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ミクロワールドサービスが顕微鏡の世界を伝えるコーナーです。
日々の業務メモやちょっとした記事もここに記します


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2014年4月30日


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きょうは少しだけ価格のことについて考えてみます。当サービスのプレパラートは,どれも選んでも十分に満足頂けるよう,一枚一枚ていねいに封じています。いちばん低価格の教育用プレパラート(900円/枚)でもそれは同じです。どんな作業かというと,

・カバーグラスを清拭してブロワ(1分)
・スライドグラスを水拭き(50秒)
・カバーグラスに試料を滴下して乾燥(1分)
・スライドグラスに封入剤を滴下して封入操作(2分)
・封入標本を清拭(1分)
・ラベル貼り付け(1分)
・検鏡による検品(2分)

といった感じです。製品に値する完成度と信頼性を確保するために,封入は必ず一枚ずつバーナーで加熱しながら行っています。純粋に製作時間だけを抜き取っても10分程度の時間を要しています。実際には,試料を採取,調製に要した時間が必要ですし,出荷作業に伴う時間(伝票作成,発送作業)は最低でも30分はかかります。ほかに材料費(スライドグラス,カバーグラス,薬品,紙,インク,ケース,ビニール袋等)なども当然がかかっています。こうしたことを考慮すると,現在の価格設定は低すぎるわけです。しかしながら,珪藻プレパラートの世界は,まだほとんどの日本人が見たことのないもので,最初どんなものかお試しで見てみるのに高価なプレパラートを買うというのもむずかしいでしょう。それで低価格の設定としているわけです。

リサーチグレードではさらに注意深く封入するので手数が増えますし,Jシリーズに至っては膨大な準備作業と製作時間を費やします。必然的に価格は上昇しますが,それ以上の価値が生み出されていると考えています。どのプレパラートも,「永久プレパラート」の名に恥じないように,100年以上の製品寿命が期待できるように製作しています。安心してご利用いただければ有り難く思います。画像は今月納品したものの一枚。珠洲市の珪藻化石を242個並べたものです(画像/MWS)。








2014年4月29日


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きのう紹介したシステムによる作例をひとつ。奈良県のサファイヤを無限遠補正のPlan Apo 4xとケンコークローズアップレンズの組み合わせて結像させたものです。カメラはNikon1J1です。画像は全景と,等倍の切り出し。照明が自然光であることと,顕微鏡デスクの微振動が排除仕切れていないことから少しぶれが入っている気もしますが,それでもファーストライトでこのくらい写ります。

これ以上の倍率では,振動の排除が難しくなるので,物体は標本にしてしまい,素直に顕微鏡にデジタルカメラを接続したほうが好結果を得られると思います。しかしながら低倍率領域では,そのまま写したいものもたくさんあって,その場合は,きのう紹介したようなシステムが役にたつのです。というのも,ふつうの顕微鏡は光軸が上下方向ですからね。水平方向のアングルで撮影したいものも世の中にあるわけです(画像/MWS)。








2014年4月28日


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BORG顕微鏡システムについて,きのうは文章で説明したのできょうは画像で例を示します。ごらんの通りに,いろいろな組み合わせができます。

画像一枚目は,New Nikkor 200mm F4を玉抜きして,筒だけにしたものに,金属顕微鏡用のMプラン対物レンズを取り付けています。Cマウントのエクステンションチューブで鏡筒長を調節していますが,これがなくても,レンズを繰り出せば鏡筒長は合います。CF対物レンズの直焦点でイメージングできますから,照明さえうまく行えば,良い絵になります。

画像二枚目は,BORGのM57延長筒,2インチ接眼部を用いて鏡筒長を確保した例です。延長筒の変わりにM57ヘリコイドを挟めば,微調整ができて便利かと思います。

画像三枚目は,無限遠補正の対物レンズ(ネジ径25mm)に,25mm→RMS変換リング(ライカマイクロシステムズ)を取り付け,そこからCマウント,M42,M57,M52と接続して,ケンコーのクローズアップレンズ(アクロマート,FL=200)を結像レンズとして用いたものです。結像レンズを無限遠のピント位置にするために延長チューブをつけています。これで無限遠補正系でも正しい使い方ができます。

画像四枚目は,45゜正立プリズムを組み込んで,ビクセンのLV15mmを装着して顕微鏡とした例。正立像で,よくみえます。ダハの稜線が少し見えますが,観察にはそれほど邪魔にならない印象です。アイピースは各種交換できますが,LV15を選んでいるのは理由があります。LVシリーズは15mmがもっとも歪曲が少ないのです。顕微鏡では歪曲を極端に嫌いますから,ナグラーなどは使い物になりません。

画像五枚目は,同じ正立像顕微鏡システムにマスヤマ30mmを使った例。このアイピースを知っている人はちょっとしたマニアでしょう。天体望遠鏡販売店のアトムが企画販売した高級アイピースで,ヌケの良い像が拝めます。このアイピース(30mm)は筒が特殊な設計で光路長が稼げるので,顕微鏡対物レンズを用いて鏡筒長を確保するときに余分な筒が減らせるので便利です。焦点距離もちょうどよく,顕微鏡でいえば8倍の接眼レンズといった感じで,大変よくみえます。

…というように,カタログとにらめっこすると,手持ちのレンズを活かす,こんな素敵なシステムが生まれちゃったりするのです。どの例も,光学的にはきちんと接続されているので,いい加減につないで球面収差でまくりの像,なんてことにはなりません。大切なのはレンズのスペックを満たすように筒を作ることです。本ページではしつこく何度も書いていますが,光学的な条件を守る,鏡筒長を守るというのは,それほど大事です(画像/MWS)。








2014年4月27日


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さて大型連休も始まったことですので,楽しく遊ぶためにBORGのパーツを用いて顕微鏡写真を極める方法を考えてみませうー,というのがきょうの画像です。顕微鏡対物レンズをどのようにして,デジタルカメラに接続するかということの一例です。考えることは一杯あります。

この手の情報はweb上にもたくさんあるので,ここで紹介する方法はすでに試みた人も多いかもしれません。情報のオリジナリティーに関しては全く主張する気がありませんので,その点,ご了解いただければと思います。

