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ミクロワールドサービスが顕微鏡の世界を伝えるコーナーです。
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2016年10月31日


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バルバドスの放散虫。厚みがあり高コントラストで観察できるのが魅力です。画像は微分干渉法のカラーモード(画像/MWS)。








2016年10月30日


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本ページでは,微分干渉による画像はなるべく掲載しない方向でこれまで運営してきました。その理由は,微分干渉顕微鏡は一般に普及しているとは言い難く,特にアマチュアで所有している人は少ないということがあげられます。ここで微分干渉像を紹介しても,それを本ページの読者が追体験できないのは,あまりよろしくないだろうとの判断です。また顕微鏡初心者や,検索等で立ち寄られた方々が微分干渉像をみて,こんな風に見えるのなら顕微鏡欲しい! と,透過明視野の顕微鏡を買ったとしても,同じようには見えません。そういった事情から,なるべくアマチュアの方々でも実現可能な検鏡法による画像を中心に掲載してきたのです。

しかしながら,当サービスもずいぶん知られるようになり,本ページの読者の多くは固定客さんなのだろうと思います。そして顕微鏡好き,レンズ大好き,光学系好き,プランクトン大好き,珪藻・放散虫・微化石大好き,といった方々が訪問くださってるのかと思っています。そういった各方面に造詣の深い固定客の方々に対しては,微分干渉像程度のものは珍しくもないことと思いますので,これからは,微分干渉による画像もふつうに紹介していこうかと思っています。きょうの画像はバルコニーに生息中の謎の生物。緑藻っぽい感じがしますが,何なのかよくわかりません。透明なさやの中で実体が増殖していくという感じで,それを微分干渉像で表現しています(画像/MWS)。








2016年10月29日


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きょうの画像もNA=1.2領域の微分干渉像。きのうと同じ倍率で掲示しています。写っているのはクラチキュラの仲間の珪藻です。長軸に平行な条線,これに直交する条線が特徴で,条線間隔はせまくてひじょうに繊細です。その構造が表現できていることがわかります。この条線間隔はバクテリアと比較してもずっと小さなものであることも,画像から読み取れるかと思います。しかしそれにしても精密です。毎日珪藻をみていても,見るたびに,細かいなーと感心するほどです(画像/MWS)。








2016年10月28日


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さて調整が終わればテスト撮影。調整がうまくいっていることは珪藻の検査板を検鏡して明らかですが,水封じの試料でコントラストを確認しないと,本来の用途での性能が確認できません。きょうの画像はバクテリア(細菌類)を撮影してみたもの。バルコニーのペットボトルで維持している藻類群集は,珪藻,ラン藻,緑藻,原生生物,バクテリアで構成される小宇宙状態ですので,これを一滴とって検鏡すればたくさんのバクテリアが確認できます。きちんと調整ができた顕微鏡だと,バクテリアも検鏡していて見飽きません。ここに写っているのは1μm〜3μm程度の,うんと小さなものです。NA=1.2領域の微分干渉像としては,30年前の機材ということも考慮すれば,このくらい写れば第一段階としては合格を与えてもよいでしょう。ほっと胸をなでおろすのです。

液浸対物レンズを分解修理して,液浸コンデンサを分解調整する。どちらも顕微鏡の限界性能を出すための機材ですから,動作チェックも機材の限界を知っていなければできません。ここで行ったのは簡易チェックであって,運用に当たっては,イメージング可能な限界周波数を調べる試験などを行わなければなりません。

しかしながら,そういったテストをしなくても,何となくわかることもあります。こうやってバクテリアを眺めていて,「素直だなぁ」「調子のいい像だなぁ」などと独り言を心の中でつぶやきながら見ているわけですが,そういったつぶやきが出たレンズは,まず問題ないのです(画像/MWS)。








2016年10月27日


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こんどは別のDICコンデンサの分解調整。すでに一個目で練習しているので,二個目は簡単かと思ったら泥沼に入りました。。欲を出したのが原因です。2個あるのだから,良いところ取りで1個組み上げようとしたのです。ところがこれが問題で,謎のゴーストが出ることがわかり,元に戻すはめになりました。しかも,別のコンデンサに組み込むと,クリックストップの位置の微妙な違いでDICプリズムがずれることもわかり,再調整を3回もやってしまったのでした。。ことほどさようにDICプリズムの調整はシビアです。クリックストップよりも,フリクションにして,対物レンズBFPを見ながらマニュアル調整にしたほうが再現性が高いかも…などと思うくらいです。

きょうの画像は調整前と調整後のプリズムのずれ量を表したもの。調整前に直線で鉛筆書きしたものを調整しました。少し線がずれていることがわかります。ほんの少しのずれなのですが,コントラストにすると結構な量になるので,きちんと合わせた方が最大感度はよくなります。実用的には,最大感度付近で使うことはないので,まず問題にはなりませんが,たとえばビデオエンハンスを行うときに,最後の一押しでコントラストが50%違えば,それだけ見えないものが見えてくることにもなります。

淡水でも海水でも,プランクトン群集などを検鏡していると,とても肉眼では見えないような低コントラストな構造がたくさんあります。それらは偏斜照明でも,微分干渉でもほとんど見えないものも多いのでビデオエンハンスの領域となります。ここのところの調整は,ビデオエンハンスでなるべくコントラストが出るようにとの願いを込めてのチューニングでもあります(画像/MWS)。



