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ミクロワールドサービスが顕微鏡の世界を伝えるコーナーです。
日々の業務メモやちょっとした記事もここに記します


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2014年2月28日


ps

これは業務用に使っているゴミ箱の中身。標本を作っているとたいてい,このようになります。中身はほとんど汚れのない拭き取り紙ばかりです。いかに拭きが大事かを物語る画像のようにも思います。このゴミ箱は高さ約50cmです。ゴミは下から15cmまで入れます。そうすれば,この背の高いゴミ箱から,ホコリが上に舞ってくるのを防げます。単なるゴミ箱ですが,ここにもノウハウがあったりするのです。ちなみに,ホコリを立てる動作はたくさんありますが,意外に有害なのは,乾燥した皮膚を掻くことです。細かな角質が舞い上がり,体温で生じた気流に乗って天井付近まで達し,以後しばらくの間,ゆっくりと降り注ぎます(画像/MWS)。








2014年2月27日


ps

現在いろいろな作業が続いておりますので,少しの間,お休みを頂きたく思います。次の予定で営業しますのでご承知下さい。

2/27 在庫販売(時間がある場合のみ)
2/28 休業
3/1  休業
3/2  休業
3/3  通常営業

当サービスは,基本的には「いつでも営業」なのですが,長期のサンプリング,学会出張,講義などではお休みを頂いております。お休み中もメールには対応しておりますが,すぐのお返事ができないこともございます。何卒,ご容赦いただければと思います(画像/MWS)。








2014年2月26日


ps

珪藻は最低でも数万種は存在するとされていますが,ぱっとみて形が違うと判別できる種は数百くらいでしょうか。あとは細かいところが異なっているだけという感じもします。そして,ぱっとみて珍しい形,面白い形,というのはさらに少ないので,たとえば星形の珪藻などは全体からみて相当に貴重ということになります。これまでも星形の珪藻を切らさないようにしてきましたが,存在率は処理サンプル中で数万分の1くらいなので,100粒の星形珪藻を集めようと思えば100万粒以上の珪藻をかき分けなければなりません。そしてまた残念なことに,こういった珍しい形や面白い形の珪藻は,結構壊れやすいものが多く,どこかが欠けているものがたくさんあります。きょうの画像は欠けたものの一部です。先天性貧乏症候群が発動して,ついつい拾って溜め込んでしまいます。たくさん集まると,けっこうイイ感じがします…(画像/MWS)。








2014年2月25日


ps

Jシリーズ製作において文字入れをしたいときには,珪酸質の針である海綿骨針(sponge spicule)を使います。珪藻の破片なども使えますが材料集めが困難です。海綿骨針も大きさや長さのそろったものを集めるのは大変面倒なのですが,最近,海底の泥から高濃度の海綿骨針を発見し,材料は集まりました。これをカバーグラスに密着して並べたいときは,検鏡方向の反対側で操作するわけですので,鏡像文字(裏像)で製作しなければなりません。これがけっこう面倒で,たまに間違えるんですよね。BIOG-SIと書いたつもりがBIOG-2Iになっていたのを発見したときは,どっと疲れて世の中が厭になりました(笑)。封じてしまったら直すことはできないので,最近は何度も何度も確認して,それでも判断に自信がないときには撮像して左右反転して確かめます。文字というのはずっと眺めていると正しいのか間違っているのか分からなくなってくるので,パソコン画面と比較したり,他の活字を探したりと大変です。Jシリーズ製作中は異常な精神状態にあるので正しい判断ができないこともあるので,そういった工夫をすることになります(画像/MWS)。








2014年2月24日


ps

体重を落としました。筆者は若い頃,168cmで51-54kgくらいしかありませんでした。どんなに食べても太ることはできず,夏に睡眠不足が続くと50kgを割り込むようなこともあり,そうなるとさすがにしんどかったものでした。ところが,Kekkonという過程を経て食事内容や食べ方が変わり,太りだしました。太った原因は,それまで食べなかった甘いものを(つきあいで)食べてしまうようになったことと,手軽だからと炒め物ばかり食べていたことが大きな原因かと思います。当サービスを開業してからは,運動不足も大きな原因です。しかし体重計のない生活をしていたこともあって,どのくらいの体重か知ることもなくながねん過ごしました。それが2012年の夏になって,最大64kgもあることに気がつき愕然としました。

同じくやせ気味の宇宙開発系のスーパーエンジニアと昔から意見が一致していました。それは「自分の体重が60kg超えたらそれは人間ではない」ということ。ながらくそう思って暮らしていたのに,いつのまにか「人間ではない状態」になっていたのでした。あまりに恥ずかしく,お腹だけがぽこっと出ている,どうみても間違っている状態の体型を見て,その醜態に耐えられなくなり,減量することにしました。方法は簡単で,和食中心を徹底し(もともとかなり徹底していましたが)夜メシの「ご飯」の量を茶碗1杯にすること。夜食を食べないこと。運動することです。おやつはもともと食べません。ちなみに,昔から,外出しないときは一日2食でした。

