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ミクロワールドサービスが顕微鏡の世界を伝えるコーナーです。
日々の業務メモやちょっとした記事もここに記します


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2015年6月30日


ps

Jシリーズの価値は,研究上必要な個体を集めてマウントできるという点にもあります。きょうの画像は今月納品したものの一つですが,小型放散虫ばかりを集めて273個体をマウントしています。これだけの個体が,光学的に理想的な位置にあり,ゴミなどに邪魔をされないのです。もし散布スライドで同数の個体を理想的な条件で観察しようと思うのであれば,いったい何枚検鏡しなければならないか,見当もつきません。散布スライドでは鉱物や珪藻の破片が大量に混在し,放散虫はそれらの間に見えるからです。そして「一枚」のスライドであることも重要です。個体に番号をつけて,分類上の知見を整理するのが格段にやりやすいでしょう。製作は困難ですが,そこで費やされた時間以上が節約できるものと思います。但し,このレベルになると,価格的には数万円ということはあり得ません。一桁上になります。小型放散虫が273個体というのは,世界のどこかにそれ以上のものもあるのかもしれませんが,筆者はまだそれを知りません。ものの「価値」から価格をつけるなら,もっと高価になるものと考えています(画像/MWS)。








2015年6月29日


ps

個人事業主というのはその存在自体が仕事人ですから,オンとオフの切り替えというのは困難です。きょうは休日だから休む,という働き方ができる個人事業主は,相当に優秀な人かもしれません。筆者のような器用貧乏という文字をそのまま人間にしたような存在では,望むべくもないことです。この日曜日も,まぁきょうは顕微鏡を覗かなくてもいいかなと思いつつ,ガステーブルメンテナンス&包丁研ぎの出張サービスをしていたりします…。困ったものです。画像は帰り道で出会ったわんこ。じつに穏やかな柴君で,ご主人さまの出てくるのを待っている姿も,堂に入っています。手を振って挨拶したら,「何だこのオヤジは? まぁでも世の中,こんな感じのオヤジもいるよなー」という,まことに立派な視線を返してくれました。わはは(画像/MWS)。



(6/29 追記) 誤解をまねかないように書いておけば,筆者はいつも真面目に仕事ばかりしているということを言っているのではありません。切り替えがむずかしくて,だらだらしてしまうのです。だらだらといつまでも仕事…かと思えば,どうみても優先度の低そうな工作系をだらだらとしていたりもします。いちばん真面目に,きちんとした作業をぴしっとこなしているのは,たぶん日々の夕飯の支度ですね。




2015年6月28日


ps

国産干しぜんまいは手順通りに戻しておきます。ヒラタケは桜の葉くらいのサイズに開いたものを選びます。水であらってはいけません。これの石突きをとって,一本一本にばらして,平たい皿に敷き詰めて電子レンジでチンします。2パックなら,900Wで2分半くらいです。小鍋にぜんまいを入れ,つぎにヒラタケを入れます。ヒラタケから出た水分も,おいしい出し汁なので残さず入れます。これに酒(菊水の辛口),しょう油を入れて火にかけ,フタをして煮含めます。最後は,よくかき混ぜながら弱火で汁気を飛ばします。これを温かいご飯(温めなおしたものでも可)と混ぜ,フタをして20分ほどなじませれば,ぜんまいきのこ飯のできあがり。筆者の料理はいつも適当で,いい加減ですが,最高うまいんですわ,これが。

きのこは健康な体をつくる上でこれほど大事な食材もない,と思うほどのものです。それで大量の野菜と一緒に,どこかにきのこを使って,日々食べるようにしています。市販のきのこは石突きさえとれば,洗うこともなく,きれいな状態なので大変便利です。ただ,困ったことが一つあって,市販のきのこの多くに,香料が添加してあるように感じられるのです。

筆者は山猿でしたので,ヒラタケも,エノキダケも,ブナシメジも,マイタケも自分で採って食べたことがあります。ですからこれら天然きのこの本来の香りを知っているつもりです。市販のきのこは,さわやかさを出すためか,どうもケイ皮酸エチルか,何かのエステル類が添加されているように思えます。これが料理を台無しにする実にダメなもので,へたに扱えば食べられないものになってしまいます。これらの香料の付着したきのこを,そのまま吸い物などに入れようものなら,和風料理としては到底許容し難い,「くさい汁」になります。エノキダケはたぶん7割以上のメーカーさん,ブナシメジも半分以上,ヒラタケは三割くらいのメーカーさんで,着臭を感じます。ホント,余計なことはしないでほしいのです。

これらの添加された香料も,加熱で大部分を飛ばすことはできます。その方法が,「水洗いせず」「平たい皿に敷き詰めて電子レンジでチン」して風を通しておくのです。加熱前を加熱後で,ぜひにおいをチェックしてみてください。これほど違うのか,と驚かれることと思います。一部の銘柄では,それでもしつこく香料が残ってしまうものがありますが,大部分は電子レンジ法でOKです。この段階で加熱調理済みですから,料理によっては混ぜるだけでよく,一種の下ごしらえみたいなものです。本ページをご覧の皆様は,ぜひ,きのこ本来の風味を味わってほしいと思っています(画像/MWS)。








