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ミクロワールドサービスが顕微鏡の世界を伝えるコーナーです。
日々の業務メモやちょっとした記事もここに記します


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2015年3月31日


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ここのところ暖かくなり,すっかり春という感じになってきました。鉢植えのサルナシも早春を思わせる芽吹き状況で,都会に居ながらにして深山に思いを馳せることができる,ちょっとした時間です。八王子西部の山奥から枝をとってきて,挿し木して作ったサルナシの雄株と雌株ですが,都心では湿度が低く温度が高すぎで,樹齢15年を過ぎても実をならして維持することはできていません。でも枯れてもいません。サルナシが芽吹くのを見ると,若かりし頃に低山を散策していた頃が思い出されて,背骨に注油したような気分になります(画像/MWS)。








2015年3月30日


ps

当サービスは多くの法人さまとも取引させていただいております。研究所や大学関係にも検査板等を中心に納品しております。法人によっては,業者登録が必要なところもあり,そういった手続きにも対応しております。安心してご利用いただけるかと思います。

ここのところ,おもに大学関係の事務さんから,経費流用等の不正に関与しないという「誓約書」の提出を求められることが多くなりました。こういったことにも迅速に対応しております。

もっとも,誓約書があろうがなかろうが,筆者はどのような不正にも関与しません。珪藻や放散虫を一つ一つ並べるという作業は,誠実さの極致とも言うべきものであって,悪魔の誘いにホイホイと乗ってしまうような心の持ち主には,到底つくることは不可能でしょうね。もし不正を許すような人間だったら,こんな仕事はしていないでしょう。

きょうの画像は,とある大学の,研究費流用等の不正に対する対策を示したページ(のスクリーンショット)です。誓約書なんてのは,当たり前のことが書いてあるだけで不正をしたい人の前には何の効用もないように思われますが,それを提出させるというセンスが何となく,牧歌的というかユーモラスというか,そんな気もします。そしてこの画像の内容を見てみると,教職員に関しては「採用時に」だけ誓約書を取るのですね。現・教職員はどうするんでしょう。この大学,大丈夫なんでしょうか(画像/某大学HPのスクリーンショット)。








2015年3月29日


ps

都内の桜はいっせいに開き始めた感じです。ここまでくれば,もう大丈夫,温かい日々が続くーという気分になりますね。きょうの画像は,ちょっと眠たい絵になっているかもしれません。100メートルくらい離れた桜の木を,フルサイズ換算で2000ミリ相当の望遠レンズで狙ったものです。これから数日が,都内の花見シーズンです(画像/MWS)。








2015年3月28日


ps

時刻表を買ったのは10年ぶりくらいかもしれません。ずいぶんと久しぶりです。ネットがない頃は,ダイヤの大改正があると購入していましたが,最近はネットでもある程度のことはわかるので,サンプリングや学会などの移動でも時刻表はなくて済みます。それが今回,相模湾サンプリングの足であるところの,東海道線のダイヤが大改正されたので,その全体像をつかむために時刻表を買わされることとなりました。もちろん,JTBを買いました。JRにカネを払いたくはないですから。。

今回のダイヤ改正で東京・上野駅は始発駅としての性格が弱まり,じつに使いにくくなってしまいました。始発列車というのは通勤客にとっても旅行客にとっても特別の意味を持つものです。まぁ心の余裕を確保するために必要なもの,とでも言えましょうか。次から次へと,行き先もよくわからない列車が来るというのは,鉄道の運行システムをそれなりに理解しているものとしても,有り難くはありません。

これまで東京駅から,始発で座って目的地まで行っていた,おおよそ数万人の人たちは,これからは混雑した車内に割り込むようにして,疲れも倍増しつつ移動しなければなりません。代わりにほかの誰かが座れるようになっているはずですが,少し考えるとそうでもない感じがします。上野東京ラインの経路を開通以前も利用していて,遠方からの乗車で座り続けてきた人が,そのまま座り続けるだけの話です。あとは,途中で運良く座れた人が,そのまま遠方まで座り続けることになるのでしょう。

上野東京ラインの開業で,おそらくは,車両センターが合理化できるのでしょう。そうすれば土地に余裕ができて,それの売却益で工費は出るかもしれませんね。くわえて,東京も上野も,折り返しの車内清掃要員が不要になりますから,それで人件費が浮くのでしょう。企業として採算性が重要なことは疑いありません。そこはいいのですけど,「理解しやすさ」と「利用しやすさ」は捨ててほしくないと思います。

JR東日本は昨年,「松本」を東京近郊区間にして途中下車不可能にした犯罪的な改悪を実行しています。常磐線は過去から,旧型車両の墓場のような路線にして,わざと不便にして,特急列車に乗れといわんばかりのダイヤ設定にして,つくばエクスプレスとの競合に大きく負けています。周遊券や割引切符はことごとく姿を消し,金持ちだけを対象にするオトナの休日クラブみたいな変なものを設定し,カネのためなら何でもするという企業姿勢が見え隠れします。グランクラス,あれは何でしょう。裸の王様がはだかのまんま乗る車両でしょうか。恥ずかしい。。

鉄道事業としてのサービスを維持するためなら,運賃を上げればいいじゃないですか。そう思います。「これが私たちのサービスだ」といえるものがないから,ちまちまと,切り捨て切り捨て,サービス悪化,不便,不満の「改正」ばかりになっている気がします。公共交通機関は,単なる採算性だけで運用してよいものではありません(画像/MWS)。








2015年3月27日


ps

もう今年の1/4が過ぎゆこうとしています。本当に恐ろしいことです…。未だに,昨年秋頃からの宿題を抱えていて,それは一日たりとも忘れたことはないのですが,納得のいく仕事をするために引き延ばしています。まとまった時間ができればいいのですが,今年はなぜか,細切れの時間ばかりが続いていて,大物の製作物に取りかかれる状態ではありません。お待ちいただいているお客様には申し訳なく,この場を借りまして,お詫び申し上げます。もう少しお待ち下さいませ。

製作は難しくても,その間に,在庫を増やすことはできますので,主にその方面でコツコツとやっています。また今年も,美麗な放散虫や珪藻を皆様にお届けしたく,そして少しでも,これまで持っていなかった種を追加したいので,泥水をグツグツと煮たりしているのです。決してサボっているわけではございません。一日一ミリでも前に進むよう,心がけております(画像/MWS)。








2015年3月26日


ps

近所のスーパーにもコレが並ぶ時期になってきました。今年は小粒な感じで,日本海側の水温が低めなのかもしれません。知人に専門家がいますので,こんど聞いてみましょう。ホタルイカはまさに春の味で,これがないと人生物足りなくなるほどのものですけど,東京でよい物に巡り会うには足繁くお店に通うしかありません。

ところで,備忘録的に記すのですけど,どうも,昨年からカキが食べられなくなったようなのです。昨年はじめころに,胃腸の調子が悪いことが頻発して,もともと胃が弱かったこともあって,体力が落ちているのかなと思っていました。それから,水の飲み方を研究して,食前30分前まで,食後は3時間以上経ってから,というタイミングで水を飲むことにして胃もたれは激減しました。食後にお茶を飲むことで,胃を荒らしていたようなのです。

それでほっとしていたのも夏から秋の間で,12月に入ると,何となく脱力して,胃もたれ,腸がだらんとしている感じ,原因不明の下痢が時々起こるようになって,「コレはカキが犯人だ」と思うようになりました。筆者はカキが大好物で,シーズン中は,週に一回くらいは食べていることが多かったような気がします。もちろん,食中毒の経験もなく,アレルギーの経験もありませんでした。それが,食後数十分後くらいから,なんだが全身から力が抜けたように「どよん」としてしまい,顕微鏡に向かっても,珪藻や放散虫の拾い出しを行う集中力が続かず,しばらくしてから腹痛が発生し,お腹を下す,というようなことが起こるようになりました。

この症状は以前に経験した,バナナアレルギーと同じものです。バナナは体調回復によく,尿アルカリ食としても広く知られていたので,以前に病気で苦しんでいたときに一日一本くらいは食べていました。そうしたら,お腹が苦しくて,どよーんとすることがあり,恐ろしくて食べるのをやめてしまいました。大丈夫なバナナとダメなバナナがあるのも不思議でした。

そんなわけで,ある日,コレを食べてダメだったらカキが犯人だなと思いつつ,カキとアサリの入ったパスタを食し,ウマイウマイと食べきって,満腹な午後を過ごしていたら,突然お腹が痛くなって,「どよん」として,何もする気がなくなったのでした。胃が弱いのではなくて,カキアレルギーになってしまったのです。きっと,好きだからと,何年も食べ続けたのが原因なのでしょう。

そういうわけで,もうカキは食べられません。。自分で減感作療法をやってみるというのもアリかもしれませんが,手間がかかりすぎますし,効果のほども不明です。カキさん,さようなら…という感じなのです。それで,ホタルイカさんが救世主になってくれればいいのですが,何となく,ホタルイカさんもたくさん食べると同じことが起きるような気がします。実際,カキアレルギーになってしまった人は,ほかの貝類にも当たるようになりやすいのだそうで,軟体動物をどのくらい食べられるのか,これから実験の日々が続くことになりそうです。なんだかなー。皆さんも気をつけてくださいね(画像/MWS)。








