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ミクロワールドサービスが顕微鏡の世界を伝えるコーナーです。
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2015年10月31日


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13日付けの記事では初等教育機関の望遠鏡再生の記事を書きましたが,その後,この望遠鏡を用いて月面観望会が二度にわたり開催されました。のべ数十名の児童と保護者,ご家族が参加して,完璧なメンテナンスの施された望遠鏡で,月の全体像とクレーターを観望したとのことです。参加者はもとより,同席した教員も大喜びだったとのことで,整備を担当した筆者もほっとしたことでした。この時代の望遠鏡は接眼部がツァイスサイズ(24.5mm)なので,接眼レンズの径が小さく,のぞきにくいので,変換リングを用いてアメリカンサイズ(31.7mm)に変更してあります。もちろん接眼レンズもプローセルやワイドフィールドなどの,ハイアイで目レンズの大きな見やすいものに変更してあります。そういった,気づかれないところの工夫ですが効果は大きいのです。

画像は観望時の様子。サポート役のK教諭の撮影だそうです。構図と臨場感が最高です。まさにこれこそが天体観望という絵になっていて,想い出に残すにも素敵な絵です。借用してここに掲載する次第です(画像/K教諭)。








2015年10月30日


ps

グーグルニュースをみていたら,ホテルの客室に置いてあるテレビに対してNHK受信料金を払うべき,という恐るべき判決が出ていました。いくらなんでも,そりゃおかしいんじゃないの?と感じますが,筆者には他人事です。テレビなど,所有したことがないのですから。

大学院生だったある日の深夜,帰宅して,台所でさて夕飯でもと思いながらテレビのリモコンを手にしていました。見たい番組があるわけではない。音がないと不安なわけでもない。全く何の意味もなく,リモコンを手にしてテレビをつけようとしていたのです。愕然としました。何なんだこれは。そう思ってリモコンを放り投げ,確実に得たい情報がないならテレビはつけないことにしました。すると,毎日みていたテレビが,週1回程度見るかどうかになりました。

その後に引っ越しして都内で暮らすようになってから,テレビを購入することはせず,テレビのない生活に移行しました。ただ,その当時はパソコンにテレビチューナーがついていて,見ようと思えば見られないことはない,そんな状況でした。もちろん見る暇はなく,テレビのない生活が続いていました。その後,顕微鏡ビデオ撮影の関係でDVDレコーダーを購入し,それにもテレビチューナーがあったので,見ようと思えば見られるという生活が続きました。

しかし実際に見て録画したのは,スマトラ沖の津波報道関係と,その次は東日本大震災でした。原発が爆発することは,筆者にとっては容易に予測できたことでしたので,その瞬間を録画しました。何があっても放射能は漏れないと言い続けた政府や国の嘘を証拠として残すためです。それ以外にテレビを見ることはありませんでした。その後,地上デジタル放送になり,アナログ放送がなくなり,アナログチューナーも持っていないので,テレビは完全に見なくなりました。現在は携帯電話もスマホも持っていないので,ホント,何もなしです。

テレビは昔からあまり好きではなく,なんと言ってもあの「音」がだめで,特にバラエティー番組というのでしょうか,タレントさんがいろんなことをやって大げさに笑ったりするやつ,あの音が聞こえると,なぜかムカムカします。音を強制的に聞かされるのがストレスになるようです。電車に乗ってがたんごとんとか,川に行ってせせらぎの音とか,海の波の音などはまったく気にならないのに,テレビはだめです。そういうわけでテレビのない生活は平和です。NHKの集金の人に,テレビの音がダメでテレビありませんといっても,首を傾げられてしまい納得してもらうのが難しいのですが。どうぞあがって確かめてください,といっても断られてしまいますし。。

さてそれで,筆者がFacebookやtwitterについていけなくなった理由が,なんとなくわかったような気がしました。それらは,筆者の脳みそにとっては,何となく,テレビを見ている感じに近い印象なのです。面白い情報もあればストレスフルな情報もあって,そういう膨大な雑多な情報に浸ること自体が,テレビに似ていて,テレビになじまない脳みそが停止信号を出し始めたのではないかと。もともとテレビにすらついていけない古ぼけた脳みそですから,新しいメディアについていくのは無理があるというもの。そもそも,珪藻や放散虫を並べてプレパラートを作るという仕事は19世紀のものです。当時の暮らしに近い感じで牛歩的にやっていれば,よいのです。きっと。

きょうの画像は,そんな話題とは関係のない,久しぶりの鳥はむ。最近発見したことは,この鳥はむを作ったときのスープで,野菜塩ラーメンにすると大変美味ということ。もちろん,そこに鳥はむを載せてもいいのです。こうして目の前のことをよく観察して,小さな発見を喜んで暮らしていきたいと思うのです(画像/MWS)。



*1 テレビがないとはいっても,毎日ネット漬けなのですから,大同小異的な気もします。ただ,ネットのよいところは,見たくもないものは見ないですむことですね。

*2 毎日HPを更新していろいろカキコしているんだから,おまえもFacebookやれ,twitterやれ,と思っている方もおられるかもしれません(勧められたことも何度もあります)。でもすべて断ってきました。毎日HPを更新しているのは仕事だからであって,自分自身に課した,バカにならない仕組みでもあります。バカにならない仕組みですから,きちんと根拠あることを考えて書いていて,後からこっそりと記事を消したことなど,一度もありません。文章には責任が伴いますから,軽い気持ちで書くことは(とぼけた記事を除けば)通常はありません。毎日読んでくださる方々に,何か一つでいいので,情報を提示できるように努めています。そしてその何か一つは,自分自身の劣化を防ぐ知識にもなります。ということで,日記すら三日以上書いたことのない筆者が一度も休まずに本ページを更新し続けるのは,仕事だからです。仕事以外で,毎日毎日何かをつぶやいて,それらつぶやきが誰にでも閲覧可能な状態になっているなど,ストレスが増しそうな気もしますし,何より筆者の三日坊主の脳みそで続くはずがありません。

*3 職人ですから評価は気になるのが常です。しかし評価を得るために仕事をしてはいけないと思います。相手にするのは目の前の自然であって,評価する人間ではありません。たとえ本ページがほとんど読まれていないとしても,気にせず,仕事をこなし,よいプレパラートを作る,そういう方針で臨まないとこの種の仕事を続けることは難しいような気もします。ですから筆者には,「いいね」の数も,リツィート数も,あるよりはない方がいい情報です。





2015年10月29日


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手元にあったJ358の暗視野画像複数を用いて減算したり加算したり平均化したりしていたら,こんな絵ができあがりました。全体を演算していて部分的な着色等を行ったわけではないので,色は観察通りではないものの,モノクロ画像を意図的に着色したものよりは根拠がある絵といえるかもしれません(言えないかもしれません)。

などということをわざわざ書いたのは,このような下品な作り物の絵こそ,ニコンスモールワールド顕微鏡写真コンテストの審査員を喜ばせるものに感じたからです。色表現が必須とすれば,それだけで,分解能を追求している人々は排除されてしまいます。分解能に命をかけて,現代につながる素晴らしい顕微鏡を開発した,リスター,アミチ,アッベ,ケーラーがニコンのコンテストを見たら,どう感じるでしょうか(画像/MWS)。