*1 そんな古い機材を使わずに新品の機材でSSプリズム入れてビデオエンハンスにしろや,(°д°)ゴルア,という声が聞こえてきそうです。まぁそれも念頭にはありますが,新しい機材は,鏡基の設計がダメなものが多く,ひじょうに使いにくいのです。古い機材は照明系の改造がやりやすく,そこは分解能を改善する命の部分でもあるので悪あがきをするのです。結果的に,どちらの検出感度が優れているか,分解能が優れているか,やってみなければわからないのです。

*2 機材をながねん使ってきた経験からは,ニコンはとても真面目な会社だと感じています。DICプリズムの調整が甘いのは,たぶん何らかの理由があったのかもしれません。たとえば,出荷時にはよかったけれども,クリックストップのポイントがずれて結果的に全部のDICプリズムがずれたとか,あるいは,DICプリズムは最大感度位置には合わせないで出荷するとか。最大感度位置にすると,このタイプの機種では,視野に若干のムラが出ます。それを見せないように少しずらしたのかもしれません。それとも,天下のニコンでも,完全調整は手間がかかりすぎるので80点の出来で出荷したのでしょうか。





2016年10月26日


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調整が終わったコンデンサを使ってイメージングしてみた結果がきょうの画像。調整前と調整後での差はひじょうに小さいのですが,DICプリズムを正規の位置にして最大コントラストが出せるのは気分のよいものです。画像1,2枚目ともにニッチアの仲間ですが,水封の生サンプルにもかかわらず,被殻の微細構造が写っています。もちろん中身も見えています。このレベルになると調整がよろしくないとどうにもなりません。光学系の調整だけでなく,シャーの方向も重要なので回転ステージをぐるぐる回しながらのイメージングとなります。

それにしても,液浸系のNA=1以上の領域の微分干渉は,レンズによる偏光面の回転が起こるため,どうしてもコントラストが低くなります。偏光顕微鏡でも液浸系ではクロスニコルで黒十字が見え,十字以外の四隅から光が漏れていることが確認できるでしょう。このため偏光干渉系ではどうしても感度が落ちます。DICプリズムにより分割された2本の偏光ビームの偏光純度も,高NA領域では落ちるでしょう。結像特性もS偏光とP偏光では異なりますから,困ったことだらけです。レクチファイヤつきの微分干渉顕微鏡が欲しくなるところです。。むかしニコンが売っていたのですが,その頃は学生で買えませんでした。今でもたぶん(新品では)買えないけど…(画像/MWS)。








2016年10月25日


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干渉顕微鏡の類で完全な像を出すには,どれだけ吟味された素子を用いて,どれだけ球面収差を最小に追い込んで,どれだけ光学系の調整が完璧かというのが主要な検討項目かと思います。もちろん標本も重要ですが。DICプリズムがどうもおかしい,ということが判明してしまった以上,パーフェクトを目指す筆者としては分解調整をやらないわけにはいきません。幸い,DICコンデンサは同じ物を2個持っていて,一個はDICプリズムを外していて,拡散板偏斜照明コンデンサとして使っていたのでした(画像1枚目)。これを,久しぶりにDICコンデンサに戻すことにして,組み込みついでに,使用する対物レンズに合わせて追い込んだ調整をすることにしました。

まずはばらして清掃し拡散板を外します。なかなか丁寧な仕事で拡散板が入っていました。我ながら感心します。。次にDICプリズムの組み込みですが,DICプリズムのもともとの接着の様子から判断して,平面性の確保の程度はだいたい推測できたので,今回は両面テープを用いました。使用している両面テープは,10年間でも接着性を維持し,しかもガラスを曇らせないことが判明しているので,使えると判断しました。これを小さく切って,FontaxのNo.3などを使いながら,DICプリズムの角となる8カ所に貼り付けます(画像2枚目)。

そこに,きれいに清拭したDICプリズムを,表裏を間違えないように落とし込み,軽く圧着して接着します。両面テープは硬化しないので光学素子にテンションがかからず,歪みの面では接着剤よりもよいこともありそうです。もっとも影響は完全に無視できる程度かもしれませんが。そうやってDICプリズムを組み込み直したのが画像3枚目です。

ここまでは,作業的にはやればできる程度のものですが,ここからが大変です。このコンデンサを組み立てて微分干渉顕微鏡にセットして,DIC像を完全な状態で出すまでプリズムの角度調整をしなければなりません。検鏡しながら回転調整できれば簡単なのですが,検鏡中は光軸上にあるので,ネジに手が届きません。それで光路から外して調整して,再度検鏡確認,また調整,検鏡確認…を延々と繰り返すのです。このとき,標本が悪いとバックグラウンドが光ってしまい,DIC像の干渉位置のピークが判別できにくくなります。DIC像の判定とあわせて,当サービスで販売しているDL-TESTのような超高品質の検査板が必要になります。

調整では,対物レンズの後側焦点面(back focal plane)を確認しながら,同時に検鏡した像も確認し,プリズムの角度を微調整していきます。このとき,少しでもクロスニコルがずれれば調整の意味がなくなりますので,クロスニコルが正しく出ていることを頻繁に確認します。DICプリズムの角度を変えるとDICスライダの調整位置も変化するので,これを微調節しながら,バックグラウンドが最も暗くなる位置を探します。油浸用DICプリズムの角度調整の精度は,たぶん,コンマ何度という厳しさです。針で突っつくようにして最終的な追い込みを行います。ベストな位置が判明したら,鉛筆でマーキングして,分解後にテープで固定して角度が変化しないようにします。そして再び組み立てて,もう一度検鏡して,同じコントラストでDIC像が出るかどうかを確認します。今回はOKでしたので作業終了です。