そう書くにもかかわらず,きょうの方法は勝手に考えたものです。というのも,手持ちの機材にどう接続するかという視点が大事なので,web上を漁れば簡単に解決策が見つかることを知っているにもかかわらず,そのようなことをせず,手持ちの機材を活かせる方法を考えてカタログとにらめっこしたのでした。何でこんな遠回りのやり方をするのかという問いに対する答えは,「頭の体操」です。こういう訓練をすると,しないよりはいいことがあるのです。それは,web上で検索すればすぐに答えが見つかるけど,辞書を引けば,ほかのことも必ず頭に入る,ということと似ているように思います。

さて画像ではどのように顕微鏡対物レンズをニコンFマウントまで持ち込んでいるか,という一例を示しているのですが,鏡筒長を無視した,単につないでいるだけの間違った例(画像)なのでそこは注意してください。まずMPlanレンズを,「ユニエル電子のRMS→Cマウント」アダプタに接続します。これをBORGの【7527】「Cマウント→M42P1オス」に接続します。次に【7524】「M42P1メス→M57メス」に接続。これを【7405】「M57オス→M52フィルターネジ」に接続します。そしてこれをkenkoの「O/M52mmリング,52mメス→52mmメス」に接続します。そして最後はニコンのBR2Aです。これを基本セットといたしましょう。このセットを使うと,いろいろなことができます。

Mプラン対物レンズ(TL=210mm)を使いたいときは,【7524】と【7405】の間に,M57延長筒とM57ヘリコイド,それにCマウント延長チューブなどを用いて鏡筒長を調節すればOKです。レンズの玉抜きができるひとは,【7405】のあとに,玉抜きしたレンズを付けて鏡筒長を調節すればOKです。TL=210mmを守れば,レンズの性能を発揮した撮像ができます。

RMSマクロレンズを用いるときも考え方は同じです。ペローズの変わりに,玉抜きしたズームレンズや望遠レンズを用いて,ヘリコイドの微調整を活かした撮影ができます。もちろんBORGのM57ヘリコイドを用いても問題ありません。

生物顕微鏡用の有限鏡筒長レンズを用いるときは,鏡筒長が160mmになるように調節すれば,NA=0.3程度までの撮像で特に大きな問題は生じないでしょう。それ以上大きなNAの対物レンズを用いるときは,レンズ指定の厚さのカバーグラスを使わないと像が劣化します。

無限遠鏡筒長の顕微鏡対物レンズを使いたいときは,kenkoのクローズアップレンズ(FL=200mm)か,適当な望遠レンズを無限遠にあわせて,そこに【7405】をつければ,その望遠レンズが結像レンズになり,設計値通りの使い方になるでしょう。但し,結像レンズがメーカ指定ではないので,厳密には像質が落ちると思いますが,簡易接続なので解像限界を追求するのはもともと難しいので,十分かと思います。ちなみに,ニコンの無限遠補正系の結像レンズはFL=200mと記憶しています(違っていたらごめんなさい)。この場合も,もちろん,金属用対物レンズなら裸の試料を撮影し,生物用の対物レンズならカバーグラスを用います。

イメージサークルを確保することが大事なので,レンズの入射瞳の位置がレンズの中に引っ込んでいるようなレンズを使うと宜しくありません。標準レンズとか広角レンズを使うと必ずケラレます。望遠レンズが好ましいです。コンパクトデジタルカメラなどは,レンズが内蔵なので,たとえ望遠でもこれを結像レンズとして使うことは(ほとんどの場合)無理があります。この場合は,無限遠補正系対物レンズのあとに結像レンズをつけて像を結び,それを接眼レンズなどのリレーレンズでデジタルカメラのレンズに伝送して,撮影するというコリメート法の手順が光学的には正解の一つかと思います。

ユニエル電子のRMS→Cマウントを外してしまえば,そこにCマウントレンズをつけて遊ぶこともできます。それも外してしまえば,M42のレンズをつけて遊ぶこともできます。そして【7405】はボーグのM57システムに接続できますから,ボーグ金属鏡筒に【7405】kenkoの「O/M52mmリング」,BR2AをつけてFマウントカメラを接続することもできます。

このシステムのもう一つの強みは,【7524】のあとに望遠鏡用の観察用ユニットを接続できることです。顕微鏡ができるのです。たとえば,M57システムで適当な鏡筒長を確保したのちに【7509】で2インチの望遠鏡用アイピースを接続,あるいは,【7522】【4317】を用いて31.7mm規格のアイピースを接続するもの面白いでしょう。ニコンのCF対物レンズなどは倍率色収差を単独補正していますから,望遠鏡用のアイピースを用いても問題ありません。ただ,あまり無効拡大しても面白くありませんから,焦点距離にして,24mm(顕微鏡用で約10倍)よりも長いもの(低倍率)を選ぶとシャープに見えて良いかと思います。各種プリズムも挟めますから,正立像,倒立像,裏像など,好みに応じて選択できます。

…というように,カタログとにらめっこすると,なかなかフレキシブルかつ,レンズの性能を発揮させるシステムができあがるというわけです。こういうわけなのでレンズ遊びはやめられません勉強は大事だと思うのです(画像/MWS)。








2014年4月26日


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一昨日ボーグ(BORG)の話を書いたので,ついでに昔話をいたしませう。BORGは1991年にうまれました。これより数年前に,ハレー彗星がやってきたので,トミーが「ファミスコ」という単焦点屈折(6cm)を発売したのです。このファミスコはよくあるBK7-F2のアクロマートよりも高価な硝材を使っていたらしく,マニアの間では,プラスチックのオモチャだがレンズはいいとの評判でした。BORGはそこからヒントを得て,軽くてどこでも持って行ける天体望遠鏡として,プラスチック製の鏡筒・接眼部で販売開始されたのです。F値も当時の望遠鏡としては小さく,これは明るくて軽いことを意味しました。アイピースまでプラスチック製で,ほとんど冗談のように感じましたが,プラスチック鏡筒の大量生産はオモチャのメーカーでなければできないことで,いわば,世界中のどこも真似のできない尖った製品とでも言えるものでした。

当時の筆者は大学院に入る頃といった年齢で,理系研究室の常としてきわめて忙しい毎日でした。往復4時間半の通学時間もあって,家に帰るのは早くても20時,遅ければ帰れない(泊まり)といった日常でした。その忙しさの中でも天体観察をしたいわけですが,28kgもあるミザール製の「カイザー」を持ち出す余力は皆無でした。そこにプラスチックのオモチャとはいえ,はるかに軽い望遠鏡が発売されたので,なけなしの銭を叩いて買うことにしました。BORGデビューから一年もたっていない頃だったと思います。