2015年10月28日


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毎年恒例のLED交換作業。実体顕微鏡用の照明は各種LEDを使っていますが,珪藻拾いや並べる操作には明るく演色性のよい照明が要求される場面もあるので,電球色LED4個を20mA駆動で使っています。何度か紹介したこともあるOSM54K5111A,秋月電子から入手したLEDです。このLEDは赤色蛍光体が二種使われているようで,赤がきちんと出るので,一般の白色LEDよりもはるかにまともな色再現で,しかも440nmのピークが相対的に低いので,明るさを調節すれば目にも優しいのです。しかしながら蛍光体の劣化は早く,筆者のように毎日顕微鏡を覗いて,何時間もLEDを点灯させているような使い方では,一年で明らかに輝度が低下しています。そこで精密な作業を行うことが多くなる秋にLEDの交換となるのです。作業自体は簡単で10分くらいで終わります。準備や片づけ,それに部品がなかったりすると時間を浪費するので,常に在庫を持っておき,ハンダ付けセットもすぐに出してしまえるようにしています。

LEDは使用前にレンズ部分をエタノール+キムワイプで溶剤拭きしておきます。指紋などによる光の散乱がなくなり,明るくなります(画像/MWS)。








2015年10月27日


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なんか変なものがいる…と思ったらHD300,本物を初めて見た気がします。。ディーゼル型機関車に見えるのに,台車をみると電車。つまりこの機関車は,ディーゼルエンジンによる発電機と,電気を溜め込む蓄電池と,車両をうごかすモーターによってできているのでした。子どもの頃,一時期,非電化区間の線路沿いに住んでいたので,DD51とかDE10はよくみていました。だから,HD300をみた瞬間に,なんかヘンだと感じたわけです。。

ところで先日,本ページで一部の方のtwitterみてますよと書きましたが,少し前から見るのをやめました。どーもtwitterとかFacebookというのが何なのかよく理解できなくて,筆者の必殺技,「理解できないことは理解しない」を発動した結果です。非公開設定のtwitterとかFacebookは,ふつうのwebサイトと何ら変わらずに見ることができるので,ブログやHPの亜種で,交流を目的に特化したようなものかと思っていました。ご自分の発言を全世界に向かってオープンにしているわけですので,誰が見てもいいし,また発言者も世界に向けて発言しているものと思っていました。

しかし実際のところ,twitter発言者の中には,フォロワーに向かって発言していて,ご自分の書き込みが誰にでも閲覧されている可能性というものをあまり考えていない方もおられるようでした。もしフォロワーだけが読んでいると思っている方にとっては,筆者のように登録もせずに見ている人は,のぞき見されているように感じるかもしれません。筆者としては,HPやブログのように,ふつうに見られるものをふつうに見ていたという感覚なのですが,それは実際にtwitterでやりとりしている方々の感覚とは違う可能性もあるように思えました。この辺りの感覚の違いを整合的に理解しようとするとtwitterとは何か論まで遡ることになり,筆者の脳みそはint trap haltエラーを吐き出して停止したので,まずは「のぞき見」することをやめて少ない脳みそ資源(と時間)を消費しないようにすることとしたのです(画像/MWS)。



*1 twitterの発言は,その人のフォロワーが100人で,その発言のリツィート数が10件でも,その発言を1万人が閲覧している可能性もじゅうぶんにあるというのが筆者の理解なのですが,違うのかな?

*2 もちろん,人に見られて当たり前と思っているtwitterユーザーさんもおられますし,日々の活動を日記代わりに利用?しているように見受けられる方々もおられますし,世の中からよいものだけを拾ってきて紹介してくださる親切な方もおられます。使い方のいろいろあるメディアにすぎませんから,それぞれの思い通りに使うのが正解に決まっています。ここで書いたことは,要するに,筆者が時代についていけなくなったということです。まぁ,テレビも新聞もスマホ(携帯電話)もない生活を未だに続けているので,もともと時代にはついていっていませんが…。

*3 それにしても,この柔軟性のない石頭はどうにかならんかと,いつも思っています。何かが出ればそれに飛びつき,それを使いこなし,また新しい何かが出てくればそれをすぐに入手してモノにしてしまう。そういう人のフットワークの軽さは,何を原動力にしているのかと,いつもふしぎな気がします。石頭にはふしぎに思うくらいが精一杯なのです。





2015年10月26日(2)


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いつも こころに ターャジス

(画像/MWS)。








2015年10月26日


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週末の午後は久しぶりにお休みして歩いてきました。往復の電車で読書時間もとることができ,こういう時間が必要なんだよなぁと実感されて,深く反省したのでした。画像は歩いているときの二コマ。好きなんですよね,こういう風景。

空山不見人 但聞人語響 返景入深林 復照青苔上

これを中学生の頃に授業で習って,そのあとに近所の山・渓流で遊んでいたら,本当に日が傾いてから,日射が杉林の中まで入り込み,苔の上を照らしていたのでした。それが美しく感じられて,当時はじめたばかりの一眼レフを持って写真撮影を試みたものでした。いま振り返っても変な中学生だったわけですけど,そういったものに美しさを感じる心は中年オヤジになった今でも残っているわけで,Jシリーズを並べるような変な仕事の原動力にもなっているのかも…と,ぼんやり思います(画像/MWS)。








2015年10月25日


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これは近所の池にいたピンヌラリア。まさにガラスに包まれた生命という感じです。この画像,10月6日付けのものとは異なる機材で撮影しています。どちらが良いかは被写体にもよるので一概にいえません。6日の画像は水浸対物NA=1.0,拡散板組み込みコンデンサNA=0.9,きょうの画像はカバーグラス水浸対物NA=1.2,拡散板組み込み液浸コンデンサ(NA約1.3)です。画像の横幅は両方とも88μmです。生きている細胞の微細構造をNA=1レベルで追うとなると困難は多く,対物レンズ,コンデンサ,照明,標本マウント法,カメラ,画像処理ソフトを全て自在に使いこなせないといけません(画像/MWS)。








2015年10月24日


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本年のJシリーズ販売に黄色信号が灯り始めています。今年は春頃からどうにも作業時間がとれず,夏から現在に至るまで,標本製作という意味では,ほとんど仕事になっていません。バックオーダーも溜まっており,それの納期がありますので,ますます尻に火が点いています。。現在は見込みを提示できる段階にありませんが,だいたいの感覚として,まずは放散虫標本の製作を優先し,昨年涙を呑んだ方々への供給義務を果たしたいと考えています。その次に珪藻Jシリーズを製作販売したいと思います。どちらか片方は年内にどうにかしたいと思いますが,供給数は限られます。とにかく時間がかかる代物ですので,みなさま気長にお待ちいただければ有り難く思います。よろしくお願いいたします(画像/MWS)。








2015年10月23日


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珪藻は平面性がよいものが多く,その意味では撮影しやすい物体です。ところが放散虫はぷっくりしたものが多く,全体像を表現するのに悩みます。深度合成してしまえばいいのですが,手間がかかりますし,なんとなく絵のような,しまりのない積算結果になることもあって難しいものだなあと使うたびに思います。そこで近年やっているのが画像処理ソフトでの深度合成。深度といっても,使う画像は2枚です。もっとも見たいところにピントを合わせた画像2枚を撮影して,画像処理ソフトで平均化します。平均されてコントラストが弱くなるので,明るさやコントラストやヒストグラムなどを見やすくなるように調整します。少し眠たい絵になりがちなので最後はシャープフィルタをかけます。きょうの画像はその結果と原画。深度合成するときは,半分より手前にピントを合わせて,もともと見えても仕方のない向こう側はぼかします。こうして立体感と全体の雰囲気が少しはわかりやすくなった絵ができます(画像/MWS)。