さいきん,炭水化物を完全カットするような減量法が流行していますが,あれはいけません。砂糖を完全カットするのは当たり前としても,穀物までもカットするのは行きすぎです。理由は簡単です。日本人は歴史的に穀物を食べて生きてきたのです。進化の過程で体が和食に適応しているわけなので,和食中心が良いのです。このくらい大ざっぱなとらえ方がいちばん有用だと筆者は思います。西洋医学は屁理屈をこねることが可能なので,いろいろな部分をつなぎ合わせて間違った結論を導くことも可能です。炭水化物カットが体にいいと言う人もいれば,悪いという人もいます(こちら)。何がなんだかわからなくなります。

さてそれで筆者の体重は,最初の数ヶ月はほとんど減りませんでした。しかし,増えもしませんでした。それが,食べる量は変わらないのに,毎日運動(歩く)するようになって,多少は足に筋肉がついてきたかな,と実感するころからゆっくりと体重が減りはじめました。昨年,首や背骨を傷めてからは,ますますからだを鍛えて太らないことが重要になり,細かい作業の間にからだを動かすようにしました。それで約1年半かけて7kg減らし,現在は57kg前後です。気分としては「やっと人間に戻った…」という感じです(20代後半の体重に近いです)。このくらいゆっくりと減量すれば,体への負担はほとんどないものと思われます。ご飯も,一日に茶碗2〜2.5杯くらいは食べています。野菜をたっぷりとり,豆腐や納豆や魚からタンパク質をとって,毎日おなかを満たしてシアワセになりつつも減量できたわけで,今後もこの調子で体調を維持したいと思っています。

画像は日々の徒歩運動で出会った河津桜。早くも5分咲きというところでしょうか。この日は10kmほど歩きましたが,ふとした風景に心も和むというものです(画像/MWS)。








2014年2月23日


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新たな試料を起こしたいのですが,スペースがなくなってきたので,いくつかの珪藻採取用サンプルを廃棄しました。Jシリーズは製作開始から5年以上過ぎましたが,年々,技術的なレベルが上がってきているので,初期の試料には不満もあります。そういったものを処分することにしたわけです。画像に写っている白い粉末が処分対象の珪藻たちです。海,川,池などから珪藻を採取し,たいへんな時間と労力を注ぎ込んで作ったサンプルですから,使わないだろうとわかっていても,捨てるには勇気が必要です。しかし想い出に浸っていても仕方がありません。前進しなければならないのです。白い粉末は排水管を通り,やがては海までたどり着き,海水に溶解して,また珪藻の栄養分となることでしょう(画像/MWS)。








2014年2月22日


ps

ガラスの拭き拭きで一日が終わるような日だったので,カバーグラス清拭用のペーパー比較をしてみました。使ったのはキムワイプ,シルボン紙(ニコン推奨品),Whatmanの105です。拭く対象は特注品の9x9カバーグラスです。これには特殊な粉末が塗布してあり貼り付きを防いでいるようですが,この粉末を残らずに拭き取るのに,どの紙が適しているかを調べたわけです。もちろんWhatman105が飛び抜けて優秀であることはわかっているのですが,あまりにも高価なので,安価で適したものはないかと思っているわけです。で,その結果は,

Whatman105>>>キムワイプ>シルボン紙

ということになりました…。カバーグラスの清拭は,表面状態を変えたくないため,乾拭きにしています。その条件では,紙の「コシ」がきわめて重要になります。またピンセットに巻き付けて「鯉の口」を作るわけですが,そのときも「コシ」が重要になります。さらに,カバーグラスは切断面が鋭利なので,そこに紙が触れたときに毛羽立ちが少ないことも要求されます。こういったことを総合的に見ていくと,Whatman105は文句がありません。キムワイプも意外にコシがあり,しっかりとした拭きができます。シルボン紙は柔らかすぎて,ピンセットを使った乾拭きには向いていないように感じます。柔らかい感じがするので,溶剤をつけてソフトに拭き取る用途(接眼レンズの清拭など)には良いかもしれません。紙ひとつとっても,なかなか難しいものです(画像/MWS)。








2014年2月21日


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珪藻は対物レンズの性能試験や練習用の物体として好適なのは本ページで繰り返し述べている通りです。利用の歴史は古く,100年以上も前から使われ続けています。きょうの画像は皆さんおなじみのプレウロシグマが鮮明に描かれているページのもの。この文献は,Dr. Leopold Dippelの著作でDas Mikroskop und Seine Anwendung という本。出版年は1882年です。この時代の人たちは「見る努力」をしていたので,珪藻の微細構造もよく描かれています(画像/MWS)。








2014年2月20日


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当サービスでは,電子顕微鏡観察用の珪藻も販売しております。珪藻の不思議な形態は電子顕微鏡のデモ試料としてひじょうに好適ですし,きわめて微細な構造があるので,電子顕微鏡の動作確認にも使えます。通常は小さなチューブに懸濁液としてお渡しすることとなりますが,SEM用の試料台と適当な基盤を提出いただければ,そこにマウントすることも可能です。価格は作業内容と作業時間で変わるので個別にご相談となります。きょうの画像はSEM試料台の輸送容器。試料台(アルミニウム)を輸送可能とするために,金属製のペンケースを用いて容器を作りました。ペンケースには孔をあけて,試料台をネジで固定しています。ネジを外しても試料台が動かないように,アルミ製のリングでホルダを作っています。このリングは,ハードディスクを分解して採取した,プラッタとプラッタの間にあるスペーサーです。ケースの裏側にはコルクで足を作っています。

