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ミクロワールドサービスが顕微鏡の世界を伝えるコーナーです。
日々の業務メモやちょっとした記事もここに記します


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2013年7月31日


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これは顕微鏡用の接眼レンズに生じていたカビです。新品未開封で,メーカーから届いて10日も経ていない鮮度の高いレンズですが,検鏡してみて何となくおかしいと思い,接眼レンズを回転させてみればゴミも一緒に動きます。目レンズでもないし,対物側でもない。分解してみれば内部の奥まったところにカビが生えていたのでした。品質管理上の手落ちであることは疑いようがなく,日本を代表する光学メーカーがどうしたんだ,という気分です。価格から考えると国外生産のように思いますが実際のところはどうなのでしょう。レンズの拭きも下手くそで,渦状に油膜が残っています。メンテナンスできない人にこのような製品が渡ったらどうすることもできないでしょう。

ふつうなら返品交換というところですが,筆者的には急ぎで使いたいし,交換の手続きがめんどうなので清拭してしまいます。筒の底にレンズがあるので作業が難しく,外周からグリスが出てくるので溶剤拭きは困難を極めました。結局2本のメンテナンスに30分近くかかりましたが,新品未開封の状態よりも遙かにきれいになったのでよしとします。今月はじめにも整備済みのはずの接眼レンズ内部にグリスがべったりという事件があって,どうもついていないようです(画像/MWS)。



*1 内部のレンズ面に載ったカビは撮影がむずかしいこと…。結局,Tokina AT-X M90mm F2.5にマクロエクステンダーを装着して大がかりなマクロ撮影になってしまいました。




2013年7月30日


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上の画像はアジアの某国産接眼レンズ(望遠鏡用)の不良品です。輪帯状の段差がいくつも観察できます。白紙に製図ペンでくっきりとした黒線を引き,それをこの接眼レンズで拡大して正立/倒立となる境目付近に調節します。その位置で接眼レンズのエレメントを覗くと,このような不良の有無をチェックできます。下の画像は国産の接眼レンズ(望遠鏡用)です。まったく研磨痕が見られません。

このアジア某国産の接眼レンズで星を観察すると,放射方向に伸びます。点像にはなりません。月面を観察すれば,クレーターが変形したようにみえ,目が悪くなったかのように感じます。とても実用に耐えるものではありません。画像に示した輪帯状の段差は,このレンズが皿で研磨されていないことを示しています。ふつう,一つの方法として,ガラスレンズは大まかな形を作るためにダイヤモンドのカーブジェネレーターで研削して曲面を作り,その後に研磨材で表面を滑らかにして,最終的には傷一つない透明な球面に仕上げます。ところがこの欠陥接眼レンズは,カーブジェネレーターで研削した段階で,何者かが別のレンズと貼合して,製品として流通してしまったのです。ガラスの屈折率と等しい光学接着剤で貼り合わせすれば,ガラスの傷も見えなくなりますから,大丈夫と考えて手抜きをしたとしか考えられません。

日本国内の常識で考えれば,白く濁ったスジだらけのガラスを貼り合わせてレンズ製品として出荷することなど,想像することすら難しいです。しかし某国製品にはこのようなものが混入するのが現実です。監視がなければズルをする。監視がなければ手抜きをする。そのような行為が横行する原因は,極度の拝金主義と低い教育レベルに起因するように思えてなりません(画像/MWS)。








2013年7月29日


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注文していた実体顕微鏡用の対物レンズ/接眼レンズ/ビームスプリッタがニコンから入荷したとの連絡がありましたので,浜野顕微鏡に行ってきました。ご存じの方も多いと思いますが,東大赤門前にお店を構える顕微鏡専門店です。大学/企業/研究所等を納品先として新品販売を行うのがメインの業務ですが,整備済みの中古品も販売されていることがあり,その関係でお世話になったアマチュアもおられることかと思います。代表の浜野一郎様とは数回お話ししたことがありますが,今回は納品ついでに顕微鏡についての深いお話し(の一端)をお伺いすることができました。業務でお忙しい中,パーツ品注文の筆者に貴重な時間を頂いたことに恐縮し,感謝申し上げる次第です。画像はそのときに見せてもらった携帯型顕微鏡です。本ページをお読みの読者であれば,どこの何かはご存じでしょう。これが三種類,ひとつの机に載っている。そこが浜野顕微鏡の底力という他ありません(画像/MWS)。



