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ミクロワールドサービスが顕微鏡の世界を伝えるコーナーです。
日々の業務メモやちょっとした記事もここに記します


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2017年6月30日


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昨日掲載した100円ショップで見かけた絵の具皿は,ヨドバシカメラだと10枚で88円という緊急連絡が入り(笑),打ちひしがれていたのでした。。ひょっとすると,今日のクリップも,大量で安価なところがあるのかもしれません…。で,ですね,このクリップ,プラ製のクチバシですからガラスに傷をつけません。筆者の目にはプレパラート押さえそのものに見えます。純正の金属クリップだと押さえる力が弱く,高倍率で動いてしまえば,顕微鏡を回覧するのも大変です。しかしこのプラのクリップなら,比較的強い力で押さえられますので,例えばJシリーズを視野に入れて,皆で回覧などという楽しいことができます。顕微鏡で毎日あそぶと,100円ショップでさえ,顕微鏡関連機材売り場になってしまうのです(画像/MWS)。








2017年6月29日


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昨日掲載したホールグラスの下に写っていた物体は,100円ショップで見かけた絵の具皿なのでした。鉄皿で6枚入りで100円。ぴかぴか光るものに目がない筆者は,使う予定もないのに連れて帰ったのでした。そして昨日,透明体の撮影時の背景に使えることに気づいて出番が発生し,また接眼レンズのホコリよけにもぴったりと気づいて使っているのです。金属製なので溶剤を垂らして混合とか,ちょっとだけ中性洗剤を薄めてレンズのカビ取りとか,そんな用途にもよいですね。こういったちょっとした小物があると,メンテナンス作業などがぐっとはかどることがあるので,なかなかあなどれないのです(画像/MWS)。








2017年6月28日


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昨日掲載したホールグラスはどのように使うのかというと,まずホールグラスによく洗ったシリコン板を自己密着で張り付けます。もちろんシリコン板はくりぬいてあります。そこに生物の入ったサンプルを滴下して,シリコン板よりも水面が上に来るようにします。次にカバーグラスをそっとのせて,軽く押して,余分な水を排出します(キムワイプで吸い取ります)。密着できたことを確認したら顕微鏡にセットして検鏡します。

このように使うと良いことがたくさんあります。まず,両側からカバーグラスでサンドイッチにしていますので,平面が出せています。水面が波打つこともないですし,レンズ効果を引き起こすこともありません。ですから位相差や微分干渉で問題なく使えます。そして密着して密封構造になっていますから,風などによる水流で内容物が動いてしまうことがありません。このため微速度撮影に使えます。きちんと密着すれば1日程度の検鏡はじゅうぶん可能です。

さらにシリコン板の厚みを変えることによって容量を変えることもできます。倒立顕微鏡にセットして検鏡することもできますし,正立顕微鏡にセットして長作動対物レンズで検鏡することもできます。カバーガラスを外してシリコン板を洗って,チャンバを洗って,繰り返し何度も使えます。

というような優れものなのです。これを考案したのは十数年前です。当時は顕微鏡上でミクロ培養なども行っていましたので,観察,撮影に適したチャンバをいくつも作りました。それらの中で最も愛用しているのがこのチャンバなのです。自分で作ったものは機能をきちんと理解できていますし,何より使いやすいですね(画像/MWS)。








2017年6月27日


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倒立顕微鏡用のホールグラスを作りました。今年二枚目で,今回は自分用です。十数年使っている手持ちのものもあるのですがカバーグラス厚さが0.14mmで,高NA対物レンズの性能をフルに引き出すには少し問題があります。そこで厚さ0.17mmのカバーグラスを使って作ったというわけです。

使ったカバーグラスはマツナミの12mm丸で厚さ0.17mmの試作品です。間違いは許されないので久しぶりにマイクロメータで測定しましたが,公称通り0.17mmでした。これを孔をあけたガラスに貼り付ければできあがりです。スライドグラスはガラスが傷ついていても問題ないので廃材から引っ張り出し,外周全てにダイヤモンドをかけて丸め,中心には丁寧にきれいな孔をあけて,慎重にカバーグラスを貼り付けました。できあがりが二枚目の画像ですが,けっこうきれいにできて,なんかとってもいいものを入手した気分です(画像/MWS)。








2017年6月26日


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きのう掲載したオイルと水浸対物レンズで撮影した絵がきょうの画像。長さ70μm弱くらいの小さなピンヌラリア。生きている状態で,葉緑体と条線が表現できています。微分干渉法を使えばさらに分かりやすい絵にできるはずですが,無限遠補正系のDICは持ち合わせがありません(T_T)。2016年に無限遠補正系をDIC化する計画もあったのですが頓挫しています…。で,話をもとにもどして,この水浸対物用オイル,なかなかよろしいのですけれども,一つだけ問題があって,けっこう粘性があるのです。水で液浸にすれば水封入のスライドでもすいすい走査できるのですが,オイルの場合はカバーグラスが動いてしまうので,そろりそろりと動かすか,カバーグラスを何らかの方法で固定するか,工夫が必要になります(画像/MWS)。








2017年6月25日


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カバーグラス水浸対物レンズ(WI)を使うときは,水サンプルにカバーグラスをかけて,カバーグラスの上面に精製水や蒸留水あるいは超純水を一滴垂らして,そこにレンズ先端を接触させて液浸にして使います。水はどこでも入手できますし粘度も低いので便利に検鏡できますし,レンズ本来の性能が発揮されて,深い水の底(といっても0.1mm程度ですが)でも球面収差が感じにくい像ができます。

