画像のご利用について





本日の画像

ミクロワールドサービスが顕微鏡の世界を伝えるコーナーです。
日々の業務メモやちょっとした記事もここに記します


【サイトトップ】 【9月】 【10月】 【11月】 【12月】 【2008年1月】  【2月】  【3月】  【4月】  【5月】  【6月】  【7月】  【8月】  【9月】  【10月】  【11月】  【12月】  【2009年1月】  【2月】  【3月】  【4月】  【5月】  【6月】  【7月】  【8月】  【9月】  【10月】  【11月】  【12月】  【2010年1月】  【2月】  【3月】  【4月】  【5月】  【6月】  【7月】  【8月】  【9月】  【10月】  【11月】  【12月】  【2011年1月】  【2月】  【3月】  【4月】  【5月】 【6月】   【7月】   【8月】   【9月】 【10月】 【11月】 【12月】  【2012年1月】  【2月】  【3月】  【4月】  【5月】  【6月】  【7月】  【8月】  【9月】  【10月】  【11月】  【12月】  【2013年1月】  【2月】  【3月】  【4月】  【5月】  【6月】  【7月】  【今月】



2013年8月31日


ps

今月は依頼作業を優先的に進めたため,ニコンS型のメンテナンスに集中することとなりました。最初は拭き拭き作業の連続で修行のような日々,そして珪藻プレパラートを検鏡しながらの調整の日々,そのあとはベストの光源を求めて昼は秋葉原,夜ははんだ付けの日々。何か一つの作業に集中する,というのはいろいろなことを生み出すもので,最近のLED事情もリサーチできましたし,昔は見当たらなかった電流レギュレータなども発見できて,筆者の研究用顕微鏡にフィードバックできる情報も多々得られたのでした。じつに有り難いことと言わざるを得ません。

そしてその副次的な効果として,S型の記事を多く掲載することとなりました。良い機会でもありますので,S型の記事をまとめました。こちらを参照頂ければ幸いです。

ニコンS型には熱心なファンがいます。明視野や位相差のみならず,偏光顕微鏡や干渉位相差,微分干渉,蛍光顕微鏡などを収集している方もおられます。そのような方をさしおいてS型の記事をまとめるのは気が引けるのですが,この機種のギヤ修理が可能なうちに一台でも多くのS型を救済したいと思いましてS型特集といたしました(画像/MWS)。



*1 なぜニコンS型を贔屓するのかというと,この機種は顕微鏡光学の基本に忠実で各部の調整が可能だからです。シンプルな構成ながらも電球フィラメントの心出し,フォーカスが調整でき,コンデンサまたはフィールドレンズで心出しができて,コンデンサは明視野/偏斜/暗視野/偏光/位相差/干渉位相差/微分干渉が可能で,透過蛍光もできます。低倍/高倍のの照明切り替えもあり,三眼鏡筒も単眼鏡筒もあります。この自由度が,最良の像を得るために必要なのです。現代の顕微鏡は照明心出しが省略され,フォーカスもないものが大半です。そんなものは研究用顕微鏡とは呼べませんね。検鏡者の手足を縛ってしまうのですから不自由顕微鏡とでも呼ぶべきものでしょう。




2013年8月30日


ps

LEDのスペクトルを三つ並べてみました。一つはきのう紹介したオプトサプライ製の高演色っぽいLED。あとの二つは日亜化学の白色(NSPW)と電球色(NSDL)です。こうして並べてみるとスペクトルが全然違うことがお判りいただけるかと思います。日亜の白色LEDは一般に流通している白色LEDのスペクトルとほぼ同じです。励起のピークが高く,470-500nmの青と,650以降の赤が少ない光となっています。このような照明で赤いエビなどを撮影すると白あるいは黄色っぽい感じになり正確な色が出ません。日亜の電球色は青が欠損している上に,660nm付近の赤も少ないという光質です。目で見て電球色というだけで,フィルターワークなしには正確な色再現はむずかしいものと思います。グラフを眺めていると,日亜化学とオプトサプライでは蛍光体の種類も数も異なっているように見えます。それぞれの設計の考え方がわかるようで,じつに興味深いグラフです(画像/MWS)。








2013年8月29日


ps

ps

きのう書いたようなことを検討して落ち着いてきたのがきょうの画像に記したタイプのLED電球です。結局のところCRDではかなり電圧を必要とするので,スイッチング電源では問題なくても,電池で点灯するときの明るさが問題となります。それでCRDは廃止して,電流レギュレータを使うことにしました。ここのところ毎日毎日,秋月電子と千石電商に通っているので棚の中身もずいぶん覚えました…。採用したレギュレータICはNSI45030AT1Gで,30mAを通します。並列も可能なので3つ並べて90mAでFlux型の電球色LEDを点灯します。これで単三乾電池,006P,スイッチング電源のいずれでも定電流で点灯可能になりました。採用したLEDはオプトサプライ製のOSM74EZ2C1Pで,Vf=3.1,If=90mA(max)です。レンズが邪魔なのでシャプトンオレンジ,スエヒロ#3000で平面に研磨してあります。拡散板を使うのでラッピングはしていません。