などという大仕事で休日の午後は暮れゆくのでした。そのあとに試料を検鏡して深夜まで過ごし,顕微鏡漬けのじつに充実した休日となりました。こんなに楽しく自分の顕微鏡と戯れたのは久しぶりな気もします。。なお,いつも記していることですが,何をすればよいか,何をしてはいけないかを判断できない人(原理を知らない人)がDICコンデンサを分解したり,プリズムを取り出したり,組み込んで調整したりということは,作業途中で破壊する可能性も高く,もとに戻すことが不可能になる恐れもあります。よい子はぜったいにまねしてはいけません(画像/MWS)。








2016年10月24日


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さて修理できたかどうかの確認は実視検鏡です。もちろんイメージングもします。Jシリーズを覗いて問題ないことを確認して,その段階で99%はOKなのですが,この修理したレンズは,水封入サンプルを微分干渉で検鏡し,高感度で微少構造を検出したいという目的のためのものなので,その条件で検鏡します。結果がきょうの画像で,ウチのバルコニーで培養?放置?している藻類群集に入っていた珪藻です。クラチキュラという仲間で,ひじょうに細かい直線構造がありますが,一応はそれが見えています。画像二枚目は切り出したものを1/2に縮小しただけで,画像処理はしていません。この程度見えれば,NA=1.2クラスのレンズとしては一応合格です。

しかし微分干渉のプリズムが合っていない感じがします。理由はわかりませんが,ながねんのカンで,これはどこかがズレているという気がします。調整できるとすれば,DICコンデンサのノマルスキープリズムの角度です。使用しているオプチフォトでは,DICプリズムはメーカー調整部分なので,触る部分ではありません。しかし筆者の脳みそが,ずれているからどうにかしろ信号を出し続けます。このままでは,アラームを鳴らし続けながら生活するようなことになってしまい大変です(^^; そこで分解調整の欲求がムラムラと…(画像/MWS)。








2016年10月23日


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21日深夜に酒の力で寝てみれば,手がかゆくて0230に覚醒。蚊に刺されたかとも思いましたが痛がゆさの感じも違い両手がかゆかったのでじんましんだろうと判断。それなら消えるまで我慢ガマンと横になるも,どんどんひどくなって,足も腫れてきて,ふとももに大量のぶつぶつが発生してきました。手は膨らんでしまい,熱をもっています。やれやれ。

水で冷やして見るも効果はなし。ムヒS2aを重ね塗りして,氷を抱えて寝ました。耐える能力だけは人並み以上なので,一度も掻かずに過ごします。そういえば12年前に全身に薬疹らしいものが出たときも,一度も掻きませんでした。そうやって寝られない夜を過ごしてみると,朝にはかゆみがほとんどひいていました。ただ腫れのひどかったところは赤くなってしまいました。しばらく直りそうにない感じです。

原因はわかりませんが,食べ物系のじんましんに思えました。シメサバ二切れが有力候補か,コハダか,サヨリか,マダイか,アカガイか,それともアナゴか,ワカサギか。いよいよ魚にもアレルギーが出るようになったのかと思うと残念でもあります。食べるものが減ってしまいます…。

面白いのは,全身にじんましんが大発生しているときは,脳が覚醒する成分が出ているようで,不思議な覚醒感がありました。寝られそうな瞬間もあるのですが,その直前まで意識ははっきり。体の中で異常反応が起きているときは寝られる方向に行くのが常ですが,アレルギー反応では逆のようですね。

さてそれでなぜきょうの画像が顕微鏡対物レンズなのかというと,本ページの読者にはお判りの通りです。何となく体調が今ひとつのときには,機材いじりで過ごすというのが精神衛生上もよろしいのです。せっかく入手したのに先玉の裏側が濁っていてベストの像が出ていない古い対物レンズを放置していたのですが,このチャンスに分解修理となったのです。

最初はどこから手をつけて良いのか,手がかりさえありませんでしたが,あちこちを顕微鏡で見ながら点検していくと,外れそうな部分がいくつかあります。こういった高級対物レンズはかなり複雑な作りのこともあり,メーカーさんによって,後ろから攻めるもの,前から攻めるものなど様々です。設計図などは持っていませんので,一つ分解しては機構を推測し,次にどこをバラすか考えて,探るように進めます。無事に先玉の裏側に到達できたときは,じんましんも忘れる喜びです(笑)。

バラしてみれば,ひじょうによく考えられた工作/設計で精度を出していました。組み立て誤差を減らすにはこのような方法があるのかと感心しました。光学面が出せれば,あとは拭き操作です。Whatman105に,非沸騰蒸留水をつけての水拭きです。レンズ内部はブロワを吹くとかえって汚す恐れがあるので,直接水拭きにします。ただし超純水レベルの水を少量つけるだけにしないと,拭き残しが生じて光学面が劣化します。ひじょうに注意を要する作業です。油が染みていなければ,溶剤拭きはやりません。

作業しながら気づいたことは,この先端レンズの裏側の汚れは,先端の部分から水か溶剤かが染み込んで内部で蒸発して曇らせたらしいということ。どこから染み込んだかかも予想できました。こういった情報が得られると,今後の取扱をより正しいものにできます。分解修理して得られる貴重な情報です。