2015年10月22日


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ネット販売等で入手できる顕微鏡デジタルカメラアダプターのなかには,設計が正しくないものがあることは過去に何度も述べてきました。きょうはその一例を,お客様から頂いた画像で示します。画像1枚目は,ネット販売で出回っているアダプター。BH-2からニコンFマウントに変換できるものです。このお客様はソニー製のカメラに接続して使っています。

この状態で当サービスのDL-TESTを撮影したのが画像2枚目。対物レンズは10倍を使っています。開口数は0.25程度です。厳しく見るとパーフェクトな像ではありませんが,まあまあ写っていて,この程度の写りで満足する人も多いことと思います。つまり,この設計が正しくないアダプターでも,低倍率であれば顕微鏡写真の世界へ案内してくれる道具たりうるということです。顕微鏡に低倍率のレンズをつけて,昆虫などを撮影しているような人は,このアダプタで仕事ができるでしょう。

ところが,高開口数のレンズになると話は全く変わります。このお客様によると,NA=0.95のプランアポクロマートを入手したのに,DL-TESTの珪藻を撮影したところ,霞んでしまい,まともな写りにならなかったとのこと。目ではきちんと見えているのに,カメラ側では写らないのです。もちろん油浸でも全くダメで,ほとんど結像しません。そうなってしまうのは,このアダプタの投影距離が,レンズの設計値を満たしていないことが原因です。

そこで,正しい長さにしてあげましょう。この設計不良のアダプタがFマウントであることを利用して,Fマウントの延長筒を追加で接続して,正しい投影距離にまで持ち込めば,高開口数レンズでも正しい収差補正で結像します。そのようにしたのが画像3枚目。これで,観察側と撮影側でピントがほぼ同じ位置になり,高開口数でも低開口数でも,パーフェクトな像を結ぶようになったということです。

こういった工夫例を見ると,このアダプターは設計不良ですが,適当に延長すれば使えるものになるので,アダプターというよりは変換リングの一種と見なせばよいように思います。そのままだと投影距離は合ってないよ,使う投影レンズにあわせて,自分で投影距離を調節して使ってね,低倍率ならそのままでも視野が広くけっこうまともに写るよ,と説明して売っているなら,どこにもウソはないし,いろいろな投影距離の投影レンズが使えるので,顕微鏡のプロにはかえって便利かもしれません。また,どうしても厚い水やガラスを通して観察せざるを得ず,そのために巨大な球面収差が発生してしまったとき,光学的鏡筒長を変化させて逆の球面収差を発生させて打ち消すというテクニックもあります。このテクニックは完全ではありませんが実際ある程度有効なので,検鏡物体によっては光学的鏡筒長が変化させられるように,投影距離を変えられる筒が便利ということもあります。

世の中にはもっとひどいアダプターが出回っていたりします。特に,間違った位置にレンズが入っているような製品は,これも低倍率では大丈夫ですが,高倍率では問題が生じ,まともに写りません。しかしレンズが内部に固定されているので,正しい位置に配置することが困難で,対処がむずかしくなります。そういったアダプターはゴミ箱に捨て,正しいアダプターを購入した方が幸せになれます(画像/MWS)。








2015年10月21日


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包丁がよく切れると料理の選択肢が広がるかも…と思ったのは,むかし,冷蔵庫にあった豚こまを挽肉にしたときでした。丸尾山の砥石でキンキンに研いでおいた包丁を使うと,豚こまは,次の瞬間には挽肉になっていたのでした。そんなことを思い出しながら,きょうはインチキ中華丼です。最近の豆腐は木綿でも,水増し疑惑があるのでは?と思うような崩れる豆腐が幅をきかせています。そういう豆腐をカットするにも,やはり切れる包丁がよろしい。。

まずごま油でニンニクとショウガを炒めて香りを出します。そこに,しょうゆで下味をつけておいた豚挽肉とねぎを投入。軽く炒めたら,酒をどぼどぼーっと入れます。量は適当(笑)。強火で,酒で挽肉を煮ます。酒が飛んで水分がなくなってきたら,白菜をどさーっと入れます。あらかじめチン(900W 2.5分)して臭いを抜いておいたブナシメジと,細かく切った豆腐も入れます。このタイミングで,しょうゆで味も付けちゃいます。

フタをしてぐつぐつ煮ると,しょうゆの塩分がまわって白菜から水がでます。豆腐からも水が出ます。それで良い具合に煮えてくるので,白菜がやわらかくなった頃合いをみて,水溶き片栗粉(あるいはくず粉)を回し入れます。水溶き片栗粉には,しょうゆをくわえておきます。強火で,すぐにヘラでぐるぐるかき回して,弱火にしてフタをして1〜2分煮ておしまい。あとは,あら熱が取れた頃に仕上げのごま油を垂らしてできあがり。

ひじょうにいい加減なインチキ中華丼(というか中華−マーボハイブリッド)ですが,まぁ美味しく食べられます。調味料は酒,しょうゆ,ごま油だけ。ダシは素材から出るので素材の組み合わせは大事です。きょうは白菜から出る水ときのこがポイント。 素材から出る水を薄めないように,水溶き片栗粉以外は水は加えません。味が薄すぎたらしょうゆか塩で調味。濃すぎたら,白菜を追加して薄めます。

筆者はレシピを参照して作ることがなく,○○の素,などというものも使ったことがなく,「まぁ,こうすればこうなるだろー」と適当に素材を放り込んで適当に作ってしまいます。だから本場物の料理は作れません。でも料理というのは自分の体を作る作業の一部でもあるので,時間をかけすぎず,適当に手抜きして,それでもおいしく食べられて,健康が維持できていればOKと思っています(画像/MWS)。








2015年10月20日


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無限遠補正系の鏡基を一台持っているのですが,ほとんど使い物にならないひどい設計で,放置プレイが続いていました。しかし大枚叩いて入手したものですので,飾りとして永久に置いておくわけにもいかず,手を加えることにしました。買ってからすでに5年弱になる…。この鏡基のひどさはかつて本ページで触れましたが,そこで書いた以外にもいろいろと問題があって,もっともよろしくないものが,ステージ取り付け部分の設計変更で旧製品のDICコンデンサが物理的に使えないようになったことでした。たぶん,位相差コンデンサもだめでしょう。コンデンサが収まるスペースが少しだけ小さくなっていて,コンデンサを上げると途中でぶつかってしまい,ケーラー照明位置まで上げられないのです。ほんの数ミリだけの問題なのに,なぜこのような設計にしたのか理解に苦しみます。ここのスペースは広い方が,コンデンサの設計上も何かとやりやすいと思うのですが。

旧製品のDICコンデンサなんて,つけても意味がないではないか,と思ったそこの貴方は顕微鏡にお詳しい。その通りで,DICコンデンサそのままでは,付けてもただの油浸AAコンデンサを使うのと変わらないです。しかし筆者がつけたいDICコンデンサは改造が施してあって,DICプリズムは外してしまい,いちばん大きな開口面に拡散板を仕込んであるのです。こうするとコンデンサ直下の遮光板で拡散板に影をつくることによって偏斜照明ができるようになるのです。現代の顕微鏡は偏斜照明がほとんどできないようになってしまいました。最近になってレリーフコントラストなどのインチキな名前で復活してきていますが追加投資が必要な状態です。正々堂々とむかしのように,顕微鏡のコンデンサには偏斜装置組み込みが当たり前の状態に戻してほしいものです。

さて偏斜照明用のコンデンサがまともに使えなければ,立派な顕微鏡も筆者にとっては粗大ゴミです。どうせ使えないのなら壊しても問題ありません…と思うことにして,ステージ取り付け部分をヤスリでガリガリと削ってしまいました。横幅を広げて,厚み方向も0.3mmほど削らないとダメでした。画像1枚目は作業前,画像2枚目は,だいたい削り終えたところ。削っては清掃して本体に取り付け,検鏡確認。これの繰り返しで,えんえんと大変な作業になりました。本当に腹の立つことです。