2015年3月25日


ps

当サービスのお仕事を簡単に言うと,地球上のどこかに存在している微少な生物で,化石になって残るようなガラス質や石灰質の物体を,きれいに洗ってプレパラートにする,という感じでしょうか。微少なスケールなので想像しにくいかもしれませんが,作業内容はけっこう原始的です。泥まみれの,どうやってもきれいになりそうもない物体を,水や洗剤や薬品や熱湯やマイクロウェーブや超音波や紫外線などを使ってきれいにして,チリ一つないぴかぴかの状態にまで持っていく。そうしてきれいになった物体を,きれいなままに,樹脂の中に埋めて,いつでもきれいに見えるようにする。そんなお仕事です。

標本製作業と名乗っていますが,剥製や組織切片などの標本を製作する仕事とは違って,突き詰めれば「きれいに洗う」仕事ともいえそうです。これがまた難しいんですね。画像は南極近くの海底に沈んでいた放散虫。もとの試料では,中身にも一杯に粒子が詰まっていて,原形さえわかりません。これを洗って洗って,中に入っている泥を追い出して,きれいにすすいでやると,こんなガラスの骨格が出てくるわけです。うまくいって,泥だらけの試料から輝く放散虫や珪藻が出てきたときには,気分もよくうれしいものです。失敗して破壊したり,結局たいしたものが出てこなかったときは,すべての労力や資材が無駄になり,がっくし的な気分にもなります。そういった日々を過ごして,皆様にぴかぴかと輝く珪藻や放散虫をお届けしているのです(画像/MWS)。








2015年3月24日


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本ページは毎日,顕微鏡に関する記事を掲載しているわけですが,読者が顕微鏡をお持ちとは限りません。単に面白いから毎日みていますというお便りも頂戴することがあって,ありがたいことと感じております。芸のない筆者が毎日何かを書き連ねているだけで,見てもらえるのですから,ネットというものは本当によい物ですね。

さてそんな顕微鏡をお持ちでない読者でも,大した費用もかからずに,きょうの画像のような顕微鏡を入手することができます。最近ではオークションや中古の顕微鏡販売店などもあり,研究用の中古顕微鏡が意外に安く入手できます。顕微鏡というのは寿命の長い機器で,単眼のものなら100年以上,故障なく動いているものも珍しくありません。中古でも,耐久性のよい機種を選べば,末永く使うことができます。

実際的なアドバイスとしては,機械いじりが好きで,自分でバラしてみて組み立てたい人は,オークションなどで安価に仕入れるのもよいかと思います。バラして組み立てるというのは,機器を理解する方法としては,なかなか宜しいと思います。早く覗きたい,ミクロの世界の方に行きたい,そういう方は,中古の販売店に相談して,整備済みの中古顕微鏡を買うのがよいでしょう。

本ページを毎日見ているだけでも,ある程度,顕微鏡下の世界−珪藻や放散虫がメインですが−を知ることができますが,じっさいに自分の目で見ると,パソコンの画面に出てくるものとは大違いです。狭い階調に押し込められたデジタル画像と無限階調の生の光では,そもそも比べること自体が間違っています。顕微鏡が一台あれば,そういった世界へ連れて行ってもらえるのです(画像/MWS)。








2015年3月23日


ps

良い顕微鏡かどうかを判断するには,筆者の場合,まずこのアングルから見るのです。前から見ても顕微鏡の善し悪しに関する情報は,あまり得られないことも多いです。まず,後ろから見るのです。この機種の場合,ランプが鏡基から離れていて,光源の熱の影響が少ないことが予想できます。また光源から鏡基までの投影距離がそこそこあって,その間に調整可能なつまみがあることから,ランプがコンデンサ絞り面に対してフォーカス可能なことを示しているようにも見えます。これらはプラスのポイント。Y型の鏡基に,縦に電源基板が入っているように見えますが,もしそうならば,鏡基が伸び縮みするので,ピントの経時安定性が悪い可能性もあります。しかしよく見ると,レボルバの取り付けてあるフレームと,電源の入っているY鏡基の部分は,別構造になっているようにも見えます。それならば,熱的にある程度絶縁されており,電源を入れても,レボルバを支えている部分のフレームは伸び縮みしないかもしれません。それならば熱設計として,まあまあOKです。などいうように見ていくのです。

顕微鏡の限界的な性能を追求するような検鏡を行うと,世間的にはベストセラーとして評価の高い顕微鏡が全く使い物にならないケースもあり,その一方で,現在では古物扱いされるような顕微鏡が素晴らしい性能を発揮したりもします。永年珪藻を覗いていれば,顕微鏡はかくあるべしという姿が自然とできてきます。その視点から顕微鏡を眺めれば,その顕微鏡が良い物なのかそうでないのか,カタログの美辞麗句に惑わされることなく,自分の力で判断することができます (画像/MWS)。








2015年3月22日


ps

顕微鏡や光に関する書物を紹介してきて大事なことを書き忘れていました。当たり前のことですが,ここで紹介した本は,世の中にあるほんの一部のものであって,他にも優れた本はたくさんあると思います。筆者の不勉強によって,当然取り上げられるべき名著でさえも,抜けていると思います(Born & Wolfは読んだことがない…)。このことはいくら強調しても強調しすぎることがないので,大書して記す次第です。決して,ここで紹介した本が主要なものだ,などと思わないでください。画像は,まだ掲載していないもので,『ファン・ヒールフェルツェル:光とはなにか―その本質をさぐる道程 (和田昭允 訳,ブルーバックス)』です (画像/MWS)。








2015年3月21日


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国立科学博物館の展示で,何がいちばん好きかというと,コレです。子どもの頃,まだ小学生だったかの頃に見て,知識としては知っていましたが実物の迫力に圧倒されたのでした。頭の中に存在していた振り子というのは,せいぜい大きめのビー玉くらいのものであって,ブラブラしたところですぐに止まってしまうような代物でした。なるほど,このくらい巨大なものにすると,いつまでも動いていて地球の自転がわかるのかと。筆者は子どもの頃からポイントがずれた人間だったようで,原理ではなくて,技術に感動していたわけです。

それからしばらくして,自分で試したくなり,家に転がっていた200号くらいのオモリを細い釣り糸で天井からぶら下げて振ってみれば,ほんの少しですけど,地球の自転らしきものが捉えられた気がして,ほっほーうと思ったのでした。

それからさらに時を経て,今度は大学初年級で物理実験を学んだとき,ボルダの振り子の実験というのがあって,振り子を振らして重力加速度を求めることができました。これにも感動して,すでに実験レポートは提出して単位もとったあとでしたが,自宅に釣り糸とオモリで振り子を作り,重力加速度を求めてみたところ,それなりの値になって大変おもしろかったのでした。後に糸の長さを調節して,2.00秒振り子としました。何の意味があるかなど,どうでもいいのです。振り子を振った。2.00秒だ。大変満足です(笑)。

かくのごとく人生に振り子は必要なのです。まだ遊んだことのない人は,まず釣具屋に走れ走れ(画像/MWS)。



*1 子どもの頃にみた科博の振り子は,もっと古めかしい感じで,味があったなぁと思います。LEDピカピカは判りやすくていいのかもしれませんが,むかしの古めかしいものでも,科博をぐるっと一周して戻ってくれば,さっきと違うところをさしているということは十分わかりました。簡単にわかりやすすぎるよりも,読み取る努力をさせる展示の方が良いような気もします。




2015年3月20日


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今月紹介してきた顕微鏡の本に関しては,多くが10年以上前に入手したもので,まだ研究用の顕微鏡も持っていない頃に探し出したものです。先月の対物レンズ画像をみて,レンズ自慢と決めつけた方もいるかもしれませんがとんでもない。それらのレンズを一本も持っていない頃から,顕微鏡の本はたくさんありました。勉強が先にあるのです。ギヤの壊れたニコンS型が一台しかない貧乏研究室で,どうやったらこの機材の性能を最大限に引き出せるかと日々検討したのです。科研費もろくにとれないような研究室でしたから,校費で顕微鏡など買えるわけもなく,写真撮影装置もなかったので,自費で作りました。あり合わせの,望遠鏡用のアダプタなどを使って,適当な投影距離,震動防止シャッターを工夫して,一眼レフをのせて撮影していました。そういった工夫をするにあたって,顕微鏡のお勉強はとても役だった気がします。

のちに研究所に通うようになって,珪藻の封入標本を自分で作るようになり,河川珪藻のディアトマを検鏡して,直感的に「物理学」の必要性を感じました。これはまともに光学を学ばないと,ちゃんと解像するには手足が出ないと。なぜそう思ったのかはわかりませんが,さんざん顕微鏡の勉強をしてきたにもかかわらず,「難しい」と感じたことが,まだ踏み込んでいなかった「光学」へ向かうきっかけになったのかもしれません。大学院時代に顕微鏡のお勉強をしなかったなら,そのような方向性には決して向かうことはなかったでしょう。

出先などでは,ハイエンド級の高級機を見かける機会もまれではありません。予算が贅沢で羨ましい限りです。しかし出先で顕微鏡の本がずらっと並んでいる場面には,ほとんど出くわした記憶がありません。工業系の研究室で一回みただけです。

もちろん,顕微鏡は照明のスイッチを入れれば,とりあえずは見えます。そして大半の用途は,それで問題がないことも事実かもしれません。そのような使い方の場合は,顕微鏡の勉強をしなくてもOKでしょう。けれども,現在市販の研究用顕微鏡は,もしその性能をパーフェクトに引き出せたなら,とてつもない性能を発揮するように作られていることもまた事実です。その機器でできる仕事の限界というのは,研究教育系の機関であれば,知っておいて悪いことはないでしょう。そのために顕微鏡の書籍を揃えておくことを,ぜひともお薦めしたいのです(画像/MWS)。