拭きが終われば先玉の半球レンズもすっきりです。ほかの面は劣化が少なかったですが,この機会に清拭し,汚れた金物をきれいにして,元通りに組み上げました。これでメンテナンス作業は完了。バンザイといったところですが,まだ検鏡テストが残っています。果たしてちゃんと見えるのでしょうか…。もしだめなら組み直しは想像を絶する難しさになるので恐ろしいのですが。

なお,いつも申し上げておりますが,顕微鏡対物レンズの分解修理は,分解過程で壊す可能性が高く,うまく分解できても元に戻せなくなる可能性もあります。今回のように高倍対物レンズの先玉など,米粒よりも小さなレンズを完璧に拭かねばならず,まずうまく行くものではありません。よい子はぜったいにまねしてはいけません(画像/MWS)。








2016年10月22日


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21日は都内の大学で小さな研究会の講師を務めました。よく知る大学だったので,まずは図書館に出向いてトップの管理職さんに挨拶して近況報告などを行いました。後に実験室に移動して,顕微鏡がたくさん並んだ部屋で,初級顕微鏡の機材活用法やメンテナンスの初歩,照明理論の初歩(講義)なども行いました。すぐ近くに運河があるので,そこでプランクトンネットをひくなどして,微生物を採集し,その活きた試料を使って,カバーグラス水浸対物レンズの実演も行いました。受講生はプランクトンで仕事をしてきたプロの先生方なので,水浸対物レンズの威力を一目で理解いただきました。

顕微鏡を覗く上で重要なことは,どうやって球面収差を最小にコントロールするかということですが,これを理論でいくら述べても知識として定着しません。しかし,例えば,油浸対物レンズと,水浸対物レンズを用いて,同じ水封入サンプルを検鏡すれば違いは直ちに理解されます。これが,百聞は一見にしかず,というやつですね。理解頂いて筆者も,きちんとした仕事になったことを実感して,ほっと安心したのです。そのあとに,受講者が水浸対物レンズを入手するのにどれだけ浪費するのかに関しては,知ったことではありませんが…。

覚悟はしていたのですが,仕事開始は10:30頃,解放されたのは23:00頃。帰宅はあやうく午前様になるところでした。じつにヘビーな一日を振り返りながら,いまこれを書いているのです(画像/MWS)。








2016年10月21日


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これはウォラストンプリズム。微分干渉用のコンデンサから取り外したもの。大きさが違うのは,対物レンズのNAごとに異なるプリズムを使うためです。メーカーさんによっては,対物レンズの,あるNAの範囲で一つのプリズムで済むものもあります。このプリズム,水晶をくさび型に研磨したものを貼り合わせているのですが,それによって直交する2本の偏光ビームを作り出します。これで光路差を作り出し,偏光干渉で像を出そうと考えた人は天才な気がします。そしてそれを実際に作ってしまった職人の人々も天才的な気がします。工作の繊細さと調整の難しさは半端ではなかったと思います(画像/MWS)。








2016年10月20日


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21世紀は輝かしい未来のはずだった…のだろう。だが,人々は去り,朽ちるがままに放置されているのが未来の現実だ(画像/MWS)。








2016年10月19日


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(財)藤原ナチュラルヒストリー振興財団による,ナチュラルヒストリーフォトコンテストの応募受付がはじまっています(こちら)。まだ時間はたっぷりありますので,自然の美しさ,すばらしさ,生命活動の痕跡などを写したとっておきの一枚を応募してみるのもよいかもしれません。こういったコンテストを継続してくれるというのは大変貴重なことですから,多くの方々が応募して,コンテストが続くようにしなければいけません。ぜひ周囲にも周知して盛り上げましょう。ちなみに,昨年度の写真で最も気に入ったのは こちら です。撮れるようで撮れない,胸が締め付けられるような絵です(画像/MWS)。








2016年10月18日


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とつぜん鮮魚が入荷して,にわかに魚屋さん状態になりました…。淡泊な白身魚が子どもの頃から好きだったので,この組み合わせはすばらしい。早速出刃包丁を振り回してーと言いたいところですが,そうではありません。この大事な時期に,万一でも指先をケガすると微細な操作に支障が出るかもしれません。それでこれらの魚は,ハサミで途中までおろして,最後三枚にするときだけ出刃を使いました。やってみると,この方が効率がいいですね。特に,はらわたを取り去ってから,太い骨をハサミで切っておくと,身おろしが楽です。新しい発見なのでした。

タイミング良く大分のかぼすが入荷したところだったので,カサゴとアカイサキはカボス醤油で頂きました。これが淡い白身の味を消さずに,じつにいい感じでした。キモもあらも皮も煮付けて無駄にはしません。とうぜん酒が進みすぎたのです。それにしても,一枚目の画像を見るに,魚というのは魅力的な被写体ですね(画像/MWS)。








2016年10月17日


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出張先ではもう一台,別の研究室(管理者)で,予定にない顕微鏡のメンテナンスを依頼されました。事前勉強ができないというのはひじょうに不利なことで,しかも初見の機種の場合は光学系やメカを判断するのに多少の時間もかかります。この顕微鏡はカールツァイスの初期のLSMの改造品であろうということは一目でわかりましたが,機種名もわからず,もとの構成も不明で,改造してあるようですし,照明などもオリジナルとは異なります。どうしたものか…と思いましたがメンテナンスを開始して,光学面の清拭,位相差,微分干渉光学系の調整を繰り返して,初期の状態からは全く比較にならないほどの上質な像を出すことに成功しました。やれやれです。