*1 筆者はいろいろなところの顕微鏡の営業さんにお世話になっていますので,顕微鏡用品を購入するときいつも困ります。同じ方にばかりお世話になるのも気が引けるので,諸般の事情を勘案し,懐具合と,お店の守備範囲の広さなどを複雑な連立方程式に放り込み,解析的な解が出ない中で,近似解を探って買い物先を決めます。なので,今回,買い物ができませんでした営業さんの方々には,すみません…。まぁ,こんなことを考えているから不眠症がいつまでたっても治らないのでしょうけど。




2013年7月28日


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きょうの画像の珪藻およそ100被殻を珪藻在庫から廃棄しました。トリケラチウム属の一種で,ツリーの飾り付けに重要なパーツです。採取は5年以上前で,分離して在庫保管してからも3年以上経過しているように記憶しています。この珪藻は比較的,封入剤が入りにくいので,少しでも汚れていると気泡が抜けないことになります。そのような珪藻被殻を保存しておいても良いことは皆無なので思い切って捨てました。基盤上で乾燥保管しているときはきれいに見えているのに残念この上ありません。トリケラチウム属は厚いシリカの被殻にごつごつした模様で丈夫なのですが,封入剤の浸透しにくさから見ると殻の表面に開口している孔のサイズは極めて小さいように思います。顕微鏡で見えているのは構造の一部であって,分解能以下の孔が開いていても,その実サイズはわかりません(画像/MWS)。








2013年7月27日


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全速力で作業を進めた結果,仮説実験授業研究会 夏の全国合宿研究会 千葉・勝浦大会では,ミクロワールドサービスが誇る世界一の珪藻標本を十数枚程度,展示できることとなりました。顕微鏡を覗くとそこには宝石のような珪藻が浮かび上がります。拝観料は無料でございますので(笑),皆さま,どうぞ列を作ってご覧いただければと思います。気に入りましたら会場中の人々,ホテルの従業員の方々,宿泊に来ているご家族,お子様にお知らせいただき,皆で楽しんでいただければ幸いです。なお今年は,暗視野照明で展示を行います。持ち込んだ標本はすべて鮮明な暗視野照明でご覧いただけます。ぜひ,『ミクロワールドサービス』の販売コーナーにお立ち寄り下さい(画像/MWS)。








2013年7月26日


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忙しくて更新の時間がとれません…。そういうときには画像だけでも面白いものを。少し前に携帯型の顕微鏡が集結したので記念撮影したのです。どれも道具として使い込まれている感じで,いまにも動き出しそうな風格があります。特に携帯顕微鏡H型は出航を待つ軍艦のような面構えです(画像/MWS)。








2013年7月25日


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これはご先祖様から受け継いだもの。ご先祖様はこれをペーパーナイフとして使っていたので,筆者も刀剣を模したペーパーナイフだろうと思っていました。刃先は小さく欠けており,表も裏も,郵便物の開封で付着したであろう粘着物が見られます。研ぐものでもなさそうだし…と,ホコリよけのオモリとして使っていました。ところが少し前に研ぎ師さんに話を伺う機会があり,そのときに完璧に仕上がった小柄小刀の実物を見せていただきました。見た瞬間にシマッタと思いました。あのペーパーナイフは小柄小刀だったようなのです。色眼鏡というのは本当に恐ろしいものだと思いました。単なる無知よりも恐ろしい。小柄小刀をペーパーナイフにしてしまうんですから。これを書きながら大反省しているのです(画像/MWS)。








2013年7月24日


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カバーガラスは顕微鏡光学的にいえば平面レンズの一種で,その裏側に物体が接していることが前提条件になっています。ですから,どんな高級な対物レンズを用いていても,カバーグラスが指定の厚さからずれていたり,物体がカバーグラスに接していない場合は,全体の光学特性は劣化した対物レンズと同等かそれ以下になってしまいます(*1)。開口数が0.7以下程度の対物レンズであれば実害は少ないこともありますが,開口数が0.95の乾燥系や,1.4の油浸系では指定されたガラス厚を守ることが大事です。それで各社から精度のよいカバーグラスが販売されています。きょうの画像はツァイス社のもので,厚みは±0.005mm以内に収まっています。この表記からすると,厚いものと薄いものでは0.01mmの差があることになります。この程度の差でも,例えば開口数0.95の乾燥系対物レンズでは像が悪化するので補正環を調節する必要が出てきます。そのくらい微妙なのです(画像/MWS)。



*1 油浸検鏡のときに,封入剤の屈折率が1.52であれば,カバーグラスから多少離れていても像質の劣化は少ないです。しかしガラスと封入剤,油浸オイルは分散の値が異なりますので,甚だしくずれていれば像質は劣化します。