架台がないと使えないので,小型の赤道儀に載っているセットを5万円で誠報社から購入(当時の誠報社はBORGを扱っていた。そのあと大げんかしたらしく,二度とBORGを扱わなくなった)。筒はBORG76で,口径7.6cm,FL=500mmです。早速覗いてみると,月には冗談かと思うような激しい色収差が出ます。笑いました。8cm,FL=1200のカイザーと比較するまでもなく,軸上色収差の見本のような像です。ふーむと思いましたが,軽さはやはり魅力的で,深夜に帰宅してから,部屋の中から筒だけ外に向けて星を見ることが増えました。

しかし色収差のない像が欲しくなって,それから一年もせずに100EDカーボン鏡筒を購入。それがきょうの画像です。10cmEDが,鏡筒バンドもついて,実測1750グラム。これは今でも世界記録かもしれません。恐るべき軽さで,どこにでも持ち運びができました。自宅で月を見ても素晴らしいし,陣場山の頂上で流し見る天の川は,とても言葉で表せるようなものではありません。真鶴の空で見た二重星団,アンドロメダ,バラ星雲はRAWデータのまま脳みそに格納されています。。この10cmEDはおそらくFK01にKzF系の組み合わせで,g線よりも短波長で軸上色収差が出てくるように感じますが,よほど空のきれいなところで木星でも見なければ気にならない程度です。

天体にはいろいろな楽しみ方があって,惑星は大口径で高倍率が必要ですし,星雲星団や天の川散策は大口径で低倍率が必要…とのことで,後にBORG125を入手。これは125mmのアクロマートレンズが貼り合わせという冗談のような代物で,派手な色収差も出るのだが,e線付近のフィルタを入れてやると非常にシャープなので,D線からe線辺りの球面収差はよく補正されているように感じられます。これはBORG76も同じで,300倍もの過剰倍率で月を見ても像が崩れない。むしろ軸上色収差が見えなくなって,面白い光景が見えます。

BORGを入手したことによって望遠鏡を使う機会が増え,見ることができた現象がいくつも生じました。百武彗星はよい想い出。まだ見えないHale-Bopp彗星の軌道を計算して,この辺りに見えるはず,と毎日望遠鏡をみていたら突然,9等くらいの像が現れてバンザイしたことも。もっとも印象深いのはSL9彗星の木星衝突。何も起きないだろうとの専門家の予想とは裏腹に,予想時刻になると真っ黒な穴が見え始めたときには胸が高鳴り,身震いしました。月も木星も土星も,近所の人や見知らぬ通行人,お巡りさんにまで見せてあげました。望遠鏡をのぞき込む筆者を不思議そうに眺めているワンコにも,だっこして月と土星をみせてあげました。

とまぁ,書けばいろいろキリがないのでありますが,このBORGプラスチック鏡筒,天体写真には向かないとマニアには非常に評判が悪く,それを受けてすぐに金属鏡筒の販売となりました。そして数々のヘリコイド,変換リング群アクセサリーが充実して,何でもできる望遠鏡システムに発展してきたのは皆様ご存じの通りです。きょうの画像には歴代のカタログが並べてありますが,最初の頃はプラスチック鏡筒に天体写真の組み合わせ,それが最近のカタログではカワセミに航空機が写っています。先細りの天体マニアばかりでなく,鳥屋さんも飛行機屋さんも取り込んで,戦略としては大成功ですね。

しかし思うのです。あのプラスチック鏡筒の頃のBORGが,いちばん先端的で,斬新で,格好良くて,使いやすくて,いい望遠鏡だったと。BORG10cmEDは金属鏡筒への入れ替えサービスもやっていましたが,筆者はそれを選択しませんでした。だんだん劣化するとわかっていても,この魅力的なカーボン鏡筒をふところで暖めながら空のきれいなところに出向き,降るような星空に向けたいのです(画像/MWS)。








2014年4月25日


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お客様との何気ないメールでのやりとりは,心休まる時間です。単にモノが売れればよいという考えは元々持ち合わせておらず,珪藻の精妙な世界を提供したいとの思いから仕事が続いているわけです。ですから,お客様と顕微鏡や珪藻の話ができることは,アイデンティティーに沿った行為で,楽しいし,仕事そのものでもあるのです。そしてお客様からのご指摘に勉強させれらることも多く,先日はこんなお言葉を頂戴しました。

「油浸で覗くと Jシリーズが すごく安価に見えました。」

なるほどひじょうに的確な表現と感心しました。皆様ご存じのように,Jシリーズは油浸検鏡時にパーフェクトな像を結ぶように製作されています。50個の珪藻が並んでいたら,50個全部がパーフェクトな像を結びます。もし自分で珪藻をとってきて,処理して,ふつうに封じたら,油浸でパーフェクトに像を結び,汚れも割れもなく,きちんとこちらを向いている珪藻など,スライドグラス一枚全部覗いても一個あるかないかという頻度でしょう。ですから,並んでいる珪藻が全部,カンペキに良く見えるというのは驚異的なことなのです。

自分ではそのつもりで作っていても,すっかりその「驚異性」を忘れてしまい,お客様からの指摘で自分の仕事の価値を再確認することとなりました。じつに有り難いことです(画像/MWS)。








2014年4月24日


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BORGのパーツを買いに清原光学の横のお店に行ってきました。BORGのパーツは通販がメインですが,筆者は通販と相性が悪く,むかしからお店で買い物をすることにしています。以前は秋葉原のK産業に行っていましたが店員の応対が悪く,パーツを買うにも事前に電話をくれと言われたので,面倒になり行かなくなりました。清原光学の横のお店は,在庫をいくら眺めていても問題なく,ジャンクもたくさんあって楽しく,好みのお店でした。

BORGとのつきあいは長いのです。望遠鏡は76アクロ,100EDカーボン,125アクロと使ってきました。大学院の頃に,必要に迫られて顕微鏡写真撮影装置を自作したのですが,このときにヘリコイドTを使って投影距離を調節でき,BORGのパーツは便利だなーと実感しました。まだBORGが世の中に出たばかりの頃です。それ以来,望遠鏡でも顕微鏡でも,BORGのパーツにはお世話になってきました。今回連れて帰ったのは[5003][7604][7509]です。