しかし水は蒸発が早く,長時間の検鏡には不向きです。水を継ぎ足すのも不便です。水サンプルは生きている生物を検鏡するための方法ですから,タイムラプスを行いたい場面もあるでしょうが,長時間やるには工夫が必要になってきます。また,水はいろいろなものを溶かす溶媒でもあるので,もし乾燥してしまえば,よほどの超純水でない限り,溶けていた結晶が析出してレンズを汚します。

…という問題を解決するのがきょうの画像のオイル。世界のカールツァイスが提供する屈折率1.334のオイルです。つまり,水と同じ屈折率のオイルなのです。これを使って液浸にすれば,長時間の検鏡も問題なくOKです。分散もレンズの光学的要請にしたがってある範囲に設計されているようです。

何かの物質の屈折率を上げたければ,硫黄やヒ素を混ぜたり,鉛を加えたり,臭素を添加したりします。逆に下げるには,フッ素を加えるのが有効です。蛍石やフッ化マグネシウムの屈折率が低いことは誰でも知っているでしょう。なので,シリコーンオイルをフッ素で修飾してやれば屈折率の低いオイルができそうだと,素人でも想像できます。でも,きょうの画像をよく見ると,ハロゲンフリーって書いてある…のです。なんじゃこりゃああ,なのです。

10年以上前に,これの特許情報を見つけて読んだ記憶があるのですが,確かフッ素を使っていたような。。フッ素はハロゲンといってよいはずで,そうするとフッ素が入っていてもハロゲンフリーと呼んでよい…のかな。電気電子系では塩素と臭素が入っていなければハロゲンフリーと言ってもよい分野があるらしいのだけれども(ずいぶんいい加減な話だ)。

このオイル,なかなかイイお値段なのです。ので,ここぞという勝負のとき以外はあまり出番がありません。近年では,写真集を出版するときに生きているピンヌラリアを水浸観察で撮影したのですが,そのときにニコンのCFI PlanApo60x VC 1.20WIの補正環を回しながら,このオイルで液浸にして最高の像を得たのでした(画像/MWS)。








2017年6月24日


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封入法の試験で製作した特殊技術を投入したスライドがケース一杯。ということは,まじめに仕事をしているということを示しているわけなのですが,この仕事は必ずしも収益を生み出さず,技術の研鑽,将来への投資みたいな位置づけとなります。こういったことにどのくらい労力を投入するかは考えどころです。個人事業主は何か収益を生みだしていない時間は,全て消費の時間なので,直接的に売上げに響きます。休暇という概念もないし,労働基準法で守ってもらえるわけでもありません。休んだり,人様に時間を費やせばそれだけ貧しくなる恐ろしいシステムです。ま,それとは引き替えに自由があるわけなので,自由のお値段と考えれば,それは悪くないのかもしれません。などと考えつつ,筆者の 自由研究 は続くのです…(画像/MWS)。



*1 深夜02時頃まで仕事をしていて更新を忘れてしまいました。すみません。




2017年6月23日


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超大型のクモノスケイソウにスケール画像(1目盛=0.01mm)を重ねるとこんな感じです。0.345mmもあります。髪の毛の幅よりも数倍はあるといった感じの大きさです。といっても1mmもないのですから小さいですね…。そして中央付近の構造を見れば,そのサイズは0.01mmもありません。大型でも,殻に刻まれている幾何学模様はミクロンサイズなのです。こういう,大型珪藻に一面の繊細な模様があるタイプは,みていてゴージャスな感じがします(画像/MWS)。








2017年6月22日


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なんか,右足の親指がチクチクする…のだけれども,ほんの小さな点が見えるだけで傷口さえ見えません。はて,どうしたものかとポケットマイクロスコープで覗いてみると,なんとなく何かが入っているかもという感じ。そこでFONTAX No.3の出番です。刃先でほんの少しずつ皮膚を切開してみれば,触れるとチクチクする何かがあります。しかし見えない…。ガラスだろうと当たりをつけて,あらゆる方向から照明して全反射面をみつけて,刺さっている方向を推測。あとは指先の感覚でガラスを抜き取ります。出てきたものがきょうの画像。長さ1mm弱。幅0.2〜0.3mm。厚さは0.17mmです(笑)。標本製作をしていると,とげ抜きも,まことに光学的に解決してしまうのです。わはは(画像/MWS)。








2017年6月21日


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もひとついきましょう。こんどはカザグルマケイソウです。これは相模湾産だった…かな。日本沿岸でふつうにみられる種です。海が荒れたときなどにプランクトンとして多数とれることがあります(画像/MWS)。








2017年6月20日


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ひどい絵をのせてしまったあとは口直しの画像が必要かも…ということでクチビルケイソウの微分干渉像・カラーモードです。個人的には,こういった絵を見るとすかっとした感じがします。少し大きな絵は こちらで ご覧いただけます(画像/MWS)。








2017年6月19日


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本ページでは基本,ひどい絵は掲載しないようにしています。失敗してぐちゃぐちゃになった標本や材料の絵などは,それらを撮影することもありませんし,絵としても面白くありませんので…。しかし今日の画像のように,得体の知れない失敗は,かえって何かの模様にみえる気がしたので掲載してみます。。当サービスは使えるかもしれないと思えば,それが薬品であろうと食品であろうと何でも試してみます。今日の材料は海外から取り寄せたものでひょっとしたら封入剤になるかも…と気の迷いで入手したものです。画像を見ればわかるように,気の迷い以外の何者でもなく,透明ですらないという大失敗の部類ですが,まだら模様がなんとなく気に入ったのです(画像/MWS)。








