画像のご利用について   サイトマップ





本日の画像

ミクロワールドサービスが顕微鏡の世界を伝えるコーナーです。
日々の業務メモやちょっとした記事もここに記します


【サイトトップ】 【9月】 【10月】 【11月】 【12月】 【2008年1月】  【2月】  【3月】  【4月】  【5月】  【6月】  【7月】  【8月】  【9月】  【10月】  【11月】  【12月】  【2009年1月】  【2月】  【3月】  【4月】  【5月】  【6月】  【7月】  【8月】  【9月】  【10月】  【11月】  【12月】  【2010年1月】  【2月】  【3月】  【4月】  【5月】  【6月】  【7月】  【8月】  【9月】  【10月】  【11月】  【12月】  【2011年1月】  【2月】  【3月】  【4月】  【5月】 【6月】   【7月】   【8月】   【9月】 【10月】 【11月】 【12月】  【2012年1月】  【2月】  【3月】  【4月】  【5月】  【6月】  【7月】  【8月】  【9月】  【10月】  【11月】  【12月】  【2013年1月】  【2月】  【3月】  【4月】  【5月】  【6月】  【7月】  【8月】  【9月】  【10月】  【11月】  【12月】  【2014年1月】  【2月】  【今月】



2014年3月31日


ps

ps

原稿チェックをしながら電車に揺られて向かった先は青梅市の吉野梅郷でした。青梅市はその名の通りウメが売りの地域ですが,東京西部の多摩地区から奥多摩にかけては,どこでもたくさんのウメを見かけます。八王子から五日市,青梅にかけては樹齢が100年以上の古木も珍しくないように見えます。おそらくは,これらの地域で盛んだった養蚕・織物の関係で植えらていたのではないかと思います。ウメは染物に使うらしいのです。この地域で育った筆者にとっては,梅林は思い入れのある風景でもあります。

3月上旬に冷え込みが続いたせいで,吉野の梅はちょうど満開になったばかりでした。ここの梅林は全国屈指の美しさを誇るとされていて,公園内には種々の梅が植樹されていて,それはそれはみごとなのです。学生時代には遠巻きに,自転車で走りながら眺めたものでしたが,今回は,見納めになるのでしっかりとこの目で確認してきました。

ニュース等で周知のように,東京西部ではプラムポックスウイルスの発生により,緊急防除が行われています(ぜひ こちら と こちら をご参照ください)。これまでも感染した樹木の伐採が行われてきましたが,目立った効果がないので,吉野梅郷ではすべて伐採の方針となっています。植物防疫上は正しいとされる対応ですが,歴史ある梅の里にリセットがかかってしまうのは心情的には残念です。

吉野梅郷の公園内は山全体が梅の香りに包まれ,満開の木々の間を縫って歩道をさんぽする気持ちは,楽園というか桃源郷というべきか天女の羽衣というべきか,ちょっと言葉にできないものでした。日だまりも暖かく,多くの見物客もみんな笑顔です。何かの気分的なピークの上にいるような気がして,うれしいような,こそばゆいような,もの悲しいような,何とも言えない気分でした。皆さんもぜひ次の画像をご覧下さい(2014年3月28日撮影)。

吉野梅郷 最後の姿 −ミクロワールドサービス

この梅林はまもなく全て伐採され,まずは福寿草と水仙の丘になるそうです。この2つは梅と開花時期が同じなので,梅郷を忘れずにいてもらうためにも好都合でしょう。そしてウイルスが確認できない状況になれば,再び梅を植林して梅郷を復活させる計画です。熱意と闘志が必要な仕事ですが,青梅の皆さんなら,きっとやってくれることでしょう(画像/MWS)。








2014年3月30日


ps

ps

ps

近ごろメインで使用しているカミソリマクロTokina AT-X 90mm F2.5は,近接性能がよいことはもちろんですが,普通撮影でもなかなか良く写ります。マクロに特化したレンズでありながら遠景でもOKというのは,どういう設計(球面収差補正)をするのでしょうかね。Nikon1 J1につけると画角で243mm相当の望遠レンズになってしまいますが,これでマクロから遠景までOKというのは,むかし重い機材を担いでレンズの付け替えをやっていた頃を思えばとても助かります。きょうの作例は数メートル程度の被写体と,ほぼ無限遠の被写体。どちらも問題なくきれいに写ります。厳しい目で見れば,軸上色収差がG線付近から見えてきますが,無理にあら探しをしなければ気にならない程度です。大昔のトキナーレンズ,筆者にとっては今でも第一級のレンズです(画像/MWS)。








2014年3月29日


ps

原稿をチェックする用事がありまして電車に乗り込みました。前にも書きましたが,読書や講義ノートの作成や,原稿チェックは電車の中がいちばんなのです。顕微鏡デスクの上よりも数倍の速度で作業がすすみます。せっかくですから,気晴らしも兼ねて散歩のできるところに出向き,数キロは歩いて運動うんどう。画像は出先での一コマ。知る人ぞ知る?洋品店跡です。この辺りは若い頃に何度も自転車で走ったところですが,いつの間にか,20年以上の間があいてしまいました(画像/MWS)。








2014年3月28日


ps

藤原ナチュラルヒストリー財団フォトコンテストの受賞者が発表されています。

こちら

プランアポクロマートを自在に操っていると思われる顕微鏡写真も入選していて,本フォトコンテストをたびたび紹介してきた筆者としても,大変うれしく思っています。審査委員長の選評には,応募にあたっての考え方が述べられているので,来年のためによく読むとよいかと思います。顕微鏡写真は,これを一般に広めようとする人が絶えず存在していながら,なかなか浸透しないという歴史の繰り返しに見えます。ここは一つ,本ページの読者の方々のご活躍に期待することにしましょう(画像/MWS)。








