干渉を染色法も使わずに,これだけ鮮明にバクテリアを解像できます。こういった方法で当時の人々はふつうにバクテリアを観察できたのだろうと思います(もっとも現像処理は面倒も伴いますが…)。

ところが,1980年頃から,顕微鏡の各メーカーは偏斜照明装置を一斉に廃止し,しかも透過明視野のコンデンサで偏斜をできなくしました。すると,バクテリアを見るには位相差,微分干渉を導入するしかなくなります。導入できなかったところは,自前でコンデンサの改造をするしか方法はなく,そんな知識を持っている人は絶滅寸前という事情もありました。

ということは,時代が進んで,ユーザーが見られるものは減ったのです。顕微鏡観察法は,時代が進むにつれて,退化したのです。この問題に関しては,メーカーの責任が大と言わざるを得ないといえます。現代になって,偏斜照明は,レリーフコントラストなどのふざけた名前で復活していますが,機能は同じなのに価格がべらぼうになっています。ユーザーが偏斜照明など知らないということを見越しているのでしょう。

ユーザーも,単に斜めに照らすだけのことを勉強せず,コントラスト法や画像処理を学ばずに顕微鏡を使うという,何をやっているのかわからない状態を早く卒業して,堂々とメーカーに文句をいい,必要なものを必要だといえるように生長しなければなりません。

ユーザーが無知だと,メーカーのいいなりになって,経済原則だけで供給品目が決まってしまいます。ユーザーがかしこくなれば,光学素子の使い分けがきめ細かくできて,多様な製品供給をメーカーに要請することもできます。どちらが幸せかは,考えるまでもないことと思うのですが…(画像/MWS)。








2016年12月2日


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構造を写すだけなら顕微鏡写真というのはそれほど難しいものでもないのですが,きらめきや色を一つの芸術表現として究めようとすると,終わりのない世界に突入することになります。万人受けしそうなカラフルできらめきのある画像を得ようと思い,4台の顕微鏡で200枚ほど撮影しましたが,無い物ねだりのような気がしてきて中断しました。間違いは,生の光を画像で表現しようとするときに起こります。そんなことができるはずはありません。でも,つい目指してしまうんですよね。撮影中は(画像/MWS)。








2016年12月1日


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きょう12月1日より,朝日小学生新聞に珪藻写真の連載が始まります。筆者製作のJシリーズに目をつけた記者さんから,小学生にもこのような世界を紹介したいとのお申し出を受けまして,有り難くお受けしたものです。原則,火曜日,木曜日の掲載で,朝小ミニ図鑑というコーナーです。学校関係者の方々は目にする機会も多いことと思います。ぜひ,珪藻のふしぎな世界を多くの方々に紹介してあげてくださいませ(画像/MWS)。



*1 初回の記事は,記者さんの紹介記事がハイライトです。取材がほんとうに楽しく,少しのつもりが夜になってしまったという,近年まれに見る充実した時間でした。その取材がじつに要領よくまとめられていて,プロの文章というのはこういうものなのかと感嘆しました。筆者は素敵な記者さんにのせられて,さんぽに連れて行ってもらったわんこのように,ぐるぐる回って飛び跳ねていた…,きっとそんな風にみえたのだろうなと思いました。ま,そういう大人も世の中には生息しているわけです。

*2 この連載で,本来であれば本の紹介をするはずでした。そうなれば少なくとも数万人の方に本の情報をお届けすることができ,売り上げもさらに伸びて出版社も大喜び,筆者も大喜び,読者も大喜びになったのだろうと思います。しかしながら,そういう正常な展開にはなりませんでした。将来の累積販売予測で見て,売り上げの損失は数百万円〜一千万円の桁だろうと思います。






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