この顕微鏡を使用して研究しているという学生さんに覗いてもらい,像質が改善していることを確認していただきました。また管理者の方にも確認いただき,最後はJシリーズを検鏡頂きまして自然界の造形美について少しの時間,意見交換できました。筆者の本業は標本製作であって顕微鏡修理ではありません。たとえ顕微鏡メンテナンスの仕事であっても,そのメンテナンスが済んだ顕微鏡で,Jシリーズの素晴らしく切れ味のよい像を拝んで頂くのが最終目標なのです(画像/MWS)。








2016年10月16日


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前日の4時間程度の作業では外部清掃すら終わらなかったので,翌日は朝(09:10)からすぐに顕微鏡拭き拭きに取りかかる。触れば手が汚れるような機材はまともな道具とはいえません。与えられた時間の範囲でばらせるところはばらして清掃します。





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レボルバに完全固着しているレンズを外してみればこんな状態です。バレルから錆が吹き出ており触るとざらざらします。このままでよいはずはないので錆を落とします。プリントが消えないように気を遣う作業となります。





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サビ取り後がこちら。時間がないので適当なところで切り上げざるを得ませんが,もとの状態よりははるかに良くなっています。この時点ではレンズには手を触れません。





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接眼部のメカが壊れているので修理。かなり凝った設計で故障の内容を見抜くまでが問題。無理に回した形跡があり,真鍮が削れて金属粉が散っています。レンズの清拭はやれば何とかなる類の手技ですが,メカの修理は部品がなければ手も足も出ないことがあるので,踏み込みたくない領域でもあります。今回は読みが当たって修理に成功しました。





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メカ修理が終わり,あとは光学面の清拭という段階になったら一度周辺を片づけます。顕微鏡本体の外部清掃や研磨作業などによっていろいろなものが飛び散っている恐れがあり,そのままの状態でレンズ拭きをするのは好ましくありません。機材を片づけて顕微鏡周りも何度もきれいに拭いて,レンズの清拭を集中して行えるように整えます。すでに時刻は13時半近くですが,ここで顕微鏡を眺めて戦略を考えながら軽く昼食にします。サラダ一パックとオニギリ2個です。このタイミングで昼食にするのは,室内のホコリを落ち着かせる時間を確保することと,それまでの間に何度も手洗いをすることで,指先に付着しているかもしれない硬い粒子をできるだけ落としたいからです。昼食にも誘われましたが断りました。時間がないことがわかっているからです。





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昼食後はまずミラーの清拭。いちばん恐ろしい部分を先に片づけてしまい,あとは気分良くいきたいところです。ミラーは外してメンテナンスする方が安全にきれいにできますが,今回は光軸調整を行う時間的余裕が皆無だったので,ばらさずにそのまま清拭しました。一晩推理して最善と判断した方法で拭いてみたのがこの画像。どれだけ汚れているのかがよくわかります。ミラーというよりも曇りガラスのような感じになっていたわけです。

ただ,このようなひどい状態でも一応は見えます。無限遠補正系の直線的な光路と,倒立顕微鏡の長い光路によって,ミラーで生じたフレアが接眼部に到達する頃には減衰しているのです。チリはひじょうに細かいものが均一に積もっているので,像を崩すこともほとんどありません。その結果,少しのフレアと,NDをかけたような暗い像になります。明視野では,まぁ一応は見えますが,蛍光法では害が大きいと思います。





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一つの欠陥もなく全面の清拭に成功。ほっと胸をなで下ろします。これで,今回は良い仕事になりそうだとの確信。この明るい気分が大事です。




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光路分割プリズムも清拭。外している時間がないのでこのまま作業します…。完了。あとはひたすら光学面の清拭。忘れてやり残しが出るとまずいので,光の通過順に作業を進めます。ランプ→コレクタレンズ→コンデンサDICプリズム→コンデンサ…といった具合です。




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全速前進で作業を進めてメンテナンス修了。Jシリーズを物体としてのテスト検鏡。管理者から合格をもらいました。とにかく時間がなかったので作業途中の画像はありません…。




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持参したカバーをとりつけて作業終了。時刻は20時。作業開始から一度も休憩をとっていません。時間的にはぎりぎりでしたが,気になるところは全部処置をして,光学面のメンテナンスも完璧にできたので,ひじょうに満足度の高い仕事となりました。尻切れトンボで,やり残して帰るとなると,ひじょうに気分がわるいのです。仕事は依頼者のためにやるものですが,自分を磨く材料でもあります。出張先からは気分良く帰りたいものです。

顕微鏡の管理者からは「すごい集中力ですね」と言われましたが,どうなんでしょう?。とにかく目の前にある課題を一つ一つ,確実な手技で片づけていく,これの連続があるだけです。人間がひとつのことに集中できる時間は40分程度と言われていますが,そんな言説は信じない方がよいですね。11時間顕微鏡メンテナンスにかかりきりでも休みたいと思った時間は皆無でした。何時間もゲームをやっている人もいれば,何時間も研ぎを続けている人もいます。40分程度で集中力(と呼ばれるもの)が途切れるのは,集中する価値のないものに取り組んでいるときだけなのでは? とも思ったりもします(撮影/MWS)。