2014年3月27日


ps

そろそろ3月も終わりにさしかかっています。卒業式も終わり,新天地で活動を始める方もおられるでしょうし,引き続き同じ場所でコツコツ研究を続ける方もいることでしょう。筆者の顕微鏡研修や集中講義を受けた方々の中から,今年は数名のドクター(4人かな?)が誕生したはずです。皆さん,おめでとうございます。これからも,楽しく顕微鏡を使ってくださいね(画像/MWS)。








2014年3月26日


ps

放散虫は珪藻のような周期的微細構造があまりありません。穴ぼこはあいていますが,けっこう大きな穴ぼこで,種によっては骨格という感じです。その代わり,立体構造が面白く,厚みのあるシリカの殻はそのまま置物にしたいくらいです。海外では放散虫の形態そのままのアクセサリーが古くから作られていましたが,とうとう国内でも放散虫のストラップなどが販売されるようになりました。ぜひ,

RC GEAR(アールシーギア)さん

を覗いてみてください。ひじょうに忠実に再現された銀細工がいくつも並べられています(画像/MWS)。








2014年3月25日


ps

この画像は列車の中から撮影した一コマですが,別に四谷学院の宣伝をしたいわけではないのです。この風景の地下には,玉川上水が流れているのです。水環境の専門家になろうと大学に通い始めた10代後半,一年間中央線の同じ場所に乗車して,三鷹駅を流れる玉川上水を眺めていた覚えがあります。当時から「上水」とは名ばかりで下水処理水が流されていたのですが,錦鯉が泳いでいたり,雨の日はかなり増水したりで,日本屈指の混雑区間にくたびれながらも日々の移ろいを感じたものでした。あれから時が過ぎ,土建産業優先の世の中は少しも変わらず,水環境(水質)は多少改善したかに見えても,それは下水道にカネが投じられたからで,本来地中に染み込んで地下水を涵養するはずの雨水や,河川から搾取され河川に戻るべき水は下水管の中に行ってしまい,水循環が健全化する方向には行きませんでした。開発一辺倒の世の中が「ふつう」になってしまい,人々はそれに慣れ,失ったものの大きさや貴重さには,気づくことすら難しい世の中になっているような気もします。久しぶりに玉川上水を眺めて,複雑な気分になったことでした(画像/MWS)。








2014年3月24日


ps

23日は用事があって東京郊外まで出向きました。もう3月も終わりにさしかかっているというのに,まだ梅が咲いています。ここの梅は2月後半には咲き始めるのが例年なので,ずいぶんと遅い感じです。今冬は寒い冬だったらしいのですが,個人的には,あまり冷え込まなかった気がしていて,自分のために暖房を入れたことはなく,それでもラクに過ごせました。室温も10度を切る日は例年より少なかったように思います。などと振り返り,ぼやぼやしていると,あっという間に熱地獄の大都会となるんですよね…(画像/MWS)。








2014年3月23日


ps

放散虫の需要がありそうなので原料を処理して在庫を作りたいところです。いろいろ試しているのですが,現生の種は大量入手が面倒で現在のところは化石で攻めています。化石といっても,ほんの数千万年前のものですので,現生の放散虫と形態が似ているものも多く,それなりの多様性もあり,きれいにさえできれば十分に見物になる感じです。が,その,「きれいにする」がとてつもなく難しいので,いつも足踏みしているわけでございます…。

きょうの画像をみてお判りの通り,放散虫に粘土鉱物と珪藻の破片がついています。もともと海底に粘土鉱物とともに堆積して,それが隆起して地上に顔を出し,降雨にさらされ,凍結し,乾燥して,風化してきたものが,このサンプルです。放散虫の中にも外にも一杯の鉱物が詰まっているので,きれいにほぐれるような処理をして微細な鉱物や珪藻の破片を洗い流さないと,純粋な放散虫にはなりません。一度乾燥してしまったサンプルは粘土鉱物が固着しているので,これをほぐすのが殆どムリで,多くの研究者を悩ませてきたのです。一つの方法は時間をかけるということですね。珪藻もそうですが,年の単位で気長にあれこれやると,けっこうきれいにできるものもあります。珪藻も放散虫も逃げませんから,時々眺めながら,気長にあれこれやるのがよさそうです(画像/MWS)。








2014年3月22日


ps

包丁なんて研いだことない。なぜ包丁が切れると良いのか? という方もおられるかもしれません。目的さえ達成できればよいので,やりたいことができていれば包丁なんて切れなくても問題ありません。最近はハサミで調理する人も増えていると聞きますし,それぞれがやりやすい方法で行えばいいだけのことです。筆者にとっては,すぱっと切れることが技術の確認になりますし,一日中顕微鏡を覗いていて疲れたときの夕飯作りは,何よりの気分転換です。気分転換は気分が良い方がいいに決まっているので,惚れ惚れするような切れ味が望ましいわけです。

特に切れ味を要求される食材,というのがいくつかありまして,その中でも筆頭にあげられるのが,ちくわと油揚げでしょうか。この二つは具材兼調味料としてよく使っているので,とにかく細くこまかく切る必要があります。ところが,ちくわの皮というのは相当に硬いので,刃がなまるとすぐに切れなくなります。油揚げも似ています。完璧に研ぎ上げれば,うすーく切れるので,調味料としては大変よろしい状態になるわけです。

もやし200gほどを電子レンジでチンして水気を切り,細切れにしたちくわと,キムチ少々,シラス干しを加えて,ごま油を垂らせば当店自慢のニャムルのできあがりです。市販のちくわにはアミノ酸がたっぷり入っていますので,そのまま食べるよりも,煮物や和え物などに少量加えてダシを利用するのが当店のやり方です。しつこくならないので,飽きずに食べられます(画像/MWS)。