珪藻はガラス基盤にドライマウントで並べます。これをカーボンテープで試料台に固定します。珪藻の輸送や保管で問題になるのは,チリによる汚れと,静電気による珪藻の飛び上がり(紛失)です。このペンケースを流用した保管/輸送容器は見た目が簡素ながらも,ながねんのノウハウにより考案された,珪藻を清浄に保ち静電気よる珪藻の紛失もおきにくい実用性の高い代物です。このケースをホコリのかからないところに置くならば,数年の保管でも珪藻が汚れません(画像/MWS)。








2014年2月19日


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18日は研究試料引き渡しをかねて研究プロジェクトリーダ+研究員の方と珪藻談義となりました。研究員の方がひじょうに優秀かつ仕事がはやく,前回の打ち合わせで得た情報を研究に応用して良い結果を得ていました。こうなるとアドバイス差し上げた筆者としても嬉しく,やり甲斐がありますね。珪藻はどこにでもいるものですが,材料として真面目に取り扱うと困難が多く,ある程度の技術を身につけるまで時間がかかります。筆者の経験がわずかでもプロジェクトの成果に役立つことがあればと思うばかりです。とうぜん話題は尽きることがなく,3時間弱の時間を使い果たしてしまいました。技術の話をしていると,本来の打ち合わせ目的とは異なるところでも情報提供しておいた方がよい場面が出てきます。たとえば顕微鏡の覗き方など最たるもので,「これはひとこと言っておかないと」と思ったときには,すぐにレンズや本を広げて解説します。問題は,「ひとこと」では終わらないことです(笑)。ま,これは許して頂きたく思っております…(画像/MWS)。








2014年2月18日


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同じ倍率で撮影したFrustulia amphipleuroidesの画像があったので昨日の画像と比べてみてください。大きさがまるで違い,きのうのFrustulia vulgarisがまるで子どものように感じられることでしょう。不思議なのは,きょう掲載した大型種の方が,点紋の間隔も広がっていて,点紋の孔のサイズも大きいように見えることです。構造力学的に,どのくらいまで肉抜きしてよいか,決まっているのでしょうか。Frustulia amphipleuroidesは河川に多いように思います。とくに渓流で,流れのゆるやかな場所から採取したサンプルに比較的多い気がしています(画像/MWS)。








2014年2月17日


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きょうの画像はFrustulia vulgarisです。フルスツリアは微細な点紋がエレガントな感じで特に好きな珪藻の一つです。この珪藻を初めてみたのは十数年前くらいに池のサンプルを検鏡していたときでした。その頃はまだ,高分解能イメージングの勉強をする前で,NA=1.3のグリセリン浸対物を使って撮影していましたが点紋をきれいに写すことはできずにかなり難儀していました。いまなら乾燥系でもそれなりに写せるわけで,しっかりと勉強して顕微鏡の性能を引き出すことがいかに重要かを思い知らされました。この珪藻,湧水の流れ込む池などでよくみかけるように思います。ぱっとみたところFrustulia amphipleuroidesに似ていると思う方もいるかもしれませんが,こちらの方がずっと小さくて繊細です。第8期のJシリーズで,ごく一部の製品にマウントされています(画像/MWS)。








2014年2月16日


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女王様の身は鮮やかな紅色。この色はもともと藻類に含まれていて,それを食べたプランクトンに移り,それを食べた甲殻類(エビやオキアミ)に移り,それを食べた女王様に移ることによって身が染まるわけです。色の成分はアスタキサンチンといって,大ざっぱに言ってしまえば,ニンジンとかトウモロコシの色素成分の親戚です。むかしこの種の色素を追いかけてHPLCをマニュアルで動かして色素を分取してスペクトルをとっていたことがあるので,こういった色を見ると,今でも吸収スペクトルを見てみたくなります。。

ま,しかし,そう思うのも一瞬で,女王様の半身には丁寧に串を打ち,グリルで塩焼きとなるのでした。魚類は特に,エサの味が身の味に反映されやすいのですが,どんなものを食べたらこんな上品な味になるのかと唸らずにはいられません。脂が乗っているのですが,少しも油っこさはなく,むしろサッパリしている。それでいてきちんと香りとコクがある。やはり宮内庁に献上すべき(笑)味わいです(画像/MWS)。








2014年2月15日


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俗世間がバンアレン帯で脂肪にショ糖を添加したものが飛び交う2月14日,筆者は仙人のような生活をしているわけなのでバンアレン帯とは関係があるはずもなく,さらに筆者のバンアレン帯体験をここでお話ししようものなら,『全米が泣いた』などということになりかねません。。などと思いを巡らせていると,北の国から,海に下った女王様が届いたのでした。