2015年3月19日


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きょう紹介する本は応用光学の読み物として,これ以上は望むことができないと思われる名著『光の鉛筆』です。身近なものや現象から産業用機器に至るまで,じつに様々ことをとりあげて応用光学の観点から解説を加えています。顕微鏡光学についても触れているトピックが幾つかあります。著者の鶴田先生はもともとニコンの取締役で,当然,光学機器には明るいわけですが,そういった職業上の知識をはるかに凌駕する,真のサイエンス魂によってもたらされたとしか思えない,マリアナ海溝のような深い知識を誇ります。一つ一つのトピックは,じつにていねいに調べて書かれており,しかも原典に遡る姿勢が一貫しているので,そこいらへんの受け売り図書を読むのとはまるで違い,当時の時代背景を感じつつ学問が発展していく様子さえ感じることができます。

この本は一冊目が1984年に刊行されているのですが,まったく存在を知りませんでした。筆者は顕微鏡の本について,自分の顕微鏡を持つ前から調べて入手するように努めていたので,顕微鏡の本のタイトルくらいは知っていたつもりでした。しかし応用光学という分野までは足を踏み込んだことがなく,それでいくら顕微鏡の本を調べたところで,行き着かなかったわけです。ところが2000年頃に, こちらのwebサイトで存在を知り,そんな本があったのかと驚いて,研究室からの帰宅時にそのまま八重洲ブックセンター本店に足を伸ばして,当時売っていた全部(5冊)を買って帰りました。むさぼり読んだのは言うまでもありません。

その当時で,顕微鏡のお勉強を本格的に始めてから6年が経過していましたが,まだまだ,わからないことだらけでした。中でもいちばん知りたかったのは,偏斜照明による分解能の向上についてでした。どの顕微鏡の本を開いても,何かの受け売りで書いたようなことが書いてあるだけです。ところがこの本を読むことにより,まずアッベの結像論に納得し,空間周波数とコントラストの関係に納得し,レンズがローパスフィルタの役割を持つことが理解でき,すると自ずから偏斜照明による分解能向上は当然の結果として理解できてしまうのです。筆者に必要だったのは「顕微鏡の本」というよりもむしろ「応用光学の本」だったわけで,必要な情報に辿り着く難しさを,このときほど実感したことはありません。

以後,15年にわたって『光の鉛筆』を読んでいるわけですが,とにかく,この本は,日本の応用光学上の重要財産というより他はなく,このような本を母国語で読めるありがたさは,どれだけ強調してもし過ぎることはないでしょう(画像/MWS)。




2015年3月18日


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顕微鏡そのものを研究した本というものも世の中には存在します。きょう紹介する二冊は,すでに本ページで登場したものですが,工業生産による大量生産品以前の,手仕事が感じられる顕微鏡をテーマにしているものです。上の画像は秋山実先生による顕微鏡の写真集で,これは金属製品を被写体とした写真集の傑作中の傑作と言ってよいかと思います。光の読みが尋常ではなく,このように美しく撮影するのは相当な経験を必要とするであろうと思います。被写体の選び方も独特で,機器としての機能ばかりでなく,道具として進化して行き着いた形態の美しさも基準になっているように感じられます。この手の本は,再販はまずないので,興味のある方は手元に一冊置いておくことをお薦めしたいと思います。

画像二枚目は約10年近く前に鳥海書房で見つけたもの。菌類学の碩学が顕微鏡の歴史についてまとめたもので,研究者の著書だけのことはあり,根拠ある資料探しをしている様子がうかがえます。著者自身の体験談も,尋常でない驚異的なもので,研究者の魂を感じさせます。図版も豊富です。

現在,国立科学博物館において日本の顕微鏡を題材とした展示が行われていますが,ここで紹介したような,「それ以前」の顕微鏡についても知っておくと,科博の展示を見る上での予備知識になることでしょう(画像/MWS)。




2015年3月17日


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きょうの画像は手持ちの顕微鏡関係の本から,実験手法の勉強に役立ちそうなものを選んでみました。一冊目は,筆者が顕微鏡の勉強をはじめた大学院生時代に読んだもので,後にどうしても手元に置きたくなって購入したものです。いちばん役に立ったのは,光学顕微鏡の各種検鏡法についての部分で,ていねいでゴマカシのない記述があり,当時,図書館の本からコピーをとって電車内で繰り返し読んでいた覚えがあります。前半にはミクロ培養法に関する記述もあって,プランクトンを顕微鏡上で培養する際にも,ヒントを幾つかもらった気もしています。

二冊目は,5,6年前にようやく入手したもので,まだ読み込んでいませんが,意外に細かいことまで書かれていて有用な印象があります。フィルム撮影に関する部分は,デジタル時代に突入したので,直接的に役立つ部分はないように思います。しかしそこに書かれている「姿勢」からは大いに学ぶものがあるようにも感じています。この本は特に初学者に向いているような気もします。たとえば,
生態観察法の"コツ"は何かというと,1)細胞はひじょうに弱いものであり,その取り扱いには細心の注意を払うべきであるということと,2)生体観察は"ねばり"と"あきらめ"であるということである。細胞をよく見て,1日でも2日でも連続観察するとともに,この細胞は見込みなしの的確な判断をして無駄な観察を続けないことである

などという有り難いお言葉が書かれていたりするからです。筆者も,「無駄な観察」を続けた経験が山ほどありますので,この言葉は身にしみます。

三冊目は蛍光観察等に役立つプロトコルが満載の本です。これはどちらかというと,分かっている人が資料として使う,とういう感じの本であろうかと思います。本自体は,初心者が最初から実験できるようにと,顕微鏡の基本から書かれていますが,この本だけで勉強するのは,説明が不足していて無理だと思います。何かを薄く切って染色して蛍光顕微鏡で観察してイメージングして画像処理をする,という一つの実験でも,これをていねいに解説すれば宇宙のように深い世界があります。実験の手順だけを書いた本というのは,その手順から,宇宙の深さを知る人には役立ちますが,書かれたレシピの通りにやれば同じ結果が得られると思っている人には,役に立たないケースが,相当多くあると感じます。そういう意味で,こういったハンドブックというのは,ほかの基礎的な本と一緒に揃えて勉強するのが効果的な活用法ではないかと思います(画像/MWS)。




2015年3月16日


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きょうの画像は手持ちの顕微鏡関係の本から,古いものを選んでみました。どちらも戦前の本で,昭和11年に出版されています。一冊目は,比較的有名な本です。現在から見れば,まだ機器の進歩も途中なので,情報として足りない面もありますが,視点を変えれば,顕微鏡の基本の神髄部分だけを学べるともいえます。この本は竹村先生がだいぶ参考にしたと書いているほどのもので,実際にかなり細かいことまで書かれています。例えば現代の顕微鏡の本には書かれていない,珪藻と分解能に関してもちゃんと記述があります。ほかに特に面白いのは,顕微鏡の歴史について述べた部分で,この種の本としては異例なくらい,丁寧な記述があります。

二冊目の本は現在でも古本屋などで見かけることがある,顕微鏡で何が見えるかを記述した本です。戦前の本でありながら,この分野では今でも,最も役に立つ一冊といってもいいかもしれません。高等植物はもとより,昆虫,線虫,細菌,動物組織,プランクトン,魚類,あらゆるものの顕微鏡下の姿が豊富な図版等で記されています。もちろん珪藻についても書かれています。ちょっと抜き出してみると

珪藻は単細胞の下等の植物であって,肉眼で一つ一つの個体を認め得るものは極めて僅かで,大部分のものは顕微鏡で拡大してみてはじめて判明することのできるような,至極微細な植物なのである。しかし一度これを顕微鏡下で見る時は,その形状が極めて変化に富んでいることと,且つその体の表面にあるところの網状複眼状あるいは線状その他の美しく彫刻せられ,巧妙な構造に誰しも驚嘆しないものはない。実にこれこそ顕微鏡下での一偉観である。
このような具合で,見事な文章と言わねばなりません。そして諸分野に触れている本でありながら,珪藻に,じつに8ページものスペースを割り当てています。様々な分野の専門家が執筆していますが,記述は平易で,漢字にはすべて振り仮名があることを考えれば,おそらくこの本は,当時の小学生から中学生向けだったのだろうと思います。現在の,印刷ばかりが美麗でありながら,中身がけっこうスカスカの本と見比べると,戦前の科学教育は優れていたのではないか? と想像したくなります(画像/MWS)。




2015年3月15日


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『国産顕微鏡100年展』にようやく行ってきました。先週に行く予定だったのですが,確定申告や特注対応などもあり,先延ばしになっていました。14日からは特別展が始まって混雑するので,13日の午後にぎりぎり滑り込みという感じで見てきました。この展示につきましては,すでに各方面でレポートされている通りで,例えば,

驚きの二品 国産顕微鏡100年展から −ミクロ・マクロ・時々風景

国産顕微鏡100年展 −ミクロ・マクロ・時々風景

国産顕微鏡100年展(2.5) −ミクロ・マクロ・時々風景

こちらなどは,この展示の特徴についてポイントを突いたコメントがあり,誰もが参考になるだろうと思います。こういった優れた情報がweb上にあがっているので,筆者が付け加えることはそれほどないようにも思うのですが,立場上(笑),この展示を本ページで紹介しないわけにはいきませんので,13時半出発,15時半帰宅,という感じで偵察に行ってきました。