2016年10月15日


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さて無事に京都に到着して,砥石の展示即売会を覗いたあとに,16時少し前から作業開始です。とにかくまずは外部清掃を徹底的に行います。それが終わればメカ修理を施して,光学面の清拭を行えば仕事は終わるはず。ところが,そんなに甘いものではなかったのです…。それがきょうの画像です。念のために,光路分割プリズムと,V字反射ミラーの様子を確かめてみると,これはダメだという感じです。画像中央にある円形のミラー,これは,対物レンズからの光束をV字で反射して接眼部に導くものです。みてわかるように,これが完全に曇っていて,どう考えても放置するわけにはいかない感じです。かといって,これを拭くと,恐ろしいことが生じる可能性があるので,頭を抱えました。すでに時刻は夜になり作業は終了です。夕食を兼ねての接待のお誘いを受けているわけですが断り,スーパーに案内してもらっての買い食いご飯にしました。そこで購入したサヨリの刺身をつまみながら,限られた時間内でこのミラーを復活させる方法を考えて夜を過ごしました。曇ったミラーのメンテナンスというのは難易度が高く,最もやりたくない類の作業なのです(画像/MWS)。








2016年10月14日


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メンテナンス対象機種の一つがこれ。この画像は先月,学会帰りに状態調査に出かけたときに撮影したもの。現在の管理者はおそらく何代目かというところで,もとの所有者が長期間放置してあらゆる部分に不具合が出て手に負えなくなったものを管理しているようです。現在の管理者さんは,顕微鏡のことがきちんとわかるので,筆者に応援要請を出したというわけです。

ざっと操作してみて,典型的な放置プレイの状況に感じました。対物レンズのバレルは錆を噴き出しており,何をやってもレボルバから外れなかったとのことです。ステージ裏側も腐食が進行しています。コンデンサハンドルは渋く,固着するのは時間の問題です。接眼部はなぜか天地が逆に取り付けられており,心出し望遠鏡への切り替えやフォーカス調整は全く不可能です。それどころか,切り替えが途中でとまっていて,肉眼光路の一部を遮閉しています。このくらいの状態だと,他の部分も各所に不具合が出ていて,光学面もほぼ全面の清拭が必要になるので,恐るべき大作業になります。これを二泊三日で片づけるというのは,いったい何の罰ゲームなのかと思うほどですが,楽しかったりするんです,これが…(^^;。

このような顕微鏡のメンテナンスを短時間で行うには戦略が必要です。持ち込む工具類はもちろんのこと,効率的にメンテナンスできるように作業環境を整えることも重要で,作業の順番を考えることも大切です。今回は,

・Fontax No.3
・Whatman105
・シルボン紙
・エタノール
・EE-3310
・精製水
・スプレー式洗剤
・歯ブラシ等
・木の棒
・ハサミ
・LEDライト
・ビニール類
・各種グリス類
・CRC5-56
・ジャンボブロワー
・耐水ペーパー各種
・ハイス小刀,カッティングマット
・ステンレスカップ
・各種ドライバー20本くらい
・各種レンチ類
・ペンチ,プライヤー,レンズスパナ等
・シリコン板等滑り止め製品
・テープ
・各種研磨用具

を持ち込んで,できるだけ,日頃と同じ条件で作業できるように準備しました。電装系の故障はないようでしたので今回はテスターやハンダゴテは持ち込みませんでした。作業順序は大まかに次のように計画しました。

・部屋の整理,周辺の掃除,作業スペースの確保
・作業しやすいように顕微鏡や道具置き場のレイアウト
・電源,ケーブル類の汚れ取り
・本体の汚れ取り
・ランプハウスなど細かい部分の汚れ取り
・ツマミなどのサビ取り,汚れ取り
・コンデンサ,対物レンズ等を外して外装部の汚れ取り
・レボルバ周り,DICパーツ周辺,蛍光投光管周辺の清掃
・対物レンズバレルの研磨,洗浄
・ネジ類等の研磨,洗浄

すべての準備作業が終わればメカ部分の修理という順序になります

・接眼部切り替え固着の修理
・コンデンサ摺動部の修理

メカ修理が終われば,いよいよ光学面の清拭にすすみます。数十面にもなるので,一面に3分かけて完璧な拭きにしたとしても,全てを終えるには100〜数百分かかる計算になります。

・作業環境の清掃,顕微鏡と机など周辺の拭き掃除
・ランプ,コレクタレンズの清拭
・V字反射ミラーの清拭
・光路分割プリズムの清拭
・ポラライザの清拭
・コンデンサレンズを外して清拭
・全てのDICプリズム両面の清拭
・アナライザの清拭
・DICスライダーの清拭
・対物レンズの清拭
・コレクションキャップの清拭
・ボディ出射部の清拭
・接眼入射部の清拭
・接眼レンズの清拭
清拭が終われば,

・組み立て,調整
・標本を用いた本格的な検鏡
・引き渡し,終了宣言

ということになります。ここに書いたのは概要で,細かく書けばもっとたくさんの作業になります。こんなことを実働二日間の出張修理でメーカーさんがやるはずはありません。それに挑戦するわけですから,気分としては大きな戦いに挑む,という武者の感じとでも言えばいいでしょうか。もえるのです(^^; (画像/MWS)。