試作段階で種々のLEDを試しましたが,ほかのものがほとんど落選し,このLEDが生き残りました。発光体の面積が広いこと,大電流が流せて輝度が高いこと,拡散板を使っても実用可能なことが大きな理由ですが,もう一つはスペクトル特性にあります。実測データをグラフ化した画像二枚目をご覧いただけばわかるように,通常の白LED(こちら)とは全く異なるスペクトルとなっています。特筆すべきは蛍光体を2種使っているように見えることで,660nmでも高い発光強度があります。さらに通常の白LEDよりも500nm付近の落ち込みが少なく,また励起光のピークも高くありません。全体として各波長でフラットに発光しているのです。じつに感動的で,いくら眺めても飽きないグラフです。このようなスペクトルのLEDが欲しいと思っていたのです。

染色標本では赤色系の色素も多いですし,海洋プランクトンでは赤の色素や油球を持っている種も多いのです。淡水でも身近にいる珪藻などはふつうの白LEDで照明すると正しい色が出ません。茶色よりも緑っぽさが出てきてしまいます。ですから各波長をまんべんなく含んでいる高演色なLEDが必要なのです(画像/MWS)。








2013年8月28日


ps

顕微鏡をLED化するには色々なことを考える必要があります。まず第一に光源サイズ。顕微鏡の照明系は,ある大きさの発光体を,コンデンサ絞り面を覆う大きさで投影する映写機のようなものです。レンズの収差や投影距離の制約から,光源はあるサイズを満たさないと光源像をコンデンサ絞り面に正しく投影できません。次に考えることは輝度。観察可能な明るさがあることはもちろんですが,できれば位相差や暗視野法でも問題なく使える明るさが望まれます。第三に色。従来から顕微鏡に使われていたタングステンランプやハロゲンランプは黒体輻射を利用しているため連続スペクトルであって,適切なLBDフィルタを入れると演色性の高い照明となります。対してLEDはある程度の幅がある一つのピーク波長で光っていて,その光で蛍光体を励起して長波長側の光を補い,全体として幅広い波長範囲をカバーするように作られています。タングステンランプやハロゲンランプが380nm程度から赤外線までの範囲を安定して放射しているのに対して,白や電球色のLEDはせいぜい440nmから700nm程度で,500nm付近や650nm付近の光をあまり含まないという特性があります。LED照明はタングステンランプやハロゲンよりも色が冴えないのです。

これらのような重要事項のほかにも,動作電圧や電源,回路の問題,照明ムラの回避,照射角度,発熱など,さまざまな問題を検討して,最良のLEDが選ばれます。条件が決まると簡単に選べそうですが,じつはここからがさらに難しく,星の数ほど存在するLEDから絞り込む必要があります。大きなLEDでも輝度は小さかったり,高輝度を追求すると発光面積が小さいか,あるいは大電流を必要とするか,といった二者択一を迫られたりします。ムラのない発光面もむずかしく,たいていの白LEDなどは小さな結晶から発する青い光で,周囲の広い面積の蛍光体を光らせています。ですから発光面の輝度ムラ,色ムラもひどいのです。素子のたくさん並んだ発光面積の大きなパワーLEDを大電流で点灯すれば問題は一気に解決しますが,それは大形の顕微鏡でやることであって,小回りの利くニコンS型では,もっと小さくまとめたいという欲求もあります。

などということを延々と考えては試作し,壊しては試作してを繰り返して,だんだんと一つの方向に絞られていきます。きょうの画像は方向が定まってきたときのもので,CRDを用いてFlux型のLED(三素子)を点灯し(高輝度),照明ムラはテフロンテープで拡散させ,同時に光源サイズを確保するという考え方です。テフロンテープは完全拡散面に近い特性で理想的なのですが,これを拡散板代わりに使うと暗くなりすぎてこれまでは使えませんでした。それがここ数年の間にFlux型LEDの光出力が上がり,100mA以下でも使えるようになってきたのです。

と,調子よく書きましたが,鋭い方はお気づきのようにCRDが逆につながっています(素通しだ…)。これを4.5Vで直結して光らせたものだから明るいこと(当たり前だ)。しかもCRDが定電流になるまでに+4.6V必要なので,3.1VのLEDを定電流で光らせるには本当は7.7V以上が必要(9Vスイッチング電源も使えるようになっているが…)。しかし単三電池4.5Vで光らせたのでLEDが壊れずに済んだ…。とまぁ,メチャクチャな間違いだらけの画像です。こういう失敗もときどきあるので,これもレポートして,恥をさらさないといけませんね。このLED電球はすぐに解体され,また別の考え方で新たなLED電球となって生まれ変わるのです。

顕微鏡の性能は光源で大きく左右されるので,光源を新たに設計するとなると,顕微鏡の照明と見えに関する相当な知識と経験が求められます。そして何度も試行錯誤して(=勉強成果を活かして)よいものを作り上げていきます。とても勉強になります(画像/MWS)。