*1 ウチでは化学調味料の類を置いていないので,化学調味料の代わりに,似たような成分の入った食材を利用するわけです。よく使うのはコンブ,めかぶ乾燥品,ちくわですね。化学調味料を否定しているわけではありません。ただ,あのような粉末になっていると,加減を調節するのが本当に難しく,使いにくいのです。具材のダシを調味料として使う方が失敗が少ない気がします。




2014年3月21日


ps

20日は若い研究者の訪問を受けました。写真集『マイクロスコープ』も持っているという顕微鏡大好きな方でしたので,当然,顕微鏡の午後となったのでした。滞在時間は短かったのですが,顕微鏡の話はツーカーで通じますので,話に無駄が生じず,とても楽しい時間を過ごしました。ここのところあまりの忙しさに追いつめられており,体調も急低下してきたところだったので,久々の顕微鏡談義は願ってもないカンフル剤となったのでした。画像は携帯顕微鏡を紹介したときのもの。顕微鏡に深い愛をお持ちの方には,こういった貴重な機材も自由に使ってもらっています(画像/MWS)。








2014年3月20日


ps

都内ではPM2.5レベルの微少な降下物が増えてきました。昨年は3月上旬から降下がはじまり,3月9日に激増した覚えがあります。それと比較すると10日以上も遅い感じです。量もそれほど多いというわけではなく,大物の標本製作以外なら対処できるレベルです。降下物の色も,昨年は酸化鉄の粒子といった感じでしたが,今年は白っぽいものが多く正体は不明です。顕微鏡下で降り注ぐ粒子を見ながら春を感じるというのもヘンですが,空気中のチリは春の使者ですね。

これらの降下物は光学機器を傷めるので,大事なレンズやカメラ,顕微鏡などはカバーをかけたり袋で包むなど,適切な対策を施しましょう(画像/MWS)。








2014年3月19日


ps

都内はようやく春一番です。これほど遅い春一番はちょっと記憶にないですね。ゴーゴーと大嵐の感じで,ホコリも大量に舞い上がり,筆者としてはじつにうれしくないのです。しかし暖かくなることはうれしくて,サンプリングシーズンも開幕ですから,春はついついサンプリングに傾注することになります。きょう(18日)は専門分野に関する発表があったので,近くの大学まで出向きましたが,数日前の寒さが信じられないような陽気で,強風に髪がボサボサになりながらも,何となく鼻歌交じりの気分になったのでした(画像/MWS)。








2014年3月18日


ps

これも化石の放散虫です。一つの試料からいろいろな形の放散虫が出てくるので,探して拾い出すのが面白くもあり,大変でもあります。珪藻よりもがっちりとしたものがあるかと思えば,どうしてこんなに細い針を持つのかと思うほど,繊細な種もいます。放散虫の困ったことといえば,転がることです。全体としては球形で近似できるようなものが多く,転がるのです。拾い出すときも,とがった先端が見つけられない種は,静電気で引っ張り上げることも難しくなります。また放射状にとげの出ている種は,基盤に固定するのが難しく,動いてしまえばJシリーズとしては一巻の終わりです。と,いろいろ難しいこともあるのですが,姿形がなかなか完璧で,自然の造形を鑑賞するには最適なもののように思えるので,地道に集めては並べるのです…(画像/MWS)。








2014年3月17日


ps

これは化石の放散虫で…と書こうとしたら,突然,視野中心付近に輝度の高い光源を見た後のような残像(みたいなもの)が現れました。あれれ,そんなにまぶしいものは見ていないのに,と思いつつ,網膜のどの辺りに残像があるのか調べようとパソコンのモニタを眺めてみると,黄斑部分からは微妙にずれていて,網膜がおかしくなったかな,と思い,右目,左目,と片眼ずつ見てみると,どちらの目でも同じ位置に残像が見えます。…ということは,脳が原因ですね。

そこまでわかれば,「目 残像 消えない 脳」で検索し,その結果,「閃輝暗点」という症状であることが判明しました。完璧に同じ症状です。インターネットの世の中というのは,なんと便利なことかと感嘆しました。はじめての経験でしたが,まず間違いなくコレだと思える判定ができると,ずいぶんと安心できるものです。この閃輝暗点は原因がよく分からないのだそうで,しかし視覚に関連した脳の部分で一時的に血流が滞っていることにより起こるのだそうです。微少脳梗塞などとも関係があるものと想像されています。まぁそこまでわかれば一安心ですね。寝る前に水でも飲むこととします。。

で,放散虫というのはいろんな形態のものがあって,ガラス質ですから偏斜照明や微分干渉で美しく検鏡できるので,何とかして安定供給を目指したいと思っています。現生の放散虫を大量に集めるのは結構大変なので,化石放散虫で状態のよいものを,完璧に洗い上げて粘土鉱物を落とすことができればと思い,あれこれ模索しています(画像/MWS)。








2014年3月16日


ps

これは偏斜照明による珪藻の画像。むかしのコンデンサには偏斜装置がついていましたが,あるときからメーカーさんが申し合わせでもしたかのように,一斉に偏斜装置を廃止してしまいました。これは,微分干渉や位相差を購入するように誘導するメーカーさんの策略だったということもあり得ると,個人的には考えています。偏斜照明というのはアッベが回折限界の理論を発表する前から行われていた,もっとも歴史ある基本的なコントラスト法の一つです。知識があればユーザーの工夫でどうにでもなりますが,顕微鏡の勉強をしたことのない人たちには,手も足もでないでしょう。メーカーさんは,ユーザーさんの大部分が顕微鏡の勉強をしたことがないことを知っていて,偏斜装置を廃止したのではないかと思っています。