なんて素敵な姿でしょう。いろいろなものを撮影してきたNikon1J1にとっても,最高の被写体の感じがします。ていねいに洗って水気を取り,自然光LEDのもとでスタジオ撮影です。側線がほとんど直線に走っているのが印象的ですね。幅広の身でありながら,どことなくスマートさを感じる姿は,まさに女王様です。

記念撮影が終われば,料理長たる筆者の包丁が入れられ,ごく柔らかい身には丁寧に串を打ち,指定銘柄の「天人の藻塩」で尺塩を施し,アルミ箔を敷いたグリルで入魂の焼き物です。焼き具合,火加減には秒単位のチューニングを要するので気の抜けない作業となります。そして最高の状態に焼き上がった女王様のふっくらとしたフレーバーと味は,宮内庁に献上しなければいけないのではないかと思うほどの佳品です。

まいった

これが感想です。ぐうの音も出ません。これを釣り上げた旧友の腕前に感服し,都内に用事があったらまた一杯やりに立ち寄ってくれと思うばかりです(画像/MWS)。








2014年2月14日


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画像1枚目の中央に写っている珪藻は,いっけんクチビルケイソウに見えますが,違う仲間ということになっています。全体の形が似ていても,珪藻の分類は微細構造で行われますので,細かい部分を見なければならないのです。で,この珪藻は両端の部分を見ると,明らかにクチビルケイソウとは異なる構造をしていて,その特徴から,エンキオネマ(Encyonema)の仲間ではないかな,ということになります。こういった区別がつくようになるには,日頃から珪藻の図鑑を見るなり,ネットを漁るなりして,いろいろな珪藻を見ておくことが大事です。覚えようとする必要はありません。いつも見ていれば,イメージは頭に残っているものです。それである日突然,ああ,これはあの種類か,とわかるようになるのです。小さな子がびっくりするくらい魚に詳しかったり,鉄道のことに詳しかったりするのは,彼らがじゅうぶんな時間をかけてイメージを叩き込んでいるからです。大人も,それと同じことをやればいいのです(画像/MWS)。








2014年2月13日


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これは珪藻化石の採取現場の画像。火山灰に埋もれていますが,沿岸性の珪藻化石が出てきます。見た目はポクポクした感じの堆積物で,持った感じも軽くて,いかにも珪藻土という感じがします。しかしそれがクセ者で,軽くてポクポクした堆積物を喜んで持ち帰ったらば,泥の塊だったことも数知れず。。知り合いの地質屋さんに『どこで,純度の高い珪藻化石がとれますか?』と聞いたところ,『どこでも取れるよ』とのすばらしいお返事。そういった経験を経て,まず研究者を信用するのは最初にやめて,自分の目を信用して,携帯顕微鏡H型を手に珪藻化石を探すこととなりました…。きょうの画像の場所も,宿に戻ってペットボトルのキャップに堆積物を採り,水で溶いて,H型で検鏡してみたのです。するとそこにはたくさんのクモノスケイソウの化石が見えて,堆積物はお持ち帰りとなったのでした。ちょっと前の懐かしい想い出です(画像/MWS)。



*1 一般の人は信用できることがほとんどです。当サービスでも一般の方に採取の協力を頂いた珪藻化石が複数あります。どれも素晴らしい品質です。

*2 もちろん,研究者でも信頼性が高いのですけど,『どこでも取れるよ』なんて言われた日ニャー,わうわうわうと吠えつきたくもなります U^ェ^U





2014年2月12日


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雪の中を走る都電,というのもそれほど見かけない気がするので一枚。降雪時に撮影すればもうちょっと格好いい絵になったかもと,少し残念(画像/MWS)。








2014年2月11日


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都心の子は大雪経験が少ないと思いますが,それでも,すぐに雪だるま製作に着手します。都心の小学校の校庭は舗装されていて土がないところばかりなので,雪があまり汚れません。それで雪だるまも純白の大物ができます。画像は豊島区の雪だるまです(画像/MWS)。








2014年2月10日


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寒い日には滋養のある汁物なんかいいですね。最近は忙しさにかまけて業務日誌化していた本ページですが,たまにはレシピなども書かないと,読者にマンネリ感を与えてしまうかもしれません…などと考えつつ,きょうの画像はきのこ汁です。これは筆者が若かりし頃に,白樺湖の近くで宿泊したユースホステルで出てきた鍋を再現したもの。同じように再現できている保証はなく,具材も適当なので,派生系の一つと思っていただければと思います。

まず鍋に白菜(1/4〜1/3)を大量に放り込みます。鍋一杯になるほど入れてもいいでしょう。そして水を鍋の半分くらいいれて,火にかけます。その間に,きのこ(2〜3パック)の石突きを取って,レンジで加熱します。きのこはエノキダケorヒラタケがよいダシが出るので必須。ブナシメジ(市販)はダシが出ませんが歯ごたえが良いので追加。これらのきのこはレンジで十分に加熱することにより人工香料が蒸発し,ほんらいの風味になります。レンジが終われば鍋に放り込みます。豚バラ肉は,脂身のところを切り取って刻み,鍋に放り込みます(〜100グラム)。好みであれば,肉の部分も入れて構いません。