2013年8月27日


ps

この顕微鏡はいっけんニコンS型(SFR-Ke)に見えますが,L型(LFR-Ke)といいます。相違点は少なく,レボルバがクランプ一つで外れて交換可能なこと,ステージについても同様です。またS-Ke型では視野絞りの心出しはフィールドレンズで行いましたが,L-Keではコンデンサの心出しができるようになっています。S型の上位機種という位置づけですが現場ではあまり見かけることがなかったように思います。機種名こそ違いますが,S型ファミリーの一つとしての位置づけでよいのではないかと思います。筆者がL型を所有していないことを嘆いていたら,ある方から,「L型なんてどこにでも,あるじゃん」と言われてしまったのですが,その言葉を聞いてから半年程度でL型をメンテナンスしているのですから巡り合わせというのは不思議です。中年オヤジになると欲しいものがある日突然に転がり込んでくる,その有り難さを感じるきょうこの頃です。部品も足りないし動作上の不具合もあるのですが,そんなことは気になりません。在りし日の日本光学が設計した顕微鏡をとくと眺めることにいたしましょう。

それにしても,ニコンの略称には謎が多い気もします。カメラでも同名がありますがS型って何の略でしょうか。シンプルか,素敵か,素晴らしいか。L型に至っては想像できないですね。携帯顕微鏡H型はハンディタイプなので略称も納得いくのですが(画像/MWS)。








2013年8月26日


ps

中古機材には備品プレートがついていることがあります。大学などの研究教育機関で多くの学生たちに使われた機材であることを物語っています。きょうの画像は昭和30年代頃の顕微鏡についていた備品プレートですが,管理番号が打刻された立派な板金で,真鍮釘で木箱に取り付けてありました。あまりにも立派な仕事でしたので,板金も釘も洗浄して保存することにしました。

むかし顕微鏡と言えば高価な貴重品で,そうそう買えるものではなく,大学などでは備品として厳重に管理され,20年でも30年でも使われたものです。ですからこの立派な真鍮製の板金や,耐久性や見栄えも考慮して真鍮釘を打ち込んだ手仕事は決して大げさなものではなかったと思います。いまはシールを貼って管理したことになっていますが,かつてのように鍵付きのケースに入れて鍵のかかる部屋に設置するケースも減っているように見受けられます。レンズや部品などの紛失も日常的に目撃します。教育研究における顕微鏡の役割はいまもむかしも変わりなく重要で,備品として厳重に管理して,20年でも30年でも使うべき機器であることも変わりがないはずなのですが(画像/MWS)。








2013年8月25日


ps

ニコン顕微鏡S-Keを各部点検清掃をするにあたって,どこが最も難しいかと聞かれれば,「Keの部分」と答えます。S-KeはS型にケーラー照明装置(Ke)がついたものですが,この『Ke』の清拭が大変なのです。数十年経過した本機種はとうぜん照明光学系も曇り,カビが発生し,チリも積もっています。これらの汚れは,適切に照明を施せる人にとっては,光学的な意味で分解能には影響しません。しかし照明ムラやゴミの原因となるのです。特に低倍対物レンズでの観察時ではピント深度が深いので,視野絞りの近くに存在するゴミが見えます。そこでこれを取り除く必要があるのですが一筋縄ではいきません。

視野絞り直上には断熱ガラスが載っています。このガラスはたいてい曇っていて,筆者の研磨技術をもってしても完全に透明にはなりません。しかし薄く曇っている程度であれば,傷がなければ,ほとんど目立たないので害はありません。ところがこのガラスを本体に戻すときに,どれほど注意しても小さなチリが紛れ込みます。これが視野内に影となって見えるのです。また視野絞り直下にはミラーがあって,このミラーにもチリが積もっています。これの清拭も困難を極めるのです。裏面鏡なのはニコンの良心ですが,ミラー直上に光彩絞りがあるので,長年のうちには何かが落下するのです。下手すると清拭したばかりなのに整備を終えたら大きなゴミが視野中央に…などということもあります。そして照明切り替えレバー『H』のときに使う小さなリレーレンズの中にチリが落ちていると,低倍観察時に視野絞りと共役の位置になり,鮮明に見えてしまいます。

『H』の位置は低倍観察では使わないのでゴミが見えてもいいじゃないか,という意見もあるかもしれませんが,ゴミがあるとわかっている以上,清掃したくなってしまいます。なぜなら,筆者は極限までクリアーに封入された珪藻標本を製作しているからです(画像/MWS)。








2013年8月24日


ps

これはカミツキガメをひっくりかえしたところ…ではなくて,ニコンS-Keの底部です。筆者の所有する顕微鏡のほとんどには,この画像のような『カグスベール』を貼り付けています。ゴム足の径を測って,その径と同じテンプレートでカグスベールにしるしをつけて,ハサミでチョキチョキ。じつに簡単な作業です。ゴム足は水拭きのあとにエタノールで繰り返し拭いておきます。そこにカグスベールをペタリ。カグスベールにはコルク層があるので古い顕微鏡のへたったゴム足を補完する上でも好都合です。

こうして机の上を楽々すべる顕微鏡の出来上がりです。いちいち持ち上げなくてよいので大変便利です。また顕微鏡の位置を微調整しやすいので,検鏡時に素早く最適なポイントに移動することができます。欠点はあまり思いつきませんが,大地震のときに顕微鏡が机の上を動き回ったことは忘れられません。それ以降は机を離れるときは,カグスベールの一つの足に薄いシリコン板を挟んでいます。これであまり動かなくなります。机の上に何台も顕微鏡が載っていて,取っ替え引っ替え使用している方は,『カグスベール』を貼ってみるのもよいかもしれません(画像/MWS)。