2017年6月18日


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当サービスで使用している樹脂の中には湿度に敏感なものがあって,樹脂を劣化させないために,相対湿度が約40%以下のときだけ作業するということにしています。ちょっと神経質すぎる気もしますが,この湿度領域でも劣化が認められるので用心に越したことはないと思っています。そうすると,梅雨時には,この樹脂では仕事ができない…ということになります。

それで土曜日は懸案だった顕微鏡工作系の作業を延々と詰めていました。メカの設計と電装系の組み立てですが,改良の余地が多く時間が飛ぶように過ぎゆきます。そして夕方にさしかかったころ,湿度計が40%を示していたので,工作の手を休めて樹脂の調合作業を行いました。極めて精度の必要な,微調整の必要な領域では湿度までも考慮して作業しなければならない…。ながねん取り組んできて蓄積されたノウハウではありますが,ホント,標本製作というのは奥が深く,発見の連続です。

湿度の高い日はそれに適した作業を行い,低い日はそれ用の作業を行う。まるで農作業のようですが,そうやって天候に振り回されるというのは,ある意味,「今しかできない」という意識を生み出すので,「いつでもいいや」という甘えが消えます。これは良いことのように感じられます(画像/MWS)。








2017年6月17日


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電子工作にオルタネイトの押しボタンスイッチが必要になったのだけど,オルタネイトのスイッチってあまり売っていないんですよね。秋月電子をみても千石電商を覗いてみてもよさげなものがwebでは見あたらない。どうしようかなぁと周囲を見回してみれば,手持ちの100円LEDライトの残骸から回収できることが判明。サイズもぴったり。これは天から光が射してきたというやつだ。

この100円LEDライトは以前もお薦めしたもので,決定版とも言うべき驚異の製品です。レンズが採取でき,パワーLEDが採取でき,電池ボックスが入手でき,オルタネイトの押しボタンスイッチが手に入る。残った筒も何かに使えそうだ。これが100円というのは大助かり。スイッチは無事に,モーメンタリのものと交換されて機器に組み込まれたのでした(画像/MWS)。








2017年6月16日


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先日紹介したレンズばらまきコノスコープシステムは,多数のレンズ(ガラスビーズ)をばらまくことによって,ギョロメさんの賑やかさを演出しようというところがキモなのでありました。単にコノスコープ像を見るというだけなら,顕微鏡もマクロレンズも必要なく,偏光光源(パソコンの画面)とガラス玉(透明なビー玉やニセ水晶玉),偏光板があれば十分であることは,本ページ(2012年1月15日)で記した通りです。

当サイトの読者であれば,顕微鏡をお持ちの方も多いことと思いますし,コンデンサがそこいらへんに転がっていることと思いますから,それらを活用しない手はありません。高NAで良質な像が手軽に観察できます。

そのことを示してみたのがきょうの画像です。LEDにコレクタレンズをつけ,拡散板をつけ,オパールグラスをのせます。その上に偏光板をのせ,巨大雲母板をのせ,コンデンサをさかさまにのせます。コンデンサ絞りは全開。このコンデンサの後ろ側を,偏光フィルタをつけたデジタルカメラで撮影すれば,ギョロメさんが登場します。コンデンサは開口数をかせぐために,先玉と雲母板の間をグリセリンで液浸にしています(NA=1.25)。これで立派なコノスコープ像が簡単に撮影できますし,肉眼で見ることもできます。

この方法はコンデンサを使うものの,観察側の顕微鏡が不要ですし,材料を工夫すれば安上がりですし,学生さんにスマホなどで撮影させるのも容易なので,授業などでの導入用にはいいかもしれません。これでギョロメさんを見たあとに,偏光顕微鏡の使い方を講じて,薄片の観察実習をやれば,自力で雲母を見つけたときに嬉しさも倍増するかもしれませんし,なぜコンデンサを適切に使うことが必要なのか,入射角の観点から理解が進むかもしれません…(画像/MWS)。



*1 雲母板は耐熱材料として市販されていますので通販などで容易に入手できます。

*2 コンデンサは歪みのないものを使うときれいなギョロメになります。安価なアッベコンデンサは先玉がプラスチックの半球レンズのものがあって,偏光観察不可です。ガラスレンズでも歪みが大きくて物体のない状態でクロスニコルにしても消光しないものがあります。

*3 オパールグラスは照明光を均一に拡散させ低NA高NA成分を均等に生じさせるものです。きれいで観察範囲の広いコノスコープ像を得るのに必要です。手近なものでオパールグラスの代用品となるのは水道用などのPTFEテープです。完全拡散面であることが大事です。






2017年6月15日


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Nikon1J5 ,けっこういいかもしれない…。画像一枚目は縮小のみ,二枚目はオリジナルから中央部のみトリミング等倍。小さな素子でここまで写るのだから驚きです(画像/MWS)。








2017年6月14日


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きのう掲載したギョロメさんの画像は本邦初公開?で,個人的には会心の作画だったのだけれども,筆者が嬉々として取り組んだことは大抵,皆様からスルーされるということが経験的に知られているので,今回もそうだろうと思っていました。が,一通のメールを頂き,すくなくとも一人には興味を持ってもらえたのかなと,ちょっと安堵しています。