多くの分野では,それでも実害は少なかったかもしれません。良質な位相差,微分干渉装置があれば,一般検鏡において問題になるケースはそれほど多くないからです。

しかし珪藻検鏡では事情が違います。解像限界ぎりぎりまで検鏡しようと思うなら,位相差は論外,微分干渉もかえって邪魔にしかなりません。対物レンズの性能ぎりぎりまで使うようなやり方では,特殊な検鏡法の一部を除けば,偏斜照明法が今なお有効です。偏斜照明法で見えるのに微分干渉法では見えないというようなことが起こります。しかし珪藻の検鏡は,一般の顕微鏡ユーザーからみれば傍流中の傍流です。メーカーさんが気にかけたとは思えません。

そういうわけで,賢いユーザーは,自分で偏斜照明装置を作って利用しています。コンデンサ絞り面の形を変えればいいのですから,簡易にやるなら紙一枚でもできます。きょうの画像ではコンデンサ絞り面に拡散板をセットして,そこに影を落とすことにより偏斜効果を得ています。画像処理は先日掲載したRGB→G情報取り出しのモノクロ変換です(画像/MWS)。








2014年3月15日


ps

これは珪藻土から拾い上げたもの。どのくらいふるい化石なのかはよくわかりませんが,2千万年は経っていそうです。場所は地中海周辺です。珪藻化石を検鏡していると,現生種とは明らかに形態の異なるものがあって,それらはなんだかおどろおどろしい感じにも見えます。それは筆者が勝手にそう感じているだけなのですが,現生の珪藻は繊細でエレガントな感じのするものも多いのです。これに対して化石種は,がっしりしていて荒削りな感じの種が多いように感じるのです。地質学的年代でみれば,海洋はだんだんと珪酸濃度が低下してきているので,むかしの珪藻の方が厚くてがっちりしていたのかもしれません(画像/MWS)。








2014年3月14日


ps

ps

ps

顕微鏡写真の基本はモノクロです。それは分解能が照明波長に依存することから考えれば自明のことでしょう。ところがデジタル時代に突入して,入手しやすい撮像素子はみんなカラーになってしまいました。モノクロで高画素のCCDやCMOSは手の届きにくい高価なものとなり,モノクロが安価に入手できたフィルム時代では考えられないこととなっています。

そういう時代になってしまったので,カラーの素子を使ってモノクロ撮影に近い効果を出せるように工夫が必要になってきます。きょうの画像は,そのもっとも安直な例といえるかもしれません。まずカラーで撮影します。照明波長や照明法,対物レンズの組み合わせによっては,ひどい色収差が出ますが,もっとも高コントラストな絵になるようにピンとをあわせて撮影します。

得られた画像を処理ソフトで開いたら,RGBカラーを選択して,RとBの明るさをゼロに指定します。Gはそのままにします。これで一面が緑色のモノクロ画像になります。これをグレースケールに変換します。すると見た目もモノクロっぽい絵になります。次に,ヒストグラムを引き延ばします。コントラストが向上してみやすい絵になります。つぎに,画像を適当なアルゴリズムで縮小します。このときに選ぶアルゴリズムは重要で,相性のわるいものを選ぶと,画質にざらつきが出ます。拡大表示で画質の荒れを見極めながら,カメラの素子に合っている縮小方法を選びます。縮小したら,最後にアンシャープマスクで,縮小により平均化されてしまった細部を浮き上がらせます。

そうやって処理をしてみたのがきょうの画像。デジタルカメラのカラー素子はRGBごとにデータを持っているわけで,これは三種のフィルタを使って撮影していることと同じです。そのうちの,緑(G)のデータだけ取り出してやれば,緑色の照明でモノクロ素子を用いて撮影した結果と近くなるわけです。ただ,この方法ですと,R,Bのデータは抜け落ちるので画像にざらつきが出ます。そこで十分な無効拡大で撮影して,画像処理時に縮小により平均化してざらつきを消し,滑らかなモノクロ画像になるようにします。

1枚目と3枚目の画像を比較すればわかるように,像の締まりがよくなり細部の再現性がよいモノクロ撮影の効果が出ています。モノクロ照明にモノクロ素子を使った絵には及びませんが,試してみる価値はあります。この方法の良い点は,すでに撮影済みの画像にも適用できることです。今ひとつだなぁと思っていた昔の絵が,画像処理でよみがえることもあるでしょう。お試しいただければと思います。なおきょうの被写体は,化石の放散虫で,拡散板を利用した偏斜照明,対物レンズのNAは0.55,倍率は40倍です。色収差が大きいレンズですが,NAが小さい分ピントが深くなるので採用しています(画像/MWS)。








2014年3月13日


ps

原子力発電所が熱効率の悪い施設であって大量の熱を海に捨てていることは,今や広く知られるようになりました。海が暖まると海洋の生態系は一変してしまうのですが,福島第一原子力発電所事故により全国の原発が停止して,海の変化がどのようなものであったのか,誰の目にも分かる状況になってきました。こちらのリンク先をご覧下さい。

原発停止で温排水も止まって 周辺の海洋環境が劇的に改善 − 中村隆市ブログ 「風の便り」

もちろん,昔から温排水問題は議論されていました。それがきょうの画像で,昭和50年の出版物です。当時は水温変化と水産生物に関する研究も少なく,限られた知識ではありましたが,いまの学会ではまず見られない喧々囂々の議論が展開されていました。筆者は10代の終わり頃にこの本を読み,科学者の社会的責任について考えさせられた覚えがあります。