2015年6月27日


ps

これがおいしい季節になったということは,今年も半分過ぎ去ったということを意味しているわけです。愕然としつつも,カツオはおいしくいただきましょう。血合いの具合をみて鮮度がよさそうであれば,そのままいただきます。むかしは真面目にセラミックの網焼きで表面をあぶっていましたが,最近はもっぱら手抜きでテフロンのフライパンです。まず,皮目を下にしてフライパンで熱し,でてくる脂をまんべんなくフライパンにすり込みます。適度に焼き目がついたら,次の面に焼き目をつけます。その面が焼けたら,また皮目を熱して脂を出して,残りの面をさっと焼きます。これでできあがり。氷水にとったりしてはいけません。このままの温度でいきます。

あとは良く切れる包丁で厚めに切って,ユズぽんか,からし醤油でもあれば上等です。もちろんニンニク生姜醤油に大葉でもあれば文句はないでしょう。15年ほど前までは,真面目に,氷水にとったりしていましたが,ある本で,冷やすよりもそのままの方が脂の味わいがよくわかると書いてあって,試してみたらその通りだったのでした。一度はお試しを。ただ,温かいと身がゆるむので,歯ごたえを大事にするならば冷やした方がいいかもしれません(画像/MWS)。








2015年6月26日


ps

これは今月納品したものの一枚。237珪藻が並んでいて最低でも220種が拝めるという標本です。右に化石珪藻,中央部に中心類,左に羽状類の珪藻を配置しています。化石は国内外のもの,現生の珪藻も多くは国内産ですが一部は海外のものも投入しています。注文を頂いてから8ヶ月もお待たせしてしまいましたが,これは万全の条件で納得のいくものを製作したかったからでもあります。大型標本の製作は本当に困難で,作業終盤には疲労が蓄積してくるので,150種並べるのは,100種並べる場合の4倍くらいの大変さを感じます。220種超えとなると,困難さは一桁上という感じです。貴重な種も投入するわけですので失敗は許されません。単純に並んでいるように見えますが,珪藻の配置にはすべて意味が込められています。レイアウトは概略を考えておいて,詳細部分は並べながら決めるのです(画像/MWS)。








2015年6月25日


ps

珪藻はどこにでもいるものですが,場所によっては採集のタイミングのようなものもあります。珪藻は光エネルギーを利用する光合成生物なので,高等植物とも,光の利用に関しては競合関係にあります。一方,珪藻は低温に強い種が多く,凍てつくようなつめたい水でも増殖可能な種がたくさんいます。陸上植物は,たとえば雪の中で盛んに伸びたりすることはありません。こうした関係から,渓流や樹木で覆われた池などでは,陸上植物がお休みする冬に光が多くて,珪藻には好都合になります。夏になっていくら強い日差しがが照りつけても,樹木におおわれた森林の中はひじょうに暗くて珪藻もあまり増えることができません。そんなわけで,筆者は池や川でサンプリングするときは,空を見上げます。そこでどのくらい日が射すのかを想像して,現場の珪藻の様子と対応をつけるのです。きょうの画像はそんなところで撮影したもので,この下には池がありますが,珪藻はひじょうに少ないのです。光が足りないのです(画像/MWS)。








2015年6月24日


ps

闇夜にぽっかりと浮かぶギョロメ君。これは国外の珪藻土から拾い上げたもの。年代がよくわからないのですがたぶん一千万年前くらいかなと思っています。現世のギョロメ君と比べると,目が大きく飛び出ていて,こちらの方が動物的な可愛らしさがあるようにも感じます。まだ数粒くらいしか見つけていませんが,次期以降のJシリーズに載せたいと思っています(画像/MWS)。








2015年6月23日


ps

今年はまだ一度もサンプリングに行っていません。年明けからいろいろあって余裕がなかったのと,大潮のたびに風が吹いたり雨が降ったりとタイミングもよくかったことが原因です。ずっと都内にいて,東京都から脱出したのはたったの一度,都区内から脱出したのは3,4回?と,缶詰状態です。山猿だった筆者としては精神を病んでもおかしくないような状況ですが,何しろ,毎日顕微鏡を覗いて,珪藻や放散虫と戯れているので,何とかなってしまうのです。当サービスのプレパラートを持っている人ならお判りでしょうが,精製された珪藻や放散虫の姿を見ていると,疲れがとれるのです。特にJシリーズや,リサーチグレードの中でも精製度の高いものを眺めていると,何かすっきりした気分になります。それで仕事疲れをとるのに,食後に顕微鏡を覗いているというお客様もおられます。皆様も疲れが溜まってきたら意味もなく珪藻の構造を眺めてみるのはいかがでしょうか(画像/MWS)。








2015年6月22日


ps

21日の都内は雨降り模様のお天気だったのですが,夕方には雨も止み,20時頃から星が見え始めました。気温も低めだったのでシンチレーションも弱い感じで,シーイングもよさそう。雨上がりですので透明度もよく,そして何より,日曜日の晩なのです。産業活動がお休みのところに,一日雨で空気がきれいになり,夜になってから晴れるという,滅多にない条件だったのでした。そこで早速5インチのアポクロマート屈折を取り出し,土星に向ければ,そこには今まで見たこともないようなくっきりとした輪,カッシーニの空隙,たくさんの衛星,本体の縞がみえていたのでした。土星は,かれこれ35年間以上みていますが,こんな美しい姿はみたことがなく,ひっくり返りそうになりました。

ことほど左様に大気の状態というのは大事なのですね。そのことは木星をみていてイヤと言うほど実感していたのですが,土星の本当の姿をみて認識を新たにしたことでした。夢中になって覗いていると,まもなく雲が広がりだして,実質的な観察時間は40分ほどでした。梅雨の合間の晴れ間は意外に良い条件のことがあるというのは,惑星観察では常識の部類ですが,実際にその場面に遭遇することはあまりなかったのです。大事なのは,のがすなチャンスを,ということですね。