2013年8月23日


ps

黒いボディでおなじみのニコンS型顕微鏡は,いくつかのタイプがあるようです。よく知られているのは先日紹介した一軸粗微動タイプですが,きょうの画像のように粗微動が別々の2軸タイプも存在します。こちらの方が古いのですが,微動と粗動の耐久性はよく,現在でも現役の機種が存在します。画像のタイプは照明切り替えをフィールドレンズのin/outで行うというものです。ハネノケコンデンサなき時代には,ハネノケフィールドレンズとでもいうべきもので照明切り替えを行い,先玉の大きなコンデンサで照野を確保したようです。なかなかの工夫だと思います。こうして画像に撮るとそんなに古くは見えない気もしますが,この顕微鏡が販売されていた頃は,まだ多層膜コートも一般的ではない時代です。薄いモノコートがついていれば良い方で,レンズやプリズムはノンコートに見えるものもあります。そんな時代のものが現役で動くのは大したものです。なお,このS型は後期のものより重い感じがします。軽量化よりは耐久性第一で作ったように見えます(画像/MWS)。








2013年8月22日


ps

ps

夕方にゴロゴロ鳴りだして待望の夕立となりました。これで少しは涼しくなるかねぇと外を見れば,道路が川になっています。集中的に降った感じはしましたが,それほどの雨量とも思えず,あららという感じです。けっこう流れがはやく,植木鉢や玄関マットのようなものが流されてきます。都区内はアスファルトとコンクリートで塗り固められているので,下水道が雨水を流せなければ道路にあふれるしかありません。ですからこの小さな洪水は都市開発が間違った方向に行われてきたことの証拠でもあるのですが,水の溜まったところでは何人もの人が記念撮影。日本はきょうも平和です(画像/MWS)。



≪追記≫

ps

上記の画像をアップしたあとに再び降雨があり,また道路が川になりました。それなりの雨量はありましたがこれまでの経験からは全然大したことのないものでした。それにもかかわらず,夕方の雨よりもひどい状態で,近所では床上浸水となりました。この近くで下水管の工事をしていたように記憶しているので,その影響で排水がうまくいかなかったこともあるのかもしれません。いずれにしても宜しくない状況です。




2013年8月21日


ps

今月半ばから取り組んでいたS型メンテンナンスがおおむね終わりました。何十年もホコリを被った状態でしたのでメンテナンスは相当に面倒なものでした。劣化した部品も多く,ストック機材の中からネジやレンズなどを追加しての修復となりました。状態がよかった部品も多く,コンデンサは十分使用可能な状態で,これはラッキーでした。断熱ガラスは白濁していましたが,これも研磨である程度きれいになりました。プリズムは手の届かないところが濁っていましたが,細く折ったレンズペーパーを差し込んで清拭しました。この作業は効率がわるく一面拭くのに80枚くらいのペーパーを使いました…。ステージの汚れもひどいものでしたが,主にグリスとちりの混合物でしたので,EE-3310で溶かしながら清掃可能でした。粗微動のハンドル,ステージのハンドルは各種のブラシとアルカリ洗剤で汚れを落とします。古い顕微鏡の掃除は,言ってみれば,台所の換気扇の掃除みたいなものです。やる気がしないけどいつかはやらなければならないところまで似ています(笑)。

こうしてメンテナンスが済んだ顕微鏡はSUR-Ke-PhのLED電球仕様として生まれ変わりました。LEDは電池駆動で,CRDを用いて60mAで3チップの白色LEDを点灯させています。そしてLEDのレンズは平行研磨,さらに発光面にテフロンの完全拡散板を載せてあります。顕微鏡は光源のサイズをもとに各部の設計がなされているので,LED電球にするにしても,光学設計上の用件を満たすようにしないといけません。ここはこだわりのところですので,秋葉原を3往復していろいろ試しました。

運用の結果は良好で,コンセント不要で単三乾電池による駆動にもかかわらず,以前の重いトランス−6V30W電球以上の輝度と,照明の均一性を達成しています。修理した微動も調子よく,位相差での見えは格段に明るくなり,位相差コンデンサによる暗視野照明も抜群の明るさで可能になりました。しかも照明切り替えはLの位置のみで低倍から高倍まで対応可能です。よいものができました。あとはもういちど内部清掃して組み上げ,外部清掃してホコリを払い,パッキングして終わりです(画像/MWS)。