さて早速,手持ちの望遠鏡BORG100EDカーボン鏡筒に[5000][5003]を接続して,FT1,Nikon1J1を装着します。これで問題なくピントの出る640mmF6.4のできあがりです。35mmフィルムカメラ換算で,1728mmの超望遠レンズです。いつものテストチャートを撮影したのがきょうの画像です。ごく軽い軸上色収差を感じる気もしますが,焦点距離を考えれば十分締まりのある絵と言っていいでしょう。ボルトのねじ山まで解像しています。今ではよく知られるようになりましたが,望遠鏡対物レンズの中心像は,カメラレンズのそれよりも遙かに高解像です。Nikon1J1で,そのおいしいところを使えるのは有り難いですね。

今ではデジボーグなる言葉も生まれていますが,BORG100EDカーボンは,21〜22年前に買ったもので,まだデジタルイメージングは一般的ではありませんでした。それがこうして現代の撮像素子を装着して,再び強力な武器としてよみがえるのですから,レンズ遊びはやめられません勉強は続けるものですね(画像/MWS)。








2014年4月23日


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画像一枚目は,レンズを抜き取ったNew Nikkor 200mm F4の筒先にクローズアップレンズ(アクロマート)のFL=200mmを装着したもの。フォーカスが出るように延長アダプタをつけて,FT1を介してNikon1J1に取り付けます。画像二枚目が作例。ひじょうに安価に入手できるクローズアップレンズでも,けっこう良像であることがわかります。筒が少し長くなる以外は,実用可能と判断してもよいくらいです。ニコンFXフォーマットのカメラでは周辺像に問題が出るかもしれませんが,真ん中のおいしいところだけを使うNikon1J1の小さなCXフォーマットであれば問題ない,というわけです。こういった遊びが簡単にできる,良い時代になりました。筆者がカメラ小僧だった頃は,中学生のなけなしの小遣いで一眼レフと望遠鏡のファインダーを接続し(300mm F7.5),周辺がケラレるのも我慢して野鳥などを撮影していたのです。フィルムの浪費になったことは言うまでもありません…。画像3枚目は,4メートルくらい離れたところのタイサンボク。絵だけ見れば,これがケンコーのクローズアップレンズで撮影したものとは,思わないでしょう(画像/MWS)。








2014年4月22日


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これはいつもテストチャート代わりに使っている,100メートルくらい離れた建物。Nikon1J1に,トキナーSL300mm,F5.6というレンズをつけて絞り開放で撮影。Nikon1J1は撮像素子が小さく,中央をトリミングして使っているようなもので,画角では810mm相当になります。いまから30年前に購入した,いまでは誰も知らないマニュアルの望遠レンズなのですが,なけなしの小遣いを叩いて買うために勉強し,当時,一番安くて一番性能のよいものを選んだのでした(EDレンズ除く)。30年の時を経て,このレンズの性能を手軽に確かめられるようになり,やはりかなりの性能であることが確認できました。アクロマートですから色収差は出ますが,RGBのGだけでモノクロ画像にすればすっきりとした絵になります。画像二枚目は等倍の切り出しですが,ダクトの蛇腹が2本とも解像しています(画像/MWS)。








2014年4月21日


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ヤコウチュウ赤潮の話題を書いていましたら,浅海域教育研究の先生から連絡をいただきました。今年はヤコウチュウの当たり年のようで,すばらしい画像を教えてもらいました。皆様もぜひごらんください(こちら)。昼間見た真っ赤な海が,夜はこうなるのです。青白い色がヤコウチュウの発光です。こういう絵を見ると,前世がカラスだったかもしれない筆者は,見たい見たい見たい!,何がなんでもみたい〜!!と浮き足だってしまいます…。海に近い人,ピカピカ光るヤコウチュウを見に急げ急げ(画像/MWS)。








2014年4月20日


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いちばん濃い部分でヤコウチュウ赤潮をペットボトルにサンプリングすれば,こんな感じ。赤潮発生時のヤコウチュウは浮力を持っていることが多いので,ペットボトルを逆さにすれば上に集まってきます。それにしても鮮明な発色と言わざるを得ません。このヤコウチュウ,もう少し海水で薄めて,空気をたっぷり供給して,冷却したまま持ち帰れば,半日くらいは生きています。そして,暗室でペットボトルを強く振れば,青白く光ります。ピカピカ光るものが大好きな筆者としては,大変面白い遊びになるのです(画像/MWS)。








2014年4月19日


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これはヤコウチュウ赤潮に現れたカルマン渦列。こうした現象がはっきり見えるほどに濃い赤潮だったのです。なお,赤潮というと悪いイメージがある人もおられるかもしれませんが,赤潮自体は海水が着色する現象で良いも悪いもあります。ヤコウチュウの場合は,水産資源(漁業生産)に影響を与えるほどの被害は希で,季節的にときどき出現する風物詩のようなものといって良いかと思います(画像/MWS)。








2014年4月18日


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17日は相模湾西部方面にサンプリングでした。東海道線の車窓から眺めるに,相模湾の各地でヤコウチュウ赤潮が発生中です。この赤潮はパッチ状に分布していて,ぜんぜん見あたらないかと思えば,突然,真っ赤な水に遭遇して驚かされたりします。今回はかなり濃密な赤潮も見られたので,サンプリングもそっちのけで,赤潮を追いかけて写真を撮り続けました。これだけヤコウチュウが集まれば,夜には波打ち際が青白く光ることでしょう。夜まで待ち続けたい気分でしたが,後ろ髪を引かれる思いで帰宅しました。相模湾沿岸にお住まいの方,ここ数日が勝負と思いますので,夜のヤコウチュウ観察などいかがでしょうか。♪逃すなチャンスを〜(画像/MWS)。








2014年4月17日


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1 Nikkor 18.5mm F1.8はなかなか良く写るので,カメラを持ち出す気分が倍増するような気もしています。きょうの画像はバルコニーに訪れた春。カエデの芽吹き,セリ,サルナシの若葉です。フィルム一眼レフ時代は,ズームレンズの甘い写りが好みでなく,85mm F2をほとんどの場面で使っていました。単焦点レンズを使うとその頃を思い出し,ズームで都合良く切り取ることに慣れて,写真がすっかりへたくそになっていることに気づくのでした。ズームを使ってフレーミングするのと,単焦点レンズを使ってフレーミングするのでは,脳みその使っている部位が異なるような気がします(画像/MWS)。








