『珪藻の輝き』へようこそ




【このホームページの目的】

珪藻(けいそう)とはガラス質の殻を持つ藻類のことで,水のあるところに珪藻あり,といわれるほどにどこにでもいます。動物プランクトンや貝類・魚類の餌としても重要で,水の中の植物としては主役といってもいいほどです。しかしとても小さいので,その姿は顕微鏡を使わなければ見えません。研究用の顕微鏡を正しく使うことができれば,驚くような繊細な美しさが浮かび上がります。この美しさは多くの人を魅了するものと思いますが,残念なことに内外を問わずweb上には高品質な珪藻の画像は非常に少ないのです。そこで作者は,だれでも最高に美しい珪藻たちを鑑賞できるようにと,珪藻の美しさに的を絞ったサイトを作成することにしました。細かいことにはこだわらず,珪藻の輝きを表現できるようにしましたので,種の名前などは簡略に表示してあります。このホームページをみて珪藻に興味を持たれた方は,「珪藻」をキーワードにインターネット上を検索してみてください。新しい発見が広がることでしょう。


【注意】

現在,珪藻の分類学分野では大きな改変が絶えず行われています。多くの種が新しい属や別の属に移されたりということが日常的に起こっています。これを正確に追跡するのは珪藻分類学の専門家でも骨の折れる仕事です(何万種もあるのですから)。本ホームページでは,とりあえず確かであろうと判断される属や種名をシノニム(異名)か否かをチェックせずに掲載しています。最新の分類に照らし合わせれば,掲載種の多くが異名になることをご了解ください。





【珪藻プレパラートの入手方法】

MWSミクロワールドサービスで取り扱っています。研究グレードのきれいな珪藻プレパラートが一枚当たり1500円〜2500円程度で入手できます。MWSで扱っている商品のほとんど「散らしスライド」と言って,珪藻を沢山含む試料を滴下してランダムに珪藻が分布しているものです。一見,雑然としていますが,どんな種が含まれているかは購入者にしか判らないという探検の面白さがあります。他に精製してほぼ単種構成にしたスライドも扱っています。珪藻がきれいに並んだ「並べスライド」「デザインスライド」「タイプスライド」は海外のK.D.Kemp氏が販売しています。こちらは整然と並んでいて見事です。ただ決まった種が決まった数だけ並んでいるので,毎日見ていると飽きます。目的に応じて好みのプレパラートを揃えていけばいいでしょう。







【撮影機材類】

日本光学工業(現ニコン)の生物顕微鏡,バイオフォト(VBS)にNCFプランアポ,CFプランアポ,CFプランなどの各種の対物レンズを装着して用いている。コンデンサはアクロマチックアプラナート(トップグラスにひびがある),ハネノケアクロマート,油浸暗視野コンデンサである。これらを透過明視野・暗視野などで用いる。位相差・微分干渉は使用しない。撮影用カメラはニコン,クールピクス995で,これをアイピースを介して接続するコリメート法で使用している。

すでに25年以上経過した機種であるが各種メンテナンスを欠かさず行い,状態は良好である。この機種は頑丈なつくりで振動が起きにくく,また照明系の設計が非常に優秀である。その代わりに照明の光学的な知識がないと調整できず,性能をフルに発揮できない。多くの研究機関でいい加減な使い方をされてしまった機種でもある。


各種のフィルター類。干渉フィルタや吸収フィルタ,偏光フィルタも用いる。顕微鏡写真では適切なフィルターワークが非常に重要である。


対物レンズ,コンデンサ,アイピースなどは防塵対策をしっかりと。


解像限界付近の撮影では種々のテクニックを用いる。もっとも重要なのは瞳変形技術で,これにより微細構造のコントラストを上昇させる。これに偏光や波長制御の効果を加えて微細構造が明瞭に見えるような像を形成させる。


高解像度の撮影には青色光が必要な場合もある。青色光は干渉フィルタにより取り出すほか,高輝度LEDを用いることもある。


採集してきた珪藻は硫酸や過硫酸カリウムなどで有機物を酸化除去し,珪酸質の殻だけにします。これをエタノール中に保存し,必要なときに封入剤を用いてマウントします。封入剤はプルーラックスを用い,光学的特性が損なわれないように注意深くプレパラートを作成します。


珪藻の微細構造を鮮明に撮影するには顕微鏡の光学的な理論についてもある程度知る必要があります。珪藻の微細構造は対物レンズの解像限界よりも小さなものもあるため,その構造を写す試みは対物レンズの性能テストを行っていることに他なりません。対物レンズの性能テストは,他のパラメータを的確に制御できてはじめて可能になるもので,最も高度な技術を要するもののひとつです。当サイトでは現在,種類にもよりますが,170〜200nm領域の可視化が可能になっており,これは生物顕微鏡としては限界に達するものです。他のサイトの珪藻画像と比較しても,格段に優れた分解能とコントラストをお楽しみいただけることと思います。

なお,高分解能の撮影に関心がある方は,「日本プランクトン学会報 第51巻1号 25-33ページ」に記載されている筆者の論文をごらん下さい。照明法に関する詳しい記述があります。







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