2013年8月20日


ps

携帯顕微鏡は野山に持ち出して使うので,手入れを怠れば劣化が進むことになります。特に海水の検鏡に使ったあとは,入念に水拭きをしておかないと,数年後に後悔することになります。海水試料の検鏡では,海水を汲む必要がありますし,容器に入れる必要がありますし,沈殿をピペットでとって検鏡する必要もあります。海水の飛沫が顕微鏡に飛ぶのは必然で,顕微鏡を操作する手も海水が付着していることが珍しくありません。したがって目で見てなんともなくても,水拭きして手入れをしておくことが大事なのです。きょうの画像は海水試料を検鏡した後に放置されたと推測される携帯顕微鏡H型です。ステージの部分が相当に腐食していてメンテナンスを要する状態です。このH型にはニップル球の変わりに豆電球が装着されていました。使用説明書すら読まない人が使うと,高価な道具もこのようになってしまうという見本なのかもしれません。道具はときどき取りだして使い,メンテナンスして良好な状態を維持することが最も望ましいのですが,そのために大事なことは,最低でも使用説明書を繰り返し読んで理解することです。ニコンのこの時代の使用説明書はとてもよく書かれていて,手抜きが感じられません。繰り返し読む価値はあります(画像/MWS)。








2013年8月19日


ps

ps

ニコンS型をメンテナンス中です。この顕微鏡の一軸粗微動タイプは,デルリン樹脂製のギヤが破損して使用不能になるという運命を辿るのですが,ギヤを真鍮製のものに交換してくれる専門家がおられるので,修理してもらいました。樹脂製ギヤが真鍮製になる気分は,レンズ付きフィルムからニコンFに換わるくらい快適な気分です。シャフトに組み込まれたギヤを本体に戻せば,スムースに動く一軸粗微動の復活です。バンザイ三唱の気分です。

この顕微鏡は約40年を経過しているので,各部に手を入れる必要があります。三眼鏡筒部を分解してプリズム面を清拭して,底部をあけてクリックストップの不具合を治し,曇ったミラーを拭き,曇った断熱フィルタを研磨して透明にして,ステージを清掃し,コンデンサを清拭して…と,光が通過するところはメンテナンスが必要です。カビや腐食がなければ復活し,耐久性の高い真鍮製ギヤの効果もあいまって,手に馴染む使いやすい顕微鏡となります。まだ使える可能性のあるものは,できるだけ無駄にしないようにしています(画像/MWS)。



*1 S型顕微鏡の一軸粗微動タイプで,ギヤの修理を希望する方はメールでご連絡ください。真鍮ギヤに交換してくれる方を紹介いたします。この方は経験豊富で素晴らしい仕事をこなす技師さんで,直接連絡を取りながら修理していただけるので安心して任せることができます。




2013年8月18日


ps

顕微鏡を末永く利用するためには日頃のメンテナンスが大事です。乾燥した南側の部屋で,机の上などに保管し,ホコリよけをかけて,ときどき使用するというのがもっとも理想的な維持方法かもしれません。顕微鏡の大敵はいろいろありますが,湿気,薬品,それに水試料などが一般的なものです。化学系の実験室では,薬品庫から遠いところに顕微鏡を保管することを推奨します。硝酸や塩酸は徐々に蒸発して部屋を漂っていますから,長い時間のうちには顕微鏡を腐食します。試料の場合は,酢酸系の標本や海水試料が特に腐食性が高く注意を要するものです。これらの酸類や塩分を含む標本を検鏡したら,ステージやベース部分を水拭きして乾燥させ,対物レンズは蒸留水を染みこませたレンズペーパーで清拭して付着している可能性のある塩分などを除去しておきましょう。きょうの画像は悪い例です。海水試料をベースにこぼして,それが下部に染みこんで腐食が進行したものと想像されます。堅牢さが売りのニコンS型でも,取扱が悪ければひとたまりもありません(画像/MWS)。








2013年8月17日


ps

よいものだけを精選して皆さまにお伝えしている本ページですが,きょうは『低電圧LED電球』をご紹介しましょう。むかしの2.2Vニップル球という電球をご存じの方もおられるでしょう。あれと同じ形態,サイズでありながら発光部分はLEDというものです。ふつう白LEDは最低でも3.4V程度の電圧を必要としますが,この製品は1.5Vでも発光するそうです。この小さな本体に昇圧回路が仕込んであるのでしょう。極性がありますが,それさえ間違えなければ,ニップル球と交換して使えます。電球よりもはるかに明るく,白色ですから照明用途に優れています。きょうの画像は携帯顕微鏡H型とライトスコープに『低電圧LED電球』を換装した例です。交換しただけで手持ち機材の性能がアップするというのは大変気分がよく,皆さまにもお薦めする次第です。LED電球には興味あるけど,付け替えるものがない,という人は,ついでに携帯顕微鏡H型も購入しましょう…(画像/MWS)。








2013年8月16日


ps

今月は少し休んで東北方面にでも…と思っていたら次々と用事が発生してメンテナンス月間となりつつあります。月初めもレンズのメンテナンスを行ったばかりですが,今度は40年ものの顕微鏡レンズ群およそ300個ほどが積み上がっています。急ぎのものではありませんが,かといって積んでおけばいつまでもそのままになるのは目に見えています。少しずつでも修復を試みて,メンテナンスして,検品して,仕分けしないといけません。幸いなことに,ニコンのS型時代の対物が二十数本あります。これらは無理な拭きで傷がついたものや,薬品に先玉を浸したようなものを除けば,けっこう復活します。こういう耐久性の良いレンズのメンテナンスは歩留まりが悪くはないので,それなりにはやり甲斐がある仕事となります。他方,傷みが激しく修復不能なものが積み上がったときはまことに気が重いのです。