しかし自然を守ろうとする科学者の警告はいつも,産業界に押しつぶされてきたわけです。そして原発が増えた結果,全国の沿岸,特に湾のような構造をしているところを中心に,本来の生態系が壊滅的な状態になり,それが日常の風景になっていったのです。

そして知らぬ間に,国民は原発が必要なものと洗脳され,海を破壊していることも知らず,原発が必要だと思っている人が多くいる世の中になりました。

原子力発電所は徐々に増えていったので,海の変化は,漁師や研究者などの,ながねん海を見てきたひとたちにしか,気づかれませんでした。ところが今回は,たくさんあった原子力発電所が一斉に全部停止したのです。ダメになっていた海が一気に回復する姿が,誰の目にもわかりやすくさらされることでしょう。

荒れ果てた海が本来の姿に回復するというのはとても良いニュースですが,このニュースが中央マスコミで流されることは,あるのでしょうか。それとも国民を洗脳し続けるために,このニュースは握りつぶされるのでしょうか(画像/MWS)。



*1 このレベルの変化は,グーグルマップで追跡できる可能性があります。どなたか,ぜひ積極的に証拠を押さえておいてください。




2014年3月12日


ps

ps

11日は心を落ち着けて,微化石試料からの拾い出しをしました。こういった繊細な作業は何よりも「落ち着いた気持ち」が大切ですが,そのような状態でいられる平和な日々に感謝したいと思います。3年前は,重苦しい日々を過ごし,起きた災害に対して何もできない自分にもどかしく思い,「落ち着いた気持ち」とはほど遠い一年を過ごしました。娯楽の本を読むことは不可能になり,音楽をきくこともできなくなり,とにかく淡々と自分にできることを探し続けたように思います。今でも震災前の精神状態とは異なりますし,精神状態が完全にもとに戻ることはないのかもしれませんが,納品先の皆様を思い浮かべながら,いささかの指の狂いもなく作業をこなせるようにはなっているので,まあ十分かと納得することにしています。画像は拾い出しを行っている試料と拾い集めた在庫。ここから珪藻や放散虫を拾い出すのですが,ほとんどが壊れているので,この試料をひたすらかきわけて状態のよいものを探し出します。ちなみに,この試料は3年以上,かきわけては拾い出しを継続しているものです(画像/MWS)。








2014年3月11日


ps

この画像は,津波堆積物中に含まれていた珪藻です。津波が襲った地区では,道路わきの土を採取して検鏡すれば,このように海の珪藻が見つかります。海底の泥が巻き上げられて陸上を襲った証拠です。あの震災を忘れる人はいないだろうと思いますが,当サービスでは,震災の記憶をとどめるためと,地質学における微化石の重要性を理解するために,津波堆積物中の珪藻標本を製作販売しています。泥をそのまま検鏡しても,珪藻の出現頻度がひじょうに少ないので,珪藻を含む分画を濃縮してあります。この標本を製作するために試料を処理していると,ガラスや陶器の破片などが出てきて,胸が潰れる思いです。標本には,海の珪藻に加えて,河口で見られる珪藻,花粉,有殻アメーバなどが見られます。

それにしても,あれから3年。ただでさえ人手が足りなくて被災地の各種工事は遅れているのに,原発は完璧にコントロールされているといい加減なことをのたまい,東京でオリンピックを開こうとするとは,いったい何なのでしょうか。これでますます被災地の人材は不足し,金のある東京へ建設工事が集中することでしょう。少し前には民主党政権のせいで復興が遅れたとマスコミの一大キャンペーンが展開されましたが,自民党政権がオリンピックを推進することは,復興の遅れにつながらないのでしょうか。色々なことが雑に行われる世の中になって久しい気がしますが,ものごとの順番というものは,もう少し大事にした方がよいと思うのは筆者だけではないでしょう(画像/MWS)。








2014年3月10日
















最近,研ぎの記事がないではいかーという声が聞こえてくるような気もします…。すみません。忙しくて,落ち着いて研ぎタイムという感じにならないのです。でも包丁はちょくちょく研いでいて,日々のごはん作りに使っているわけですので,きょうは料理の方を書くことといたしましょう。

アジはピンとしていて張りがあり,虹色が消えていないものを選びます(画像1枚目)。ウロコを落とさずに,ざっとたわしと流水で洗ってから,頭を落として腹を開き,ハラワタを取り去ります。背骨に沿った血合いに軽く切れ目を入れて,ブラシなどでこすりながら流水で洗ってきれいにします。ここまでできたら水気を拭き取って,きれいなまな板に載せませす(画像2枚目)。

次に皮をむきます。三枚におろしてからの場合は「皮を引く」といいますが,おろす前にとってしまうので「皮をむく」と呼んでいます。正式にはなんと言うのでしょう。。方法は簡単で,背中側とお腹側の皮に浅い切れ目を入れます。包丁では切れ込みが入れにくいと思う人は,新しいカッターの刃を少しだけ出して使うとよいでしょう。そして頭の方から尾の方へペリペリと剥いていけば簡単に,しかもきれいに剥けてしまいます(画像4枚目)。この方法の利点は,腹側の銀皮もきれいに残り,ぼろぼろにはならないことです。三枚におろしてから皮を引くと,技術の差が出やすいように思います。失敗すればぼろぼろになります。

皮がむけたら,骨を身を切り離します。一気に大名おろしにすると,骨にたっぷりと身が残ってしまうので,ここは慎重に,骨に身を残さないようにしましょう。ペティナイフや小さな包丁を使って,背びれの方向から,刃先を骨に這わせて少しずつ切り開いていくと,骨と身が離れていきます。中落ちまで到達しても,そのまま切り進んで,まずは2枚におろし,反対側も同じように切って,三枚におろします。残った骨には身があまりついていません(画像4枚目)。