ああいう絵を作るには,まず脳内に完成予想図があって,それを実現する光学配置を考えなくてはいけません。偶然にできあがることはほとんどないと思います。で,どうやったかを表しているのがきょうの画像。なぜこの配置にしなければならないのかという光学的な理解は読者の皆様への宿題として,材料と要点を書けば次のようになります。

まず光源は電球色パワーLEDにコレクタレンズを仕込んで拡散板をのせ,顕微鏡ステージの下に置いています。その光で完全拡散板(オパールグラス)を照らし,指向性のない,ある程度の面積のある完全拡散面からの二次光源を作ります。その上に直線偏光板。その上に巨大雲母板。その上に直径2mmのガラスビーズを置いています。ビーズは球体なので,そのままだとコロコロ転がってしまうので,水を一滴垂らしてビーズをまとめてあります。水は照明側NAに対してイマージョン効果があるので,できるだけ少なく均一にします。実体顕微鏡の対物レンズにも直線偏光板を取り付けます。あとは撮影装置を介して,ガラスビーズにできているコノスコープ像にピントを合わせて画像を得ています。

あとは巨大雲母板の方位を変えながら,適当にアナライザを回してギョロメさんの模様や色を変えて撮影。できあがった絵は,脳内予想図と完全一致で,じつに満足度の高い昼食後の遊びだったのです。本ページの読者さんであれば,雲母板や偏光板など部屋にいくらでも転がっているでしょうから,気が向いたらギョロメさんを見てみるのも愉快な時間になってよろしいかもしれません。

この方法をパクってニコンのコンテストにでも応募すれば,けばけばしい絵ばかりを選ぶ下品な審査委員の目にとまって,IDくらいはもらえるかもしれません。挑戦したい方,ご自由にどぞー。







さて,話はここで終わりません。本ページの特徴は,情報をもったいぶって小出しにしないことでもあります。そんなみみっちいことをしていれば,ただでさえ悪い脳みそが萎縮してボケ中年になってしまうに決まっています。まだぼけるのははやい。。

ということで,要するにこの観察システムは,物体にレンズをばらまいて,そこにできるコノスコープ像を見ようというものです。顕微鏡の接眼レンズを抜いて,ベルトランレンズを入れて,などという分野外の人にはハードルになりかねない小難しいものを取っ払って,物体とレンズを大きくすることにより,やっていることを直観的にとらえられるようにしたものです。しかも大開口数のコノスコープ観察を実現していますので,高性能な偏光顕微鏡による像と同等の観察ができます。大きな材料さえあれば応用範囲は広く,偏光観察入門にはよいかもしれません。

雲母でギョロメさんが出現したわけですから,とうぜん他の結晶材料でも,その偏光特性に応じたコノスコープ像が見られるはずです。方解石でみてみましょう。



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これは一例ですが,方解石片にガラスビーズをのせて偏光観察すると,このように,一本の線がガラス球を横切ります。方解石片の方位を変えながらアナライザを操作すれば消光ポイントや消光しないポイントも見つかります。

水晶ではどうでしょう。水晶玉は偏光観察すると目玉が出現することはよく知られていますが,これは結晶軸のある水晶という材料と,玉というレンズの特性が組み合わさって,コノスコープ的な像が見られるものと思います(真相は知りません)。ならば,水晶のブロックにレンズを載せれば,同じものが見えるはずです。そこで,



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のように水晶ブロックにガラスビーズをのせたガラス板をのせて観察してみます。もちろん,結晶軸の方向があるので,目玉と暗黒帯(アイソジャイヤ)が出現しそうな面を探して水晶ブロックを転がしてみます。すると,クロスニコルの状態で



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このように見え,端っこの方に目玉に由来しているであろう色づきが見えます。端っこの方にあるのは,この水晶ブロックがそのような切り方だったからです。目玉が撮影している方向に向いていないのは残念ですが,このレンズばらまきコノスコープシステムは,別に照明光軸上で顕微鏡を使って見る必要はなく,直接,斜めから観察して偏光でクロスニコルにしてもOKです。ふつうの標準レンズで20cmまで寄って撮影すれば,こんな具合の絵がとれます。



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これはまぎれもなく水晶玉の目玉と同じ種類のものに見えます。光軸上からの観察では見えないものも,斜め上から観察することではっきりと視認が可能です。そしてこれを可能にしているのが完全拡散面による照明です。

今回この実験をしていて痛感したのは,知識だけではどうにもならないということです。個別の知識は10年前から全て頭に入っていたはずですから,そのときにこうした観察法を思いついてもよかったはずです。しかしそうはなりません。手を動かすものだけが到達できる領域というのがたぶんあって,今回も,ころころ転がるビーズを竹ピンセットで拾い上げながら,散らばっていた知識がつぎつぎとつながって,そうだよな,こうやればいいんだよなと,時間もかからず次々と撮影ができたのでした。

やってみなければわからない,そのことは刃物研ぎで十分に実感してきた人生のはずですが,まだまだだなーと深く反省したのでした(画像/MWS)。



*1 アイソジャイヤの言葉の使い方がおかしかったので訂正(20170615)。なぜか目玉の意味として使っていました。坪井誠太郎先生の「偏光顕微鏡」を読み直していて間違いに気づき修正。




2017年6月13日


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以前からやってみようと思っていたことがついに実現。ギョロメさんがごろごろ。わはは(画像/MWS)。