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会場に入って正面には,このような展示があります。エム・カテラというのは顕微鏡に詳しい人なら知らない人はいないだろうという代物で,これの製造販売から100年ということで,国産顕微鏡100年展ということになっているわけです。画像処理をして,年代を強調してあります。









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しかしながら同じ会場の片隅には,田中式顕微鏡が置いてあって,国産顕微鏡としては,こちらが最初ということになっています。筆者も以前までは知りませんでしたが,昨年初頭に,顕微鏡の歴史にひじょうに詳しいコレクターさんから教えてもらい,知ることとなりました。田中式顕微鏡は中古市場でも,ごくまれに出ているのを見かけます。上の画像は年代を強調してありますけど,100年前…ではないですね。

細かいことにこだわるのも宜しくないかもしれませんが,現在の工業化につながったものとして,エムカテラを起点として100年というのも,ちょっと不自然な気もします。それは製造者の発想であって,ユーザーとしては,小さな世界を見せてくれるものが登場したという視点が自然に思います。顕微鏡対物レンズの光学理論に基づく工業的生産は,あるレベルから先は,ツァイス社のアッベを起点としてよいでしょう。しかしミクロの世界の探訪は,レーウェンフックが起点ということになっているわけです。

だから,国産顕微鏡の起点は,田中式であってもよいように思います。この顕微鏡ではじめてミクロの世界を見た人もいるはずです。








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個人的な観点かもしれませんが,今回の展示のハイライトは,これでしょうね。この顕微鏡『レクチファイヤ』といい,高性能な偏光顕微鏡です。高開口数の対物レンズに光を通すと,高NA領域ではレンズへの光線の入射角が大きくなる関係もあって偏光面の回転が起き,直線偏光が乱されて,消光係数が落ちます。単に消光係数が落ちるだけなら,現在ではビデオエンハンスである程度補うこともできます。しかし,偏光が乱されてクロスニコル時に黒十字が出現することによって,異常解像が起きて,特に少しでもデフォーカスした部分は対物レンズ後側焦点面に見える黒十字と同じ形状のデフォーカスしたノイズが重なり,像の解釈が難しくなります。レクチファイヤ光学系は深い球面を組み合わせたパワーゼロのレンズと半波長板を組み込んだもので,偏光の乱れを逆向きに補正して,完全な消光を実現するものです。

筆者がはじめてレクチファイヤを知ったのは,今から25年前です。当時,転がっていた顕微鏡の価格表を読んでいて,それにレクチファイヤが載っていたのでした。1978年の価格表で404万7千円だったと記憶します。スゲー高い! というのが当時の感想でした(笑)。

画像のレクチファイヤは,アポフォトの鏡基に載せてあるタイプのものです。鏡基だけ見ればアポフォトなのですが,カタログ上の名称はレクチファイヤです。アポフォトそのものは,レクチファイヤを装備していません。通常の明視野,位相差,落射などの顕微鏡です。ですので,この画像の顕微鏡は,レクチファイヤのアポフォトタイプ,とでも呼べばいいかもしれません。画像で見られるように,コンデンサもレクチファイヤ,対物レンズもレクチファイヤです。個別に調整してあることはもちろんですが,予想では,偏光特性から見ても最高の材料を使っているはずで,この顕微鏡によるクロスニコル像を見てみたいですね。今ならレクチファイヤ+高感度ビデオカメラ+画像処理が使えますから,水で封じた珪藻のような見づらい試料でも,くっきりと偏光像が浮かび上がるものと思います。

レクチファイヤはその後,オプチフォト,オプチフォト-2の鏡基にも,微分干渉顕微鏡用として搭載されていましたが,最近のカタログでは見かけません。CFI60になって,組み込みも容易になったのなら,ぜひ復活してほしいものです。








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筆者はコレクターとしての趣味はないので,今回の展示を見ても,「コレは欲しい!」と思うものはほとんどありませんでした。タダでも要りませんー。連れて帰りたくなったのは,レクチファイヤと千代田の7レボ,あとは仕事上使えそうなレンズ数本くらいです。

しかし標本は別です。標本は欲しい。この画像に写っている標本は特に欲しいですね。上の段の左から2,3番目は珪藻の標本に見えます。2番目は壊れているようにも見えるのですが,ウチにもってきてくれたら,修理してみますがー。3番目はJ.D.メラーのスライドですね。持っていない。。








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展示はこんな感じで,顕微鏡がずらっと並んでいて,顕微鏡自体に興味のある人,例えばネット上でしか見たことのないものを見たいとか,中古品を購入したいので参考にしたいとか,あとはマニアさんとかコレクターさんには,なかなか興味深いものだろうと思います。他方,一般の方々には,すべて似たような形の顕微鏡が並んでいるだけで,説明を読んでもわからず,展示してある顕微鏡を触ることも覗くこともできず,つまらない展示だろうと思います。

じっさい,小学生,中学生が入場していましたが,展示を見てまわるのに,5分かかっていないのです。説明は読んでいないし,まるで散歩中に野原の風景でも見ているかのように,通り過ぎていきます。授業の課題で,展示を見た感想を書きなさいという感じで,記入用紙を持っている生徒さんも多数見かけましたが,真剣に展示を見ている人は皆無で,ぱっと目についたところで立ち止まり,用紙になにがしか記入して,会場から出て行きました。

やはり実演展示は必要だと思うのです。線倍率で400倍,といっても実感がわかないでしょう。でも,この拡大率は,面積で考えると400×400という大変なものです。サッカーボール一個を400倍にすれば,学校の体育館を覆ってしまうでしょう。そういった,大変な拡大をしている,というパワーを実感する展示や,偏光顕微鏡では,透過明視野では見えない繊維がはっきり見えるとか,蛍光顕微鏡では,金属のひび割れがはっきりと確認できるとか(蛍光探傷法),わかりやすい展示があってもよかったと思います。

会場には3台だけ,標本がセットされて覗くことができる顕微鏡もありましたが,すでにレポートされている通り,レンズを直接覗くことはできず,アクリル板を通して見る状態で,アイポイントの保持はほとんど困難。しかも双眼ですから,目幅調整も困難で,じっくり観察することを拒否しているかのような展示でした。これは,筆者流の表現をするなら,顕微鏡観察のデモ展示の展示です。全部アクリルケースに入っているのですから。

お節介を承知で言うなら,実演展示は単眼でやるのです。とびきり調整してあってよく見える単眼顕微鏡で,広視野ハイアイの接眼レンズをつけて,それで覗いて頂くのです。皆さん,喜んでご覧になるのですよ。









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まぁそれでも,70台超くらいの顕微鏡が並んでいるので,一台一分としても,一時間以上かかります。顕微鏡好きなら,じっくりと見て歩くのがよろしいかと。最後の画像は,展示風景の撮影中に偶然現れた若いお二人。こんな時間を過ごせるなんて,なんて素晴らしいのでしょうと,遠い目をしながら中年オヤジは思うのです(撮影/MWS)。









2015年3月14日(2)


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久しぶりにターャジスをカメラに収められた。。何だろうか,この満足感は(笑) (画像/MWS)。




2015年3月14日


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検鏡法はたくさんあるので,どうしても得意不得意が出てきます。筆者が不得意なのは偏光顕微鏡分野の仕事です。特に複屈折体の性質をコノスコープ像から読み解くなどは,なかなか手足が出ない感じの作業でもあります。その原因ははっきりしていて,数学的な取り扱いをおろそかにしてきたことにあります。偏光を学ぶには電磁気学的な取り扱いも理解する必要があり,そこに必要な高等数学の理解が全くといっていいほど足りません。もちろん,顕微鏡を波動光学的に理解しようとすれば,フーリエ変換やベッセル関数が出てくるわけですから,偏光の理解だけに数学が必要なわけではありません。応用光学全般に数学は必要なのです。

数学は子どもの頃から苦手で,おそらくは,脳のどこかに欠陥があるのだと思っています。小学校5年頃から,何かがぽっかりと抜けたように理解できなくなることがあり,勉強しても周囲に追いつけずにじりじりと落ちこぼれていったのです。中学に入ってもその問題を解決しないまま時間が経過し,高校は補欠合格という有様でした。頭の中の論理回路のどこかが壊れている感じがしていて,何かから何かを発想しなくてはいけない場面で思考が停止します。ベクトル計算,行列演算,複素数計算,トポロジー問題,媒介変数の置き換えなどでそれが顕著で,丁寧に説明することを放棄している日本の教科書と相まって,いつも苦しい思いをしました。別に数学が嫌いでもないのに。

脳のどこかに欠陥があるというのは誇張ではなく,たぶん本当なんだろうと思っています。タバコを吸う家庭に育った子どもは,算数や読解力が低いことが知られており,これらは親のレベルが低いとかそういう問題ではなく,血中コチニン濃度(ニコチン代謝物)と有意な相関があるのです(こちら)。筆者はヘビースモーカーの家に生まれましたから,タバコの煙は生まれ持って与えられた「環境」であって,それを疑うことすらありませんでした。赤ん坊の頃から大学まで,概算でも数万本くらいのタバコの副流煙を吸いこんだわけで,脳みその劣化は避けられなかっただろうと思っています。もちろんそれ以上に,努力も足りなかったでしょうけれども。

そんなわけで何とか大学には入ったものの,波動方程式などの偏微分が並んだ数式には目が回るばかりでした。それでも主要な単位はなんとか取得し,卒業単位とは関係ないものの,勉強する機会をつくるために応用数学を選択して,ディリクレ問題などを聴講していました。当時は,まだ顕微鏡の勉強を始める3年ほど前で,目の前の数式が波動光学と関係あるなどとは想像もしませんでした。当時のノートは今でも手元にありますが,もはやトレースできません。。