2013年7月23日


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これは10年以上前に高分解能イメージングの検討をしていたときのサムネイルです。Diatoma vulgarisという珪藻の微細構造を解像しようと,何百何千と撮影したのです。検鏡技術は経験を積めばつむほどにレベルアップしますが,ある限界から先は単に経験を積むだけではだめで,光学理論を踏まえて顕微鏡を操作することが必要になります。そして理論を一つ一つ確認して,光を自在にコントロールできるようになると更なる高みに到達できます。この段階で見る目も養われます。いずれにしても,同じ標本を何千回と観察して写真に撮ることは,上達するために避けられない道ではないかと思います。こう書くとちょっと大変そうですが,現代はデジタル時代ですから,一枚の珪藻プレパラートを顕微鏡にセットして,2,3ヶ月も訓練すれば相当なレベルに到達することもできます。高度な技術がその程度の時間で身についてくるのなら,むしろ簡単な部類に入るかもしれません。たとえば,研ぎを究めようと思ったら,2,3ヶ月の訓練ではどうにもならないでしょう。その意味では顕微鏡は理論に基づいて操作すればいつも同じ結果が出せる,扱いやすい機器といえるかもしれません(画像/MWS)。








2013年7月22日


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仮説実験授業研究会 夏の全国合宿研究会 千葉・勝浦大会では,『分子デザインビーズ』の販売も予定しています。ミクロワールドサービス関係者による手作りの作品です。この委託先の職人がひじょうに優秀で,デザインから配色,ビーズの選定からパーツの購入,製作まで全てを請け負って頂きました。携帯電話やカバンにぶら下げて一味違うアクセサリーになりますし,腕輪もあります。よくある安価なプラスチックビーズではなく,全て高級ガラスビーズを使用した本格的な製品で,手触り(質感)も素晴らしいです。製作には大変な手間がかかります。一挙大公開で,早い者勝ちです。仮説夏の大会にお越しの方は,ぜひ,『ミクロワールドサービス』の販売コーナーにお立ち寄り下さい(画像/MWS)。








2013年7月21日


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仮説実験授業研究会 夏の全国合宿研究会 千葉・勝浦大会では,ミクロワールドサービスが誇る世界一の珪藻標本も数枚程度は展示できる予定です。どこまでもクリヤーな視界に精巧を極めた構造が浮かび上がる珪藻をご覧いただければと思います。一般の方々が集う場としては唯一の展示即売会でもあります。究極の鮮明さを誇るこの標本は,一度でも展示してしまうと,持ち帰ったあとに大変な時間と手間をかけてメンテナンスしないと元に戻らないので,本当はやりたくないのです。しかし子どもたちに本物の教育をと考えている先生方にこそ,本物の持つ迫力をご覧頂きたいと考えています。この標本のもつ教育力は多くの研究教育機関で実証済みです(こちら)。仮説夏の大会にお越しの方は,ぜひ,『ミクロワールドサービス』の販売コーナーにお立ち寄り下さい(画像/MWS)。








2013年7月20日


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ツァイス社などのドイツの顕微鏡対物レンズの倍率は10倍,16倍,25倍,40倍,63倍,100倍などとなっているものがあって,その中途半端に見える数字に疑問を持っていました。が,メーカーさんの知人によると,これには理由があってのことなのだそうです。何でもドイツ規格と中間変倍装置に関係している,とのこと。そう言われて数字を眺めてみれば,倍率が一段上がるごとに数字が約1.6倍になっていることに気付かされるのでした。学生時代から数学的センスのなさに悲嘆に暮れていましたが,中年オヤジになってからは劣化がさらに進んだようです。。

ツァイス社の顕微鏡はよくみえる,という言葉を色々なところで聞きました。よくみえる内容を聞いてみても判然とせず,しかしよく見えると思うという回答が大半でした。筆者の経験では,ツァイス社も国産も同じようによく見えるので不思議に思っています。たぶん,ツァイス社の,中間変倍装置などを考慮して,倍率に対して開口数を高めに設定した対物レンズを使用しているので,分解能に対して拡大率が抑えられてシャープに見える気がするのではないかと想像しています。国産メーカーの場合は中間変倍装置を付けたときには接眼レンズを低倍率のものに交換するようになっていました(8倍接眼レンズなど)。もちろんこの方法でもスッキリとみえるのです。そして,スッキリと見えることと,分解能がきちんと出ていることは別です。ツァイスでも国産でも,珪藻を用いて限界的なイメージングを行うとその性能は互角です。開口数に応じた分解能が出ているだけです。本当はそこの部分を議論して「よくみえる/みえない」と言わなければならないのですが,実際は単に高開口数のレンズを(それと知らずに使っていて)よく見えると言っているだけのレベルの低い話であることがほとんどです(画像/MWS)。