2017年6月12日


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本ページの読者の多くは,たぶん記事を娯楽代わりに眺めておられる方々が多いのではと想像するのです。そしてそういった方々のうち,何割かは,顕微鏡をまだお持ちではないような気もします。まして,珪藻プレパラートや,放散虫プレパラートなどといったマイナーなものは,当然,もっていないことでしょう。そうだとすると,本ページの画像を眺めていても,現物の小ささとか,放散虫と珪藻の大きさの違い,などは実感をもって理解することは難しいでしょう。

そこで作ってみたのがきょうの画像(二枚目)。同じ倍率で撮影した放散虫と珪藻を一つの画像にまとめています。珪藻そのものを倍率を上げて撮影すれば,きょうの画像一枚目のように,珪藻が立派に大きく見えるわけですが,こうして放散虫と並べてみると,珪藻ってのはうんと小さいことが感じられるかもしれません。そして大事なことは,ここに写っている珪藻たちは,筆者がフリーハンドで扱えるほどに大型の種ばかりなのです。世の中の大半の珪藻は,これよりずっと小さいのです(画像/MWS)。








2017年6月12日(2)


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仕事に関係した単語を検索することは日常で,毎日毎日,検索して暮らしているといっても過言ではありません。主なところでは珪藻,放散虫といった単語ですが,海外のオークションなどではobjective leitzなどと打ち込んでみることも日常です。そんなある日,だいぶ前ですが,「珪藻美術館 絶版」で検索している人が世の中にいることがわかり,試しに検索結果を見てみたところ,

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こちらの書き込みを見つけてしまい,以後ずーっと気になっていました。もっともなご意見なので,何か応えないとと思ってしまうのです。

筆者は事実の積み重ねが大事だと思っています。最初に取り決めた仕事期間は2015.1〜2015.6で,7月に出版予定でした。このように設定したのは,秋に作業を行うとJシリーズの製作ができなくなり,大きな損失が出るとともに,お客様にもご迷惑がかかるからです。個人事業主にとっては本を書くと言うことは時間の損失であり,経済的損失が無視できないので,作業期間はJシリーズを製作しない期間で夏前までということは出版社に最初に伝えたことです。しかし出版社は,こちらが提出した画像データを塩漬けにして,連絡なく放置して,作業開始の連絡が来たのは2015年8月の終わりでした。これにより2015年度はJシリーズを製作できなくなり,ほかの作業もできなくなって,約100万円の損失が確定しました。

このことに対する補償等の話は一切出ず,相手の都合によってこちらが振り回される状態が続きました。件の本は指示に従って書き下ろしたものですから,下請法の適用でもおかしくない案件ですが,契約書の提示は一切なく,契約内容が不明なまま作業が進みました。納品後も契約書の提示がなく,詳細な契約内容は明かされないままでした。本が出版されても契約書の提示はなかったのは以前に書いたとおりです。

しかしそれでも,出版社自らが示した支払期日に,提示通りの振込があれば取引完了ですので許容範囲内です。しかしこれも反故にされました。事前の連絡も一切ありませんでした。そして,著作権使用料の債務不履行が半年経過する間も,一切の連絡がありませんでした。原稿と画像の納品が済んでからすでに一年が経過しています。

つまり事実の経過としては,仕事は先方からこちらに頼んできた,仕事期間を無断で変更されこちらが損失を被った,仕事の契約内容を明かさなかった,納品から一年にわたって著者に対価を支払う気はなかった,不払いを説明する気もなかった,ということです。

この状況で,「出版社の言い分」を聞くことが可能でしょうか。契約書を提示しない出版社が不払いの理由を嘘偽りなく述べることがあり得るでしょうか。それは無理だと思うのです。もし丁寧に説明してくれたとしても,それが演技なのか言い訳なのか本当のことなのか,判断する方法がないのです。

もし不払いを指摘すれば,すっ飛んできて頭を下げて,「すみません,経理のミスです」などと言うかもしれません。その言葉が本当か嘘かを確かめる方法がありません。本当は単に面倒くさくて放置していただけでも,そんなことを正直に言うはずはありません。ちきしょうあのやろう,印税支払いを催促してきやがった,と思っていても,そんなことは言わないでしょう。「出版社の言い分」は全て自分たちに都合のよいように,著者を怒らせないように最適化され修飾された答えが,誠心誠意のフリという「演技」とセットになって吐き出されるに決まっています。真実を知る方法はありません。言い訳を聞かされても不快になるだけです。ですから,筆者は問答無用で解除を行ったのです。

筆者は出版社を「取引先の一つ」とみています。出版社にどのような言い分があろうとも,積み上がった事実から,この出版社が「依頼に応じてきちんと納品してくれた著者に迷惑がかからないように,支払期日を必ず守り,取引完了を見届ける」という認識がなかったことは確かです。これが真実です。取引上の信頼を維持しようという誠実さは見られませんでした。これだけ分かれば十分です。支払期日を守らず連絡もしない人(取引先)で,まともな人は存在しません。

見知らぬ他人がウチに来て「本を出したいので画像と文章をください,お金は規定通りに支払います」と言って信頼関係を構築し,人を働かせて,著作物を持っていったわけです。その見知らぬ他人の言葉が嘘であり,約束を守れないだけでなく,連絡すらしてこない,最低限の礼儀も果たせないとわかった時点で信頼関係は崩壊しています。ならば,そんな人(出版社)に画像と文章を使用させ,売上げの6割が出版社に入り,1割が著者に還元されるという取引関係を維持する理由はなくなります。出版とは継続的な利益関係で高度な信頼のもとに成立するものです。お互いを信頼できないようでは出版も何もあったものではありません。