味付けは,酒,藻塩,しょうゆです。酒は一カップ弱くらい。藻塩(天人の藻塩)は薄塩で味がつく程度。最後はしょうゆで微調整して味を決めます。これで20分くらい煮込めばできあがりです。サンショウとチンピを効かせた七味唐辛子を軽く振りかけて上卓すると良いでしょう。

ダシは白菜,きのこ,バラ肉から出ます。これだけで十分な出し汁になるので,ほかのものは不要です。汁物といいつつ,白菜ときのこを食べる鍋物のような料理と思ってもいいかもしれません。具材のハーモニーがよく,薄味ならそのまま汁物で,濃いめの味付けなら,うどんやそうめん,そばを入れてもおいしいです。もちろん雑炊も最高で,翌朝にこれをかき込んで出勤,などというのも便利です。天然きのこで作るといちだんと素晴らしい味わいなのですが,それは一部の専門家に許されたこと。スーパーで売っているきのこでも,エノキダケとヒラタケを選べば,遜色ないものができます。冬の寒い日に試してみるのもいいかもしれません(画像/MWS)。



*1 これの初出は,webサイト『八王子のきのこ』の『きのこのおつゆの作り方』です。




2014年2月9日


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久しぶりに都心は大雪となりました。珍しくパサパサした雪で,気温も低くて溶けにくい感じでしたので撮影してみました。いつもは,すぐに溶けてしまいまともな絵にならないのが都心の雪でしたが,今回はけっこう結晶のかたちがわかるものが多く,なかなか面白い時間となりました。画像3枚目に見るような雪印マークは,ひじょうに数が少なくて,全体の0.1%あるのかな,という感じでした。夕暮れ時で光が足りなくて時間切れとなったのが惜しいところです。

雪が降ると音を吸収してくれますし,クルマも人も減るので,都心はだいぶ静かになります。いつも耳栓をしないと寝られない筆者にとっては,雪の降る晩は何となくうれしいものです。無暖房でもヒートアイランドの都心では,室温は10度くらいはありますので十分過ごせます。たまの都心の雪は,日常を少しだけ変えてくれる天からのイベントです。そんな感じで眺めています(画像/MWS)。








2014年2月8日


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これは17〜18年もののシチズン・アテッサ。これの前はClub La Merのスモークサファイヤグラスを使っていて,いぶし銀のデザインが最高に気に入っていたのですが,ラーメン食事中は時計を外すという習慣により,紛失しました…。それで新たな時計が必要になって,時計売り場に出かけたら,なんて素晴らしい時計と一目惚れしたものです。アンモナイトの輝くマーク,アワビの薄片らしきものでできている,虹色に輝く文字盤,チタンケースとバンドにより見た目よりもずっと軽いのです。そして文字盤からは想像できない太陽電池充電方式。防水,アンチマグネチック。極めつけはルミノーバ採用(と思われる)長残光の畜光塗料にサファイヤグラス。。おおよそ考えられるすべてのスペックを盛り込んでいて,即買いとなりました。

以後17年間,この腕時計は一度も止まることなく時を刻み続けています。おそろしい耐久性・信頼性です。買い物としては最高の部類かもしれません。

ただ,ベルトだけは壊れています。チタンのベルトにステンレスのピンがさしこんであるので,長い時間の後には,ステンレスのピンがチタンを削ってしまい,抜けてくるのです。この時計もその症状が10年前くらいから出るようになり,時々,ステンレスのピンを膨らませたり,差し込み方向を変えたりして,だましだまし使っています。ベルトのスペアは4コマ残っているので,これの交換も考えれば,あと20年は大丈夫そうです。

このモデル,生産数が少ないのか,街で見かけたことは皆無です。ところが数年前に当室に研修にきた方が,この時計のペアウオッチのモデルを腕につけていたのでした。あまりの偶然に驚いたことは言うまでもありませんが,珪藻を喜んで扱っている彼女の姿をみて,こういった感性を持つ方がこういった時計を選ぶのかなと思い,何となくあたたかい気分になったのでした(画像/MWS)。








2014年2月7日


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きのうウナギの話を書きましたが,資源的にマズイ状況になっているのはウナギだけではありません。主要な水産物の多くが,このままでは将来的に壊滅的になる状態なのです。徹底的に,砂漠の状態になるまで水産資源を破壊するような方法で漁業が行われる状態が続き,適切な資源管理が行われなかったことと,河川,干潟,内湾の環境を破壊し尽くしたことが主な原因なのですが,日本国民は,水産庁がまともな資源管理をしないことと,マスコミの連中はほとんどが事実認識すらできないオツムの足りない集団ということもあって,じぶんの国が置かれている状況を正しく把握する術を持たないので,一部の人を除けば,何が起きているのかすら,認知することができないという状況が続いています。その一例を証拠として示すために,きのうウナギの記事を書いたのです。