2013年7月19日


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仮説実験授業研究会 夏の全国合宿研究会 千葉・勝浦大会において,小さなお店を出しますのでご参加の方は覗いてみてください(筆者は参加しません)。今年は,教育用などに有用な放射線源(トリウムガラスを使用したレンズ)を3本販売予定です。ガラスに放射性物質が閉じこめられていますので飛散の危険が少なく安全に取扱いただけます。放射線の強度もγ線のみの値で,最大3μSv/h程度となっており,強すぎず,弱すぎず,実験授業等での実演でも扱いやすい線量です。半減期も長いので放射性セシウムのように経年変化を心配する必要もありません。50cmも離れれば環境線量とほとんど区別がつかなくなりますので,保管場所さえきちんとすれば外部被曝の心配もありません。霧箱実験や放射線に関する教育等には便利かと思います(画像/MWS)。



*1 放射性物質で汚染された福島の土や,鉱物屋さんで売っている放射性鉱物でも線源として使えますが,取扱を誤れば周囲を汚染することになります。専門のトレーニングを受けた人であれば取扱可能ですが,理科系の専門教育を受けていない学校の先生などは真似をしない方がよいと思います。トリウムガラスを使用したレンズはガラスそのものから放射線が出ていますので,落として割らない限りは飛散の心配がありません。

*2 筆者は福島原発事故以前にも,放射線や原子力利用について講義をしていたので,このレンズとガイガー管を使って放射線というものの実演をしていました。私立大学でも国立大学でも,原子力についてお話ししたあとに実演すると,学生さんたちは真剣な眼差しでみていました。教材として有用なことは間違いありません。





2013年7月18日


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Tokina AT-X M90mm F2.5は単独でも大変優れたマクロレンズですが,等倍撮影用のエクステンダーも用意されています。安価なエクステンダーは単なる筒のことが多く,顕微鏡写真でいえば投影距離を伸ばして倍率を稼ぐということをやっていますが,これでは球面収差が増大してしまいます。AT-Xマクロエクステンダーはレンズが入っていて,等倍撮影まで拡大しても球面収差が抑えられるようになっているものと思われます。きょうの画像はAT-X M90mm F2.5にマクロエクステンダーを装着し,その後ろにさらに延長筒をつけて撮影したものです。少しムリした使い方ですが,7月13日の画像と比較して,拡大率がアップして微細構造もよく見えるようになっています。この倍率と分解能は実体顕微鏡に匹敵します(画像/MWS)。








2013年7月17日


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国立科学博物館 特別展示 『深海』では,展示物の写真撮影はOKとのことです。但し,ストロボ厳禁なのでそこは注意が必要です。また放映番組の動画撮影はできませんとのことです(当然ですね)。筆者はほとんど撮影しませんでしたが,「よこすか」からつり下げられている「しんかい6500」の模型が素晴らしい感じがしたので撮影してみました。それがきょうの画像です(一枚目)。このしんかい6500展示コーナーは照明にも工夫が凝らされていて,ピカピカ光るものに目がない筆者は,展示物でもないのに天井の照明を眺めていたりもしました。それが二枚目。なぜ青LEDの光で照らされているのか,わかりますよね。会場は深海だけに全体的に暗く,画像として想い出に残したい人は,高感度でよく写るデジタルカメラを持参した方がよさそうです(画像/MWS)。








2013年7月16日


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よいものだけを国内から選び抜いて紹介していることで定評のある?本ページですが,この夏のイベントとして自信を持ってお薦めするのが,国立科学博物館/JAMSTEC/NHK/水産総合研究センターの総力を結集した特別展示,『深海』です。筆者は関係者からチケットを頂きましたので早速,偵察に行ってきました。土曜日の午後ということもありましたが,上野駅を降りると,40分待ちという不安げな看板が目に入ります。きっとほかの展示だろうと国立科学博物館に向かうと,何となく周囲の人がみな,同じ方向に歩いているような悪い予感がしました。入り口に到着すると実際に40分待ちでした。素晴らしい大人気です。

長い待ち時間の間にチケットウオッチングをすると,入場券には何種類かある感じです。茶色,水色,青,銀色をみかけました。筆者は期間限定優待券(銀色)でしたので,きっと限定なしの優待券は金色(ゴールド)だろうと思って入場すると,確かに受付には金色の入場券もあったのでした。ちなみに,事前入手はチケットぴあなどで扱っていますが,当日券の入手も可能で,上野駅公園口出口か,科博入り口で買えました。駅の方が並ばないで済むので便利かもしれません。