ですから筆者は不払いで解除を行ったのではありません。約束を軽んじて次々と破り,信義を重んじないという事実の経過から,取引先として不適当で,また相手の言い分を聞くこにとは意味がないとの判断に至りました。そしてどのように考えても,この出版社と次の仕事はあり得ないという結論になったのが解除の理由です。

不愉快な取引先というのは,たとえ利益が大きくても事業継続の邪魔です。仕事を長く続けるには,不愉快な障害物をいかに取り除いていくかということが大事です(こちら が参考になります)。良好な関係を維持できる取引先と仕事をしていけばいいのです。そして先月繰り返し述べたように,世の中のほとんどの取引先は大変優れた仕事をされており,愉快に仕事ができるのです。

以上,出版社の言い分を聞かなかったことの説明でした。画像はウチに転がっていたビスマス結晶。もちろん石華工匠さんの製品です(画像/MWS)。



*1 今回の事象だけであの出版社が悪だと決めつけてはいけません。そんなことがあるはずはありません。大学教授先生などには,「契約書」をきちんと提示していて問題ないかもしれません。偉い先生方には支払期日を破ったことなど皆無かもしれません。また担当者によっては細やかな心遣いの非の打ち所のない対応をしている可能性もあります。たくさん出版している中での,たった一件の契約不履行ですので,この部分的事象を全体と勘違いしないようにお願い致します。

*2 この出版社が筆者にとって取引先に値しないことは明白ですが,客観的にも足りない部分があることを示しておきましょう。こちら を参考にしてみて下さい。

*3 真実を知る方法が存在しない以上,話し合う意義が存在しません。そこで契約解除では,謝罪/説明/恫喝等すべての説明を拒否して,連絡や訪問の禁止を命じています。これからも出版社の言い分をこちらが聞く方法は存在しません。






2017年6月11日


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ビスマスという金属を認識したのは中学生の終わりか高校生になった頃。その後,高校でウッドメタルを作ろうと思い,処方通りに作ってみたのは懐かしい想い出。つぎにビスマスと縁があったのは,ニコンS型のギヤ製作。割れたギアを使ってシリコンで型をとり,エポキシ樹脂でギアを作った話は以前に書きましたが,それで終わりではないのです。ウッドメタルを使って金属ギアを作ろうとしたのです。

もちろん,金属ギアだからといって,ウッドメタルのコピーギアでは,収縮も大きいだろうし,使い物にならないだろうことは想定済みです。でも,やってみる,ということが大事なのです。結果は,まともなものができずに組込までいきませんでした。。時間がムダになりましたが,経験はできたわけなので,全てがムダだったわけではありません(強がり)。

きょうの画像は石華工匠さんのビスマス結晶で,テクノシナジーさんにお邪魔したときに撮影させて頂いたものです。石華工匠さんは東京ミネラルショーにも出品されていましたが,amazonでも買うことができますので,ますます身近になった感じです。皆さんも,ビスマスのふしぎな結晶と酸化膜の色合いを,手にとってみてはと思うのです(画像/MWS)。








2017年6月10日


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世の中,勉強はつねに大切なものですけれども,あらゆることを勉強するほどの時間は,人生にはありません。多くの人には,テレビを見て,スマホをいじって,クルマを運転するのも大事な時間ですし,学校の勉強,仕事の勉強,政治の行方を見守るなど,大事なことはいくらでもあります。ですから,珪藻などという存在について深く勉強するなどということは,それほど重要な気がしません…。

でも,これは一度は見ておいたほうがいい,とは言えます。名前を知らなくても,花が咲き乱れていたら誰しも足を止めるでしょう。昨日までヤコウチュウを知らなくとも,海岸が光ればそれっ!と走って見に行くでしょう。珪藻は顕微鏡がなければ見えませんので同列に語ることはできませんが,それでも見る価値は高いものの部類だろうと思っています。

ということで,本ページに珪藻を掲載するときも,この条線がどうのこうのとか,唇状突起が云々とか,お勉強的な内容には滅多に触れることなく過ごしてきました。お花見を楽しむように,珪藻を眺めて楽しめば,趣味として十分な価値と奥深さがあると信じているからです。もちろん,研究や勉強が不要と言っているのではありません。物事への取り組み方には多くの段階,多面性があって,そのどれであってもよいということです。そういった趣味層の厚みがあると,そこから飛び抜けた人が,研究を進展させたりするわけなのですから(画像/MWS)。








2017年6月9日


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携帯顕微鏡H型のデモ用プチ標本を作りました。H型はステージの幅が狭く,通常サイズの76mmx26mmのスライドグラスだと,両端が大きくはみ出てしまいます。自分で使うには何の問題もありませんが,何人もの方々に回覧するようなときに困ります。手渡しするときに手がガラスに当たってしまい,標本がずれてしまい,何も見えなくなってしまうからです。そこでこれまでも,小さなガラス板に載せたプチ珪藻化石標本を専用に一枚使っていましたが,今回は現生の珪藻で作りました。

画像一枚目はその標本をオプチフォトDICで撮影したもの。対物は10倍で,20倍のDICプリズムを使って,マッチングが合っていない状態で調整して像を追い込んだものです。画像二枚目はH型にセットしたところ。使ったガラスは切れ端で18x60mmに切ったものですが,H型のステージにほどよいサイズになっています。