2014年4月16日(2)


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春の行楽シーズンはランドで遊ぶのが良いらしいのでランドの近くをうろうろしていると…


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ターャジスが出現しましたー(画像/MWS)。









2014年4月16日


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レンズを買ったついでにジャンクのパーツを覗いてみると,BR-2Aがあったので衝動買いしました。BR-2は持っているのですが,BR-2Aは持っていなかったのです。ネットの情報を調べるに,最近のFマウントカメラに接続する場合は,BR-2Aを使った方が無難なようです。両者並べてもほとんど違いはありませんが,マウント部分のツメの長さが微妙に異なるようです。画像は左が32年物のBR-2,右がBR-2Aです。レンズを逆付けするときに必要になるばかりか,顕微鏡や望遠鏡の接続において,自作のアダプタを製作するときにも必ず使う重要部品です(画像/MWS)。








2014年4月15日


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Nikon1J1についているズーム(10-30mm)が個人的には甘い絵に思えたので,カメラが可愛そうで,レンズを買ってしまいました。一つくらいはまともなレンズをつけてあげなくてはなりません。少し悩みましたが,18.5mmF1.8という単焦点レンズを買いました。どうも焦点距離で示されると,35mmフィルム一眼レフ時代の中年オヤジにとっては,頭が混乱します。画角で46度と書いてくれたほうがしっくりします。カメラ小僧だった80年代当時,焦点距離と画角をセットで覚えていましたが,時代が進んで素子サイズが変わってしまい,焦点距離はよくわからなくなって,35mmカメラ換算で何mmという併記がなされるようになりました。最初から画角で書いてくれればすぐにわかるのですが…。

Nikon1シリーズは,素子サイズが小さいだの,画質が悪いだの,さんざんな評価を下されているケースも見受けられます。まぁ,カメラによる撮影よりも,カメラの性能比較自体が趣味な人もいるだろうし,「違いが分かる男」であり続けることが死ぬほど大事で何事にもケチ付けマンという人もいますし,世の中いろいろ,人生いろいろだからいいのですが,個人的には,カメラ歴30年以上の方々には評判が悪くないですね。何しろ,30年前写しにくかったものが現在は簡単に写る。Nikon1も例外ではなく,暗所にも強いし,ピントも良く出るし,「とりあえずちゃんと写るじゃん」という感じなのです。まったく同感です。

デジタル時代からカメラを始めた人が大半の世の中になってしまいましたが,そういった方々からみれば,プロ機材からオモチャまでが幅広く転がっている現状では,ある程度の「ケチ付け能力」を持った方が,よい物が手に入るという側面もあるのでしょうね。そしてその「よい物」というのは,中年オヤジどもが感じる「よい物」よりハイレベルなのだろうと思います。なぜなら,どのカメラもちゃんと写るのに,その中でよい物を選ぶわけですから。30年前は,あんまり写らないカメラというものもあったのですよ。

などということを考えつつも,早速,試し撮りをしてみませう。今晩の夕飯となるホタルイカは,目玉をとって,キッチンペーパーの上に置き水気をすわせます。そして電子レンジの解凍キーで人肌程度にあたためてからわさび醤油で食べれば,まさに季節の味わいです。画像2枚目はF4.5で撮影したホタルイカ。画像3枚目はそこからトリミングしたもの。まさに「ちゃんと写るじゃん」という感じなのです。

ついでに書けば,このホタルイカ,選ぶのはけっこう難しいのです。3月にホタルイカが出回り始めますが,このとき東京都内では一斉に解凍品を「旬」などと書いて並べるのです。すると一年前のダシの抜けた水っぽいホタルイカを食わされることになります。ですからよく確かめて買うことが大事。どこを確かめるのかというと,まず大きさ。大きい物は昨年の漁の終わり頃のものでしょう。次に見るべきはツヤとハリです。ぷりぷりしている感じならOK。そして一番の決め手は,しみ出てくる朱色の油です。画像3枚目に少し写っていますが,胴体と頭部のつなぎ目辺りから朱色の油が漏れてきます。これは小さなアミ類を食べて蓄積したアスタキサンチン等のカロテノイド色素と考えられます。この色素は新鮮なほど鮮明なので,色の鮮やかさを見て覚えればOKです。

ホタルイカの仕入れ先はいろいろあるらしく,2キロ圏内にある魚喜,北辰水産,魚力,中島水産,スーパーライフ,エネルギースーパーでみんな異なるものが入っているように見えます。そして面白いことに,魚専門店が冷凍品を密かに並べてだまし討ちをしているのに対して,最後に書いたスーパーが,いちばん安く,そして鮮度の高い新しいものをおいていたりします。きょうの画像がそれで,今シーズン4回目のお買い物です(画像/MWS)。








2014年4月14日


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コンピュータで仕事をしなければならない人が大量に発生する世の中になってしまって,運動不足に悩んでいる方は相当に多いのではないかと思います。かくいう筆者もパソコンに向かい,顕微鏡に向かい,ほとんどの作業はイスに座っての机上作業となります。今ではよく知られたように,運動不足は寿命を縮め,イスに座り続けるというのは生命的にはリスクある行為です。なので,いかにして運動不足を解消するかということが重要になってきますが,現代社会は効率至上主義なので個人の健康問題はほったらかしで,たまにアリバイ程度の無意味な健康診断を行っている程度かと思います。本当は健康診断などよりも,適切な食生活と運動,睡眠が重要なことは誰でも知っているでしょうが,なぜか,その誰でも知っている重要なことの核心にはメスが入りません。

そういうわけで自衛が必要なわけです。筆者は運動するためにいくつかの作業を「仕事」と位置づけて強制的に体を動かすようにしています。電池が必要になったら,2キロ先の100円ショップを往復。数日おきに金融機関への記帳や振込。発送作業は近所のポストや郵便局などではなく,2キロ先の窓口。標本製作で数時間以上の連続着座をしてしまったときには,作業後に40-60分の徒歩。レターパックがなくなれば,お気に入りの窓口で購入後にぐるっと遠回り。これらを全部「仕事」と位置づけて行うようにしています。そうでもしなければ,たちまち運動不足に至り,下手すればぶくぶく太り,それだけならいいのですが,あちこちに血栓ができて,よろしくないことになりかねません。人間は動き回ることにより身体が維持できるようにできているので,ラクして動かないということは,身体を維持できないということにつながるので,時間がなくとも無理矢理うんどうタイムを作るのです。