2016年10月13日


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祝日の10日から12日まで,画像のところに出張でした。関係者からの強い要望で生物顕微鏡のメンテナンス依頼を受け,旧知の研究関係者であったことやかつてお世話になったこともあったことや,大学事務を通じての出張依頼の形式で支払いについても事前に確定していたので仕事を引き受けました。まぁ,秋の京都に行けるぞという気分も,少し後押ししたのかもしれません。京都は中学生のときに修学旅行で行って,つぎに高校生の修学旅行で行って,そのときに街の主要な通りを覚えてしまいました。つぎに行ったのは大学院の頃,学会発表や出席などでした。その頃から2,3年に一度近くのペースで京都に用事があり,行けば行くほどに勝手がわかってきて,なんとなく親しみのあるところになっていったのでした。

今回は顕微鏡メンテナンスですから,その仕事のヘビーさは恐るべきものであることは予想できます。散歩どころでないのは覚悟の上ですが,それでも出先の,東京以外の空気を吸いつつ顕微鏡と格闘できるのは,興味深いことの一つであるに違いないのです。で,その結果は…,きょうはもうバタンQでこれ以上書く余力が残っていない感じです(画像/MWS)。








2016年10月12日


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中山の純子ちゃんをちょっと紹介すると,こんな感じです。カチンカチンで刃物を当てるとカチャカチャ音がする系です。厚みは1cmくらいの超薄物ですが,裏にはカネがついていて表は無筋の完璧な面です。純度の高い小物なので純子ちゃんなのです。こういった小さなものを購入したのは,お財布にやさしいというのもありますが,自分が熟知していない砥石を買うときは,うんと薄くて高価なものがハズレが少ないからでもあります。この砥石はどうみても中山っぽいですが,それでも確証があるわけではありません。そこで歴史ある信用ある砥石屋さんから,薄くてしかも高いものを買うわけです。どんな鉄華が出るのか,どんなふうに散るのか,楽しみです(画像/MWS)。



*1 もうひとつ中山の純子ちゃんには想い出があって,それは大学院時代に遡ります。大学院時代は図書館でアルバイトをしていて,しかもティーチングアシスタントもやっていて,学生実験も実質的に担当していて,まるで教官のような生活でした。それで図書館のカウンターで受付をやっていると,大学職員と間違われたこともしばしばでした。なかには,レポート課題の解き方を聞いてくる学生や,雑誌の略号や参考図書について意見を聞いてくる方もいました。全部応えられてしまうので,楽しく仕事をしていました。

その図書館アルバイト生活で,しょっちゅう図書館に来る女の子がいました。本当に本が好きそうで,こまめに調べ物をして,夜間開館でも遅くまで図書館にいて,図書館が好きなんだなーというように見えました。そんなある日,図書館アルバイトに欠員が出て誰を推薦しようかという話しになったときに,筆者は迷うことなく中山の純子ちゃんを推薦しました。即決で採用され,やがて一緒にカウンターに座る間柄になりましたが,彼女曰く,図書バイトをやりたくてやりたくて仕方がなかったそうなのです。ほんとうに嬉しそうに楽しそうに仕事をしていました。卒業してからは連絡も取ることなく消息不明ですが,元気にしてるかなーなどと,中年オヤジは遠い目をしながらむかしを思い出したりもするのです。





2016年10月11日


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砥石の展示即売会を覗いてしまった…。ふだんはそうそうお目にかかれない古い中山とか大突とか奥殿とかがごろごろ並んでいて,手にとって確認もできれば,試し研ぎもさせてもらえる。そしてこのコッパのお値段を見てしまったら,あとはどの子を連れて帰るかということですよね(^^; 悩んだあげく,中山の純子ちゃんにしましたー(画像/MWS)。








2016年10月10日


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恐ろしげな画像のあとは可愛げな画像ということに。画像二枚目はいったい何のためのものなのか今ひとつ不明のもよう…(画像/MWS)。








2016年10月9日


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これ,ペットショップの看板じゃないんだよねーーという気分で見ると,赤い文字が恐ろしげに…(画像/MWS)。








2016年10月8日


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放散虫の壊れやすさはまちまちで,全部の放散虫を全てきれいにするような処理方法が見あたりません。きれいにしようと強めの処理を行うと,ばらばらになってしまう種がありますし,そういった弱い種を残すように処理をすると,ほかの放散虫には鉱物が一杯に詰まったままで,とても検鏡に耐えるものではありません。このようなことから,壊れやすい放散虫は特別扱いで処理をして回収する必要があります。きょうの画像がその一例。これを壊さずに取り出すのは至難というしかありませんが,珪藻処理のながねんの経験から,どうにかする方法を考案して,処理法を確立しました。ただこの処理法も万能ではなく,この試料については有効だったというだけのことです。ほかの試料で同様の手法が採用できるかどうかは全くわかりません。観察力と対応力が問われる作業です(画像/MWS)。








2016年10月7日


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きのう掲載した試料から拾い出した放散虫の一例。特徴的な形態のものがいて,まさにバルバドスという感じがするのです。この試料,ずっと欲しかったものですが,中年オヤジの必殺技,欲しいと願うと転がり込んでくる,を発動した結果,天から光が射してきて無事に入手となったのです。歩留まりから言うとあまり良い試料とはいいにくいです。ほとんどが壊れていて,きょうの画像程度拾い出すにもえらい時間がかかります。けれども,珪藻をほとんど含まない試料なので,放散虫としての純度は高く,仕事はしやすい感じがします。新しい試料を起こしたら,まず目を慣らすことが大事。ひたすら放散虫をかきまぜながら,初見の種を識別できるよう,形態に注意しながら拾い出し作業を続けます(画像/MWS)。