ずいぶん久しぶりに自分用の,ある意味,遊び用の標本を作りましたが,いやー気分的にラクです。日頃の極度に追い込んだものと比べると不良品のレベルですが,気にする必要もありません。ガラスはメトラーの古いもので,表面を研磨しましたが劣化が激しく,暗視野では白く光ります。珪藻は欠けていたり,鉱物がくっついていたり,重なっていたり,封入剤が入っていかないようなもの混じっています。でも自分用なら問題なし。精密な配置も必要ないので,フリーハンドで並べて,微調整せずにお仕舞い。失敗してもいいので,気合いがいらない。こういう気楽なものを作ると,いつもはどれほどのストレスと闘っているのかということに気づかされ,ツリーなどを想像しただけでも身の毛がよだつような気もするのです(画像/MWS)。








2017年6月8日


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珪藻は水があって太陽光が当たるところなら大抵のところで増殖しているものです。海でも,潮だまりでも,水たまりでも,池でも,川でも,沼でも,まぁ大半のところで見つかります。けれども,大型でカッコイイもので,しかも多種類を一度に入手しようと思うと,なかなかよい場所がありません。沼の泥の上はけっこうよいかもしれませんが,小型種も多くて,大型種は限られることが多いです。海藻にもくっついていますが,多様性は低いことが多く,数種が大量にとれる…などということも珍しくありません。そんな中でけっこう外れないのが,干潟の泥の上かもしれません。しかし日本の干潟は,何が大切か考えない日本人と政権と役人によって利権の場とされてしまい,埋め立てられて,干潟そのものが絶滅寸前です。

きょうの画像は,国外の,マングローブ林のある干潟で採取されたサンプルに入っていた珪藻。一カ所の,小さなボトル一本の泥で,これだけの種がとれます。実際にはもっと入っていますが,回収が難しいもの,並べていないものもあって,ざっとみても100種くらいのピックアップ可能な珪藻が入っているように思います。じつに魅力的なサンプルです。こういう優れた多様性の干潟試料は,国内で採取するのは簡単ではないかもしれません。場所そのものを見つけるだけでも大変です(画像/MWS)。








2017年6月7日


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これは鎌倉方面で歴史的なヤコウチュウの大発生が起きていたときの相模湾東部方面の様子。大量のピンクのようなオレンジのような泡が集積しています。これは潰れて死んだヤコウチュウの細胞でできた泡沫だと思います。風で恐るべき量が吹き寄せられると,こんなふうになるのでしょう。もちろんこれは光りません。この数時間後,鎌倉では海岸が,まだ生きているヤコウチュウで輝いたのでした。

ちょうどその頃,知人研究者の乗った船が相模湾上で観測していました。ヤコウチュウ赤潮も洋上で突っ切ったそうです。彼によれば,海中は「大量のマリンスノー」だったそうです。どこからともなく大発生したヤコウチュウは,沿岸を光らせ,泡だらけにして,海中では雪を降らせたわけなのでした。こうして,一度は生物となって活動した炭素,窒素,リンなどの栄養は,再び沿岸に,深海に,帰って行くのです。そしてまたいつの日か,植物プランクトンやバクテリアとなり,動物プランクトンとなり,ぐるぐると命も物質も巡るのです(画像/MWS)。








2017年6月6日


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どうしたんだ魚力。 これのどこがホウボウなんだ。 ちゃんと新人教育してるのかっ。 家人から手渡されたお魚にあぜんとするのです。まぁ,これはこれで久しぶりなので,ちょっとうま味は足りないけど,おいしくいただきましたが…(画像/MWS)。








2017年6月5日


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極度の寝不足でふらふらしていて,快速に乗るつもりが目の前の特急列車に吸い込まれるように乗車。だったら寝ていけばいいようなものを,ついつい車窓からこういうものを撮影してしまうのは,職業病なのか…(画像/MWS)。



*1 いいえ,ちがいます。単に中二病が治癒していないだけです。筆者が最初に手にしたニコン一眼は,中学二年の秋だったのです。。以後,なおることのない病に取り付かれているようです(^^;




2017年6月4日


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使う対物レンズのNAが異なれば同じ倍率でも見えているものが異なることは,本ページでもたびたび述べてきました。また,同じ物体でもコントラスト法を変えて見れば,像は変わり,見えているものも変わります。では同じ対物レンズ,同じ物体,同じコントラスト法で,マウント方法を変えると像は変わるかと言えば,変わります。それがきょうの画像。物体はクモノスケイソウですが,このような絵は,一部の変態的な(褒め言葉です)顕微鏡使いでなければ見たことがないかも…しれません。物体は乾燥マウントで裸の状態。対物レンズはノーカバーのNA=0.90です。ふだんは見られないへんてこりんな姿ですが,これの「意味」を考えるのも有意義な気がしています。

光学顕微鏡は,透明物体なら手前も向こう側も透けて見えるので,表面だけを見ているSEMなどより情報量が多い側面もあります。ただ,いろいろなものの重ね合わせになっている場合は,像を正しく解釈することが必要になってきます。乾燥マウントの像を見て,はてこれは,どこの何が見えていてこうなっているのだろうと推測し,答えが得られれば,構造を見るための照明法やマウント法の使い分けの方法を見つけたことになります。ということで,つらつら考えるのは有意義かもしれないのです(画像/MWS)。