さて展示会場に入ってみると,大変な混雑です。皆さん元は取ろうと熱心に鑑賞しています。良いことだと思います。展示は深海の説明に始まって,水圧の破壊力などの展示もあります。しんかい6500のレプリカの展示や,母船の模型展示などは好きな人にはたまらないでしょう。筆者も大好きな「なつしま」「よこすか」「ちきゅう」などをずっと眺めていたいと思いました。生物展示も素晴らしく,これだけの物量の標本を運び込むにはどんな苦労があっただろうかと心配になるほどです。液浸標本の横にはディスプレイがあって,その生物の生きているときの姿が鮮明な映像で示されています。これらの映像は日本が誇るJAMSTECの専門家が長年をかけて撮り溜めたものから選別されています。

シアターがあり写真展示があり,深海生物の利用に関する展示もあります。そしてそこを抜ければ,お楽しみの「かはくショップ」です。一連の展示を見たあとでは,買わずにはいられない楽しいグッズや食べもの,書籍があり,みんな喜んで買い物をしていました。出口では,「楽しかったねー」と言い合っている若い方々が多く見られ,筆者の心もだいぶ暖められた感じです。

文句のない第一級の特別展です。こんな素晴らしい展示を見られる我々は幸せです。本ページの読者であれば,何をさておいても,時間をつくって見なければなりません。ゆっくり回れば夢のような二時間を過ごすことができるでしょう。この夏は,科博だ!。急げ急げ(画像/MWS)。



*1 筆者は海洋学を専攻していたわけなので,まぁ,深海に関する展示といっても知っていることが多いのだろうと,そんな印象を持って出掛けました。しかし実際にみて,びっくり仰天,ひっくりかえりそうになりました。確かに,知っている内容の展示も多かったですし,説明の足りない部分を来客に解説してあげたことも事実です。でもそんなことよりも,圧倒的な物量に,知識として知っていることと,実物を観察することの違いを思い知らされました。そういえば筆者は,珪藻を知っていますが,しかし飽きずに同じ珪藻をいつまでも眺めています。それと同じかもしれません。知識を得に行こうとする必要はまったくなく,何だか面白そうだぞと思って,なにがしか並んでいるものを一通り見てくる,それが大事なのかもしれません。やられたーという感じです。

*2 入場まで数十分も並ぶのは,暑い日は大変です。熱中症対策はもとより,暑さに弱い人は天気を見ながら日程を決めたり,9月下旬まで待つのも一法です。東京都心は暑いので特に北から来る人は充分注意してください。

*3 知ることは感じることの半分も重要ではないというレイチェル・カーソンの言葉が身に染みました。博物館は「知る」ところでなく「感じる」ところであっても良いと思います。特に『深海』なんて,普段は「感じる」ことはできないのですから。

*4 JAMSTECの先生にはチケットのお取り計らいをいただきました。記して感謝申し上げます。





2013年7月15日


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顕微鏡写真における照明の重要性を示すときにときどき使っているのが今日の画像です。実体顕微鏡やマクロ領域で撮影をこなしている人には当然のことではありますが,解像の方向性を示す万人受けする標本が少なく,500円硬貨を使っているわけです。500円硬貨に施されている細工は多くの方がご存じでしょうが,実際に目にすることが少ないために,忘れ去られる存在でもあります。皆さまもたまには,暗い部屋で500円硬貨に照明光を当てるなり,明るい部屋で傾けて観察するなりして,光の方向と見え具合を確認してみてはいかがでしょうか(画像/MWS)。








2013年7月14日


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夕方に,所要のついでに路上温度を計測してまわりました。時刻は18時20分-18時40分頃です。測定は放射温度計によるもので,放射率は0.94に設定してあります。誤差は意外に小さくて,人体の温かい部分に向けると36℃,33℃の室内で天井に向けると32〜33℃を示しますので,大きくとも±2℃の誤差でしょう。画像一枚目は文京区大塚付近の路上で,41℃を示しています。夕方の6時半だというのに,アスファルトの路面から熱が抜けていません。手を触れると熱いです。道路沿いに測定していくと36℃〜41℃の範囲で,38℃〜39℃のところが多いように感じました。このときの気温が約33℃ですから,気温よりも地面の方が高温です。この蓄熱体アスファルトが夜間に熱を放出するので,夜の気温がなかなか下がらないということになるのです。

画像二枚目は同じく文京区大塚付近の公園で,日が差し込むところの土の上の温度です。周囲は樹木が多く,気温がやや低くなっているのが実感でもわかりますが,放射温度計の計測値でも,地温は気温よりも低い値となっています。樹木による水の蒸散により温度上昇が控えられることに加えて,日射の遮蔽や,地面からの水の蒸発等により温度上昇が抑えられています。