こうした改造を行ってしまうのは照明を追求しないと最良の像にならないということが念頭にあるからです。単にAAコンデンサをつけて,絞ったり開いたりという使い方だけでは不十分で,拡散板を適当な位置に差し込んだり,そこに影を作って偏斜照明気味の操作を行ったりと,瞳操作ができないと,特に高NAの領域できちんと分解能を出す絵にならないのです。そういった照明操作ができないと,手足が縛られて顕微鏡を使っている感じになってしまうので,全く使う気がおきません。それで,えいやと,顕微鏡部品をガリガリ削ってしまうのです(画像/MWS)。








2015年10月19日


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さてじゅうぶんな時間エタノールにつけ込んだどろどろは,濃い緑色の溶液になったわけですけど,これを黒バックにするとどうなるか,というのがきょうの画像。背景は植毛紙で,東急ハンズなどに売っている黒い毛の生えた布です。望遠鏡の筒の内部に仕込むと上等なつや消し塗装を上回る迷光カットになります。

で,画像1枚目は,普通照明で黒背景にしたものですが,溶液部分が緑色には見えません。トマトジュースを濃くしたような,赤っぽい色です。しかも背景が黒で,それよりも明るいですから,発光しているらしいことがわかります。そこで,横からLEDライトを当ててみると,光が通過した部分から赤っぽい発光が観察されました。これがクロロフィルの蛍光というやつです。クロロフィルは紫〜青の光を吸収して,赤い光を放出するという性質を持っていて,それは葉っぱの中にあるときもそうですが,エタノールで抽出しても,色素のもつ蛍光の性質は同じです。よりよく光らせるのなら,紫色LED(405nm)がおすすめです。赤く光るのがはっきりと観察できます。

このようにして,池のどろどろには色素が含まれていて,その色素は赤い蛍光を出すということがわかりました。けっこう簡単な実験ごっこでも,自然のしくみの一端を見ることができます。こうして日曜日の午後を過ごすのも悪くないものです(画像/MWS)。








2015年10月18日


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きのう掲載した公園のどろどろを採集してみると,画像1枚目のような具合です。どこからみても,どろどろです。これを顕微鏡で見れば,たくさんの珪藻が見え,どろどろの正体は光合成生物であることがわかるのですけど,誰もが顕微鏡を持っているわけではありません。そこで顕微鏡を使わずに,このどろどろがただの泥ではなく,生き物らしいことを示すにはどうすればよいでしょう。

画像2枚目が一つの例で,水を捨て,どろどろの部分にエタノールを注いだものです。燃料用などの安価なもので構いません。まもなくエタノールに色がつきはじめて,深い緑色になります。光合成色素がエタノールに溶け出してきて,含量も多くよく光を吸収するクロロフィルの色が緑色を示しているのです。葉っぱをエタノールに漬けても同じことが起きますので,比較すればなっとくしてもらえるかもしれません(画像/MWS)。



*1 じっさいにクロロフィルaだけを分離すると,青緑色に見えます。このような緑色ではありません。上の画像は,クロロフィルaのほかに,黄色〜橙色系のカロテノイドが含まれていて,それらの色も重なっています。ふしぎなのは,珪藻の生体内に存在しているときは,色素−タンパク複合体になっていることもあり,茶褐色っぽい色に見え,緑色には見えません。




2015年10月17日


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近所の公園にいってみたらこんな状況でした…。ふつーの人が見たら,なんだかどろどろして汚いなぁというイメージかもしれません。けれども,筆者の目には,これは純度のひじょうに高い珪藻群集なのです。とりあえず,目視でも,メロシラ・バリアンスが増えていることは間違いないであろう,というように見えます。経験というのは恐ろしいもので,このような,見えないものまでも,まるで見えたかのような色眼鏡を発生させてしまうのです。この色眼鏡は,経験上,9割以上はあっていますが,それでも,モノを見ていないので,単なるカン・色眼鏡であることは変わりありません。信じると,そのうちに痛い目にあいます(画像/MWS)。








2015年10月16日


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小難しい話をしたあとは,例によって,国内からよいものの情報をお届けといたしましょう。画像の品物は電子点灯管といいまして,蛍光灯のグロー球の代わりに使うものです。グロー放電する素子の代わりに電子回路が入っているのだそうです。こんなものの存在は全く知らなかったのですが,数年前?かなり昔になりますが,電子光学系のエキスパートエンジニアさんにお土産にいただきまして,早速使ってみたところ,これが感動的にすばらしいものなのでした。蛍光灯がスパンと点灯する…。

筆者はちらつきに弱く,照明がチラチラしているとものすごく脳みそに負担がかかります。先日も飲み屋の席の照明がちらついていて,着席するなり「照明が点滅している…」とつぶやいたところ「光にうるさい」と一蹴されてしまいました。自宅でも台所や洗面台の蛍光灯がチラチラするのでひじょうに気になっていましたが,電子点灯管に変えてすっきりです。すばらしい!



…ところで,本ページの話題が,ツイッターとシンクロしているようで,ツイッターを参考にしているのか? と複数の筋から聞かれましたのでお話しますと,まず,ツイッターに関しては,ごく一部の方については,拝見しています。

もともとツイッターというのが何かのかも何も知らなかったのですけど,いまもよくわかっていないのですけど,たまに,ウチのサイトにアクセスがどっと流れ込んできたように思うことがあって,その原因を調べていたら,ツイッターでリンクして下さった方がおられました。それから何度か,似たような現象が起きたので,その方のツイッターは定期的に拝見することにしています。ただ,ツイッターというのは筆者の好みでなく,追うのも時間を使いすぎるので,のぞき見するのはgoogle検索で引っかかった人で,当サービスのお客様と思われる方にほぼ限定しています。片手くらいの人数です。筆者自身はtwitterに登録?していません。

話題がシンクロしているのか?というのは,そうかもしれないし,そうでないかもしれないとしか,いいようがありません。ツイッターだけの話題を相手にして題材に取り上げようという思考は,ほとんど持っていません。かといって無視したいという気もありません。いろいろの判断材料の一つです。ほかの判断材料も多数あります。知人のHPやブログの内容,学会等で見聞きしてきた顕微鏡の利用状況,頻繁にメールをやりとりしている先生方との話の中身などです。

たとえば鏡筒長と検査板の関係は,もう何度も何度もとりあげました。その話題をまた取り上げたのは,いちばん大きな原因は,ある分野の多数の研究者が,どうも鏡筒長のことがわかってないらしいということが大きいです。ツイッターでも見かけた気がしましたし。そこで少し書いてみたところ,大きな反応があって,「どうして今頃になってこんな反応になるんだー」と思ったのでした。するとお客様のHPにレポートが掲載されたので,せっかくなのでこれも紹介しましょう,ということになったわけです。