切り離した身は,腹骨をすき取り,小骨をとって,小さめのすしネタくらいに切ります。これに刻みネギとショウガを入れて,高級なしょうゆを適量加え,よくかき混ぜてなじませれば,筆者流のアジの叩きのできあがりです。これを暖かいごはんの上に載せて食べれば,幸せなひとときを過ごせることでしょう(画像/MWS)。



*1 このおろし方は,10年くらい前に,青森県の魚屋さんのホームページを見ていて発見したものです。合理的な方法と思いましてすぐにまねしましたが,じつに良いと思います。

*2 包丁は,小出刃でもいいですが,それほどの厚みは必要ありません。小さな包丁の方が扱いやすいと思います。きょう使ったのは,高知県で衝動買いした小さな包丁(105mm)です。本ページの2012年4月6日で紹介しているものですが,筆者が店先で選び抜いて購入しただけのことはあって,すばらしい品質です。

*3 研ぎはけっこういい加減で,骨董市で買った500円の石ころ(中砥っぽい)に青砥を名倉代わりに使い,軽く刃先を立てた程度のものです。これでじゅうぶん切れます。

*4 アジのたたきは細かく切ることが多いのですが,ちゃんと小骨が処理されていれば,大きく切った方がおいしいです。細かく切った方がよいのは薬味です。ネギとショウガは細かいみじん切りが良いです。

*5 しょうゆはよい物を使ってください。せっかく素材が最高なのに,調味料が品のないお味だと,残念な結果になりかねません。それから,入れすぎに注意。入れすぎたらもとにもどれません。少しずつ足していって,ちょうどいいかな,と思う一歩手前くらいにしておくと良い結果になるような気がしています。

*6 頭は振り塩してオーブンで焼けば素敵な酒のつまみになるでしょう。あるいは,骨と一緒に煮込んでダシをとっても有効利用になるかと。たいせつにいただきましょう。





2014年3月9日


ps

きのうの画像に含まれる放散虫ひとつを拡大したものがきょうの画像です。珪藻のような微細構造はないのですが,全体の姿が見事で,珪藻に劣らない造形だと感じます。珪藻は厚みの少ないものが多いですが放散虫はどちらかといえば球形に近いものが多く,顕微鏡写真的にはむずかしいものです。全焦点画像にすることもできますが,ピンぼけを利用して立体感を出した方がわかりやすい場合もあります。きょうはピンぼけの例ですが,なるべく被写界深度が大きくなるように,対物レンズは倍率に対して低開口数のものを選んでいます(画像/MWS)。








2014年3月8日


ps

当サービスでは珪藻をメインに取り扱っていますが,封入可能なバイオミネラルであれば何でも封じてみたいと思っております。これまでも,海綿骨針,ナマコの骨片,有孔虫,珊瑚などの破片,貝殻などを構成するカルシウム系結晶などを封じてきました。それからきょうの画像のような,放散虫も封じています。もちろん,バイオでなくても,微細な鉱物でもOKです。ただ,鉱物結晶は大きなものになると,封入剤と硬化収縮率が異なるので,ながねんのうちには,内部に残存する応力によって剥離の可能性が高くなります。穴ぼこだらけのバイオミネラルの場合は,ゆっくり固めれば応力は少なくできるので,長期保管でも安定なものになると思っています。作業としては単純でも,100年先を見据えると,対策しておかねばならないことはあると思っています(画像/MWS)。








2014年3月7日


ps

一部の対物レンズの整理を行いました。筆者はコレクターとしての趣味はなく,全て使うために所有しているので,これらの対物レンズも頻繁に付け替えて検鏡に供することになります。すると最初は種類別に収納していたレンズも,使用頻度に伴って分散していくので,ときどき種類別に収納し直すことになります。おおまかな分類は,1)PlanApo系列,特に油浸,水浸,マルチイマージョンの超高級レンズ,2)フルオール系列,油浸,グリセリン浸など,3)位相差系列,LWD,4)プランアクロマート系列,5)短頚33.6mm,36mm系列,6)金属対物,といったところです。

これらのレンズは分類収納するにあたって,程度をチェックして,分解修理が必要なものは別にしておきます。清拭が必要なものはその場で済ませて,レンズケースに取り付け,乾燥してからケースのカバーを取り付けます。どのレンズも全てレンズケースに収納することは言うまでもありません。レンズケースに収納したレンズは,さらに密閉容器に入れて,生石灰の乾燥剤とともに保管します。この容器を置く場所は,南側の窓際で日光が当たらない,2階以上の高さにあるところです。なぜなら,レンズカビの発生を最小限に抑えることができるからです。

北側は気温が低いので相対湿度が高くなりやすく,カビが出やすいと感じます。また南側の部屋でも,押入の中は,布団から湿気が出るので不適です。それでも押入や天袋に収納しなければならないケースもあるかと思います。そのようなときは,押入はつねに開放しておくことです。閉めるのは来客が来たときだけにします。こうすれば湿気がこもることは防げるので,多少はマシになるでしょう。

レンズは高価なものが多く,たくさんの数があれば,黴びたときの損害は恐ろしい金額になります。可能な限りの配慮をして損なことはなにもないでしょう(画像/MWS)。








2014年3月6日


ps

微化石研究集会ではFirefoxを使って講演を行いました。むかしから疑問なのですけど,なぜプレゼンというとパワーポイントなのでしょう。プロジェクタで画面を投影しているだけなのですから,メモ帳で発表しようが,JPG画像だけ使おうが,パソコンの画面に出るものなら何を使ってもOKだと思うのです。それをパワポファイルに統一するような学会は,プレゼンの本質を理解しない頭の固いジジイ集団のような気がしてなりません。このバカみたいな決まりのお陰で,どれだけの人が,パワポファイル製作に時間を無駄にして,そして講演会場ではフリーズするパソコンを前に立ちつくし,ご自身の講演を無にしてきたことかと思うと,ほんとうに馬鹿馬鹿しいと感じます。