画像はレターパックプラスを20枚購入して,遠回りしながら歩いているときの一コマ。新緑は光の透過率も高く,スペクトルは(茂った葉っぱよりも)やや長波長側に偏っているように見え,鮮やかな印象を残します(画像/MWS)。








2014年4月13日


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すぐ近所で骨董市をやっていたので研ぎ材料を探しに出かけました。技術というものは,日々,それを維持する人にしか宿ってくれないので,研ぎ材料を探しては研ぎ続けなければいけないのです(^_^)。よさげな材料が見つかることは滅多にないのですけど,12日はめずらしく切り出し風の金属片が三つもみつかりました。値付けもやすいのにさらにまけてくれるという。へっへっへ〜とうれしい気分になりつつ他の道具をひっくり返していると,横にいたお客さんが,それ買ってどうするの?と。「研ぎに使うんです」 砥石何持ってるの? 「中砥はシャプトン,仕上げは丸尾山中心」 シャプトン高いね,丸尾山は最近のものだね。 「シャプトンは高いからその前に赤レンガとGCで形は作っておくのです。それでちゃっちゃと載せて,あとは仕上げ。丸尾山はよくおろすよ。」 ふーん。切り出しはほかに何持ってるの? 「ほとんど骨董品。でも加藤さんのは一本ある。も作も欲しいけど高いよね」 まあでも高いって言っても2,3万じゃない? 「そうだけど,ここいらへんに転がっている骨董品でも,同じレベルの刃がつくものがありますからねぇ」 などと刃物談義が延々と続き,ちょっと面白い春の昼休みとなったのでした。

画像二枚目は収穫品。ひじょうに厚みのある切り出し風で,裏すきも浅く,筆者好みです。一本は左利き用です。この切り出し風,形は作ってあるのですが,刃がついていません。刃先は切り取って整形した断面がそのままです。しかし裏出しは行った形跡があって,謎の物体となっています。鍛冶屋が,できそこないとして放出した品物,あるいは,研ぎ屋に回す段階の品物を骨董屋さんが持ち帰り,素人研ぎでさび落としと裏出しをしたと解釈するのがもっともらしいと思います。こういったものは練習用として最適なのですが,果たしてまともな刃物になるのでしょうか…(画像/MWS)。








2014年4月12日


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特注品を製作する日々が続いていますが,今年は幸運にも,都内の空気が比較的きれいな感じがします。昨年は3月初旬から微粒子の落下がはじまり,しばらくの間続きました。ところがこの3月4月で,粒子の落下によって作業を見合わせた日はありません。ずいぶん助かります。ただ,この微粒子問題は思ったほど簡単ではなく,視力が落ちても見えなくなりますし,作業時の照明の輝度が低下しても見えなくなります。粒子が少なくてうれしいと思っていたら,見えてなかっただけなどということもあるので,常に機器や視力などもチェックしなければなりません(画像/MWS)。








2014年4月11日


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ご近所さまの庭にある池では,珪藻の栄養となる珪酸を添加するという面白いことをやっていて,少しだけ水をもらってきました。池の水替えがあったせいか,珪藻はひじょうに少なかったので,日当たりのよいところに放置して簡易培養してみたところ,多少の群落形成がみられたので検鏡してみました。それがきょうの画像です。群落自体はシアノバクテリア的な感じでしたが,そこにまとわりつくように,エンキオネマと思われる珪藻が密集していました。ほかには小型のニッチアが大量に見られました。このような種構成はたまに干上がる都会の人工池などで見られるような気がしています。多様性が低く小型種が多いのですが,それはなぜなんでしょうか。おそらくは,激変する環境に耐えるには小型種の方が有利なのだろうと想像しています(画像/MWS)。








2014年4月10日


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RL-TESTに使用している珪藻はAmphipleura pellucidaは,条線間隔270nm,点紋間隔(縦条線間隔)190-205nm程度の微細構造を持ちます。これの解像はすでに140年以上前になされていますが,現代でも,顕微鏡を勉強していない人には,決して見ることのできない微細構造であることには変わりがありません。自分はツァイスの最高機種を持っているから余裕で見えるだろうなどと思いこむと,覗いてみてアレレと思うこと間違いありません。

しかしこの珪藻と同等,あるいはさらに解像が難しい種はたくさんあります。それなのになぜ,この珪藻が100年以上にもわたってテストプレートとして使われてきたのか,不思議に思います。探しやすさ,誰かが最初に使ったから,ツァイスの対物レンズの優秀さを証明した珪藻だから,整然とした格子構造など,いろいろ理由はあるのでしょう。たぶん,そのいろいろな理由(*1)というやつが,歴史の重みというやつで,未だに本種のテストプレートが好まれるのでしょうね。

この珪藻,沼で見つかりやすいように思います。しかし関東各地の沼地などは開発が進み,本種が見つからないところも多いように感じています。現在の試料は今から10年近く前に採取したものを大切に少しずつ使っているのです。新たな生息地を見つけたいのですが,簡単に大量確保とはいかないのが悩みのタネです(画像/MWS)。



*1 この珪藻はすらっとしたスタイルの良さがあって,それがヨーロッパの人々の感性にマッチしていた,そんな気もします。




2014年4月9日


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在庫が払底していたRL-TESTの製作中です。この検査板は製作に手間のかかることは先日述べた通りです。どのステップも気の抜けない作業となりますが,きょうはダイヤモンドでマーク入れです。かなり時間がかかります。RL-TESTに採用している珪藻はAmphipleura pellucidaという種で,比較的平面性がよいものですが,多少は湾曲しているものもあり,また封入時にカバーグラスから浮き上がっているものも多いので,それらを排除して,正しくカバーグラスに接していて傾きのない,重なりの少ない,ゴミの少ない,ひび割れの少ない,油浸で見て理想的な像となり,卓越した熟練者であれば点紋も解像できる被殻を選んでマークを入れます。とうぜんそのためにはカバーグラス全体の珪藻を精査するわけで,検鏡に慣れている筆者でもそれなりの時間を要します。