そういうわけで,きょうの画像は,これから役に立つかもしれないし,やっぱり数学がわからなくてだめかもしれない顕微鏡や光学の本。ところどころは今でも参考にできる部分もありますが,多くはこれから学ばなくてはならない内容という感じかもしれません。これらの本にはちゃんと存在価値があって,それは,「自分の不勉強を認識する」これに尽きます。不勉強が認識できたら,一ミリくらいは前に進めば,進歩したことになります。そのために理解できない本も並べておくのです(画像/MWS)。



*1 小学校教員に協力してもらって,算数のできない子と親の喫煙に注意してもらっています。サンプル数が少ないですが,3年生から5年生程度で,算数ができない子の親は,喫煙者である傾向が高いとの報告をもらっています。上で述べたことは,現時点では気にする人も少ないのですが,小さな頃からきれいな空気も吸わせてもらえないというのは生物の生存環境としても最悪なので,健康面もあわせて,もっと注目されてよいと思います。

*2 算数と同時に英語もダメでした。これも個々の問題は解けるのですが,文法などの論理を要求される問題になるとダメで,論理回路のどこかが壊れている感じでした。海外の調査では,算数や読解力が低下するということになっていますが,日本人にとっては英語は読解と数学的な(論理的な)思考回路を使う気がしているので,副流煙問題は算数と語学に影響を及ぼすだろうと思っています。もっとも,英語は,20歳くらいの頃に,自分の脳みそのダメさを完全自覚し,努力時間あたりの見返りからして不要と判断し,徹底的に排除しました。そうしないと他の時間を圧迫しすぎることは明らかでした。英語ができても中身のない人間になるのなら,そちらの方がずっと恐ろしいことなので,英語を勉強しない代わりに,日本語を勉強し,サイエンスを楽しみ,顕微鏡を勉強して現在に至ります。蓄積した知識を使ってどう生きていくかを熟考した末の方針でした。だから筆者は一日中でも顕微鏡の話を続けることができ,講義もできるわけです。ダメな脳みその,残された少ないリソースをどうやって使うかという問題をちゃんと考えた,正しい判断だったと,いまも思っています。

*3 ところが数学は排除することができません。サイエンスの理解に数学が必要なことは明白で,英語のようにポイ捨てできませんから,それが困るのです。理解したいのにできないのが困る。。大人になってからの数学入門といった本を読んだりもしているのですが,なかなかフーリエ変換までいかないのです。うー。





2015年3月13日


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どんな高性能の顕微鏡を持っていても,その顕微鏡が光学的に要求する仕様を満たした標本がなければ,その顕微鏡はまともな像を結びません。光学的にまともであっても,その物体を正しく処理したものを検鏡しないと,天然に存在しない,処理の過程で生成した副産物を検鏡することになったりもします。物体によっては,正しい処理をしないと見えてこないものもあり,正しい保存をしないと,溶けてなくなるものもあります。

そのような理由から,各種試料の観察法に関する文献は必読といってもいいでしょう。ふだん検鏡対象が決まっている人でも,顕微鏡を持っていれば,予期せぬ試料を検鏡しなければならないことはあるものです。きょうの画像に示したような本を読んでおけば,種々の場面にも対応力がつくことと思います。こういった本を全部読んで全部頭に入れることは非現実的なので,日頃ぱらぱらと眺めておき,「アレならあの本に書いてあったなー」と思い出せるくらいになっておきます。そうすれば,いつでも本を使えることができて,かなり有用かと思います。

この,「アレならあの本に書いてあったなー」という記憶の生成には,いろいろな環境情報も一緒に記憶されているようで,本の手触りとか,だいたい後半くらいとか,そんなことが「手の記憶」とともに呼び出されます。PC画面で読んだ情報は「手の記憶」がないので,読んだことは覚えていても,読んだ部分を思い出すことは至難の業です。書名を思い出すことができ,調べたいキーワードも思い出せれば,あとは検索機能が使えますが,それ以前の状態のときには,手当たり次第書籍をパラパラする方法のほうが早いことが多く,またいろいろな本を手にする機会が増えるので,実りも多いように感じられます(画像/MWS)。




2015年3月12日


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きょうの画像は手持ちの顕微鏡の本から,読み物的な感じというアバウトな基準で並べてみました。顕微鏡のお勉強というよりは,顕微鏡にまつわる物事の概観というか,幅広い分野の関連知識というか,そんな感じです。一冊目はラーメン屋の帰りに見つけて,帰宅までの電車内で読んだもの。竹村先生の本ですから,きれいな作例写真がたくさんあって,これから顕微鏡で遊んでみようという人にも向いている本かと思いました。

二冊目,三冊目はいずれも訳書です。こういった趣向の本を読むことによって顕微鏡に関する興味が沸く方々もおられるかもしれません。これまで自然科学系の分野にあまり通じていなかった人にも読めるような配慮のある本ではないかと思います。四冊目は,顕微鏡と名の付いたものを一通りさらっと概説したもので,なんていうか,優等生の机の上でのお勉強的な雰囲気の漂う本ですが,最低限の知識がコンパクトにまとまっているので,知識の整理にはよいかと思いました。五冊目は,顕微鏡とはいっけん関連がなさそうですが,光で情報を記録するというのは,物体の像を結んで焼き付けているということですから,結像光学系という意味で,筆者にとっては顕微鏡なのです。それで読んでみたものです。直接何かの役に立つものではありませんが,光技術の世界を垣間見られるのは有り難く,こういった読み物は今後も出て欲しいと思っています。

最後の本は有名な『硝子の驚異』。内容は,アッベがツァイスやショットらと顕微鏡を開発していった様子が,当時の空気感も含めて再現されているように思います。アッベという人物が,恐ろしく思考の深い,世の中をよくしようと考えていた紳士であることが伺えます。この本の中身は,光学に関することは少なく,アッベの人物像に関する伝記のような感じです(画像/MWS)。




2015年3月11日


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これは東條四郎の『レンズ』。当サイトでも何度か紹介しました。新書ですから,これは一般向けにかかれた啓蒙書の類なのですが,読んでみるとレベルが高く,このまま光学の教科書としてもよいくらいです。著者は日本光学の技師ですが,その知識の深さは,ほとんど大学者の風格さえ漂います。光学製品が大きく進歩した時代であったこともあって,新しい技術について,同時代的な息づかいの解説も読むことができ,ひじょうに面白い本です。顕微鏡に関する記述も詳しく,分解能テストに珪藻被殻を使用することを豊富な具体例と珪藻の絵・種名リストを添えて述べています。筆者が手持ちの顕微鏡の本(和書)では,これ以上,珪藻と顕微鏡について詳しく書いたものはありません。もっとも大切にしている本の一つで,常に2冊以上を揃えています。コンパクトな本ですが,内容は深く,旅のお供にも最適です。しかしそれにしても,昭和17年に出版されていた教養書が,このレベルの高さです。現在の新書というと,内容はスカスカで,数時間もあれば用済みになってしまうようなものが多く出版されていて,教養レベルで見ると,なんだか時代が進んでいるのか後退しているのか,わからなくなります(画像/MWS)。




2015年3月11日(2)


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画像は昨年夏の気仙沼で撮影したもの。もうあれから4年になります。何かコメントをつけようにも,つけられません。何を言っても,それは何かが違うような気がします。これからも地震は起こるので,残された私たちにできることは,いつでも災害を念頭において,対策して,一人でも多く助かるということです。震災は多くのことを教えてくれたので,無駄にしないように,いつも学び続けなければなりません(画像/MWS)。




2015年3月10日(2)


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魚は皮のあたりがおいしいのに,販売店では,なぜか魚の皮はないがしろにされていたりします。うまそうなブリの切り身を買っても,ウロコがそのままびっしりでは,皮を味わえません。ブリのウロコはスキ引きしなければとれませんから,切り身のウロコを取るの作業の面倒なこと…。皮目の下あたりは,魚の味を決定するといっても過言ではない脂肪があって,これを食ってなんぼだと思うのです。。

そういうわけで,アジの干物も,皮までいただくことが重要課題になるわけです。売っているそのままで焼けば,ほぐすのに時間がかかるし,皮がきちんととれないし,ぜいごが口に触ります。そこで,アジの干物はまず,ぜいごを取ってしまいます。そして背側と腹側に切れ込みを入れておきます。ちょうど,三枚おろしにする最初の一歩くらいの状態にしておきます。こうして焼けば,焼き上がりに,身に皮をつけたままきれいにほぐせます。無駄なく食べられますし,軽く焦がした皮の味が美味しさをワンランクアップさせます(当社比)。

本来は焼きたてを食すべきですが,恐ろしく多忙な家人のために,玄関開けたら2分以内にご飯を達成しなければなりません(笑)。忙しい人は,アジの干物を悠長につついている時間もおしいので,直ちに食べられ,時間をかけずに食べられるように準備するのです。それで焼きたてのアジは,きれいにほぐして器に入れ,ほかのおかずと同様の扱いで並べるわけです。冷める前に食べるくらいのタイミングがいいですが,酒をふりかけて数時間程度置くと,焼き漬けの味わいが出て,これはこれで秀逸です(画像/MWS)。