パワポはたとえフリーズしなくても,多量の画像ファイルを使えば画質が劣化するし,画質の劣化を嫌えば,信じられないくらい巨大なファイルサイズになります。初期設定でのレイアウトの自由度は低く,誰が作っても似たような,営業マンの売り上げ報告みたいなスライドができあがります。スライドという区切りがあるので,全体を流れで製作するには一度紙に全てを書き出してからパワポファイルにする必要があります。パソコンというのはいろいろなことができるから有用なのであって,どこかの国で作られた不完全なソフトウエアだけを使うことによって有用性が減じられたらパソコンを使う意味がありません。OHP時代の方がレイアウトが自由で効果的な発表しやすかったとさえ思います。

そういうわけで,筆者はパワポで発表することは滅多になく,プロジェクタを使った第一回目の発表(2002年)からHTMLを使っています。HTMLで都合の悪いときはPDFか,一太郎でプレゼンしています。これら3つは,たくさんの画像でも比較的きれいに表示できますし,一太郎以外はプラットホームに依存しません。いちばんいいのはHTMLです。たくさん画像を表示してもソフトウエアのせいで劣化することはありません。どんなパソコンにもブラウザは入っていますから,単純なHTMLで記述しておけば誤作動の可能性は限りなく小さいでしょう。

HTMLの良い点はそれだけでなく,「流れる」ことです。パワポなどはスライドを一枚一枚表示する方が多いのですが,全体を一つの流れで話をしたいときに,「区切り」が邪魔なのです。HTMLで全体を巨大な1ページにしてしまい,スクロールしながら話をすれば,話がスムースに流れますし,ページがぱっぱと変わることがないために,聴いている人に余分な負担をかけません。しかもパワポのようにページを説明してしまおうとする心理が働きませんから,流す速度を自在に調節しやすいのです。大量のスライドに相当する内容でも,短い時間でコンパクトに情報を詰め込んで,それでいて早口でなく発表することができます。

そんなわけで今回もFireFoxで「全画面表示」を使って発表したのでした。スライドにすると59枚分ですが,講演時間は23,4分程度だったと思います。プロジェクタに映し出す情報は,あくまでも話の補助であって,話を聞いていれば画像がなくても論旨はわかるようになっています。そして,それぞれの画像や説明は1〜数秒見れば完全に理解できるものだけで構成してあるので,多量に流せるのです。講演では,顕微鏡の歴史的な情報とJシリーズの画像を示す必要があったので,参考となる歴史上の人物や顕微鏡画像を多数示す必要もあったのでした。52枚の画像を使いましたが,画像の意味を理解するに要する時間は合計でも3分以内で収まっていると思います。話の内容を理解できなかった人はいないと思います。

ま,皆がHTMLで発表する必要もないですが,いつでも,プレゼンとは何か?を考えた方がよいかと思っています。むかしは文章を十分に吟味して,見やすいグラフを作って,切り貼りしてOHPを作り,それを一生懸命説明したものです。自分の伝えたいことが効果的に伝わるようにすれば良いので,普段から報告書を書いている人はワードやエクセルでプレゼン資料を作ってPDFで発表するのが合った方法かもしれませんし,一太郎がよいかもしれません。相手に伝わる報告書が書き上がったら,それを要点だけにまとめれば,すぐにプレゼン資料になるでしょう。たまにプレゼンするのにパワポを使いたいんだけど…という相談があったりますが,そんなとき筆者は決まって,なんでプレゼンするのにパワポが必要なんだ?,いつも使っているソフトで言いたいことを書いて,みんなに見える文字の大きさにして,そのままプロジェクタでスクリーンに出せばいいんじゃないの?,とアドバイスしています(画像/MWS)。








2014年3月5日


ps

持ち込み標本をもう一つ。珪藻化石から多様な種を拾い出し,中央部に中心類,その外側に羽状類と中心類Chaetoceros属の休眠胞子を並べ,最外周は特徴的な珪藻で楕円形に封じたものです。出現頻度の少ないものも全て盛り込んだので,大量の原試料から一つしか製作できない貴重品です(画像/MWS)。








2014年3月4日


ps

MRC2014微化石研究集会では,千代田MKQに暗視野照明の組み合わせでJシリーズをご覧いただきました。きょうの画像はそのために製作した一枚で,本ページの読者にはおなじみのものです。角度を揃えるのと,きれいな円にするのが難しく,いつも極度の集中力でへとへとになってしまう多種類プレートです。しかしそれだけに展示効果は高く,多くの微化石研究者に喜んで頂きました。総合倍率100倍,視野数20で全景が見えるように製作していますが,展示では余裕をもって,Plan10x対物にHKW8x接眼レンズの組み合わせで,80倍の暗視野でご覧頂きました(画像/MWS)。








2014年3月3日


ps

ps

ps

微化石研究集会MRC2014に出席してきました。招待講演で,内容はどんな話をしてもよい,約30分の講演時間という贅沢な依頼を拝受しまして,それだけでも有り難いのに,ポスター会場でもボード一つをご用意いただき,さらに机一つと,顕微鏡(BX51P),28インチプラズマディスプレイを用意しますので販促に活用下さいとの,最上級の待遇を受けまして,久しぶりに本気で口頭発表する気になり,2月は準備に明け暮れたのでした。