そして昨日少し詳しい記事を書いたのは,設計の正しくないアダプタを売っている複数の業者さんが,ひょっとすると本ページを読んで参考にしてくれるかもしれないという思いと,その業者さん方に,アマチュアでも解決できる問題なんだから,あなた方プロの業者さんはもっとしっかりしろよと示したいという思いと,しょっちゅう連絡をとっている帝大の先生が,現在,留学研究員の方に顕微鏡特訓中で参考に使ってもらえるかも,という思いと,鏡筒長という言葉が機械的鏡筒長,光学的鏡筒長,投影の鏡筒長という複数の意味を持っていて,今までは単に鏡筒長,という言葉でひとくくりにしてきたので,この辺りで一度整理して書いておいた方がいいかなと思ったこと,など,そんな理由です。ツイッターで情報交換している立場から見れば,ツイッターに反応しているように見えるでしょうし,それは部分的判断としては,合っていると思います。筆者と直接やりとりしている方からみれば,「お,書いてくれたな」というように見えるでしょう。というように全体としては,ツイッターだけの判断でなく,色々な方とのやりとりの中で,適当そうな題材を選んで書いています。でもまぁ,ツイッターを参考に反応していることを気にされている人がいるようなので,今後は,「判断材料」にはしない方がよさそうな気もしてきました(画像/MWS)。








2015年10月15日


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珪藻の殻に刻まれている微細構造は,種により決まったパターンになっていて,世界中どこで採取しても同じ格好をしていることになっています。しかしながら,ひじょうに詳細に見れば,個体差というものが存在します。その例がきょうの画像で,スタウロネイス(ジュウジケイソウ)の拡大像です。ぱっと見た感じは全く同じ印象ですが,穴ぼこの一個一個の大きさや,乱れた部分の配列などには違いが見られます。撮像は油浸対物レンズに油浸コンデンサ(ともにNA=1.4)を用いています。なおこのレベルの撮像には,正しい設計,鏡筒長,投影距離のイメージングシステムを組む必要があります。その正しいシステムを使った上で,種々の光の制御を行い,画像処理を行って最終的な絵に持ち込みます。

ところで,鏡筒長についてひとこと触れておきます。有限鏡筒長の対物レンズで例えば160mm用のものがあります。これを正しく機械的鏡筒長(MTL)160mmの鏡基に装着して,そして機械的鏡筒長(MTL)指定の位置に正しく投影レンズをセットします。もちろん接眼部には接眼レンズを装着します。標本は正しく設計されたものを使います。この段階で,肉眼光路で接眼レンズを覗けば,正しい像が得られます。このとき,投影レンズ側の光路でも同じことがおきていて,対物レンズの性能が最大限に発揮される位置に結像しています。このときの対物レンズ鏡胴内部にある後側焦点面(BFL)から結像面までの距離を光学的鏡筒長(OTL)といいます。像面は任意の位置に作ることができますから,光学的鏡筒長(OTL)は固定位置ではありません。使い方で変化します。

カメラ側光路で直接焦点法以外の場合,対物レンズにより作られた一次像は,正しい機械的鏡筒長(MTL)の位置にセットされた投影レンズによって,決まった距離に二次像を結像させる設計になっています。このとき投影レンズから二次像までの(メーカー指定の)距離を機械的投影鏡筒長(PTL)と呼びましょう。この長さが,メーカーさん指定の設計値のときに,そこにデジタルカメラのセンサーがあれば,設計通りの収差補正の像を写すことができます。このとき,目で見た像とカメラ側の像のピントは当然一致しています。

このとき,機械的投影鏡筒長(PTL)が極端に変化するような,社外品の,不良アダプタを使ってしまうと,目で見てピントを合わせて鮮明に見えているのに,デジタルカメラの光路に変えると,ピントがずれて見えます。投影レンズによる投影距離と,不良アダプタの長さがマッチしないので,カメラのセンサに像面が来ないのです。

そこでカメラ側光路でデジタルカメラのモニタを見ながら顕微鏡のピントを合わせ直してみます。するとピントが合いそうな位置が見つかります。ピントを合わせ直すということは,対物レンズと物体間の距離(WD,作動距離)が変化するということです。作動距離(WD)とは,光学的鏡筒長(OTL)とセットとなる概念です。正しい機械的鏡筒長(MTL)を守って正しい標本を検鏡したときに,その対物レンズの設計値の作動距離(WD)になるのです。逆に言えば,その対物レンズの設計値の作動距離(WD)のときに,機械的鏡筒長(MTL)に関係なく,正しい光学的鏡筒長(OTL)の位置に像面が来ています。

ですから,投影距離の正しくないカメラアダプタを使い,肉眼光路とカメラ側光路でピント位置が異なるときは,カメラ側光路で顕微鏡のピントを合わせ直すしかありませんが,そうすると,対物レンズ本来の作動距離(WD)ではない位置にレンズを移動させることとなり,対物レンズにより形成される像面も,正しい光学的鏡筒長(OTL)の位置から大きくずれるのです。つまり機械的鏡筒長(MTL)160mmの鏡基に,指定通りに有限鏡筒長160mmの対物レンズをつけていても,対物レンズの要求する光学的鏡筒長(OTL)の位置に像を結ばせないということをやっているわけで,対物レンズの要求する光学的鏡筒長(OTL)が守られないのです。光学的鏡筒長(OTL)が守られなければ,高NAでは巨大な球面収差が発生しますから,まともな像にはなりません。

どこが間違っていたのかというと,目視で正しい像を結んでいるのに,カメラ側光路でピントを合わせ直したのがいけなかったのです。レンズが正しくセットされて,目視で完全な像を結んでいるピント位置に調節できたなら,ピント位置はそのままに,カメラの投影レンズとデジタルカメラのセンサ間の距離(機械的投影鏡筒長PTL)を調節して,ピントが合って最良の像になる位置を探すのです。それが鏡筒長(MTL,OTL,PTL)を守るということです。

こういったことを理解していれば,ダメなアダプタを改良することもできます。市販の設計がおかしいアダプタを使うにしても,あるいは自作でアダプタを作るにしても,正しい標本を用いて,対物レンズと鏡基を正しい組み合わせで(MTL)使い,指定の接眼レンズ・投影レンズを正しい位置にセットして,目で見たピントとカメラ側のピントがきちんと合っていれば設計上正しいわけです。市販の設計がおかしいアダプタでも,カメラマウントがついているわけで,投影距離が短すぎる場合は,そこに接写用の延長リングなどを挟み込んで,正しい距離(PTL)になるまで調整すれば問題なく使えるようになります。

世の中は広いもので,こういった工夫を自力で行い解決してしまった人がいます。

オリジナル顕微鏡撮影用アダプタ  − 牛肝菌研究所

顕微鏡写真では定評のある方ですから,当然なのかもしれませんが,さすがと言わざるを得ません。そして注目すべきことは,練習用,テスト用の物体に珪藻を選んでいることです(もちろん筆者製作のものです)。高NAの対物レンズで,珪藻を撮影して追い込んだからこそ,このような完璧なシステムができあがったのです。先日,顕微鏡を本当に理解するには油浸で珪藻を見ることが必要,と書きましたが,牛肝菌研究所のwebマスターさんは,顕微鏡を本当に深く理解しているように見受けられます(画像/MWS)。



*1 ここのところのアダプタ関連の記事に少なからぬ反響があったことに驚いています。当サービスの高品質な標本を,あの,複数の業者から供給されているダメなアダプタで撮影されたらひとたまりもありませんので,市販の設計がおかしいアダプタの存在については,本ページの開設の頃から,何度も何度もしつこいくらいに触れてきました。似通ったものをわざわざ作ってダメだよと,作例付きで掲載したこともあります(2013年4月6日)。にもかかわらず,これらの記事に書いてあることを読み取って,市販の設計のおかしなアダプタを回避するには至らなかった例が絶えないようで,情報提供のやり方に大きな課題を感じています。