2017年6月3日


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きのう紹介したレンズは,レンズ自動増殖の法則によって転がり込んできたものです。存在は知っていましたが,使ってみようとは思いもしなかったレンズが転がり込んできたわけですので,まずは使い途を考えなくてはいけません。それで真っ先に思いついたのは,このレンズで珪藻の殻を破壊することです。

本ページの読者の方々であれば,珪藻がかなり純粋なケイ酸質の,いわばガラスの殻であることをご存じでしょう。しかしこのガラスがバキバキと割れて破片が飛び散るところを,顕微鏡下で見たことのある方は,それほど多くないかもしれません。そこできょうは動画を用意しました。40MBほどありますので重いです。Nikon1のMOVファイルですので,このフォーマットに対応したソフトで再生してください。

珪藻の殻が砕け散る様子 −ミクロワールドサービス

三角形のオニギリ型珪藻,ミスミケイソウが,D=0のレンズ先端に押しつぶされて破壊されていく様子を撮影しています。DICモードでの撮影。珪藻被殻はJシリーズ用に洗ったものですのでひじょうにきれいになっています。珪藻の殻はぺらぺらなので多少の弾力がありますが,それでもレンズに押しつぶされて破壊され,破片が飛び散っていく様子がとらえられています。ロモの特殊レンズだからこそ撮影できた映像です(画像/MWS)。



*1 派手な倍率色収差が残存しています。視野を広く取るため,先鋭度をある程度確保するために,コンペン系投影レンズを使っていません。わかってやっていることですのでどうかご容赦を。




2017年6月2日


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きのう撮影に用いたLOMOの対物レンズと使用場面がこんな具合です。レンズ先端にイメージコンジットのようなものがついていて,先端はほぼ平坦に研磨されています。反射面を見ると溶融石英かなと思いますが調べていません。よくみないとわからないくらいの小さな出っ張りで,知らずにぶつけたら終わりです。。

鏡筒長は190mmなので,延長バレルをつけて調節します。水浸でD=0,距離ゼロなので,スライドグラスに珪藻試料を滴下して,精製水を追加して,そこにレンズ先端を浸します。先端が珪藻に接触したときにピントが合うので,ピント合わせを少しでも間違えれば珪藻が破壊し,次にレンズ先端がスライドグラスに接触して破壊されます。よほど顕微鏡の取扱に自信がなければ,このレンズで珪藻を覗くのは無理でしょう。危険すぎます。

このようなときは,コンデンサをぎりぎりまで絞り込み,物体の影をいち早く見つけられるようにして,絶えずステージを動かしながら物体の存在を感じ取り,ゆっくりとピントを合わせていきます。何も見えないところで鏡筒を下げていけば,やがてはレンズとスライドグラスが衝突して事故になります。小中学校で,顕微鏡観察時にカバーグラスを破壊した経験をお持ちの方も多いことと思いますが,あれと同じ事故はいつでも起こる可能性があります。

無事にピント範囲に入れば,レンズ先端で珪藻試料をかき回しながら,よい物体を探して記念撮影です。昨日も書きましたが,直接焦点で撮影していて,リレーレンズを噛ましていないので倍率色収差が派手に残存しています。それをマッチングの悪いDICプリズムで,派手に色を出してごまかしています。解像限界の絵を作っているわけではないので,このようなゴマカシが結構有用です。拡大倍率がかからずに,倍率色収差だけを自在にキャンセルできるリレーレンズがあると便利だなと思うのですが,どこか作ってくれませんかね。現実的なお値段で(画像/MWS)。








2017年6月1日


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LOMOという光学メーカーは個性的な対物レンズをいろいろ作っていて,いまでも無限遠系の水浸の100倍対物レンズなど欲しいと思うくらいです。有限鏡筒長時代も,UV用とか蛍光用,水浸,反射対物などいろいろ製作していました。きょうの画像はそれらの中でも比較的,作例をみかけないレンズで撮影したもの。25x(0.75) 190/0 D=0 waterというレンズ。対物レンズ先端がイメージコンジットのようになっていて,そこに密着したものにピントが合うというもの。スペックから考えれば落射蛍光用ではないかと思います。

さて対物レンズに書いてある記号が解釈できれば使い方はわかります。そこでテスト撮影となるわけですが,何しろD=0です。物体に接触させて使うのです。植物などを使うなら落射の配置にしたいですし,透過で使うならうんと薄いものが必要。ということで,珪藻を水に沈めたものをサンプルとして試験を行いました。結果は画像のごとくで,大変良好といってよいでしょう。微分干渉法での直接焦点です。プリズムは当然マッチングが悪いですが,DICがかかっている像になっている範囲で,視野を選べば使えます。

直接焦点なので倍率色収差が甚だしいので,DICのカラーモードを派手にしてごまかしたのが一枚目。DICのモノクロモードで撮影してGチャンネルを取り出したのが画像二枚目。いずれの画像をみても良好と判断できます。…ということで,ロモの対物レンズは本来の用途に使えるかはさておき,結像特性は問題ないことが判明したのでした。

やっていることは簡単なことですが,このようなテストを正確に行うには,レンズに関する知識はもとより,物体に関する知識や,マウント方法,浸液,倍率色収差,DICのマッチングなど考えることが多く,それらのパラメータをちゃんと制御できているという確信がなければ,「使える」という判定を下すことはできません。レンズテストというのは,それを行う人の技量が試されてるわけで,筆者がレンズにテストされているわけでもあります。そのような,きっちりかっちり何かをコントロールする作業というのは,なかなか楽しいですね(画像/MWS)。









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