もちろん標本も持って行かねばなりません。自慢のJシリーズを微化石系研究者に紹介できる最高の機会です。皆さんに喜んでもらえそうなデザインのものを急遽6枚作成して,ほかの標本もあわせて会場に持ち込みました。標本とBX51Pだけでは展示効果が薄いので,千代田MKQの展示用スペシャルチューン+『自然光ショートランチャー9』も持ち込んで,カラフルな暗視野検鏡も楽しんで頂くことにしました。

講演内容はエルンスト・アッベが顕微鏡対物レンズを開発するにあたって,あるいはそれ以後の顕微鏡法の発展にとって,珪藻がいかに重要であったかという1800年代から現代に至る歴史物語と,珪藻の持つ教育効果を最大限に引き出す方法をミクロワールドサービスの販売経験から,多数の画像(Jシリーズ)を交えてお話しさせていただきました。

講演は午前中のトリにしていただき,次の講演者のことを考えずに存分にお話しができましたので,大変有り難く思いました。毎日顕微鏡を使っている微化石系の研究者でも,光学の歴史に関しては分野外なのでご存じない方も多かったようで,講演は大変好評だったように思いました。質疑応答では多数の手が上がり,おなじみの「後継者は作らないんですか?」をはじめとして,「製作時間は?」「注文できるの?」「値段は?」「どうやって並べるの?」「年間生産数は」「やっていけるの?」などなど,楽しいディスカッションが続きました。

昼食をはさんで,ポスターの時間でしたが,そこではこれまで発表してきたイメージング技術を駆使して得られた画像の紹介とともに,Jシリーズを明視野と暗視野で展示して,プラズマディスプレイでスライドショーを流しました。多くの人にJシリーズをご覧頂くことができて,種々の会話も弾み,にわか顕微鏡教室も開いて,さんぽに連れ出したワンコがくるくる回転するような,弾む楽しさとなったのでした。

午後の講演ではマニアックな内容を勉強でき,鳴き砂の話や,コノドントの話が面白く,多少の質問もさせていただきました。この研究集会では,通常の学会であるような,時間厳守の雰囲気がまるでなく,ベルも用意されていません。当然,どんどん時間はオーバーしますが,それを吸収するバッファが用意されているので,何とかなるのです。自由な議論を大切にする素晴らしい方法と思いました。

MRC研究集会にははじめての参加でしたが,懇親会にも出まして,そこでは適当なタイミングを狙って,懇親会用に持ち込んだニコン携帯顕微鏡H型(DC-DCコンバータ搭載)に放散虫標本をセットして,懇親会参加者約50名弱の全員にJシリーズ放散虫とH型のすばらしさを味わっていただくことに成功しました。さすがに研究者集団だけあって,セットした標本をずらすことなく,顕微鏡が一巡して返ってきました。

そういうわけで本日の画像は,この研究集会のために特別製作した微化石標本(珪藻,珪藻休眠胞子,放散虫,海綿骨針,珪質鞭毛藻)と,筆者のデモスペース,そして懇親会会場に鎮座する携帯顕微鏡H型です。H型でしかできないことがある。それをやる。そこが大事です。筆者にとって携帯顕微鏡H型は飾り物ではなく,野山に持ち歩き,講義で学生に回し,寿司屋で取引先に見せて,懇親会で話題作りをするための機材なのです(画像/MWS)。








2014年3月2日


ps

これは新たに入荷した珪藻化石試料の中に入っていたもの。Chaetoceros属珪藻の化石種の休眠胞子です。筆者はむかし,この仲間の休眠胞子について研究していましたので懐かしくなり,つい拾って封じてしまいました。Chaetoceros属の珪藻は,ふつうの細胞は繊細で脆弱です。ぺらぺらな感じのものもいます。そういったものは,海水中ですぐに溶けてしまい,化石に残ることはありません。しかし休眠胞子だけは特別に厚い被殻なので,地質的年代を経ても残ります。画像の休眠胞子は上殻も下殻も残っているので,発芽しないまま化石になったものです。種の保存のために,いつか発芽することを期待して海底に沈んだ休眠胞子は,そのまま永遠に休眠して化石になったということになります(画像/MWS)。








2014年3月1日


ps

デモ用によく使う千代田の可搬型顕微鏡を点検していましたら,オイルや対物レンズを収納するスペースが『ショートランチャー9』を入れるためのものに見えてきて,入れてみると入ります。うれしい…。この木箱はよくできていて,スライドグラス,カバーグラス,クレンメル,xyステージ,フィルタ,対物レンズ,接眼レンズ,油浸オイルなどが収納できるのですが,油浸をしないなら,そこに『ショートランチャー9』を入れればよいわけです。電池がすぐになくなりますので,ボタン電池も入れて,ランプのお尻に敷くペットボトルのキャップも入れて,ちゃんとフタが閉まります。この顕微鏡,けっこう重くて持ち運びを躊躇することもあるのですが,ひじょうによく見えるのでできるだけ使いたいのです。こういった工夫ができると助かるのです。

画像でみて鋭い方はお気づきのように,レンズケースはニコンのものになっています。千代田のオリジナルでも十分に見えますが,よりよく見せようと思えば多層膜コートのついたプラン対物レンズくらいはつけた方が宜しい。コンデンサはNA=1.2のアッベなので,遮光法により暗視野照明や偏斜照明も可能です。性能に妥協がなく自由にやりたいことができるのであれば,少々の重さも気にならなくなります。これでHKW接眼レンズが収納できれば最高なのですが…(画像/MWS)。









Copyright (C) 2014 MWS MicroWorldServices All rights reserved.
(無断複製・利用を禁じます)
本ページへの無断リンクは歓迎しています(^_^)/


トップに戻る



.