こうした小学生でもできる実験観察により,都市に必要なのは水と緑と土であることが容易に理解されます。しかし土建利権複合体,不動産業界,馬鹿な総理大臣や都・県知事などは脳みそが腐っていますのでカネ第一主義ですので,熱心に都市を熱地獄にしています。不況不況とマスコミが叫びながらも,なぜか都心は建設ラッシュが90年代から続いています。どこもかしこも高層マンション建設現場ばかりです。こうして,毎日人が死ぬような熱地獄が現実世界となっていますが,このバカな開発は,さらに阿鼻叫喚の地獄釜になるまで続くのでしょうか(画像/MWS)。



*1 ここのところの暑さは太平洋高気圧による熱波が主因であることは明らかです。しかし夜の高温,内陸部の高温はヒートアイランドが原因です。夜も気温が下がらずに体調を崩し,昼の熱波で体がやられてしまいます。ヒートアイランド現象は現実問題として多くの人を殺しているわけですから,これからの都市開発はむしろ,蓄熱体を減らして水面を増やし,緑を増やす方向に行くしかあり得ないのです。それを,どこもかしこもマンション建設ラッシュですから,首都圏は自滅に向かっているとしか思えません。




2013年7月13日


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Tokina AT-X M90mm F2.5による画像をもうひとつ。きょうのサンプルは竹串の切片です。丸尾山黄色巣板で研いだ小さな全鋼製の鉋刃でカットしたものです。竹はシリカを含んでいますので硬く,ひじょうに切りにくいものですが何とか切れています。上はAT-X M90mmで撮影した画像を縮小したもの。下の画像は等倍切り出しです。両方ともにアンシャープマスクはかけています。竹の切片に見られるドクロのような面白い模様がきれいに再現されています。この模様は少々大きいので生物顕微鏡での撮影ですと,ドクロのアップになってしまいます。マクロでの拡大率がちょうどよい感じです(画像/MWS)。








2013年7月12日


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これは出先で撮影したアゲハチョウの画像です。一枚目はNikon1J1にTokina AT-X M90mm F2.5で撮影。二枚目は顕微鏡にPlanApo2xを装着して撮影したものです。こうやって並べてみると,低倍対物レンズを使用しても,顕微鏡写真はマクロ撮影とはだいぶ雰囲気が違う感じがします。拡大率が全然違いますので,撮像するときの技法にも違いが出てきます。マクロレンズでは収差と分解能のバランスする点を探しつつ絞りを用いて撮影することが多いですが,顕微鏡対物レンズでは絞り開放ですから照明側で物体のコントラストや被写界深度,微細構造の再現具合をコントロールします。撮影倍率はそれほど大きくは変わらないのに,マクロ撮影と顕微鏡撮影はまったく異なる分野,というのが筆者の印象です(画像/MWS)。








2013年7月11日


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出先で見かけたガードレールがこんな形でした。なるほど海辺の街であることを盛り上げています。このデザインが許容されるのなら,強度的な問題はそれほど大きくなさそうですね。よく知られているように東京都はイチョウのデザインのガードレールを採用しています。地方都市もいろいろ作ってみると面白いかも。函館や八戸はイカのデザイン,宇都宮は餃子なんてのはどうでしょう。行政の担当者さま,どうぞアイデアをパクってくださいませ(画像/MWS)。








2013年7月10日


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これはサンプリング先で見かけた岩盤上の模様。これの犯人はヒザラガイと思います。ヒザラガイは潮間帯をうろうろしているので,干潮時には陸上にいます。そしてまた潮間帯の岩盤上に生える付着藻類がいます。ヒザラガイは干潮時には昼寝して,潮が満ちてくれば,鉄の歯舌で潮間帯に生えている付着藻類をはぎ取るようにして食べています。潮下帯に行けばいつもいろいろな食事にありつけるように思うのですが,なぜか干上がる場所が好きなようです(画像/MWS)。








2013年7月9日


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二日連続の夕立です。東京・多摩西部で過ごした子どもの頃には珍しくもない現象ですが,文京区周辺では,ここ十年以上の感じでは,夕方に二日連続で夕立というのは滅多にないように思っています。昨日の虹は副虹もはっきりしていましたが,きょうの虹は主虹も薄く,高度も低かったので見た人も少なかったかもしれません。雨が強すぎて水滴の形状が歪んだのかもしれません。画像でも虹があまりはっきりしていませんが,画像の上がアレキサンダーの暗帯になっていることはわかるかと思います。画面半分より下が明るく,その真ん中に虹があるわけです(画像/MWS)。