2016年10月6日


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先月の後半から,ひたすら放散虫化石と戦っています。そのままでは何が入っているか全く不明な石ころを,あの手この手で泥化して,閉じこめられている放散虫を4000万年振りに開放してあげるのです。もっともその後に樹脂に閉じこめてしまうのですが…。きょうの画像は日本からはるか離れた海の孤島,バルバドスの化石に含まれていた放散虫です。バルバドスの石ころは比較的豊富に入荷したので,それらを今年は何とかしなければなりません。簡易処理を施して具合をみると,ただの泥のようで放散虫がほとんど出てこないものから,豊富に出てくるけれどもほとんど壊れているもの,そんなに出てこないけど放散虫があまり壊れていないものなどがあり,試料に最適な処理法を考案しながら,一日中ビーカーを振り回し,顕微鏡を覗き続ける日々となっています(画像/MWS)。








2016年10月5日


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ノーベル賞学者,大隅先生と同じ誌上で筆者の記事が…。こんな記念になることは滅多にないでしょう。これでもう思い残すことはありません…などとつぶやきたくなったりもします。雑誌milsil 9月号は顕微鏡特集号です。大隅先生の研究紹介としても優れたレポートと思います。売り切れないうちに取り寄せるのもよいかもしれません(画像/MWS)。








2016年10月4日


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さいきん研ぎの記事がないではないかーというご意見が方々から飛んできている気がします。すみません。寝られないような人は,研ぎどころではなかったりするのです…。集中的な研ぎ,最近やっていないです。。

けれども,実用的な研ぎはもちろん継続しています。最近ようやく適度な研ぎというのがわかってきた気がします。たくさん研いで良い刃をつけるのは簡単ですが,切れ味を復活させる最小の研ぎ,というのは難しいです。このテーマには凝灰岩系が適している気がしていて,2013年秋頃からやっているのです。

それできょうの画像は,もらいものの薄緑色の中砥。凝灰岩系だと思います。硬くて,滑るし,通常の研ぎには技術を要します。そして他の石に比べてメリットもほとんどありません。それで永らくお蔵入りになっていたのですが,刃先のタッチアップ専用にどうだろうと,きれいに面直しして再び使い始めました。相手となる包丁は土佐の船行です。

結果,これがびっくりなのです。刃先をほんの少しシャリシャリとやるだけで,切れ味が復活します。まあそれは当たり前としても,例えばもも肉やむね肉などもすーっと切れるのです。刺身も問題なく,好物の北海道産天然ブリも画像の通りです。切断面は照りがあって角も立つので,刺身包丁と比較しても遜色ないのです。ただ,切れ味の持続はないので,料理1回ごとにシャリシャリやっておく感じです。そのとき,もちろん水研ぎですが,水が黒くなるのはわかりません。研磨量はほんの少しなのです。

これで包丁を長持ちさせ,切れ味も持続させる一つの方法に行き着いてきた気もします。何しろ,若い頃は研ぎが楽しくて包丁や小刀を研ぎ潰してしまいましたから…。まあ練習にはなったけれども,若かった。プロの料理人が若者に,研ぎすぎるなと注意する話が本に載っていましたが,まさに至言かもしれません。

ちなみにこの砥石,くれた人によると正本の牛刀を買ったときに店員の薦めで購入したとのこと。はっきりいってこの砥石,研ぎをできない人に渡してもただの石ころです。刃付けがたいへんです。筆者も使い方を発見するまで長い時間がかかりました。店員さんはなぜこれを勧めたのか,勧めたときに研ぎ方を指導したのか,謎なのです(画像/MWS)。








2016年10月3日


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今年は雨が多く,9月に入って冷え込みがあったのでこれが発生刺激になったらしく,近所の公園でもきのこがにょきにょき出てきました。ほとんどが小さくて道行く人々は気づきませんが,はいつくばるようにして見れば,なかなかの風景が広がっていたりします。郊外まで散歩できる余裕がないので近所の公園での定点観察となるわけですが,過去最高の出具合の気がしました。こういうのを,小さい秋見つけた,というのでしょうか(画像/MWS)。








2016年10月2日


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なんとなく気恥ずかしいのでこそこそと撮った画像。くまもと駅にて。可愛いよね(画像/MWS)。








2016年10月1日


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以前,エキスパートエンジニアさんが,新幹線のレールを見ていると,車輪との接触面はほんの少しの幅だけなんだよねと言っていました。そこんところは筆者も以前から注目しているところで,出張のたびにレールをいつまでも眺めていたものでした。けれども,まともな画像を得ていないことに気が付き,学会帰りに何度か挑戦しました。あいにく曇っていたので1/16000のシャッターが使えず止めて写すことはできませんでしたが,たとえばこんな感じ,という絵は撮れました。それがきょうの画像です。レールの頭,1/3ほどが輝いており車輪との接触による研磨が進んでいることを示しています。これ,一日に100本以上の列車が通過していて,それの積算がこのようになっているのでから,レール交換後の一本目の列車ではどのような研磨痕になるのか見てみたいですね。現状でも2cm程度の幅しかないわけですが,ひょっとすると一列車が最高速で通過しているときの接触幅は1cmを切るのかもしれません。あれだけの重量物がこの程度の接触面で支えられるのですから,鉄というのは丈夫なんだなと,今更ながら感心するのです(画像/MWS)。









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