*2 設計がおかしなアダプタは複数の供給元があり,小さなところも,大きなメーカーさんに見えるところもあります。他にもあるかもしれません。しかし本ページの読者であれば,それらの販売元を暴き出す努力よりも,顕微鏡のお勉強を進めた方がよいかもしれません。そうすれば,何が使えるか,使えないか,自分で判断できます。メーカーの垣根を越えた使い方も発見できますし,自作への途も開かれます。もちろん,お勉強というのは書物を読むだけでなく,珪藻プレパラート(自作でもなんでもいいですが,まともなもの)を徹底的に覗いて,イメージングして,見る目を養うのです。

*3 エキスパートになってくると,微量の球面収差を補正するために,鏡筒長をわざと狂わせることもあります。機械的鏡筒長210mm,カバーガラスなしで使う対物レンズを160mmの鏡基につけて,カバーガラスを通して検鏡して,トータルで収差補正している人もいます

見えなくなるもの −ミクロ・マクロ・時々風景

こういった使い方を思いつくのは,本来の正しい使い方を知っているからです。機械的鏡筒長50mmの変化による球面収差の発生量と,カバーガラス厚さによる球面収差発生が,相殺するだろうと予測して,適当なNAのレンズを選び,両者が打ち消し合うポイントに追い込んでいるわけです。本ページでも,特に断ってはいませんが,そのような技法を使って撮影した画像も掲載しています。

*4 これもいつも書いてきたことですが,鏡筒長の問題は,低NA対物レンズ,たとえばNA=0.25以下ではあまり問題になりません。WDの変化による球面収差の発生は低NAでは非常に小さな量になり,撮像してもコントラストの低下を感じられないこともあります。しかしこの場合でも,極端に鏡筒長を変化させれば,やはり像は悪化します。

*5 ここで述べたことは,無限遠補正系の鏡基にも当てはまります。無限遠補正系でも,三眼鏡筒部などに結像レンズが仕込まれていて,これの焦点距離が所定の位置にあるからです。これを無視したアダプタをつければ,高NAで像は悪化します。

*6 むかしの顕微鏡の本には,対物レンズの像を,適当に取り付けたカメラに投影する方法が書いてあります。このとき,対物レンズと標本の位置が変化すること,像質はメーカーが提供する投影レンズ付き専用撮影装置の方がよいことも付記されています。つまり鏡筒長を守らない方法によって像質が多少は劣化することも認識されていたわけです。

*7 機械的投影鏡筒長(PTL)が短いアダプタは正しい長さにすればよいので,追加費用はかかりますがまともなものにすることもできます。しかし大きなメーカーさんのアダプタ内部に投影レンズが仕込まれている製品はさらに問題です。このレンズ位置が狂っていて正しい収差補正で結像できる位置が存在しない場合があるからです。そのようなアダプタは改造も面倒なことになるので,使用をあきらめて純正品を使った方がよいでしょう。なお,このダメな位置にレンズが仕込まれたアダプタの場合でも,低NAでの撮影ならばそこそこ写っているように見えます。だからこそ気づかれにくいわけで,問題です。

*8 肉眼光路とカメラ側光路で同じピント位置(=対物レンズWDを指定の位置で使う)ことが基本セオリーですが,ほんの少しだけずれている程度(微動回転で多少ずれる程度)なら問題ありません。これは観察者の視力によっても変わるのです。視度補正の範囲内であれば,実害は通常ありません。

*9 大学院生時代は貧乏研究室にいたので,顕微鏡はおろかカメラアダプタも買える状況ではありませんでした。しかも使える顕微鏡が微動の壊れたSFR-Keだけだったので,カメラアダプタはすでに市販品ではありませんでした。そこで自作となるわけですが,ミザールの新星アダプターを使い,いくつかの筒をつないで,HKW8×接眼レンズで像を転送してフィルムで撮影していました。撮影対象は生きている浮遊珪藻だったので撮影難易度は高く,結果として正しいシステムに到達しています。その後にバイオフォトを入手してモノクロCMOSを使って高分解能の検鏡をはじめたときも,まず投影距離を調べて自作アダプタを作っています。ここで書いたことは顕微鏡を前にして勉強して,自分で確かめれば誰でも理解できる性質のものと思います。






2015年10月14日


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珪藻をイメージングの対象に使うと,少しの機材の差でも画像の違いとして判別できることがあります。たとえば開口数が0.05だけ異なる同倍率のレンズを使ったときの違いや,同じレンズで照明波長を変えてみたときの違い,あるいは,同じスペックの高開口数レンズを並べてイメージングして違いが出ることもあります。紫外から赤外まで透明で,光の波長前後のサイズの微細構造が存在して,しかも低コントラストです。保存性もよく変質しません。こんな物体はなかなかありません。

そういった光学的な理由はあるのですが,でも,珪藻が顕微鏡のお供として愛され続けてきたのは,そこに彫刻された周期構造が人々の心に何かを引き起こすからのような気もします。きょうの画像はスタウロネイス(ジュウジケイソウ)ですが,これをはじめて見つけたときは,ついに見つけた喜びと,その精密な点紋列にドキドキしたのです。いまでも,へんてこりんな形態の珪藻や,周期構造がすばらしい種などをみつけたときは,「オマエはここにいたのかー」と独り言をつぶやきつつ,じーと顕微鏡を覗いています(画像/MWS)。








2015年10月13日


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12日は望遠鏡の出張メンテナンスでした(仕事ならばいいのですけどボランティアなのです…)。初等教育機関では,光学機器をまともに扱える先生は希少な部類です。望遠鏡をきちんとメンテナンスして,赤道儀を扱って,子どもたちに月や惑星を見せられるという先生は,天然記念物,勲一等瑞宝章の部類に属します。依頼を受けた学校でも,画像のような立派な望遠鏡がありましたが,ホコリにまみれて,ふつうの人ではまず再起不能な状況のガラクタとなっていました。望遠鏡があるのに,この望遠鏡で星を見た人は,過去30年くらいいなかった感じなのです。まさに宝の持ち腐れなので,これを再生する一日となったのです。

まず全体の汚れを徹底的に拭き取っていきます。ぞうきんとせっけんが大活躍します。鏡筒は,30年くらい前の比較的よい塗装なので,そのまま石鹸とアクリルの布で洗って,手あかとグリスの汚れを落とし拭き取ります。すすけた汚らしいゴミが,すらりとした白鳥のような姿に生まれ変わります。レンズはまず水で汚れをゆるめて,そっと拭き取りして,重ねて水拭きして,最後は溶剤拭きで仕上げます。幸運なことに,貼り合わせの面は濁っていなかったので,一面と四面を拭いて終わりにしました。

収納するためか,すべてのネジがゆるめられていて,素人が手出しすれば簡単に破壊するところでした。望遠鏡は,機構が理解できないなら,組み上げた状態で保管する方が安全なので,三脚,マウント,極軸,緯度調整,ファインダーなど,あらゆる部分をきちんと調整して,そのまま使えるように仕上げました。そして今後の劣化が起きないように,正しい保管方法をアドバイスして,カバーも作ってもらいました。

そして機構の説明。赤道儀というものが,どのような考えに基づいているのかを,地球儀と赤道儀を使いながら,地球の自転,北極星の位置を示しながら説明します。この望遠鏡は極軸望遠鏡がついていますので,説明もしやすいですね。

最後は屋外で実技試験です。「はいはい」と返事をしても,その人が理解していないことがほとんどなのは過去の経験から明らかです。実際に望遠鏡を振り回してもらい,限られた時間内で対象を視野に導き,生徒に正しい指導のもとに見せられるかどうかが問題です。一応の理解が見られれば終了です。こうして祝日の午後は暮れていくのでした…(画像/MWS)。