2013年7月8日


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筆者が梅雨明け初日からヒートアイランドに文句を言ったところ,見かねた空の神様から雷雨のプレゼントがありました。例年ですと奥多摩〜秩父方面に発生した雷雲は青梅を通過して練馬にさしかかる頃には消えてしまいます。まるで23区の熱が雷雲を消し去るかのように。しかしきょうの雷雲は珍しく文京区付近も通過して夕立をもたらしました。35度あった気温も幾分かは下がり,大きな虹も出て,少しはむかしの夏に近い感じを味わえました(画像/MWS)。








2013年7月7日


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関東甲信越は早くも梅雨明けしてしまったそうです。今年の6月は例年になく涼しい日が続いた感じで,例年なら5月下旬からひどくなる筆者の不眠病も軽く,大変助かっていたのです。それで,この分だと,夏が一ヶ月短くなるかもしれなくて,それならば体がラクだと,お天道様に心から感謝していたのです。なのに例年よりも二週間早く梅雨明けなんてあまりにもひどすぎます。例年よりも夏が長くなってしまいます。熱中症による被害者が続出することでしょう。画像に示すとおりに東京湾岸地区はコンクリートで塗り固められ,海陸風をブロックするために建てられたとしか思えない高層建築物が林立しています。夜景としてみればきれいなのですが,熱を理解する人の目から見ると,これらはエネルギー発生源で,蓄熱体で,大量の水資源を消費する一方で降水を一方的に排除してしまう浪費装置で,保水性のない,潜熱輸送のできない構造体なのです。自作パソコンでいえば,CPUばかり増設して,排熱装置を一切つけない,換気窓をふさぐ,そういうことを過去(戦後まもなく)から現在の都市開発は一貫してやってきているのです。やっていることはメチャクチャとしかいいようがありません。熱中症で生命を危機にさらされた人は,意図的に都市を熱地獄にした過去の政権や官僚,土建利権複合体を訴えてもおかしくありません(画像/MWS)。



* 暑さで頭がおかしくなり舌足らずな文章だったので補筆。(7/7)




2013年7月6日


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顕微鏡講習会の講師をつとめました。プランクトン分類の専門家集団が受講者です。今回で二回目なのですが話す話題は尽きることがなく,まずはNA(開口数)の大切さについて徹底的に講義/実演しました。回折光はふだん見ることがないので,回折角と対物レンズの関係も直感的には理解しにくいものです。そのため,レーザー3色,回折格子を持ち込み,格子状の物体に光が当たると何が起きるのかを観察してもらいました。レーザーは三色ありますし,回折格子も3種の空間周波数で用意したので,「 sinθ = mλ/d 」を実演することはできたと思います。見える,ということは回折光をとらえている,ということであり,見えている,ということは回折光をとらえるNAを持った対物レンズを使っているということです。これを理解してもらいました。顕微鏡の講習でありながら,光学の簡単な実験授業です。しかし,それが大切なのです。NAをじゅうぶんご理解頂いたあとは,偏斜照明法を実演して,照明側NAと照明の制御の重要性を理解してもらい,そこからコントラスト法の話へ発展させ,最後はマクロ領域の撮影についての留意点をお話し/実演して,持ち時間を使い切りました。いつものように社長には大変お世話になり,また受講者の方々とも楽しい時間を過ごしました。そうすると,帰路は真っ暗な時間になるわけです(画像/MWS)。



*1 今回,回折の講義はプロジェクターを使わずにプリントで行いました。どう考えてもプロジェクタで半端な内容のスライドをパラパラ示すよりも,プリントにびっしり書いた図と説明で「流れ」を作って説明した方が理解が容易で,時間もかからないと思ったからです。久しぶりに手書きのプリントを配布しましたが,教える側としては非常にやりやすく,効率もよかったように思いました。筆者はもともと,黒板とチョークが伝達方法としては優れたものだと認識しているのですが,顕微鏡写真の講義では実際の写真を示して画像処理を施す必要があって,ついついプロジェクタの授業となっていました。今回発見した反省材料です。




2013年7月5日


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接写機材の動作確認を行いました。物体はチョウ(ミドリヒョウモンと思います)です。レンズはトキナーAT-X M90mm F2.5,カミソリマクロと呼ばれた元祖のレンズです。これにNikonの接写リング(延長リング)を挟んで,FT1を介してNikon1J1で撮影します。Nikon1J1は電子シャッターの上にリモコン撮影ができるので振動を完全排除できます。このため,ピント合わせと適切な絞り設定,照明に作業を集中できて撮影の歩留まりもよいと感じています。きょうの動作確認でもサクサクと動き,数分ほどの作業で問題ないことを確認しました。上の画像は原画をトリミングせずに縮小。下の絵は等倍の部分切り出しです。ま,このくらい写っていればうるさいことをいわなければ充分でしょう。うるさいことをいわなければ…(画像/MWS)。