望遠鏡は経緯台にのせてあり,手動追尾なので,土星の写真はとれません。もっとも写真が撮れたとしても,こんなきれいな土星は目で徹底的に見る方が筆者には大切で撮影する気は起こりません。そこできょうの画像は,『土星』の学名がつけられている放散虫でごまかします(画像/MWS)。








2015年6月21日


ps

ここのところ究極的に精密な拾い出しが必要になり取り組んでいます。実体顕微鏡で126〜256倍で拾い出しを行うので,NA=0.2の対物レンズのアラも良く見え,色収差補正の甘さ(アクロマート)も実用上の障害となります。特に高輝度の白色LEDで照明を行うと青系の軸上色収差が盛大に発生し,像にまとわりついてコントラストを下げます。こうなると拾い出しの精度が落ちます。

そこで照明は単色光で,590nmの超高輝度LEDを使用しています。この波長ですと,球面収差の補正もよく,照明の半値幅は小さいので色収差は皆無に感じます。そして相当に明るい照明でありながら,網膜への害は青色光よりはるかに小さく問題にならないと思われます。実際に作業を行うと,微細構造の識別精度が上がり,認識性も上がり,目の負担も感じず,コントラストの良い像を見ることができます。機材の特性に合わせて照明等を見直し,最高の性能を発揮するようにチューニングすると,ちゃんと結果が出ます。顕微鏡は物理法則(光学)に基づいて設計されている光学機器ですから,これは当然のことです。当然なのですから,あたりまえにやらねばなりません(画像/MWS)。



*1 色情報を必要とする拾い出しには590nmのLEDは使えません。その場合は白LEDにフィルターを使うか,レモンイエローのLEDを使います。

*2 実体顕微鏡では接眼レンズが重要です。過去の接眼レンズを試すと,正規の組み合わせよりも性能を発揮する場合があるので,手持ちのものは総当たりで試しています。SMZ-800には,SMZ-Uの接眼レンズを取り付け部分を分解除去してつけると高性能になります。





2015年6月20日


ps

アポクロマートの色収差補正で撮影すると,軸上色収差はほとんどなくなり,各色の焦点位置が揃うので,アクロマートの場合のような色づきはなくなります。きのう掲載した放散虫と,たぶん同じ種を写していますが,印象がだいぶ異なるようにも思えます。対物レンズの開口数やコンデンサ絞りの影響もあるので直接の比較はできませんが,アクロマートだとぷっくりとした感じに写ることもあって,放散虫の撮影にはアポクロマートよりも適しているケースもあるように思います(画像/MWS)。








2015年6月19日


ps

前回販売した放散虫標本は地質分野の専門家からも高い評価を頂いていて嬉しく思っています。もとの試料はまだ残っていますし,特注品の依頼で新規に処理した試料もあります。今年も高品質な放散虫標本をお届けできるようにと,珪藻処理と並行していろいろな作業が進んでいます。楽しみにお待ち頂ければと思います。きょうの画像の放散虫も,今年になって拾い出したもの。厚みがあって高コントラストで,迫力ある姿を拝むことができます(画像/MWS)。








2015年6月18日


ps

梅雨時とあって,近所の公園でもきのこが顔を出していました。今頃,野山を歩けばさぞかし面白いことになっているだろうと,山猿は思いを馳せるのでした。。最近まで,じめじめとした梅雨は,あまり好きではなかったのですが,都会暮らしをすることになって,夏の殺人的な人為的ヒートアイランド現象よりもずっとマシなことに気づき,さらに珪藻を並べる生活をするようになって,大気中のチリが一時的にでも少なくなるのがはっきりとわかるようになり,梅雨もいいものだと思うようになりつつあります。ここのところも,晴れると黄砂系の粒子が落下するのですが,雨が降るとずっと少なくなります。助かるのです(画像/MWS)。








2015年6月17日


ps

やっと販売が再開されて近所にも並び始めたので少しばかり入手しました。珪藻を並べる生活をする上では,好ましくない部類の食品ですが,かなりの薬効・利用価値があるので,手元に置いておくことも多いのです。。

忙しかった大学院生の頃,便利だからとペヤングを食べると,そのあと必ず気分が悪くなりました。ほかのインスタント麺ではそれほど気分が悪くなることは少なかったので,どうしてだろうと思っていましたが,その後の研究により,ソースを半分だけ入れるようにすると気分の悪さは発生せず,味もちょうどよくなることが判明しました。それ以来,一応は食べても大丈夫食品リストに昇格し,現在に至ります。

ペヤングは不思議なことに,筆者には不眠症に多少の効果があるのです。ほとんど寝られないまま明け方を迎え,足むずむずも絶好調なとき,起きあがってお茶を一杯飲み,それから(野菜を大量に入れた)ペヤングを食べると,2時間後くらいに眠気がやってきます。そのタイミングで寝られれば,2時間くらいの睡眠を補給できることがあるのです。これを「朝の毒食べ」と呼んでいて,ラジオ体操を聞きながらペヤングを食べ,顕微鏡を覗き,眠くなったら一休みという変態的な生活パターンとなることもしばしばなのです。普段食べることはありませんが,不眠症のときに出番があるので,一個は持っていたいのです。