ところで,こういったレンズは入荷状況ではサビだらけ,ホコリまみれ,汚れだらけです。そこでまず外装を水拭きして,飾り輪を外します。飾り輪のサビは耐水ペーパーで#2000,次に#5000で落とします。必要ならばコンパウンドもかけます。その作業が済んだら飾り輪を中性洗剤に漬けて超音波洗浄を行い,水洗いをして乾燥します。レンズ本体ハウジングは丁寧に水拭きしたあとに錆び落としをして油性の汚れを取り,再び水拭きします。これらが済んだら飾り輪を取り付け,レンズケースを洗浄します。そして最後にレンズの先玉と後端を清拭してケースにしまいます。低倍のものに限り必要であれば分解清掃もします。清掃が済んだレンズは珪藻プレパラートJシリーズを用いて,完全にメンテナンスされている鏡基に装着し,基準となる対物レンズと比較検鏡して見えを判定します。文章で書いてもこれだけの分量ですから,実際の作業はかなり面倒なものです。しかし珪藻プレパラートで最終確認をしなければ,そのレンズが実用可能かどうかはっきりしませんので,この一連の作業を行う必要があるのです(画像/MWS)。








2013年8月15日


ps

珪藻プレパラートJシリーズでは,たまに珪藻以外のものも並べています。このツリーでは飾りにケイ質鞭毛藻の珪酸骨格を使用しています。数がそれほど多いわけではないので拾い集めるのが面倒で,さらに拾うときと,並べるときに扱いがむずかしいという代物です。しかし独特の構造が飾りには向いているので,せっせと集めてはストックしています。ほかにも珪酸質や鉱物質の小さな構造物なら何でも並べられそうなので,何かよいものはないかと探す日々です(画像/MWS)。








2013年8月14日


ps

これも特注品のツリーです。鉢植えのツリーなのですが,アイデアは単純でも製作はむずかしいものです。クチビルケイソウで植木鉢を作り,珪藻土を土の代用としています。こうすることにより分かりやすい輪郭ができ,鉢の内部にコントラストがつき,明視野でもそれらしく見えます。大きさ的に使えそうな材料があっても,コントラストが低ければ台座の部分には使えません。いろいろな材料を,コントラストや干渉色を考慮の上で配置しています(画像/MWS)。








2013年8月13日


ps

クリスマスになるとクリスマスツリーを飾って,ケーキを買って帰宅するという商習慣があるようです。聞くところによれば,このケーキは7月頃から仕込みに入り,冷凍されて,巨大な倉庫に眠っているという話です。真偽のほどはわかりませんが,ケーキを焼くには時間が必要なので,スポンジの部分だけでも大量に準備しておかなければクリスマス商戦の需要を満たすことはできないだろうと思います。で,師走に入ったら急ピッチで生クリームらやイチゴやらを詰め込んで商品になるわけなのでしょう。珪藻クリスマスツリーも,夏から準備しておけばある程度の数を確保できるのかもしれないなぁと思いつつ,空調なしでは生きていけない夏になってしまったので,Jシリーズの製作はお預けになっています。空調を使うと落下物が増え,極限までの透明感を誇るJシリーズに濁りが発生してしまいます。画像のプレパラートは先月製作した特注品です。先月後半は空調も扇風機も止めて生きていられたので,特注品のツリーを三基作ることができたのです。PM2.5も火山灰も少なく,冷房も暖房も使わずに一年中暮らすことができるところであれば,Jシリーズの歩留まりが上がるかもしれません…。しかしそのような場所は,伊豆諸島か高知県沿岸くらいでしょうか。沖縄や九州などは大陸からの粒子が多いので難しいかもしれません。よりよい条件を夢想しつつも,東京都内での格闘は続きます(画像/MWS)。








2013年8月12日


ps

ps

きのう予言したとおり,関東地方の蓄熱は凄まじく,筆者のところでは10日昼間から11日午前10時までの間の最低気温が34℃という夜となりました。この測定値は建築物の蓄熱と排熱を含んでいるので高めに出ていますが,東京都による測定でも,最低気温が31℃を上回っているところがあり,都内が熱地獄になっていることを表しています。31℃〜34℃というのは,ふつうなら真夏の昼間の温度です。これが異常なのは誰の目にも明らかですが,この異常が作り出されたものであることをまだほとんどの人が知りません。『原発は絶対安全,何があっても放射能は五重の壁に守られて外に出ない』という教育で自民党は国民を洗脳しましたが,それと似たようなものです。建築物の規制を一般人が知らないところで緩和して,適当な理屈をつければ高層建築物に認可を出す。これを繰り返して東京や地方都市の中央部はビルだらけになりました。そんなことをしたら熱環境的には将来破局的な事態になるのは目に見えているのですが,ヒートアイランド現象には一切触れることなく,とにかく土建へカネを流し,彼らの仕事がいつまでも減らないような仕組みを維持し続けています。昼間の高温は太平洋高気圧に大きな原因がありますが,夜の高温はヒートアイランド現象の効果も大きく,これは過去の誤った政策の蓄積が表出した人災なのです。