2015年3月10日


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洋書は,読むのがしんどいのでほとんど持っていません。顕微鏡関係ではきょうの画像でお仕舞いです。自由にすらすらと読めたなら,こんな数では済まなかったでしょうが,何しろ語学には最低限以下の時間しか割り当てなかったので,その分の罰はちゃんと受けなければなりません。。一冊目は生物学分野における光学顕微鏡法の大要を述べたもので,手抜きがなく,理論的な背景をちゃんと説明してあるので,分野によっては参考になります。結像の項では,ちゃんと回折・干渉による結像を実例入りで説明していて,こういうところが国内の本と違うんだよなあと思わせます。

二冊目は特殊検鏡法についてまとめたものです。神田の古書店でかなり高価な値付けで,買おうかどうしようかと月日が過ぎゆき,久しぶりに行ってみたら1/3の価格になっていて即買いでした。入手して眺めてみると,筆者のようなマウンターにとって重要な情報がたくさん盛り込まれており,今ではもっとも稼働率の高い本となっています。買っておいてよかった…。

三冊目は鉱物学における顕微鏡法で,これも手抜きのなさそうな記述であったので入手しましたが,まだ,ほとんど読めていません。四冊目は,著者のお一人を訪問した際に頂いたものです。さすがに光学顕微鏡からは遠く離れているので,理解も難しく,たまに開いて溜息をつき,また本棚に戻すということをここ数年くりかえしています(画像/MWS)。




2015年3月9日(2)


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顕微鏡の本ばかり載せていると飽き飽きしてしまう方もおられるかもしれません…。たまには酒の肴などを掲載して目の保養になればと思う次第です。サワラは刺身がおいしいわけですけど,都内で刺身用のサワラを入手するのは面倒です。ふだんは,サワラのおいしい脂の乗った冬の時期でも,酒としょうゆに漬けで焼き物にしたり,藻塩焼きにしたり,鍋物に入れたりといった食べ方が中心でした。もちろんそれらも十分においしいのですけど,このたび,最上級の瀬戸内海サワラが,水揚げの現地で刺身にするのと全く同じ時間経過(つまり当日便ということですね)で入手ができたので,早速,サワラのお刺身という素敵な晩酌となったのでした。

まず適当な大きさに切り分けで,皮はバーナーで焼いて,皮ごとお造りにします。腹側は焼かずに,皮に切れ込みを入れていただきます。一部は皮を引いて,身だけ厚切りにして味わうことにしました。味については言うまでもありません。過去に食べたサワラの刺身(冬ではなかったと記憶)は,あれは何だったのかというくらい,全く異なる味わいでした。なんていうか,まったりとしていて飽きの来ない,いくらでもいける味ですね。当然酒が進みすぎて,明け方は頭痛に悩まされたのでした…(画像/MWS)。



* それにしても盛りつけがへたですね。ご勘弁を。包丁などは習ったことがないので,切り方もいい加減じゃないかと思います。こういった軟らかい刺身は,へりの部分がよれよれになってしまい綺麗に切れません。盛りつけも,山水盛りの基本ができていないようで,レイアウトが決まりません。こればかりは,場数をこなしてセンスを磨くしか方法がないのかもしれません。




2015年3月9日


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顕微鏡の本は古いものが多く,比較的新しい書籍で,使い方をこと細かに述べたものは多くありません。きょうの画像は,手持ちの中から比較的新しい部類に入る本を選んでみました。画像一枚目と二枚目は,顕微鏡メーカーさんの執筆陣による顕微鏡の使い方の解説です。メーカーさんですから,顕微鏡の何たるかを,模範演技的に無駄なく解説しています。作例写真などもあり,これから顕微鏡を学ぼうと思っている人の参考になると思います。

画像三枚目は,顕微鏡のユーザーが,ユーザー側からの視点で書いた本格的な教科書。検鏡を行うにあたって重要なことがもれなく書いてあり,また顕微鏡光学の理論についても手抜きのない記述です。メーカーさんが書いたものよりもはるかに高度な内容で,こちらを読みこなした方が,より高いレベルに到達するだろうと思います。一冊をきちんと読み込んで技術を身につけたいと考える人には,お薦めしたい本です(画像/MWS)。








2015年3月8日


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書籍のよいところは,専門家が読むようなものも,子どもが読むようなものも,同じように販売されているところです。読んでもきっとわからないだろうと思うようなものでも,購入するのは自由です。そしてそうやって,「背伸び」することが,新しい世界を探訪することにつながることもあります。きょうの画像は専門家向けの本で,高度な内容が盛り込まれているものを並べてみたものです。

一冊目は大学院生の頃に読んでいたもので,この本は,まだ完全に理解したとは言い難いですが,すり切れるほど?読みました。顕微鏡の基本に忠実で,役に立つ記述が多く,いまでもたまに読み返します。二冊目は,相当に高度で難解ですが,研究員時代に入手して読んでいたものです。これを読んで思いついた検鏡法を,著者を訪ねて理論的な整合性を確かめてもらったこともあります。理研を訪問したのは唯一そのときだけです。。三冊目,四冊目は後に本屋で見つけて入手したもの。すでにMWS開業後で,自前の機材で確かめられることはそれほど多くないので,役に立ったか?と言われると心許ないですが,「これから役に立つ」可能性はあるわけで,光学関連の蔵書棚に鎮座しています。

ぜひ読者の皆様にも,「背伸び」をお薦めしたいところです。わからないことがわかるというのは,いくつになっても,嬉しいものです。読んでもわからない本を読むというのは,深遠な海溝を眺めているようで,普段使わない脳みそのどこかが起動するような気もします(画像/MWS)。








2015年3月7日


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上に掲載した本は,どちらかといえば資料的な価値があるものという基準で手持ちのものから選んだものです。筆者は貧乏ゆえに,中古機材を主に活用しています。そうすると自分で分解メンテナンスしないといけない場面も多く,そういったときに,組み込まれている光学素子の性質を知っていると知らないとでは,作業上大きな違いがあります。それで顕微鏡に関係なく,いろいろな光学機器のことについて勉強しておけば,それがあとあと,機器の解釈に役立つこともあるのです。もちろん,役に立つからと勉強するのはけっこう愚かな感じで,なんと言いますか,しっかりとした地盤をつくりたいという希望が勉強に向かわせるという感じもあります。何しろ,高等学校でも生物と化学のコースでしたし,大学でも基礎物理を学んだのみで,「光学」を誰からか教わったことは一度もないのです。ですので,自分が,何がわかっていないかもわかっていないので,基礎固めができているのかいないのかもわからない。それで,自分の分かりそうなところ,面白そうなところを手当たり次第,踏み込んでいくわけです。こういった非能率な素人勉強は,光学の専門家から見れば,なかなか無駄に見えるかもしれません。しかし素養のない筆者は,素養のないなりにやり方を見つけなければ前にも進めません…(画像/MWS)。








2015年3月7日(2)


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きょうの画像は,2月の対物レンズ特集で用いた照明セットです。カレンダーの裏側の白紙などを使って箱をつくり,箱の中に照明も入れてしまい,なるべく四方八方から光が当たるようにしたものです。カメラののぞき穴は小さくして,そこからNikon1で撮影しています。こういった,工夫とはいえないほどの簡単な方法でそれなりの絵は撮れます。むかし刃物の撮影をやっていたので,金物の照明の仕方は少しばかりの経験があります。

なぜこのような方法で撮影したのかというと,仕事上,これらのレンズに関して簡易な説明書を作る必要が生じたので,並べて正面から判りやすい絵を撮影することとなったのです。ついでに,撮影画像は大学院特別講義の資料にも使うことにしました。そういった理由がなければ,年度末の忙しい時期には,こういう撮影はやらなかっただろうと思います。。

照明方法について2月中に種明かしをしなかったのは,ちゃんと考えられた理由があります。世の中なんでもネット上に答えが転がっていたら,こんなにつまらない世の中もないでしょう。「どうやって撮影したんだろう」と思ったら,それについて考えてみる時間が楽しいですし,貴重ですし,副産物もたくさんうまれます。方法を開示しなければ,おそらく,こんなバラックセットよりも,もっとよい方法を思いついて,もっと素敵な画像を得ることに成功する人が出てくるはずなのです。

答えを知ることよりも,掲載画像をよくみて画像を見抜く力を鍛え,その像から自分で考えて,自分なりの方法を生み出して,オリジナリティーのある絵を生み出すことの方がはるかに重要(楽しい)と筆者は考えます。じじつその通りになって,ユーザー様から見映えのする対物レンズの重要画像が届くこととなって,一昨日掲載したわけです。この日の掲載画像では,特に三枚目が,美しいとの反響がありました。斜め前方から広い拡散光照明を施したように見える手法が秀逸で,金属の質感がよく出て,筆者も学ぶところが多い画像でした。もし筆者が,あっさりと撮影方法を開示したら,こんなに素敵な画像は生まれなかったかもしれないのです。

教育者なら自明のことでしょうが,それがたとえ短い時間であっても,考えさせる時間というものはとても大切です。

先月の画像を見て,脊髄反射的に,答えを隠すんじゃねーよバーローと思ってしまった人がいたならば(まぁ,本ページの読者ならそんな人はいないと思いますが),それはプロセスを去勢しても「答えを知りたい」という欲求を生み出してしまった,受験社会の毒が脳みそに残っているのかもしれません(画像/MWS)。



*1 そのようなわけで, こちら  の画像については,種明かしをしていません。それほど複雑なことはやっていなくて,顕微鏡を見慣れていて光が読めれば,いつかは思いつくでしょう。「なるほどこうやっていたのかー」という瞬間を自分で見つけることができるわけで,その瞬間を,答えを差し出して奪ってしまうような残酷なことは,やる気が起きません。筆者も,サファイヤ結晶を顕微鏡で眺めて,どうやったら魅力的な絵にできるかなぁと光を操るうちに,ああ,こうすればいいんだということがわかって感動したのです。もし人に教わったのなら,「ああ,そうすれば理論的に確かにそうなりますね」で終わりだったでしょうね。