眠くなる理由はよくわかりませんが,酸化した油脂のせいだろうと思っています。ほかの炭水化物でも眠くなることはありますが,眠気の度合いが違うような気がします。油ものは眠気を引き起こしやすく,昼食に揚げ物など食べようものなら,午後の会議が眠くて仕方がないという経験は多くの方が体験していると思います。あれの一種じゃないかと思っています。

それで新しく発売になったペヤングを買ったのは,生産再開で,まだ油脂の酸化が進んでいないものが出回っているだろうと考えて,その味と睡眠効果を確かめたかったからなのでした。結果は予想通りで,以前のペヤングよりも油っけが軽い気がしました。そして睡魔が生じなかったのです。生産中止になったことで,貴重なデータを取ることができた気がしています。

ちなみに,似たようなことは揚げ物屋さんでもあって,近所のから揚げやさんはなかなか品質の高いものを供給しているのですけど,筆者の敏感なお腹には,油の酸化が気になります。それで普段は徹底的に油を抜いたカスカスを食べるようなことになってしまいます。けれども,お正月休みが明けて開店した当日は,油を入れ替えているので,「これが本来の味なのか」と感心するような品質のものにありつけます。ですから休み明けは狙い目なのです。

レンズの収差について述べてきたのに,どうしてペヤングの話になったか気になる向きもあるでしょう。でも皆さんお気づきですよね。ペヤングの新しいパッケージの印刷は,色巻き型の歪曲収差に見えるデザインなのですよ(^^; (画像/MWS)。








2015年6月16日


ps

『第10・光の鉛筆』をやっと手にすることができました。出版は3月終わり頃となっていますが,どこの書店にも置いてなく,入手には少々苦労しました。何でもネットで買う世の中になってしまい,本でさえも,書店に置いてあるものが少なくなってきて宜しくない現状です。『第9・光の鉛筆』もあちこち探し回って書泉グランデで見つけました。今回は紀伊國屋書店・新宿南口に在庫があるようだったので出向き,光学のところを見れば1〜9巻まではあるのに,第10だけがないのです。筆者の運気のなさからいえば当然の現象ですが,今回は引き下がるわけにはいきません。勝手に書棚の下の引き出しをあけて在庫を漁ってみると,そこには『第10』が一冊だけ燦然と光り輝いていたのでした。さっそく救出し,たったの6千円弱で連れ帰ったのでした。

何度も書いていますが,『光の鉛筆』各巻は,日本の応用光学史上の重要財産です。驚異的な本です。筆者など,数分の一も理解できないであろうことを承知の上で,出版されれば買い求め,少しでも理解できるページを見つけようとページをめくる日々です。重たい本ですが,外出などでも連れ出して読むことも多いです。筆者と一緒に『光の鉛筆』は海にも山にも行きました。。

こうした勉強を続けるのは,少しでもまともな職人になりたいという,心の問題というレベルのこともありますが,実用的な面もあります。筆者が作っているのは標本ですが,それは検査板でもあり,言い換えれば光学製品でもあります。当サービスがレベルの高い検査板を供給できるのは,筆者が応用光学を勉強して,顕微鏡に多少は詳しいということ抜きにしてあり得ません。良い仕事の基礎には必ず,お勉強の歴史があるものだと思うのです。

そしてまた,光学の用語も知らないような素人の職人では,業界人に相手にされないだろうということもあります。もし筆者が球面収差も理解できていないようなら,ニコンやオリンパス,ツァイスやライカ,キーエンスといったメーカーさんが,筆者の製作する検査板に興味を示すはずはないだろうと。実際には,どのメーカーさんからも,当サービスの検査板は絶賛されています。『光の鉛筆』でお勉強したことがちゃんと役に立っているのです。

ちなみに,特注品でいちばん厳しい仕様を要求してきたのは,『光の鉛筆』の著者がかつて在籍していたメーカーさんです。なんというご縁でしょうか。球面収差の補正度合いやバックグラウンドの透明さ,物体の平坦さ,カバーグラスの傾きなど,いろいろなことに注意を払っておられ,さすが世界を代表するような光学メーカーさんだと,感嘆したものでした。「そんなに安くていいの? 高くなってもいいから,良い物を作ってください」との言葉が忘れられません(画像/MWS)。








2015年6月15日


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ここのところ収差の話を書いていますが,光学の用語は書籍などで学ぶのが良い方法なのではないかと思っています。最近はweb上にも本当に色々なことが書いてあって,とても参考になるのですけど,web上の知識を本当に使いこなすことができるのは,常に書籍で勉強することを怠らない人なのではないかと感じます。その実例になりそうな碩学を何人か知っています。

わざわざこのようなことを書くのは,けっこう,勝手な解釈をそのまま書いている例なども散見されるからです。専門用語はきちんとした定義があって,「語感」から想像できるようなものではありません。その言葉に対応する意味をきちんと理解しておかないとおかしなことになります。たとえば,球面収差と像面湾曲を混同している人は,しばしば見かけます。球面という語感から想像するのでしょうが,像面が平坦でなく,中央と周辺でピントが異なることを,球面収差と思いこんでいるようなのです。もちろん正解は像面湾曲です。

球面収差というのは,簡単にいえば,一点から発した光がレンズを経由して像を結ぶときに一点に集まらない現象のことを指します。像面の平坦性を意味する言葉ではありません。ですから,望遠鏡で言えば,球面収差を補正するためにフィールドフラットナーを入れる,とか,顕微鏡なら,プラン対物を使えば球面収差は問題にならない,などといった言葉の使い方は間違っているわけです。