マークを入れずに,「このプレパラートに目的の珪藻がたくさん載っているから探して使ってね」という販売方法もあることはわかっています。しかし,まず,この珪藻は,珪藻観察の初心者にとっては見つけることすら難しいのです。マークなしで見せると,多くの人が,どこにあるのかわからない,と言います。目を慣らすまでの時間が必要なのです。そして,どの個体がベストの状態なのか分からずに観察すれば,レンズテストの意味がなくなります。正しく設計された問題のないレンズに対してパーフェクトな像を結ぶ個体を選んで検鏡しなければならないのです。

ですから当サービスでは販売当初から,見える保証のできる被殻にのみマークを入れています。このマーク入れの作業は,ながねんの経験と知識と技術が蓄積されたもので,テストプレートに命を吹き込む作業といえるでしょう(画像/MWS)。








2014年4月8日


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きょうはレンズのゴーストの見本です。先日紹介しましたように,吉野梅郷の姿をカメラに収めて満足して帰ってきたのですが,パソコンで画像を確認して愕然としました。それなりのフレーミングで景色を切り取れて喜ぶべきはずの画像に,盛大な斑点が写っています。最初は梅の花びらがカメラ前方を横切ったかと思いましたが,一つの軸上に複数の斑点があるので原因は明らかとなりました。レンズのゴーストです。逆光で広角を用いた撮影ですから起こりうることではあるのですが,こんな失敗は記憶にありません。撮影後にすぐに画像を確認してはいますが,さすがにデジタルカメラの液晶モニタでは見つけることができず,せっかくの写真も台無しの感じです。もともとこのカメラ(Nikon1J1)はトキナーのマクロレンズ用がメインで,レンズキットについているオモチャのようなズームでは(写りがよくないこともあって)あまり撮影していませんでした。それでレンズの特性を調べることをしていませんでした。大事な絵を残したいときはそれなりの準備と心構えが必要だと,反省させられたのでした(画像/MWS)。








2014年4月7日


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包丁で料理中に手を切ることは滅多にないのですけど,一年に0〜1回程度はやらかしてしまいます。面白いことに,指先を切って血がダラダラというようなケガは,決まって来客が在宅しているときに起こり,そしてその来客は筆者の右後ろにいるときにやらかします。包丁を引く動作を行うときに,人がいるとヒジを引くときに気になるので,それで手がぶれるのだと思っています。

ふだんは全くそのようなミスはないのですが,爪を切ってしまうことはよくあります。包丁がよく切れすぎるので,爪を薄く削いでしまうことがありますし,少し手が滑れば爪に刃がぐさっと入り込むこともあります。先日もネギを切っていたらやらかしてしまい,出血こそしませんでしたが爪が割れてしまってヤバイ感じになってしまいました。これで爪がべりっと剥がれれば,痛い一ヶ月となりますので,すぐさま爪を補修しました。専門の人はほかの方法をやるのかもしれませんが,筆者は瞬間接着剤と紙を使っています。封筒の用紙を適当なサイズに切ってツメと同じ曲面をつけて,瞬間接着剤で貼り付けます。これで1〜2日は大丈夫ですが,だんだん紙が薄くなってくるので,そうなったら同じようにもう一回貼り付けます。これの繰り返し。そうすると薄い紙と接着剤で補強されたようになって,具合良く爪を固定できます。水仕事や風呂の前には,紙の部分にパラフィン(ろうそくなど)を塗りつけてこすっておけばしばらくは大丈夫です。素人治療(修理)の類ですが,けっこう役立つので紹介してみました。なお真似しておかしなことになっても,それは筆者の知ったことではありませんですー(画像/MWS)。








2014年4月6日


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元記事は こちら。  なぜこんな記事を取り上げるのかというと,筆者はこの近くに20年くらい住んでいたことがあるからです。山猿だった筆者は,この辺りの山や川はほとんど庭みたいなものです。この記事に写っている橋も,何十回と渡りましたし,この辺りに泳いでいる魚種や,生えている樹木,さらには季節ごとに顔を出すキノコまで,ほとんどのことが頭に入っています。

この橋は少なくとも30年以上前から存在しているようで,その頃は,町内会で作っているという話は聞かず,近くに住むオヤジさんが流されるたびに木を渡して作り直していたと記憶しています。その頃の橋はもう少し簡素で,石に木を渡した感じのものでした。ここ十数年は小さなバイクくらいなら渡れる程度の橋がかけられています。北浅川という名前の通りに,ふだんは膝下くらいの流れの川なのですが,三方を山に囲まれているので集中豪雨が降ったときの増水は凄まじいものがあって,この橋もすぐに流されてしまいます。むかしの橋は片方が川岸に結びつけてあって,橋としては破壊されても,渡し板だけは残るようになっていました。

橋の架かっている場所は,じつに巧みなポイントで,地元の人にとっては大変便利なものです。北浅川を挟んで,北は秋川街道,南は陣馬街道が走っており,自転車等で両者を行き来するにはこの橋が欠かせないのです。西回りの陵北大橋を通ると,大回りで遠い上に,ダンプ街道を走る羽目になって危険ですし,東回りの松枝橋を通るとなると,橋に出るまでにも数キロ,わたって反対側に行くにも数キロ,といったさらに遠回りになります。

そんなわけで,この橋は主に地元の人々のほか,自転車通勤や通学の人たちがよく使っていました。近所の子どもたちが遊びに行くにも格好の橋で,この橋の周辺にはいつも人がいて,川遊びをしていたり,見知らぬ人がすれ違いで道を譲り合ったりで,なかなか和やかな風景だったのです。そういえば郵便配達のバイクもここを通っていました。

それを殿様東京都が,違法として撤去を求めているというのです。

東京都といえば,よけいな道路工事・橋梁工事を推し進め,河川の自然環境をぶちこわすような工事を各所で行い,それでも飽きたらず都市部の河川は地下に埋めで水循環を破壊し,流域下水道的な発想で利根川や荒川から運んできた水を河川に帰すことなく下水道に入れて海に流し,海の富栄養化を助長して東京湾を破壊し尽くし,水循環を破壊したことからヒートアイランドを加速させ,そして,これらの自然破壊と引き替えに工事に群がる建設業界を育ててきた張本人です。