2013年7月4日


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日本光学の誇る携帯顕微鏡H型は堅牢そのもので一世紀に渡って使用可能な機種と考えています。しかしこの機種にも泣き所があって,それは乾電池を使うことにより,液漏れが起きて,本体が腐食してしまうことです。きょうの画像は腐食の一例です。ふだんは底部のカバーに隠れていて見えない部分なのですが,カバーを外せばご覧の通りです。H型には,一説には5層とも言われるきわめて上質な塗装が施してあって,その仕上げはとても素人が真似のできるものではありません。筆者が取得したときにはすでにこの状態で,補修は難しいのでそのまま使っています(特に問題はありません)。携帯顕微鏡H型をお持ちの方は,使用後は電池を外して保管することを強く推奨致します(画像/MWS)。








2013年7月4日(2)


研ぎ特集のページがリンク切れでした。申し訳ありませんでした。

 ・研ぎ特集(2012年1月〜現在))

 ・研ぎ特集(2009年10月〜2011年12月)

この二つを追加しましたので,研ぎファンの方はよろしくお願い申し上げます(画像/MWS)。








2013年7月3日


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海には漁業権というものがあって,第一種共同漁業権に該当する種を勝手に採集して持ち帰ることはできません。このことは本欄でたびたび述べてきた通りです。しかしながら漁業権に該当しない種であれば,海の恵みとして少量を頂くことは問題ありません。問題は,どのような種が第一種共同漁業権に該当しないのか,分かりづらいことです。都道府県の水産課に聞けば調べてもらえるでしょうが,面倒ですね。。で,きょうの画像はある日の夕飯ですが,海の恵みが少しだけ載っています。この貝はイボニシといいますが,まず漁業権設定されているのを聞いたことがありません。何しろ,苦みと辛さとえぐみが共存して,とてもおいしいとはいえない。人によってはマズイといいます。筆者のサンプリング先でも漁業権対象外なので,安心して採取できます。この貝は肉食性でほかの貝などを食べてしまうのですが,サンプリング先では,イワガキを食害しているようでしたので遠慮なく採取し,夕飯の材料としました。貝類が好物の筆者にはそれほどまずくもなく食べられ,最近不足気味だった亜鉛の補給になるといった感じでした(画像/MWS)。



*1 なぜ亜鉛の補給になるのかというと,カキが特異的に亜鉛を濃縮するので,それを食べているイボニシも多少は亜鉛が豊富だろうということです。直接イワガキを採集してもいいのですが,それはかなりの重労働で,見合った収穫が得られないことを知っているので,ラクをしました。

*2 磯採集などでは,第一種共同漁業権に該当する種のリストを持参し,それに該当しないものを採取(持ち帰り)するのが良いと思います。漁業者から確認を求められたら,リストを示して違反していないことを説明すれば納得してもらえる可能性があります。県によって,採取方法などにも細かい規則がありますので,それらを遵守するのはもちろんです。

*3 先日のサンプリング先では,漁業権に該当しない種を乱獲している人がいました。筆者はその場所は昔から知っているところだったので,誰かが乱獲しているのは数年前から気付いていました。犯人を見つけた気分です。後先考えずに取り尽くすような行為を見ると辟易とします。小銭稼ぎの地元民という感じでした。海の恵みなのですから,ちょっとだけ有り難く頂けばよいのです。





2013年7月2日


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研ぎの記事が溜まってきましたので,一気に読めるようにまとめてみました。本当のところは,研ぎやら顕微鏡やら珪藻やら環境やら色々の記事を通読して頂きたいわけですが,検索等で飛んできた方もおられることと思いますので,読みやすさにも配慮することと致しました。

サイトマップ

の下の方に特集記事としてまとめてありますので,興味ある方はご覧下さい(画像/MWS)。








2013年7月1日


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これはナマコの骨片です。40倍対物レンズを用いての撮影です。けっこう小さくて,数十μm程度の大きさです。大形珪藻よりもずっと小さいです。ナマコはフニャフニャしていますが,包丁で切ろうとするときゅっと締まって固くなります。このとき外皮の部分はごつごつした感じの感触があります。ここに骨片が多数存在しています。微細構造らしきものは見えず,どこまでも透明な炭酸カルシウムです(画像/MWS)。









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