少しマニアックな話かもしれませんが,球面収差補正からみて,プラン対物レンズよりも,像面湾曲の残った対物レンズの方が優れているように見える実例を幾つか知っています。油浸のアクロマートでもそう思えるレンズがありますし,アポクロマートでもあります。用語を知り概念を知っているということは,その知識を活用して,先の世界を覗ける可能性があるということです。正確な用語を知らなければ,それは概念を知らないと言うことになるので,深い世界の先に進む上で問題になることがあります。顕微鏡を極めるなら用語は正確に使ってくださいと,筆者は講義などではいつも繰り返し話しています。

そんなお話しに使ったきょうの画像は,クモノスケイソウの中心部を『像面湾曲』の残ったレンズで撮影したもの。クモノスケイソウは中央部が凹んでいるので,像面が平坦な『プラン対物レンズ』を使うと,一部分にしかピントがあいません。『像面湾曲』と『クモノスケイソウの湾曲』をあわせると,広い範囲でピントがあいます(画像/MWS)。








2015年6月14日


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きょうの画像は同じ珪藻を,暗視野で,対物レンズを変えて撮影した例。

CF Plan 10x (0.25)
CF Plan 20x (0.40)
NCF PlanApo 20x (0.75)
CF LWD 40x (0.55)

の順に画像を並べています。これを見ると,低NAで珪藻の発色がよくて被写界深度も深いことがよくわかります。軸上色収差がピント深さにも効いている感じです。いちばんつまらない絵になっているのがPlanApoの画像で,細部は解像してきていますがデフォーカス部分のボケがフレア的に重なり,珪藻そのものの輪郭を見づらくしています。高性能な対物レンズを使えば良く写ると思っている人も多いですが,実際には,物体の厚みや表現したい構造など,考えるべきことは多く,必ずしもPlanApoの画像が優れているわけでもありません。作画の目的によって使い分けるのが実際のところです(画像/MWS)。








2015年6月13日


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きょうの画像はアクロマートの対物レンズで撮影した放散虫。照明は電球色LEDに青フィルタを入れたもの。放散虫は厚みがあるので色収差の特性を見るのに最適です。画像一枚目が元となるもので,画像二枚目はR,三枚目はG,四枚目はB画像です。もとの画像から,画像処理で各色を取り出しただけですが,それぞれピントの位置が異なるのが分かると思います。これが軸上色収差の特徴でもあります。RとGはそれほど大きな差はありませんが,Bではだいぶ違います。またRとGに比べてBは少しコントラストが低いですね。これらの傾向と,照明の波長特性やデジタルカメラの素子の分光特性などを勘案して総合すると,C-d-e線あたりは近接していてF-g線辺りは少し離れている球面収差図がおぼろげながら浮かび上がってくるようにも思えます。そしてC-d-e線あたりはすっと立った直線ですが,F-g線辺りは球面収差による曲がりが大きいようにも見えます。こうしてレンズの特性を見抜けばより効果的な使用法,画像処理法が選択できるようになるかもしれません(画像/MWS)。








2015年6月12日


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天体観察が趣味の方でよく話題になるのが(軸上)色収差で,あまり話題にならないのが球面収差です。さいきんではネットでいろいろな方の意見を読むことができるので,そういったものを見てみると,皆さんひじょうに色収差を気にしておられます。アクロマート屈折で「青ハロがー」「青ニジミがー」と吠えている方もおられますし,アポクロマート屈折でも「木星が青い」とか「月のフチが緑色」などと鋭眼を披露されている方もおられます。こうした色収差の大合唱の片隅で,長焦点アクロマートは単焦点アポクロマートよりもよくみえる,とか,多少色はつくが木星の模様が良く見える,などといった意見も見ることができます。これは球面収差を見抜いている人の言葉ですね。

どちらの収差も重要ですが,分解能を重視するなら球面収差補正が重要でしょう。吉田正太郎先生の著書によれば,フラウンホーフェル型のアクロマートでは,一つの波長の球面収差はゼロにでき,F15もあれば,軸上色収差は大きいものの,各波長の球面収差も小さいとされています。ということは,アクロマートは適当な波長を通すバンドパスフィルタを入れれば,球面収差がゼロの光学系になるということです。他方,単焦点アポクロマートは,球面収差は波長ごとにばらばらで,軸上で色がからんでいるので一見シャープに見えますが,限界付近では球面収差によるコントラスト低下が効いてくることになります。

本ページをご覧の方々は顕微鏡をお持ちの方がほとんどかと思います。ということは手元にGIFフィルタを持っている方も多いことでしょう。このフィルタを使って長焦点アクロマートで月をみてみましょう。すっきりと抜け,解像感のある,素晴らしい像が拝めることと思います。GIFフィルタは顕微鏡の精密な検鏡にはごくふつうに使われるものですが,ぜひ望遠鏡でもふつうに使って,光を操りながら光学機器で楽しく遊ぶと良いのではと思うのです。

きょうの画像は天体っぽい珪藻。アクロマートで撮影していますので,青ハロが出ていますし,LED照明特有の黄色も出ています。筆者は「青ハロがー」などとは騒ぎません。アクロマートで色が出るのは当たり前ですからね(画像/MWS)。