これに対して,この記事に載っている橋は,地元の意志で地元の手で作られ,流水占有権とは関係なく,工事中も河川水質に一切の汚濁を起こすことなく,また河川の流況に全く影響を与えることなく,河川生態系に全く影響を与えず,何の利権とも関係なく,そして増水時には信玄堤のように橋が流れるので洪水調節機能にも影響がない。そして誰にでも無料で開放していて,皆が有り難く使っているという状況。

この橋を違法建築物として撤去を思いついた役人は,法律は読めるが,人々のくらしも,自然環境保全も,地域コミュニティーも理解できない,心がまずしい人ですね。豊かな心を育むには,なんといっても自然環境。この 大バカ者 心まずしい役人は,生まれ変わったら,自然豊かな環境で,人生一からやり直した方がいいんじゃないかと思います(画像/MWS)。








2014年4月5日


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放散虫は透明なシリカでできているわけですから,きのうの画像のように割れていなくても,内部が見えるのではないか? と思った人もいるかもしれません。じっさい,多少は見えるのですが,細部は全然わかりません。そのことを示したのがきょうの画像です。物体はきのうの放散虫で,プレパラートの裏面から撮影しています。画像1枚目は殻の破けていない表面。粘土鉱物と珪藻の破片が少し付着しています。画像2枚目は内部にピントを合わせたところ。昨日の有り難い秘部が,ぜんぜん見えていません。そういうわけで,Jシリーズのマウント技術で割れた放散虫を向きに注意して封じれば,内部構造の理解に役立つプレパラートになることがわかります(画像/MWS)。








2014年4月4日


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放散虫は厚みがあって立体構造が面白いことは先にも書きましたが,内部構造を持っているものもあって,これがまた何とも整然とした不思議さなのです。きょうの画像は割れている放散虫の割れた殻の部分と,その内部構造にピントを合わせたものです。全体が殻に包まれているので,通常はコントラスト良く見ることはできません。しかし殻が割れているものを探して,割れている面をカバーガラスに接するようにマウントしてやれば,普段は見えない内部構造を観察できます。これは,有り難い秘部の観察,という感じですね(画像/MWS)。








2014年4月3日


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現在大潮期間中で,ぜひともサンプリングに出かけたいところですが,作業が山積みになっておりパスしました。サンプリングも大事な仕事で標本製作も大事な仕事なのでどちらを優先すべきか悩みます。原料入手を考えればサンプリングに行っておくべきですし,少しでも軽い気分でサンプリングに行きたければ溜まった仕事は減らしていくべきです。筆者はどうも後者を優先する思考が常駐しているらしく,ついつい溜まった仕事に目がいってしまいます。もっとずぼらに?大局観を身につけなければとも思うのですが,ちまちまとしたものをいじり回してきた人生では,改善もなかなか難しい気もしています。

ところで話題が変わるのですが,4月に入りまして,JRの東京近郊区間が拡大されました。それにともなって,区間内は「途中下車」が廃止されることとなりました。学会やサンプリングなどでの長距離移動では,「途中下車」制度はひじょうに大事なものなのです。乗り継ぎの時間を利用して,ちょっと駅前で買い物,などということができるからです。それが,何の断りもなく,SUICAを使えといわんばかりの改変には呆れるばかりです。

こちら

JR東日本は他社に比較してサービスの程度が低いと感じることもしばしばでしたので,今回の改正もまぁこの会社だったらやるだろうなとは思いました。しかし「松本」が「東京近郊区間」なんてのは,世間一般の人たちには天変地異が起こっても思いもつかないほど異常なことです。「東京近郊区間」を「松本」まで広げることを考えた人が,ふつうの人ではない,狂った脳みそを持った人であるかもしれないことをうかがわせます。

画像はそんな話題とは何の関係もない,放散虫化石です。ここのところ,こういった材料の拾い出しや封入を行っています(画像/MWS)。








2014年4月2日


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一部の販売物に関して価格改定を行いました。当サービスは2007年秋に開業して以来,ずっと価格を変えずにやってきました。価格設定が低すぎて宜しくない気もしていますが,顕微鏡はまだまだ一般に根付いたものではありませんので,できるだけ誰でも入手できるようにがんばるつもりでいます。それでもRL-TESTのデータ計測は時間がかかりすぎ,以前の価格はとても現実的とはいえないという結論に達しまして今回の価格改定となりました。ひじょうに貴重なサンプルを作り,プレパラートを製作し,それを検鏡して最良の珪藻被殻にダイヤモンドでマークを入れて,それらの画像を油浸の特殊検鏡法で撮影し,画像処理して,対物ミクロも同じ条件で撮影し,画像から計測してデータを取り,レポートを書いて,HTMLにまとめ,CD-Rを焼いて,プレパラートを清拭して…と,一枚の検査板でも膨大な作業となり,時間消費します。これまでの価格が間違っていたわけですので,どうかご理解をいただければと思います。

ほか,教育用セットのセット価格も少しupしています。教育用の珪藻プレパラートは,もともとひじょうに低価格で提供していたわけですが,さらにそれに対してセット価格を適用するということをやっていたので,これも作業時間を考えると割に合わないことになっています。もっとも,利益は全体であげていくものですから,低価格のものもなければいけませんが…。

以上,簡単ではございますが経緯の説明をさせていただきました。これからも面白そうな試料を発掘して参りますので,どうぞよろしくお願い致します(画像/MWS)。








2014年4月1日


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都内では桜が満開になりました。それに合わせるように,いっせいに他の花も咲き始めて賑やかなこととなっています。気温が高くなったら先に花を咲かせて,それからずっと葉っぱで光合成して,栄養を種子に貯えて,幹も生長し,来年に備える。当たり前のことですけど,春先のブルーミングを見ると,これって冬越しと種の保存のための営みなんだよなあと思ってしまいます。むかし植物生理学をすこしかじったからでしょうか…。画像の花はたぶんアンズです。Tokina AT-X 90mm F2.5でNikon1J1の手持ちです。絞りはF5.6程度。風が収まるのをまっての撮影ですが,フィルム時代では考えられないほどよく写ります。高感度特性がよくなったことと,カメラブレ(ミラーショック,シャッターショック)がないことが大きな原因でしょうね(画像/MWS)。









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