この現状の中,闇を切り裂く光が現れました。それがきょうの画像です。勝川先生の,名刀正宗を思わせる切れ味の現状分析と,渾身の力で振り下ろされる斧のような水産庁への警告,そして日だまりの中に咲く福寿草のような優しい思いやりによって示される今後の対処方法。この本は,日本の水産資源を論じたものとして金字塔と言えます。

漁業という日本の問題−Amazon.co.jp

みなさま,ぜひ,読んでみてください。言葉遣いは平易で,誰でも理解できるように書かれています。私たち日本人が何をしてきたのか,知ることができます。

海に囲まれた日本で暮らす私たちは,これからも,海の恵みを賢明に永続的に利用して生きていかねばなりません。『持続可能性』ほど,人間にとって大切なテーマはありません。勝川先生は,私たちが進むべき道を明快に示してくださいました。将来の日本をよりよくしたいと願うすべての人に,本書を推奨いたします(画像/MWS)。








2014年2月6日


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昨年はシラスウナギが不漁で,全国の鰻屋さんが大変苦労したことは繰り返し報道されたのでご存じの方も多いでしょう。ところが最近の報道によると,上の画像に示すように,今年は一転して,『豊漁の気配』(中日新聞)  『漁獲量が大幅増』(日経)なのだそうです。もし本当に『資源回復』が起こって『豊漁』になったのなら,それほど目出度いことはありません。みんな,おいしい鰻を心ゆくまで楽しめるようになるかもしれません。

そこで,どのくらい豊漁なのか,消費者の我々も確認しておくことにしましょう。

こちら

こちら

こちら

これが『豊漁の気配』『漁獲量が大幅増』の正体です。驚くべきことは,この状況に至ってもまだ漁獲が行われていること,と言わざるを得ません。どうみても資源枯渇の可能性を考えなければいけないステージにあります。漁業による資源乱獲は深刻な問題で,北海道のニシンでさえ,徹底的な乱獲で再起不能な打撃を与えるほどの力があります。稚魚段階で漁獲してしまうウナギなど,絶滅に近い状態まで追い込んでしまうことは容易でしょう。

この状況で『豊漁の気配』とか『漁獲量が大幅増』と報じている新聞記者は,部分と全体のバランスもとれないで記事を書く,ただの阿呆です。現状分析して問題点を掘り起こしていないのですから,頭を使っていないことは確かです。こんな記事を書きながらお給料をもらえるなんて,何かがヘンですね。そしてまた問題なのは,こんな阿呆新聞記事を読んでいると,読者も阿呆化する可能性があることです。日経を大切な情報源にしているビジネスマンは多いでしょうが,「読んでバカになる」こともあることをぜひ,お忘れなくいただきたい,と自戒の念を込めて申し上げます。

筆者も,何も知らない子どもの頃はウナギを食べたものでした。その頃にも資源の枯渇は始まっていたわけで,いまにして思うと恥ずかしいかぎりです。しかしここ10年,ウナギがやばいと知ってからは自発的に食べることはなくなりました。(自分から)最後に食べたのは2008年の夏,熊本でした。学会に出席しての昼食でしたが,会場に近い店が鰻屋さんだけだったので,仲間と一緒に鰻重を食べたのでした。

本来は国がきちんと資源管理すべきです。絶滅の危機にあることは何の疑いもないのですから,河川や内湾の乱開発を食い止めて,ウナギの漁獲を中止して,15年くらいは様子を見るべきでしょう。一般の人にできることは,まず現状を知ることです。世界中のウナギを絶滅に追い込んでまで,ウナギが食べたいと思う人は少ないでしょうから(画像/スクリーンショット)。



*1 もらったウナギなら,それ以後も食べたことはあります。那珂川天然ウナギの白焼きなんて,養殖物とは比較にならない風味でした。。そのむかしに食べた浜名湖を泳いでいたウナギの塩焼きは,ゴムを噛んでいるかのようでした。そういえば水槽で飼育していたこともありました…。そういった想い出を胸に秘めて,資源回復を待ちたいと思います。

*2 ウナギから遠ざかった理由がもう一つありました。それは筆者の粘膜が弱いらしく,骨が刺さるのです。学生の頃,夕飯に食べたウナギの骨がノドに刺さり,何とか抜こうとピンセットを口につっこんだり,色々試しました。努力の甲斐もなく,一晩,涙を流しながらウナギの骨が刺さったまま寝て,翌朝も格闘しましたが取れませんでした。観念して,耳鼻咽喉科に行こうと思い,その前に風呂でもとシャワーを浴びていたら知らないうちに骨が抜けました。あの12時間を超える苦しさは,以後,何となく敬遠する気分を生み出すには十分なものでした。

*3 ウナギで生活している人には厳しいお話しですが,資源そのものがなくなってきているので,許容するしかないように思います。かつては国内にもたくさんの内水面漁業がありましたが,環境保全を無視した乱開発により,河川はダムだらけ,汚濁は進行し,湖沼は富栄養化が進んで,多くの水産有用種が消えました。それと同時に漁業者も消え,川魚を食べる習慣もなくなっていきました。資源を潰した結果としてなくなってしまった仕事はたくさんあります。うなぎも,その一つになる段階にあるといえるでしょう。