2015年6月11日


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これは,特注品でさいきん封じたディプロネイス。ちょうど画角に収まる大きさでなかなか宜しい感じです。当サービスの誇るJシリーズでは,通常の暗視野撮影では,背景が完全に黒に抜けますので,珪藻が宇宙空間に浮いているように見えます。筆者など,もとは天文少年で,天文ガイドを14歳から16〜17年一度も欠かすことなく読んでいたほどですので,こういった暗黒に浮かぶ物体は宇宙的に見えるのです。お客様の中にも同じように感じる方がいらっしゃるようで,たまにメールで天文の話になることもあります。Jシリーズを開発して最初に感じたことは,望遠鏡でみる月や惑星を見ている気分になんとなく似ていること。たぶんそのせいで,その後に製作するものが,どんどんピュアになり,珪藻や放散虫は極限まで洗浄し,封入剤は精密ろ過を行い,基板は光学研磨,カバーグラスは高輝度の暗視野照明で選別と,『暗黒』を追求することに結びついていったのかもしれません(画像/MWS)。








2015年6月10日


ps

きのうの画像で示したスペーサーで,きょうの画像のようなシステムができたわけです。127mmの三枚玉アポクロマート対物レンズと,125mmアクロマート対物レンズの両方が利用可能になっています。接続用のアダプタは,簡易な図面を送付して,遊馬製作所で作ってもらいました。精密な工作にもかかわらず,極めて安価な工賃で,恐縮したものです。127mmレンズは,画像のままで使う方法と,フードの先に装着して使う方法が選択できます。前者の場合は,接眼部分を延長して鏡筒長を調節します。口径が絞られますが,それを承知の上で使うのです。画像には写っていませんが,100mmのEDアポクロマートも使うことができます。これらの対物レンズをボーグの鏡筒に接続し,114mmか80mmの鏡筒バンドに装着して,笠井さんの経緯台で使うわけです。三脚は各種のものが使えますが,画像に写っているのはプロ用の大型三脚です。ウエイトが写っていますが,これは,ボーグの鏡筒の三脚台座に接続して,バランスをとるのに使います。手持ちの望遠鏡のシステム的な運用法ができあがってきた感じで,ここに到達するまで,えらい時間を要しましたが,嬉しい気分です(画像/MWS)。








2015年6月9日


ps

鏡筒径が107mmの望遠鏡があるのですが,これに合う鏡筒バンドがありません。その望遠鏡は鏡筒径80mmでも使うことができますが,あまりにもトップヘビーになってしまい,実用性はほとんどありませんし,事故も恐ろしいです。それでせっかくの5インチアポを放置していたのですが,ある日突然,解決策がひらめいて,使用可能になったのでした。

気が付けば単純なことで,鏡筒径107mmに近い鏡筒バンドはタカハシの114mmのものだったので,それを使えないかと考えていました。しかし7mmものスペーサーを安全に挟み込むのはけっこうむずかしく,また鏡筒自体は薄いアルミ管なので,三点留めなどにするとたぶん凹んでしまうでしょう。それで,しっかり巻き付けて,締め付け式でありながら,適度な固さがあって遊びのないスペーサーがないかと探しました。そんなとき頼るのは塩ビ管です。さっそくVU管の規格を調べると,なんと内径107mmで外径114mmではないですか!。これはオレのためにあるパイプだーと興奮し,直ちに鏡筒バンドを買いに走り,次に塩ビ管を探し回ったのでした。

塩ビ管(VU100)はメートル単位の販売ですが,必要なのは10cm弱。何かよいものはないかとDIY店をうろうろすると,VU持ちだしソケット100という手頃なものが見つかり,これを8.5cmの長さに切って,縦に切り込みを入れて,数ミリ程度を切り取れば,ぴったりの締め付け式のスペーサーの完成です。たった500円。わーい。早速のこぎりで切って,縦に切り込みを入れて切り取り,切断面はダイヤモンドヤスリと耐水ペーパーで磨いて仕上げました。それがきょうの画像。

この部品一つで,5インチアポが軽量な経緯台に安全に接続でき,バランスもとれるようになりました。鏡筒5.1キログラム,ウエイト1.1キログラム,架台4.7キログラムなので,総重量は11キログラムほど。5インチ3枚玉アポ屈折としては最軽量の部類かと思います。2人いれば,山の上で観望も可能な重さです。都心の霞んだ明るい空から逃れて,一面の星空のもとで望遠鏡を振り回したいですね(画像/MWS)。








2015年6月8日


ps

片づけものをしていたら古い褐色ぴんが出てきました。ご年配の方なら理科の時間でおなじみのものですが,この褐色びんというのは筆者にとって謎に満ちたものでした。遮光できるから褐色なのはよいとして,フタ(栓)が問題なのです。摺り合わせのフタは,信じられないくらいの荒擦りで,しかも容器とフタがあっていません。必ずカクカクと動き,隙間があります。したがって密栓することはできず,密栓したければ蝋封するしかないような感じです。そのままフタをしただけでは,水漏れするのです。これの用途や正しい使い方ってのは,どんなもんなんでしょうね?