2015年3月6日


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顕微鏡は光を操る機器ですので,光やレンズについて学ぶことは,顕微鏡を理解する上でなかなか有用なことだと思っています。光学やレンズに関しては色々な書籍が出版されていますが,きょうの画像は筆者手持ちのものから幾つか,比較的読みやすいものを選んでいます。一冊目は光学の大家である山田先生の著書。むずかしそうな学問の本に見えますが,これがなかなかよみやすいのです。トピックごとに解説をつける感じで書いてあって,拾い読みすることもできる本です。こういう本を日頃パラパラと眺めておくと,ずっとあとになって,何かが身に付いていたりすることもあります。

画像二冊目は有名なwebサイト「レンズ屋」の管理人さんによるもの。さすがはレンズの専門家で,豊富な図版でレンズの何たるかを解説してくれています。三冊目もwebサイトの管理人さんの著書で,基礎的な事項が懇切丁寧に記述されているので,自習書にも最適で,筆者は海洋光学をこれから学ぶ学生さんにも,この本を薦めていました。四冊目は日本光学(当時)の鶴田先生によるエッセイ風の著書ですが,光学に関しては第一線で活躍する方ですから記述に一切の手抜きはありません。たまに古書店などでも見かけるので,手にとって眺めてみるのもよいかと思います。

最後の画像は,昨年末に出版されたばかりの「イラストレイテッド 光の科学」です。こちらも話題が豊富で,拾い読みもできるので,まずは自分の興味のあるところを読んでみるというような使い方もできます。著者らが手製の装置で実験しているので,家庭などで真似してみることもできます。4ページで1テーマの読み切りなので,情報を詰め込みすぎ,あるいは飛躍しすぎのところもありますが,勉強材料としてはユニークな本であることは間違いないでしょう。現在,再版がかかったようで,ようやくamazonにも数冊入荷したようです。

ところで,こうやって本の表紙を並べてみると,それぞれに個性があって面白いですね。どのデザインも何かの意味が込められているわけですが,個人的には,山田先生の著書の表紙が気に入っています。この模様は,筆者の経験の範囲では,網戸のような格子構造にレーザー光線を通過させたときに生じる回折パターンに見えます。この模様を中心から正確に正方形に切り取って,適当なソフトウエアで二次元フーリエ変換すれば,網戸の模様が再現されると予想します。なかなか渋い,意味深な表紙デザインだと思います(画像/MWS)。








2015年3月5日


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2月に掲載した対物レンズ特集記事は,いくつかメール等も頂きまして,最近の記事では反響が大きかったように思います。有り難いことです。2月の仕事に関連して,CF,NCF対物レンズの説明をする必要が生じて,それで対物レンズの画像を撮影することになりました。それを転用して一部を掲載していたわけですが,途中,複数の読者の方から「対物レンズ講座」を楽しみにしていますというご感想をいただきまして,CF,NCF対物レンズ以外のものについても掲載することにしたものです。

機材の画像を載せるのはもともと乗り気でなく,いままではあまりやりませんでした。必要があって過去20年にわたって苦労して入手した機材ですが,収集家の機材自慢のように受け取られては困るからです。しかしここ数年,顕微鏡自体に興味をお持ちの方から連絡がくることも多く,レンズなど機材に関する質問なども舞い込むようになってきたので,たまには機材の話をするのもよいかと思いました。

さてそれできょうの画像は,それらの機材を多数使った画像にしました。一昨年秋頃に撮像の検討をしたときのストック画像です。物体は国産サファイヤで,奈良県産です。これを有機酸,アルカリ,界面活性剤,超音波処理等によって洗浄し,結晶成長の表面をきれいにみやすくしたものです。撮影には5種類の40倍対物レンズを用いて,各種のコントラスト法を使って,同じ視野を撮影しています。こういった検討をしておけば,狙った部分を効果的に表現するには,どのような機材を用いて,どのようなコントラスト法を,どう操作して撮影すればいいかわかるわけです。こういった撮影を各倍率ごとに行うと,手持ちの対物レンズを数十本付け替えしての作業になり重労働ですが,検鏡法と得られる画像が頭の中で整理されていくので,やるだけの価値はあります。

使用した対物レンズは全て有限補正系(鏡筒長210mm,160mm)の40倍ものです。開口数は0.55から0.8まで。コントラスト法は,微分干渉,2光束干渉,落射明視野,落射暗視野,透過明視野,透過暗視野,透過偏斜,透過位相差です。サファイヤ表面に存在するトライゴンや,ごく小さな段差が,機材やコントラスト法によって大きく異なって見えることが理解されるかと思います(画像/MWS)。



*1 若かりし頃にPDとして着任した研究所では顕微鏡がないのに備品の購入が認められていませんでした。浮遊珪藻類の培養実験を行う上で顕微鏡がないということはあり得ませんので,自費で中古顕微鏡を購入しました。中古ですから,壊れてしまっては困ります。それで同型・互換性のあるもの計4台を購入しています。ゼロからの構築に等しいですから,毎年毎年結構な出費になりました…。もともとが研究機材で,いまは業務用機材です。たくさん積み上がりましたが,一生使うとなると,このくらいでも大丈夫か心配なところはあります。有限鏡筒長の機材で仕事をしている会社は多いのですが,無限遠鏡筒長への機材更新費用が捻出できないので古い機材を手入れして使っているところが多いのです。当サービスも例外ではありません。いまのうちに状態のよい機材を揃えて,きちんと手入れして使っていかなくてはなりません。

*2 機材の入手経路は,廃棄機材の救済というのもかなり多いです。まだ使えるのに廃棄になる機材などは,「救済お願いします」と筆者のところに回されることも多いのです。そういった機材は,有り難く引き取って,分解メンテナンスして,必要なものは業務用に使わせていただき,使わないであろうものは,それを必要としている関係者に(ほぼタダで)回しています。筆者は使う予定のないものには興味がありません。手元にあるものは使用が想定されるものか,処分に困っているものか,どちらかです。置き場所もないので,そのときの気分で差し上げてしまうことも多いです。これまでもプランアポクロマート,位相差コンデンサ,微分干渉ユニット,蛍光顕微鏡,ニコンS型などたくさん手放しました。突然,筆者から顕微鏡や光学機材を押しつけられた人が何人かいます(^^; 。

*3 普段使用している鏡基が7台でレボルバが9個あるので,40〜50本の対物レンズは常時使っていることになります。検鏡法によっては付け替えるので,2月の対物レンズ特集で掲載した有限補正系対物レンズ(ニコン)は,眠っているものはほとんどありません。グリセリン浸対物レンズなんか使わないだろうと思う方もおられるかもしれませんが,標本の種類によってはオイルをつけたくないものがあって,そういうものは明視野の液浸系観察でグリセリン浸対物レンズを使います。プランアポクロマートは検品時に常用しますが,Jシリーズの撮影(暗視野)にはプランアクロマート系も多用します。乾燥試料の表面検鏡にはM PlanやBD Planが必須ですし,チャンバに入れた試料を検鏡するときには長作動対物の補正環付きを使わないとまともな像にはなりません。蛍光検査板F-TESTの出荷時には,フルオール対物で蛍光のチェックを行っています。トリプルで持っているNCF PlanApo100x (1.40)は,一本は通常使用,一本は予備。もう一本は紫外線検鏡用です。紫外線を通すとレンズが劣化して透過率が悪化しますが,それを承知の上で使う場面があって,専用のものが必要になっています。こういった日々の活動の一部が,本ページの画像になっているのです。

*4 こうしていろいろな対物レンズを使っていると,困るのはレボルバです。レンズが20本くらい装着できるレボルバがあると有り難いのですが,現状は6本で,ひんぱんに付け替えることになります。慣れた作業とはいえ,レンズの付け替えはイヤなものです。

*5 一台でいろんなことができる顕微鏡と,一台でひとつの機能の顕微鏡を並べるのと,どちらがよいかは悩ましい問題です。現状では,1)蛍光・明視野・暗視野用,2)明視野・暗視野(超広視野)用,3)倒立顕微鏡・明視野・暗視野・位相差・微分干渉・蛍光,4)微分干渉・位相差,5)明視野・位相差(サンプル処理用),6)簡易検鏡用(珪藻並べ作業の確認用),7)実体顕微鏡,8)金属顕微鏡・明視野,9)金属顕微鏡・暗視野という状況で使用しています。これでも,明視野の位相差をやろうとするとどれかの鏡基のレンズを全部外して付け替え,コンデンサも付け替えになります。元にもどす時間も考えれば,それだけで20分くらいは消費します。たくさんの鏡基を並べておけば最も効率的ですが,スペースの問題が深刻です。どうするのがいちばん効率的かとぼんやり想像しながら,なかなか改善しない気がしています。

*6 多数の対物レンズを使い続けるもう一つの理由は,筆者がときどき,大学院などで顕微鏡の講義を行うことと,光学関係者との仕事上の打ち合わせなどがあるからです。経験を積んで勉強しないような奴が人に教えを施してはいけません。90分一コマで15コマ分の顕微鏡の講義を,ろくな経験もなく,机上の勉強で平気で喋れるほど筆者の心臓は強くありません。