*4 中日の記事は豊漁を視覚的に訴えるかのように,シラスウナギの画像まで載せています。悪質な印象操作です。





2014年2月5日


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ちょっとしたケースを作ろうと工作していてM4の5mmが必要になり,ネジコレクションを調べてみたところ,なんと在庫が1本だけしかありませんでした。顕微鏡関係では,M3とM2のネジが圧倒的に多く,M4はそれほど多くない印象です。それで在庫切れに全然気がつきませんでした。それで新たに仕入れたわけですが,ついでにM4の旧規格も買ってきました。新しいM4はピッチ0.7ですが,旧規格は0.75なのです。顕微鏡は大変長持ちする機器で,筆者の手元にあるものでも,旧規格の時代(1960年代半ばより昔)の機材をメンテナンスすることもあるので,ついでに仕入れたわけです。小さな買い物ですが,安心感が生まれます(画像/MWS)。








2014年2月4日


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細くてデリケートな種は扱いが難しくて,Jシリーズとしては,これまでなかなか供給できませんでした。現在でも難しいことには変わりがないのですが,淡水産のニッチアについては,少量ながらマウントできるようになっています。画像の珪藻がそれで,ニッチア・リネアリスに似ています。細くてコントラストが低く,並べるときは表裏の区別がほとんどつきません。この珪藻は油浸で高分解能を狙うと,見事な点紋がみえてきます。このレベルの構造は,見ようと思って工夫しないと見えないので,顕微鏡照明の訓練に最適な物体といえます(画像/MWS)。








2014年2月3日


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「住民投票を礼賛する世論が衆愚政治を生み、大衆民主主義をおぞましい独裁に変えるのだ」−こんなサブタイトルの記事を舛添氏が書いていたと,福島みずほ氏が報告していました。

こちら

このリンク先を読んでみると,何も知らないんだなぁと思いました。たぶん舛添氏は,巻町住民投票のことを,ほとんど知らずに,単に住民投票の部分だけをとりあげて意見を述べたのでしょう。その態度は,テレビを見ながら文句を垂れ流してる酔っぱらいオヤジと同等のレベルじゃないでしょうか。

筆者は巻町住民投票の内部事情について,元町長の笹口氏の長時間にわたる講演を聴き,懇親会にも参加したことがあります。笹口氏の話はいろいろなところにまとめられているので,そちらをご覧いただくとして,お人柄がわかるリンク先を一つだけ

こちら

に紹介しておきます。酒造会社の専務取締役であった笹口氏が,町長となって住民投票を成功させた背景には,笹口氏が「大切にしたいたくさんのもの」を持っていて,ひじょうにバランス感覚に優れた手腕で,多くの人にいろいろなことを考えさせたからです。みんなでいろいろ考え,みんなで結果を出した。その結果が原発誘致否定だったので,法に則った手続きを経て,原発建設計画を完全に中止となることを見守った。やっていることはまさに民主主義のお手本のようなことです。投票率が約9割と高かったのは,賛成派も反対派も,みんなが原発のことを考えた,勉強したからです。どちらも一生懸命,町の将来のことを考え,一票に託したのです。ですから,「住民投票を礼賛する世論が衆愚政治を生み、大衆民主主義をおぞましい独裁に変えるのだ」という舛添レポートのサブタイトルと,正反対のことが現場では起きていたのです。

画像は新潟県で行われた笹口氏の講演風景です。画像が今ひとつなのは,あまりにも感動的な講演内容に涙が止まらなくなり,震える体でシャッターを押したからです。こんなに素敵な,大人の判断ができる,ひとをまとめられる立派な人の講演を聴けたことは,一生忘れることはないでしょう。

笹口氏の会社が作るお酒は

こちら

です。懇親会にも差し入れしていただき,参加者一同,感激しながら味わったことを思い出します(画像/MWS)。








2014年2月2日


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Jシリーズのプレパラートは,照明によって鮮やかな色が出るものがありますが,照明方向によって色が変化するので,自由自在に色を出せるわけではありません。どこかを青に輝かせると,ほかの部分が暗くなったりして,なかなか難しいものです。輪帯暗視野ならば均一に光りますが,決まった色にしかなりません。こういったことをカバーできるのが画像処理です。きょうの画像は,ツリーを青く光らせた画像と,地面をピンクに光らせた画像を用意して,比較(明)で合成しています。これによって青いツリーにピンクの大地という鮮やかなコントラストの絵が生まれました。こういった工夫もなかなか楽しいのです(画像/MWS)。








2014年2月1日


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Jシリーズをご覧になった方々から,「後継者は作らないんですか」「製作法のガイドブックは?」「並べ方の講習会は?」といった 質問を幾度か受けてきました。皆さま素朴な気持ちからの質問と思いますので,毎回,なるべく丁寧に説明してきました。それをちょっときょうは書いてみましょう。