さてそれで,この褐色びんも摺り合わせを調べれば,全部カクカクします。何となくムラムラと研磨欲が出てきたので,摺り合わせを磨くことにしました。びんのフタの方を濡らして,そこに金剛砂を振りかけます。金剛砂はカンナの裏押し用として売っていたもので,けっこう粗いです。たぶんGCの粉末に思えます。これを瓶に差し込んで,じゃりじゃりと摺り合わせて研磨していくと,研磨が進むとともに研磨粒子が小さくなっていて,カクカク感がなくなってきます。そこでまたGCを補給して,じゃりじゃりと研磨をすすめて,滑らかになるまで摺り合わせます。この方法では,効果的な縦研ぎは無理で,フタをねじるような研磨しかできませんので,完全に隙間のない摺り合わせはほとんど無理です。しかしカクカクする程度のぐらつきはなくなりますので,実用上はずいぶんよろしくなります。

最後は気休めにセリウムをつけて同じことの繰り返し。そのあとよく水洗いして,精製水ですすいで,乾燥すれば研磨作業はお仕舞いです。フタとびんはセットになるので,ラベルを貼って番号を振っておきます。

最近は褐色瓶といっても,ねじ口びんが増えてきましたので,ガラス栓のものはあまり見かけない気もします。しかし揮発性のもので腐食性の溶液,例えばヨウ素−ヨウ化カリウム溶液などは,プラスチックのフタを侵しますので,ガラス栓の方がよい気もします。入れるものによっては,まだ出番があるだろうと思います。

ところで話が少し変わりますが,こういったガラス栓の一つの欠点は,固着があること。栓が噛みついてしまい,取れなくなることがあるのです。筆者は取れなくなったガラス栓を外すのはかなり得意でした。容器と栓の間には,どこかに必ず隙間があります。そしてガラスというのは少しだけ,しなります。それを利用して,栓に力をかけていってぐるっと一周走査して,遊びを見つけ,見つかったらそこにカクカクと力をかけていきながら抜き取ります。すると音もなくするっと取れます。大学院生時代は,「オクサンの手からは超音波が出ている」「ゴットハンド」などと呼ばれ,近隣の分析化学系の研究室からも,何度も,固着したビンが筆者のもとに持ち込まれました。取れなかったのはSPCの透明刷りにアルカリが入っているような悪質なものだけで,ほとんどのケースで無事に試料を救えたのは幸いなことでした。懐かしい想い出です(画像/MWS)。








2015年6月7日


ps

この珪藻はトリケラチウムの一種で,砂地っぽいところで見つかるような気がします。かなり数が少なくて,一年に数粒くらいしか取れていない気がします。ふっくらとして,がっしりとした骨格なのですけれども,ひじょうに微細な孔があるらしくて,封入剤がまともに入っていかないという難物です。なかなかきれいに封じられません。良いこともあって,それは壊れにくいということです。毛先で思いっきり潰してやろうすると,大抵の珪藻は破壊されますが,こいつは壊れません。扱いも気楽です。また分厚い骨格はコントラストを生じやすく,明視野でもよく見えます(画像/MWS)。








2015年6月6日


ps

珪藻を詳細な分類目的で検鏡するなら,透過明視野で高分解能を目指した照明が基本となります。けれども,珪藻を覗くのが好きで,楽しくて,ということで検鏡するなら,何でもいいのです。教育者のわるいところは,人が自分の専門分野に興味を示すと,すぐに研究方向に導こうとすることです。教育者が聞いてもいないのに,珪藻の分類の話を始めたら,要注意かもしれません…。それは,ひょっとすると,その人に役立つかもしれないし,あるいは逆に興味関心の持続性を損なわせる行為になるかもしれません。

当サービスはお客様を研究に引きずり込んだりしません(笑)。好き勝手に楽しく珪藻を覗けばいいじゃないですか。それが一番です。イメージングも,明視野でも,暗視野でも全然かまいません。低NA対物でボールドちっくな絵を得てもいいし,高NAで微細構造を追求してもよいでしょう。興味の赴くままに試したいことをやってみる,これ以上のことはありません。研究ごころというのは,たぶん育ってくるもので,誰かが「おいでおいで」したから芽生えるものではないと,筆者は(ゆるやかに)信じています。無理に育てちゃだめだと思うのです。但し良質な情報は継続的に手の届くところに置いておく必要があります。

きょうの画像はNA=0.55のLWD対物による暗視野の作例。乾燥系暗視野コンデンサと組み合わせると,拡大率と暗視野の具合がバランス良く,お気に入りです。筆者もこうやって研究とは関係なく,遊んでいたりしていて,それが心の肥やしになっているのです。被写体となってくれたモデルさんは,たぶんトラキネイスTrachyneis属の珪藻。海で,磯や干潟などで見かけます。それほど数がまとまっていることは少ないですが,普遍的に,どこでも見つかる珪藻です(画像/MWS)。








2015年6月5日


ps

仕事とは人様のために仕えることですから,つらくても苦しくてもやるべきものです。けれども,すべての作業がつらくて苦しかったら精神的に追いつめられてしまうでしょう。最近の世の中をみていると,そこのところをうまくコントロールできていないな,と思わされる場面に遭遇することもあります。会社勤めの方,学校教員の方,役所の窓口の方,販売店の方など…,皆様,おつかれさまでございます。。

珪藻を拾って並べる仕事も,それはかなりキツイ,どちらかといえば肉体労働系の感じもします。泥水をとってきて,ぐつぐつ煮ていると,自分がマッドサイエンティストな気がしてきて,おれは21世紀に何をしているんだという気がしないわけでもありません。処理や並べる作業は苦行レベルで,もし,それだけをずっとやることになったら,嫌気がさしてきっと逃げ出すことでしょう。