土建業界の人たちに仕事を増やすなら,不要なビルを撤去する,余分なアスファルトを剥がして透水性舗装にする,買い手がつかない国有地,都有地には一時的にも植樹する,各所に雨水貯留槽を設置して自動散水する,などの緑を増やし水循環を回復するような課題を増やせばいいのです。砂防会館に事務所が入っているような議員には思いもつかないことでしょうが(画像/MWS)。








2013年8月11日


ps

ps

東京都心では37.4℃とニュースが報じていますが,それが事実ならそんなに有り難いことはないのです。残念ながら筆者のところでは排熱+蓄熱の影響もあって風通しのよい日陰でも40℃を越えており,人間が住める環境ではありません(画像一枚目)。都内各所でも,東京都による測定で40℃が出ています。路上温度は50℃を越えるでしょう。全国のわんちゃんが心配です…。

都内,関東一円はこれで蓄熱してしまい,夜間の気温がさらに下がりにくくなります。昨日も夜12時過ぎでも30℃を下回りませんでした。過去の政権と土建利権複合体が作り上げた恐るべき夜間熱地獄の出現です(画像/MWS)。








2013年8月10日


ps

ここのところ種々の作業が連続していて食事がおろそかになってしまい,いい加減なものを食していたら胃を壊しました。原因はビールか鯖缶かニューコンミートかカップうどんのどれか,または全部にあります。どれも滅多に口にしないもので,連続で食べることはありませんが,忙しいからとつい油断しました。恐らくカップうどんが主犯なのですが,胃痛とともに背中の痛みが発生し,まっすぐ歩くのもしんどい感じになり,散々な時間を過ごしました。急性症状は一日で消えましたが,胃が何となく荒れている感じで,空腹になると鈍痛が発生することもあります。夏休みとしてお休みモードで休息しつつの作業とさせていただきますので,対応が遅れることもあります。ご迷惑をお掛け致しますがご了承いただきたく思います。すみません。(いつものように)ちゃんとご飯つくってよいものを食べますー(画像/MWS)。








2013年8月9日


ps

貴重な標本をお借りしてメンテナンスする機会に恵まれました。スライドメーカーの筆者にとっては,他人の製作した標本をメンテナンス,検鏡するのは大変に勉強になるのです。1900年代の初期頃の標本と現代の標本を清掃して検鏡しました。ほとんどが珪藻を並べたもので,製作者によって方法が違い,完成度も違います。標本を覗いていると製作者の頭の中を少しだけ覗けたような気がします。学ぶことあり,教えてあげたいことあり,ぐるぐると頭が回転します(画像/MWS)。








2013年8月8日


ps

ps

実体顕微鏡の作業では幅広い倍率を使いますので,ひんぱんに接眼レンズを交換します。それで机の上に接眼レンズが常備してあるのですが,スペースがもったいないし,ホコリよけが面倒ですし,なにか良い案はないものかと思っていました。そこでハタと気がついたのがDVD-Rのケースです。このケースはDVD-Rを効率的に保管できるだけでなく,防塵も考えられていますから最高の感じがします。中に入っている円盤もホコリよけとして機能します。ちょっとした思いつきでしたが,やっぱしオレは天才ダーと小市民的な喜びにビールもおいしくなるのでした(画像/MWS)。



*1 ファイルを消してしまったので書き直しました




2013年8月7日


ps

作業用顕微鏡を入れ替えました。これまではニコンSMZ-10を使用していてなかなか高性能だったのですが,筆者が脊椎関係を故障してから首を曲げるのがつらくなり,45゜傾角での長時間作業が危険な可能性が出てきました。そこで傾角20゜で高倍率が出せて,さらに筆者の使用するステージに載る顕微鏡が必要になりました。精査の結果,ニコンのSMZ800か1000という結論に達しましたが,前者に縁があってウチにやってきました。そのままでは使えませんので対物レンズ,接眼レンズ,ビームスプリッタも購入しました。長時間作業に使う実体顕微鏡の購入はなかなかリスキーであります。数年前にも買い換えしたのですが,体にフィットせずに使用をあきらめたことがあります。光学性能がよくても,Jシリーズの製作に少しでも差し障りがあればその顕微鏡は使いません。機材にあわせて標本を製作するのではなく,標本の完成度にあわせて機材を選ぶのです。今回は寸法やアイポイントなどを相当に考えた末に購入しましたが,実際に使えなければ処分の運命になります。数ヶ月もすれば答えは出るでしょう。Jシリーズはこうした厳しい追求のもとに製作され,世界一の品質となって世に出るのです(画像/MWS)。