2015年3月4日


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きょうの画像も,筆者が顕微鏡の勉強を始めた頃に読んでいた本で,どれも竹村先生の御著書です。竹村先生はアマチュア向けの解説書を多く執筆されており,本作りが趣味という変わった研究者でした。水産系の研究者は,顕微鏡の接眼レンズの向こうに見えるプランクトンの世界がどれほど素晴らしいかを知っています。竹村先生もおそらくは,それがきっかけでミクロの世界に入り込んだものと思います。

先生の本で特に有用だったのは,照明法の光路図です。学生時代に,この光路図のコピーをとって,通学時に眺めていたことを思い出します。いま見ると,波動光学の理解が甘いフシがあって,全てを盲目的に信じてはいけないぞ,と思う部分もありますが,初学者の通過点としては十分に役立つことと思いますし,顕微鏡に通じた人が読んでも,かなり細かいことが書かれているのに気がついたりしてハッとします。

画像三,四枚目の本は,図書館で何度も借りて読み,古本屋で巡り会うまでに10年を要したものです。この本は専門家が各項目を執筆しているので,やや深い解説が読めるほか,「顕微鏡」の姿がたくさん収められており,その点でもひじょうに参考になったのです。これらの本を読んだことで,特別な技術が身に付いたわけではありませんが,知識は整理され,何というか,不安だった知識が「安心」に変わるような,そんな役割を果たした本だったように思います。これらの書籍抜きに,現在の筆者があったとは思えない気もします。本というものは,人生に微妙に影響を与える,ふしぎなものです(画像/MWS)。



*1 当室に資料を借りに来た大学院生が筆者の本棚を見て,きょうの画像3枚目の本を見つけて,「この本は持ってる…」とつぶやいたのでした。その一言で,すべてがわかります。現在,一部の大学を除けば,顕微鏡のまともな講義は存在しません。授業があったとしても,文献まで丁寧に紹介している授業は,極めて少数でしょう。だから,その大学院生が独学で顕微鏡の勉強をしなければこの本の存在を知ることは,まずあり得ません。それも単なる勉強でなく,図書館で資料探しをして,ネット等も駆使して,この本に行き当たらないと知ることはできないでしょう。古本屋で見つけるのも結構困難で,それを小遣いで買うのは,「好き」でなければやらないことでしょう。この人は,勉強が好きで,新しいことを知るのが楽しくて,顕微鏡が素敵な機材だと感じているのです。




2015年3月4日(2)


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2月に掲載した対物レンズ特集の画像を見た読者の方から,素敵な画像が届きました。画像一枚目は当サービスの初期からお付き合いのあるお客様で,画像に添えられた言葉は「まじめにやるととても難しいのですね」ということでした。そんな言葉を感じさせない,きれいな対物レンズの絵になっています。しかも流通数が少ない貴重なレンズ群で,思わず画面から取り出してウチのレンズ箱に収めたい気もします(^^;。

画像二枚目は,レンズのある研究室,といった趣のある風景に感じられます。いっけん何気ない画像に見えますけど,レンズ正面のプリントがちゃんと読み取れるように照明されています。何も考えないで撮影すれば決してこのような絵にはなりません。撮影者によると,中央部が黒くなり文字が読みにくいのはしかたないと思っていたそうです。それで本ページを読むまでは,レンズを回転させて三回撮影していたそうです。この方が,照明セットを組んで撮影したものが画像三枚目。素敵な画像です。

いずれのお客様も,本ページを見てさっそくレンズ撮影に挑戦したわけで,筆者としてもうれしく思っています。記事を読んで「ふーん」で終わらせず,自ら手を動かす人は,必ず何かを学びます。そういった方々はきっと多彩な能力をお持ちなのだろうと想像しています(画像/MWSユーザー様二名)。








2015年3月3日


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きょうの画像は,筆者が顕微鏡の勉強を始めた頃の,比較的初期に読んでいた本。画像一枚目の本は,初学者にはたいへん優れていると思います。顕微鏡を扱う上でぜひとも知っておきたい基本事項が盛り込まれています。操作に伴ってどのように像が変化するのかが作例写真でわかりやすく有用です。画像二枚目の本は種々の事項があまり整理されずに盛り込まれている感じがしますが,必要な情報は記載されているので,一通り読んで役に立つ知識も得られるかと思います。画像三枚目の本は,ごまかしの少ない記述で,有限鏡筒長時代の顕微鏡を扱うなら現在でも十分に役に立つ良書です。画像四枚目の本は,実験例や作例が多く,分野によっては当時のハイレベルの顕微鏡写真を見ることができます。

これらの本を買い集めていた当時は,ネットも普及しておらず,とにかく古本屋を何十軒と覗くことを何年間も継続して,ようやく行き当たったものもあります。そうした努力は副産物も多く悪いことばかりではないのですが,学生だったら卒業してしまうくらい時間がかかってしまうこともありますので,効率の観点からは全くお薦めできません。顕微鏡の良書は比較的古いものもありますので,現在ではネット上の古本屋で検索するとか,近くの図書館の蔵書を調べてみるといった方法で探すのがよいでしょう。

上に掲載した四冊の本は,内容的には重複している部分も多いので,全部買うこともないだろうとのご意見もありそうです。まさにその通りなのですが,それぞれの本は,著者の熱意や考え方など,「心構え」に通じる部分が微妙に異なっていて,つい,どれも入手してしまいます。本選びの基準は,持っている本に書いてないことが書いてあったら買う,という感じになることが多く,似ている本でも増殖してしまいます。

そしてこれらの本を繰り返し読んで,年月が過ぎゆき,読んだ内容をほとんど思い出せないくらい忘れたとき,それぞれの本から得られたメタな内容がはじめてわかってくるような気がします。あの本から学んだのはぴしっとした筋の通った姿勢であるとか,この本から学んだのは,枝葉を捨てて幹だけで一貫した論理を展開することとか,そんな影響を受けているような気がするのです。そしてその影響は,筆者の活動に少なからず何らかの効果をもたらしているのでしょう。若い頃の勉強はつくづく大事だと,中年オヤジは思うのです(画像/MWS)。








2015年3月2日


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顕微鏡は使い方で像質が変化しますので,最高級機材を持っていても最高級の像が得られるわけではありません。顕微鏡の性能を引き出すには,基本の正しい使い方に加えてサンプルや検鏡法に応じた技術が必要になります。したがって勉強が重要になってくるのですが,勉強にも幾つかの方法があります。一つの方法は,その分野の専門家のマネをして,同じような像が得られるような練習をすること。いわば頂点から攻める方法です。もう一つは,顕微鏡の基本となる光学について幅広く学習する,裾野から攻める方法です。どちらでも構わないと思いますが,両方できれば効果的でしょうね。

きょうの画像は光学への入門書として最適な,吉田正太郎先生の著書。筆者は小学校に上がる頃から星を眺めていて,中学生の頃から『天文ガイド』を大学院修了まで毎月購読していました。吉田正太郎先生の本も,すぐに買って何度も読みました。これは面白いから読んでいたので本人には全く自覚はないのですが,振り返ってみれば裾野から光学の勉強をしていたことになります。吉田正太郎先生の本で特に有用だったのは,ガラスデータが記載されていること。アポクロマートの実現には通常の分散特性とは異なるガラスが必要なことが詳しく説明されています。またレンズ構成図がたくさん載っているので,これをぱらぱらと眺めていると,収差補正のために必要なレンズの配置や曲面の具合などが,パターン認識として記憶されるような感じがします。

本ページの読者の皆様も,まだ見たことのない方は,ぜひこれらの本をお手にとって確かめてみてください(画像/MWS)。








2015年3月1日


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これは1970年代後半くらいのカタログ。日本光学がCF対物レンズを開発した頃のもので,そのすばらしさを誇らしげに書いている,素敵な文章が拝めます。しかしカタログに載せている写真はいけません。対物レンズの正面に影が出ていて,肝心の刻印がよく見えません。ライティングに気を遣わずに撮影するとこのようなことになります。その後ニコンはこの問題に気がついたようで,カタログには,対物レンズを正面から撮影した画像が出てこないようになったように感じています。レンズを正面から撮影して,きれいに表面が見えるように撮影するのは技術を要するので,コスト的には斜め上から撮影して分かりやすい絵にするのが正解でしょう。

こういったカタログ写真を見ていて思い出すのは,ガラス器具の専門メーカーである桐山ガラスのカタログです。1990年代前半に制作されたものは,気鋭の写真家を雇って撮影させた,そのままガラス写真のお手本になるような,伝説になるようなカタログになっていました。製品に絶対の自信がなければそんなことはやらないでしょう。あまりの出来映えに驚嘆し,永久保存版として手元に一冊残していましたが出てきません…。そのカタログを眺めていて,当時の研究に関係していたこともあって,透明刷りのガラスカラムと分液ロートを入手して,シリカを詰め込んでヘキサン,クロロホルム,メタノールと流してリン脂質を分離し,ホスファチジルコリンと思われる分画をNMRにかけたのは懐かしい想い出です。

話が脱線しましたが,魅力的な商品をPRするカタログですから,写真の質はきわめて重要です。顕微鏡メーカーさんは,ぜひとも,対物レンズを「おいしそうに」表現して欲しいと思っています(画像/MWS)。



*1 その桐山カラムはどうしてもクロロホルムが漏れて,筆者が各種研磨剤で摺り合わせをやり直したは,ここだけの秘密です(笑)。

*2 きょうの画像に写っているレンズは,たぶんプロトタイプです。同じものが出回っているのを見たことがありません。






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