けれども,多少は息抜きになるような作業もあって,それは珪藻の拾い出しと,封じ終えたプレパラートの検品です。珪藻の拾い出しは高度に繊細な技術が要求されるものですが,それはもはや職人の生き方の一部であって,刀剣研ぎ師がつねに高度な研ぎで刃紋を浮かび上がらせるのと同じようなものです。ちょっとした作業の合間,それは漢方薬を煎じている時間とか,煮物が冷めるのを待っている時間とか,そんな時間でも指先は0.01ミリメートルの精度で動き,珪藻を種別に拾い上げることができます。

封じ終えたプレパラートの検品は,そこにある自然のすばらしさそのものを見ることになるので,いつでも感動的です。ちょっとした珪藻被殻の割れや欠けを発見してうなだれることもありますが,それ以上に,きれいに封じられた珪藻被殻の姿に打たれる気もします。きょうの画像は最近封じたものにマウントした,Amphitetras属の珪藻。じつにみごとな姿で,お気に入りです。こういったものをみて,苦行も報われたような気になるのです。

さういうわけで,本ページをごらんの管理職の皆様,社員や職員の方々が,ツライ仕事のあとに,ほっとして楽しい気分を感じられるよう,配慮してやってくださいませ(画像/MWS)。








2015年6月4日


ps

昨年から引きずっていた仕事がようやく片づき,背負っていた大きな荷物を下ろした気分です。珪藻の多種類系スライドは,いつも供給しているようなものなら数ヶ月もお待たせすることはありませんが,可能な限り種数を増やすとなると,材料調達が困難になり,新たな試料を処理して珪藻を探し回ることになります。また製作できる条件も重要で,室内環境や体調を見極めての製作となります。黄砂や火山灰が少しでも飛んでくれば標本製作中に落下して汚れが生じます。窓を閉め切っていても排ガスや燃焼物等を由来とする微粒子は入ってきます。数十個程度の珪藻被殻を並べるのであれば,それでも制御は可能ですが,100, 200, 300個のレベルになると困難は飛躍的に増大します。あとは体調が重要ですが,日頃から体調管理はかなり徹底しているものの,幼少期から治ることのない『脚むずむず症候群』は相変わらず絶好調で,眠いのに寝られない日々を過ごすことになっています。このへんてこりんなビョウキがよくなれば,作業日数ももう少し増やせるかと思うのに,なかなかうまくいかない日常なのでした。

しかしながら,寝不足でも珪藻在庫を増やすことはできますので,根性で顕微鏡を覗き続け,珪藻をピックアップして,さらにレベルの高い標本製作ができるよう準備は進んでいます。きょうの画像はこういった取り組みの中で製作した大物の一枚。全体の1/10くらいが写っています。こういった大作を作る前は,本当に完成まで持ち込めるのか…と恐れおののきの状態なのですが,えいやっと気合いを入れて完成させれば,オレもまだまだできる!と気分も変化します。経験が自信に変化してゆく一瞬です(画像/MWS)。








2015年6月3日


ps

ようやくネットにつながるようになりました。原因が完全解明されたわけではないのですが,サポートのお兄ちゃんの指導にしたがっていろいろ試したところ,交換したモデムと,以前から使っていたルーターの相性が悪く,データ送信ができない状態になるようでした。モデムがつながってからルーターの電源を入れるようにしないと,通信が正常に確立されないようです。ほかにも原因があるのかもしれませんが,筆者には対応不能なので,とりあえずは教えられた通りの対策で様子をみようと思います。メール等でお待たせしたお客様にはお詫び申し上げます(画像/MWS)。








2015年6月2日


ps

通信障害は,まだまだ続くようです。1日もネットにつながらず,ようやく平日になったのでサポートに連絡すると話し中…という状態でした。あきらめて昼飯でもたべて,戻ってきてみると,こんどはつながる。こちらは何もしていないのにこういうことが起こるのは,やっぱしプロバイダ側の設定不良だと思うのです。一度つながると切断はされないので,電源入れっぱなしで対応しています。寝るときは当然,電源を落としますが,そうすると,明日,またつながらないんだろうなぁと,半ばあきらめの境地です。話し中のサポート電話に,何度も連絡してつかまえるの,時間もかかるしエネルギーがいるんですよね。無駄な労力を消費するのは,じつに面白くない気分です(画像/MWS)。








2015年6月1日


ps

通信障害は31日現在も続いています。朝から15時頃まで全く不通状態でした。そして前触れもなく突然,つながります。じつは先日の設備更新時に,営業さんの人柄がよかったこともあって,ネット回線を少しだけ速いものにしたのです。そうしたら,翌日朝からネットにつながらず,翌々日も,その次の日もまともにつながらないという有様です。回線速度が速くなって少し時間がトクするかなと変えたのに,つながらずに無駄に時間が消費され,土日で連絡もとれず,対応にも手間がかかる…。これが筆者の運気のなさなのです。。正常に接続できるまで時間がかかるかもしれませんので,メールの返事がない場合など,気長にお待ち下さい。よろしくお願い致します(画像/MWS)。



*1 もちろん,筆者は運気のない人生を送ってきたので,これくらいのことは想定済みです。それで,メンテナンス担当の方に,「いったんモデムを切って,翌朝また入れるとつながらないことがあったりしますか?」と尋ねているのです。担当の方は,そういったことはなさそうという感じのお返事でした。筆者も,機器も新しくなったことだし,前よりはいいかもしれない…と思った結果が,これなのです。

*2 きょうの画像は,睡眠不足のもやもやを紛らわすために出かけた近所の公園でみつけたもの。吸い物にでも散らすヤツです。大都会の公園の片隅に,こんなものが生えているとは気づきませんでした。






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