筆者は仕事として珪藻を並べているわけです。こういった仕事はマウンター(mounter)と呼ばれ,プレパラートの収集家からは,誰がマウントしたか,が重要になります。筆者がマウントしたものは,すべてMWSのJシリーズとして通し番号を付けているのも,一つのブランドとして認知しやすくするためでもあります。マウンターは独自の技術を持っていますが,それはその人の人生から生じたもので,プレパラートが評価されるのは,マウンターが評価されるのと同じことになります。

コレクターにとっては,評価の高いマウンターがよりよい仕事をしてくれることが重要です。つまり筆者は今後も独自の技術を追求して,最高の珪藻プレパラートを供給するのが,コレクターの方々から望まれている仕事といえます。

そして仕事としてやっているわけですから,利益があることも当然重要です。マウンターを養成して,珪藻を並べることができる人材を増やしたところで,それは自分の食い扶持をわざわざ失うような行為になる可能性もあるわけです。誰が好き好んで,そのようなことをするでしょうか。この辺りは,組織に雇われて給料をもらっている人と,自分で収入を発生させなければならない事業主とでは,考え方が全く異なります。もし,筆者が大手光学メーカに雇われている給与所得者だったなら,その組織の中で,後継者を作ることもあるだろうし,講習会を開くことだって考えるかもしれません。

こういったこととは別な理由もあります。技術というものは,目的に向かって困難を乗り越えられる人に宿るものだと,筆者は考えています。単純に,『珪藻並べ法ノウハウ』という懇切丁寧な本が一冊あったとしても,その本を読んで技術を身につけられる人は,それほど多くないだろうといいたいのです。たとえば,室内での歩き方,着席の仕方,道具の置き方,窓の開け閉め方法,日射の管理方法,空気の入れ換え法,着替えの仕方,洗濯物の取り扱い,換気扇の使い方,調理のメニュー,食事の内容,室内照明の使い方,衣服の組み合わせ,体調の維持方法などなど,『珪藻並べ法ノウハウ』を超えた日常生活の作法に渡ってまで,こまかい管理が必要になります。こういったことは技術として教えることはほとんど不可能で,観察力と実行力にすぐれた人のみが,自然に気づいて自分の動作を変えていくというものです。揚げ物も油炒めもせず,どんなに寒くともただの一度も空調を入れずに生活する…,これは珪藻が筆者に教えてくれた生き方です。最高のものを作るためにどれだけ情熱を注げるか,それは技術を伝えることとは別の問題の気がします。

あとは顕微鏡がわかる人であることが重要です。どんな顕微鏡を前にしても,自然に操作できる程度の経験は必須で,珪藻を扱う以上,対物レンズ/コンデンサ油浸は当たり前で,NAで話が通じないと,それこそ話になりません。顕微鏡が捨ててあったら嬉々として救済するのは言うまでもありません。そしてまた当然ですが,珪藻についてもある程度の経験が必須です。干潟,海,淡水の珪藻くらいはざっと検鏡した経験がないと,珪藻種ごとの取り扱い法の話が通じません。

こういったことを考えると,筆者は,『筆者と同じレベルで』珪藻を並べられる人を育成するのは現実的ではないと思うようになりました。レベルが低ければずっと簡単にできるでしょうが,『後継者』の場合には,Jシリーズと見分けがつかないものを作ってもらわねばならないので,それを教育によって行うのは難しいだろうと思うのです。

しかし高度なプレパラートを製作できる人はきっと現れるという確信があります。それはなぜかというと,筆者が品質を維持してJシリーズを作り続けているからです。職人技により作られる製品と同じものを作るには,技術の伝承よりも,製品そのものが存在しているということが何よりも重要です。完璧なプレパラートが目の前に一つあれば,人生を賭けて本気になれる人ならば,きっといつかは同じものを作れるでしょう。ですから現在販売中のJシリーズこそが,教科書,お手本,ともいえるのです。

珪藻の並べ方は古い文献にも書かれていますし,web上には主に英語のサイトで,情報がたくさんあります。しかし筆者はそれらの文献を読んだこともありませんし,まねしたこともありません。全部自分で考えた方法で珪藻を並べています。方法を考案するのに必要だったのは,完成品のプレパラート一枚だけです。それを見て,「自分だったらどう作るか」を考え続け,現在に至ります。この考え方はけっこう重要で,自分で作るんだから,自分で思いついて自分でできることしか,自分の技術にならないさ,という感じなのです。そこから長い道のりははじまるのです。

と,いろいろ書いてきましたが,この人ならば技術を教えられるかも,と思ったことが一度だけあります。海の珪藻ならカザグルマケイソウが好みだというその人は,上記に書いたことを完全に満たしていて(廃棄の顕微鏡も救済している),さらに古本でないと入手できない顕微鏡の本を集めていて,顕微鏡の前に座ると手が自然にコンデンサの心出しと上下,視野絞りを探しに行っていました。そしていつまでも覗いている,という方でした。はじめて操作するはずのフルオフォトですが,手慣れた感じで操作していた姿が忘れられません。動線が完全に「顕微鏡を正しく操作する人」になっているのです。このような,自分から進んで勉強して何かを身につけていく人は,興味がそちらに向かえば,珪藻もきれいに並べられるであろうことは,間違いないだろうと想像しています(画像/MWS)。









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