2015年10月12日


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先日の記事10月3日付けで,鏡筒長が正しくない市販のカメラアダプタの存在と,それを使うと珪藻をまともに撮影することができないことを指摘しました。そうしましたら,当サービスのユーザー様が実例をwebサイトに紹介してくれました。

あれこれ(10月5日の記事)

このような症状に苦しめられないように,きちんと設計された製品を使うことが重要です。

誤った設計のアダプタを販売している複数の業者さんには,今後製品を改良してまともなものを供給していただける可能性もあります。また,低開口数のみを使う人には,現在の設計不良のものを用いても鏡筒長,投影距離の問題は表面化しない程度に収まることもあります。本ページでの情報提供はじゅうぶんできたことと思いますので,10月3日付けの記事については,業者さんの名前が推測できるような表現は消しました。該当の業者さんは,金属加工の高度な技術と販売網をお持ちなのですから,珪藻標本をイメージングして設計変更を行い,ぜひ正しい製品を作って頂きたく思います(画像/MWS)。



*1 現在,大学でも研究所でも,顕微鏡をきちんとわかっている人は少ないのが現状です。ですから,大学への納品実績がどれほどの件数があろうと,研究所にどれほど納品していようとも,それらが製品が光学上優れていることを意味しません。よくわからないままカメラを顕微鏡に接続して,収差だらけの絵を手にして,まあこんなものかと思っている研究者は山ほどいます。そういった実例を何度も見ていて,そのたびに正しい接続法を指導してきましたが,設計のおかしなアダプタは驚くほどに広く普及しています。珪藻標本を販売する立場からは,それらの製品を使って高NAで検鏡すると,きれいな像を結ばなくなるケースがあるので,たいへん困っています。

*2 当サービスの珪藻プレパラートや分解能検査板は,四大メーカーはもとより,主要な顕微鏡メーカ,光学機器メーカに納品実績があります。検品後の報告も多数頂いておりますが,いずれの顕微鏡メーカーさんからも高い評価を頂戴しています。

*3 顕微鏡を本当に理解するには,油浸で,正しく製作された珪藻プレパラートを検鏡することが必要といっても過言ではありません。それは言い過ぎでは? という意見もあるかもしれません。しかしエルンスト・アッベは,油浸で珪藻を検鏡して,光学顕微鏡の現代的な姿を完成させたのです。

*4 光学製品を供給するメーカーさんのカタログに,珪藻の微細構造をイメージングした絵が載っていれば,そのメーカーさんの実力を判断する一助になります。製品の品質はもとより,イメージング技術など,トータルの技術に自信がなければできないことです。






2015年10月11日


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顕微鏡の視野にハートが(^_^)  (画像/MWS)。








2015年10月10日


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きのうの考え方で,さらに低分解能のイメージングで写したのがきょうの画像。キンベラの一種で,解像にNA=1.4レベルが必要な微細構造がありますが,その辺を無視して,0.4μm程度まで解像する機材で写しています。低NAの機材が使えるので,倍率を下げることができ,この大型珪藻の全体を視野に入れることができます。分類学的な資料としては分解能優先ですが,世の中は学問だけではないので,こういった技法も表現の選択肢のなかにあればよろしいかと思います(画像/MWS)。








2015年10月9日


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珪藻被殻の構造を美しく写すには,最高NAのレンズが必要かというと,そうでもありません。種によっては比較的低いNAで十分に構造が写るものもあり,その場合は,低NAの方が被写界深度も深く,わかりやすい絵にできます。だいたい,構造の1/2まで解像するようなレンズを選べば,けっこうよい感じです。きょうの画像がその見本的な感じで撮影したもので,ライレラの構造は0.7μmくらいのものが多いかと思います。それを0.35μm付近まで解像するような機材で撮影しています。当サービスの機材では190nmでも解像しますので,分解能追求の点からは手抜きの極みですが,できあがった絵はじゅうぶんなレベルです。

もちろん,念のために言っておけば,機材さえ選べばよいというわけではなく,視野に一つのゴミやゴーストも写らない標本を作ることから始まって,画像処理に至るまで,様々なテクニックがこの一枚に込められています(画像/MWS)。








2015年10月8日


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第7回ナチュラルヒストリーフォトコンテストの応募受付が始まっています。

こちら

応募総数はそれほど多くはありませんが,投稿する方々の写真技術は相当にハイレベルなコンテストです。本ページをごらんのお客様でしたら上位入選もねらえることと思います。このような貴重なコンテストを開催してくれることに感謝して,これからも続けてくれるように,応募してみるのもよいかもしれません(画像/藤原財団のスクリーンショット)。








2015年10月7日


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有限鏡筒長と無限遠補正系の写り(見え)を比べていると,同じスペックの対物レンズでも,何かが違います。どちらがよいとか悪いとか言える段階ではありませんが,違いがあることはわかります。鏡基も違うし,コンデンサも違いますし,光源も違うので写りに違いがあっても当然ですが,そういった原因の違いとは違う感じ(笑)なのです。なんだろう。この違いは無限遠補正系を覗いたときからずっと疑問に思っているのですが,まだ質的内容はよくわかりません。しかしなんとなく,ある収差の補正状況が異なるのではないかと空想しています。違いのわかる男になりたい…。やっぱしゴールドブレンドを飲まなければいけないのか? 画像は無限遠補正系によるもので,特注品を撮影したものです(画像/MWS)。








2015年10月6日


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珪藻はガラスの殻に包まれた単細胞生物ですが,これを人に説明するのに,いつも困ってしまいます。むかしは,弁当箱のように,という表現をよく見かけた気がします。しかし最近の弁当箱はタッパー的なものが多くて,アルマイトの箱形のものは使ったことのない人の方が多いでしょう。政府与党が数十年の歳月をかけて日本の理科教育を壊滅的に破壊したので,シャーレという表現も使えません。世の中に多数生息する理科大嫌いな方々には,シャーレなどという表現でものごとが理解しやすくなることはないように思います。。

すると,箱のように,という表現くらいしかなくなりますが,今ひとつ,しっくりくる感じがしません。茶筒,というのが機能的にも近いのですが,ペットボトルのお茶がふつうの世の中になってしまい,毎日,茶筒から茶葉を取り出している人など,どのくらいいるのかという不安もあります。こうしてつらつらと考えると,結局のところ,カプセルという表現が,まあまあ妥当かというところです。二つの殻からできている珪藻を説明するための,誰もが知っていて想像できるよい表現法というのは,ないものだなぁと,言葉のむずかしさを実感します。

きょうの画像は昨日に引き続きピンヌラリア。弁当箱でいうならば,横から見たところです。ぴったりと合わさっていて,これに似通った気密構造って,あまりないですよね(画像/MWS)。








2015年10月5日


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忙しさにかまけて生試料を検鏡する機会が激減しています。よろしくないことです。当サービスの技術を駆使すれば,珪藻の殻を理想的にマウントできます。それをイメージングすればきれいに写るのは当たり前です。マウントに高度な技法が必要なものの,イメージングの技術をそれほど必要とはしません。ところが生試料では,いろんな条件を考慮して機材を駆使しないと,まともな絵になりません。マクロレンズの使い手で楽器も演奏してしまう北のプランクトンのプロは,ハードディスクに,生試料や固定試料のような鮮度の高い試料の顕微鏡画像を大量に保管していましたが,一目見ておののきました。業務の一環を遙かに凌駕したプランクトン画像は,そのうちにどこからか出版して欲しいと思うほどです。