2013年8月6日


ps

こんどは対物レンズのメンテナンスです。油膜あり,白濁あり,結晶析出あり,緑青あり,塗装剥げありの,劣化のデパート状態のレンズ6本です。こういったレンズのメンテナンスも昨日と同じです。まずレンズをよく観察します。特に対物先玉は実体顕微鏡を用いて状態を確認します。そして外部清掃を入念に行ったのちにレンズ面を水拭きします。繰り返しの水拭きで落ちない汚れは溶剤拭きで落とします。オリンパスの有限鏡筒長時代のレンズは多かれ少なかれ劣化しているので,汚れと劣化を見分けながら,適当なところで清拭作業を終えます。低NAの対物レンズは,研究上の必要が認められたときに限りばらすこともあります。それぞれの面の拭きに技術が必要で,元に組み上げたら必ずレンズテストを行う必要があるので,ひじょうに面倒な作業となります。しかも分解の結果,白濁が貼り合わせ面だと判明した場合は激しい疲労感に襲われます。逆に白濁を清拭できたときにはレンズの寿命が延びたわけで,ほっと一息となります。よい子の皆さんは真似してはいけません(画像/MWS)。








2013年8月5日


ps

Tokina AT-X M90mm F2.5専用のマクロエクステンダーをメンテナンスしました。かなり濁りがある感じでしたので外側の面を両方とも清拭してきれいになりましたが,内部もうっすらと曇っていることがわかり,仕方なくバラします。バラした結果,内部の白濁はコーティングの劣化のような感じで,拭いてもとれません。撮影上の実害はないので,組み直して使うこととしました。背景の白い光は拭き具合を確認するためのLED照明です。このような作業をするときは,まず外部清掃を行い,次にレンズ面をブロワー,水拭き,溶剤拭きの順にすすめます。いきなり溶剤拭きからはじめる人をみかけますが,その方法はレンズに傷をつけやすいのでお薦めできないと個人的には感じています。あと,レンズ拭きの極意があるとすれば,完璧を目指しつつも完璧の手前で作業を終えること,そんな気がします(画像/MWS)。








2013年8月4日


ps

ps

画像一枚目は筆者手製の落射暗視野用標本台です。Jシリーズは暗視野照明での展示が効果的ですが,どこのどなたも,ほとんど暗視野コンデンサはお持ちではありません。しかしフィバーライトやLEDランプはどこにでも転がっているので,それらを利用して効果的な暗視野照明ができるようにと考えたのが,この標本台です。接眼レンズの不要なハウジングを利用して,上面の少し下部にドーナツ型に切り抜いたボール紙を仕込んであります。紙の表面にはアルミテープを貼り付けてあって,上面から入射した光が透過暗視野の配置で標本に向かうようになっています。このドーナツの孔の向こう側は暗箱になっていて,筒の内周と底部は黒の植毛紙を仕込んであります。

画像二枚目は標本台の使用例です。上にJシリーズの標本を置き,斜め上面から強力なLEDで照明しています。背景は暗箱の効果で暗黒になり,上面と下面からの暗視野光束で珪藻が輝きます。とても簡単な工作ですが,光学的配置を考えて作ってあるので効果は大きいのです。プラスチック製なので,丁寧に扱えば標本に傷をつけることもありません。特に,中央部が凹んでいるのでスライドグラスの裏面に傷がつくのを防げます。視野の移動は標本台を持てばいいので標本を指紋でベタベタにすることも最小限にできます。皆さんも夏休みの工作にいかがでしょう(画像/MWS)。








2013年8月3日


ps

標本を展示していたところ,拝観料が自発生成しました。展示はもちろん無料なのですが,顕微鏡を覗いたある方から,これは拝観料を取るべきとのアドバイスを頂戴致しました。そこで浄財を投入する「おうえん箱」が作られ,珪藻標本を検鏡した方々がコインを投入するという事態になりました。標本は超高級品でしたので売れませんでしたが,それ以上にうれしい出来事のような気もしています。人々を魅了する標本,それが珪藻プレパラートJシリーズなのです。おうえん箱に集まった補助貨幣は,筆者のビール代心身疲労回復/栄養補給に有り難く活用させていただくこととします。ありがとうございました(画像/MWS)。








2013年8月2日


ps

標本の展示が終わればすぐにメンテナンスです。少しでも外気に曝した標本には種々の汚れがついていますので,汚れの種類を見極めて清拭します。Jシリーズ標本の清拭は完璧を目指すと,CCD,CMOSの清拭と同等か,それよりも難しいというハイレベルな技術が求められます。チリ,ホコリ,砂粒,皮脂,唾液,角質で盛大に汚れた標本を出荷前の完璧な状態に戻すには,『拭き三年』の技術は最低限必要な気がします。何しろ,顕微鏡で直接見る物体なのです。だから顕微鏡で確認しながら清拭するのです。レンズを拭くよりも遙かに難しい作業となります。そして作業後はキムワイプとレンズペーパーの山が残されるのです(画像/MWS)。








2013年8月1日


ps

仮説実験授業研究会 夏の全国合宿研究会 千葉・勝浦大会では多くの方々の来訪をいただきまして感謝申し上げます。本年は標本としては目新しいものを供給することができませんでしたが,超高級プレパラート(Jシリーズ)の展示をはじめとして,放射能レンズ,分子デザインビーズなどの他にない個性的な品物を紹介致しました。分子デザインビーズが好評で大変うれしく思っています。また来年もがんばりますので,皆さまよろしくお願い申し上げます(画像/MWS)。









Copyright (C) 2013 MWS MicroWorldServices All rights reserved.
(無断複製・利用を禁じます)
本ページへの無断リンクは歓迎しています(^_^)/


トップに戻る



.