そんなわけで,近所で採取したピンヌラリアを追いかけてみました。機材テストも兼ねていますので,まだまだ出来の悪い絵ですが,これでも数時間,執拗に珪藻を追いかけて,まともそうなものをイメージングしてみたものです。自作の改造コンデンサ(NA=0.9)による変形偏斜照明,照明はハロゲン,投影レンズは2.5x,対物は水浸(NA=1.0)です。カメラはNikon1J2。まあ,それなりには写っていますが,機材の特性を考慮した最適なマッチングとは言い難い感じがします。一般業務には何の問題もありませんが,出版物等の画像としては,追い込みが足りない感じがします(画像/MWS)。








2015年10月4日


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当サービスで販売している珪藻プレパラートは,分解能検査板以外のものでも,対物レンズの検査用に使えます。高度に精製された珪藻が高屈折率封入剤で,きちんと所定の屈折率を満たすような封入手法で製作しているので,抜群によくみえます。ただ,分解能検査板(及びJシリーズ)は,標本(珪藻)が収差を生み出さないことを保証しているのに対して,リサーチグレード等の標本は,観察する人が適切な位置にある珪藻を選び出さないといけません。そこに大きな違いがあります。

油浸で観察するときに無収差像に近い理想的な像を形成するのは,カバーグラス直下にある物体です。しかし熟練者でも,きれいに清拭されたカバーグラスと,封入剤の境界を判別するのはむずかしいものです。すると,片っ端から珪藻を見ていって,ピントがいちばん手前にあり,よくみえて,ちゃんとこちらを向いているものを選ぶ必要があります。この作業は,慣れれば決して困難なものではありませんが,いちばんよくみえる珪藻をついつい探してしまい,時間を消費することになります。その点,DL-TESTでは,並んでいる珪藻すべてが理想的な位置にあるので,そのまま観察すればOKです。便利さでは比較になりません。

ただ,リサーチグレードでもよい点があって,その一つは,DL-TESTよりも封入剤の屈折率が若干高いので,コントラストは高いのです。よく見える感じがします(しかし少しでも封入剤に沈んでいれば極端に像が悪化します)。もう一つのよい点は,いろんな種が拝めるということです。特に,DL-TESTで取り扱いしていない,数μmの小さな珪藻でも見ることができます。

きょうの画像はARK-01に入っているニッチアを撮影したもの。NAobj=1.4,NAcond=0.9で,手抜きの画像ではありますが,構造はきちんと再現されています。100年以上もむかし,この構造を発見した人は,さぞかし驚いたことでしょうね(画像/MWS)。








2015年10月3日


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これは海外のサプライヤーから入手した,『世界標準』とされている検査板。製造から11年3ヶ月経過しています。さすがに専門業者だけあって,歴史的に最も多用されてきた珪藻が精選されています。これらの珪藻を揃えるのは容易でなく,大変な苦労がしのばれます。。

しかしながら画像をみてわかるように,問題が多々あります。ギロシグマとプレウロシグマの一部には,封入剤が浸透していない…。確かにこれらの種は,表面にある穴は極小サイズなので,乾燥時に閉じてしまえば封入剤は入りません。取扱に細心の注意が必要なのです。そしてまた,全体に生じている顆粒や結晶。これは封入剤の耐久試験ができていないことを表しています。しかしまぁ,これらは些細な問題です。見映えは悪いけれども,検査板としてはそれでも使えます。

しかし致命的な問題があります,それは珪藻のピント面が揃っていないことです。というのは,封入剤の屈折率が約1.7なので,珪藻のピント面が揃っていないということは,珪藻によって,光路長が変わるということなのです。珪藻がカバーグラスに接しているものもあれば,接していないものもある。接していないものは,カバーグラスと珪藻の間に,封入剤があるのです。これが極端な像の悪化をまねくのです,

このサプライヤーは,世界的に有名で北米やヨーロッパを中心に製品を供給してきましたので,先にも書いたように,実質『世界標準』です。しかし筆者の目からは,この手持ちの一枚について限定した評価であることを表明した上で,これは油浸ではまったく使い物にならない素人製品です。顕微鏡光学を勉強せず,イメージング技術も持たない人がこのスライドを作ったとするならば,きっと,何が悪いかも気づいていないだろうと予想されます。

この製品を使ってレンズテストを行うと,テストプレート自体が球面収差を生み出すので,どれほど完璧な収差補正の対物レンズを用いてもまともな結果は出ません。ダメと判定されます。それどころか,球面収差補正が不十分な,一般にはゴミ箱に入るはずのレンズで,偶然にも球面収差が打ち消し合うことも起こりえます。このメーカーさんのプレートを用いて,顕微鏡のプロがイメージングした画像をいくつも見てきましたが,どれも,収差の見本市状態でした。問題なのは,テストプレートを信じてしまっている例が多いことです。観察眼が足りないんですね。間違っているのはテストプレートなのに。

当サービスでは,品質管理を徹底していて,レンズテストに使えないようなテストプレートは一切出荷していません。それはイメージング技術を持っていることからも保証できます。当サービスのテストプレートに不備があるかどうかは,送り返してもらい,当サービスの検査用顕微鏡でイメージングを行い,その画像を評価することで証明できます。また,この作業過程で,お客様のイメージングシステムに間違いがあることも発見できます。

これまでも,鏡筒長を無視したカメラアダプタや設計が正しくない製品で,当サービスの検査板を撮影したケースが多数ありました。いずれも,耐えられないひどい画像になりました。大枚叩いて購入した豪華Jシリーズが,イメージングすると,ボケボケになってしまうのです。しかも,肉眼で見ていると,本当に綺麗に見えているのにも…ということになるのです。

こういったケースでは,使用者から報告を頂ければ,筆者が解決法をアドバイスして,最良の像に追い込むことができています。それは,当サービスの検査板が正しく設計されているからで,この検査板を信じて,像が最良になるように追いこめば,最良のシステムができあがるのです。あらゆる光学面において厳しい品質管理ができているからこそ,このようなことが可能になるわけです。その有り難みがわかっている人は,ほとんどいないというのがかなしい現状かもしれませんが…(画像/MWS)。








2015年10月2日


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きのうに引き続いて,きょうもカザグルマケイソウの仲間。このなかまは古くから存在していたようで,一千万年前くらいの化石からも出てきます。海の珪藻で広く分布しているもので,国内外,どこからでもでてきます。きょうの画像はヨーロッパ方面の化石から見つかったもの。現生種とくらべると,ごっつい感じがして,模様もはっきりしています。こういったものはコントラストが出やすいので見映えがします。

ところで,10月1日は,黄砂が多量に飛んできたように感じました。ひじょうに細かいPM2.5級の粒子で,触れるとばらけるものと,硬い粒子が混じっている感じのものでした。中国で大嵐があって飛んできたのでしょうか? まるで春先の感じで,作業的にはひじょうによろしくない感じでした(画像/MWS)。








2015年10月1日


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当サービスの誇る超高級珪藻プレパラートJシリーズは,完全に透明な封入剤に,選び抜いたガラス基板とカバーグラスを用い,可能な限り無傷で汚れのない珪藻をマウントしています。すると,きょうの画像のように,真っ暗な視野に珪藻がまばゆく輝くといったピュアな視野が実現します。製作側の立場からは見慣れたものですが,これは驚異的なものでもあります。通常の標本製作では,どれほど珪藻を洗っても,どれほど封入剤を精製しても,まず実現不可能な世界です。珪藻を並べた標本は主に海外で流通していますが,レベルはピンキリのようで,ゴミだらけのものから,かなりきれいなものまで色々あります。しかし暗視野で完全暗黒になる標本は,筆者はまだ見たことがありません(画像/MWS)。









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