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ミクロワールドサービスが顕微鏡の世界を伝えるコーナーです。
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お知らせ
 

仕事が飽和しているため,納品等が遅れております。現在のところ解消の目処はたっておりません。すみませんが,短納期のご希望には添えないことがありますことをご承知下さい。






2018年9月30日




29日(土)は日本海洋学会のシンポジウム,東京湾の過去・現在・未来に聴講に出掛けました。東京湾は筆者にとって最寄りの海であり,珪藻原料採取場所であり,プランクトン検鏡試料の育つ場所でもあります。もともと栄養塩関連の仕事を専門としてきた関係もあって,内湾の富栄養化関連の重要そうなシンポジウムには出席することにしているのですが,今回はずいぶん久しぶり(16年9月以来)でした。

シンポジウムでは過去20年間以上にわたる東京湾の環境変遷が次々と紹介され,この内湾が辿ってきた経過を大づかみに知ることができました。これは関係者が永年にわたってモニタリングを継続してきた結果であって,その貴重な成果を聞かせて頂くだけでも価値の高いシンポジウムでした。東京湾は人間活動によって本来の水域からかけ離れた姿に改変されてしまった最たるものの例ですが,改変は終わったわけではなく,今なお環境変動と社会活動の狭間で変わりゆく存在であることが,講演者の数々の資料から読み取れました。大変な勉強になりました。このシンポジウムを企画された皆様,講演者の皆様に心より御礼申し上げたいと思います。

シンポジウムでは古巣の先生方や,かつての職場の先輩,大学院時代の後輩などとも再開することができ,皆さんが元気に活躍していることを知り嬉しく思いました。たぶん18年振りに話をした後輩は,全く変わることなく,在学中によく交わした雑談のように何の遠慮もなく会話ができて,タイムマシンに乗ったかのようでした。きょうの画像はその後輩の一人と駅まで一緒に歩いて撮ったものです(画像/MWS)。








2018年9月29日




夕焼けに浮かぶナマコ骨片…(画像/MWS)。








2018年9月28日






あまりにも暑くて,もう二度とごめんだと思っていた今年の夏も,過ぎ去ってもう戻ってこないとわかる頃,何となく懐かしいような残念なような,後ろ髪を引かれる思いになるのは何故なんだろう。

そして,そんな気分になるのは決まって,空や雲,夏の風景を見たときだ。何故なんだろう…(画像/MWS)。








2018年9月27日






名峰オプチフォト山(440mm)の北壁断崖とSMZ800山(350mm)のオーバーハングをフリーソロで登るアレックス・ハエトリグモ氏。といっても,降りるときに糸を使えるからこれはフリーソロとは呼べないかな…。

このハエトリグモ氏はかれこれ18年間も見ているが,何代目なのだろうか。初代を見かけたとき,これはいいものがいると,大事に放置しておいたのだけれども,その後も毎年顔を見せ,顕微鏡や書籍の間をぴょんぴょん跳び回っていました。これからもダニとかシミとか,微小動物の駆除に活躍してもらいたいですね(画像/MWS)。








2018年9月26日




顕微鏡は使用していないときは置物に他なりませんので,メーカーさんとしては置物としての性能も重要視して欲しいところです。各社の顕微鏡鏡基はそれぞれ特徴があって機種も多様なので,優劣をつけるようなものではありませんが,個人的な感想としては,最近の機種ではZEISSの顕微鏡は置物としてのデザインが優れているものが多いような気がします。ZEISSブルーの印象がよいのかもしれません。旧式の機種ではオルトルックス,オルトプラン,バイオフォト,BH-2などは優れている感じがします。さらに古くなると良いものが多数なのでリストアップも面倒な状況ですが,ニコンS型は鑑賞に堪える気がします。

顕微鏡本体でだけでなく,頻繁に付け替える対物レンズも,作業が終わりレンズ保管箱に収納されるまでは「置物」です。これも個人的な好みで恐縮ですけれども,お気に入りはニコンのNCFプランアポクロマートと,NCFフルオール補正環付き,NCFアクロマート補正環付きです。薄くヘアラインの入ったクロームメッキのボディに確かな刻印。アイデンティティーが統一されたデザイン。かすかに香るバブルの面影。最高です。

人生で最初に購入した研究用の顕微鏡対物レンズがNCF PlanApo20x 0.75 160/0.17 と NCF PlanApo40x 0.95 160/0.11-0.23でした(*1)。このときPlanApoを正しく使うことの難しさを初めて経験しました。特に40/0.95は水サンプルに対しては球面収差が大きく,それでも補正環を何とか合わせて妥協した像を探ったものでした。大学ではレンズの種類など教えてくれる先生はいなかったので,研究の合間にまず望遠鏡光学の本を読んで,収差の大要を知った後に顕微鏡の書籍とメーカーの価格表を穴が空くまで読み,3年前にはケーラー照明も知らなかった大学院生が高価なレンズの購入までこぎ着けたのでした。美しいデザインで抜群の見えのレンズで顕微鏡を扱えることが嬉しく,いつまでも相模湾の浮遊珪藻を覗いていました。懐かしい思いでです(画像/MWS)。



*1 そのレンズは研究室の流しの下に転がっていたニコンS型で使いました。もちろんS型のメンテナンスも自分でやりました。レンズと一緒にもちろんCFWN10xも購入しています。価格表程度は読みこなせる大学院生だったわけです。

*2 次に購入したレンズはNCF Plan 20 0.4 160/1.2 ELWDでした。セジウィックラフターのチャンバーをS型で使用可能にするためです。このチャンバーはガラス厚さが3mmあるのでコンデンサのWDを越えてしまいそのままではケーラー照明ができません。そこで,タムロンQZズームレンズを分解して取り出した凹レンズをS型のフィルタ受けに入れて,簡易LWDコンデンサとして,ケーラー照明可能にしていました。暇な大学院生だったわけです(^^;





2018年9月25日






きょうの画像は大型のクチビルケイソウの位相差像。この珪藻は被殻の両端が薄く見えますが,この部分で粘液の柄と接続して大群体を形成します。薄く見える部分は実際に薄いようで,取り扱うときにこの部分が欠けてしまうことがあります。珪藻を並べるときは被殻を破壊しないように,丈夫な部分を押すのが基本です。この珪藻の場合は,両端の薄い部分以外はかなり丈夫なので,被殻中央付近を毛先で操作する分にはまず大丈夫です(画像/MWS)。








2018年9月24日




これはたぶん,Auricula属と思われる珪藻の被殻。沿岸でみつかる海の珪藻ですが,非常に被殻が薄くて孔が空きやすく,取扱困難な部類に入ります。この被殻上の条線は空間周波数が連続的に変化するような放射状のものとなっています。この特性が分解能検査に向いていることは光学にお詳しい方々ならご存じのことと思います。当サービスには高いレベルのお客様が多数おられますので,この珪藻を指名してマウントするように依頼されることもあります。専門的な仕事を継続している立場からは,そのような注文は嬉しく,この薄い被殻を傷つけないようにそっとマウントして納品するのです…(画像/MWS)。








2018年9月23日






22日は電子産業関係の技術者とともに機材運用のテストとなりました。微細構造検出システムの技術講習をしてきたのですが,設置先の顕微鏡で再現できないという問題が生じ,それが運用の問題なのか機材の問題なのかを調べるために当室の同型機を用いて,レンズテストを行いました。結果は問題なし。ビデオエンハンスも運用して確認しましたが,機材に欠陥は見あたらず,運用法の問題である可能性が高くなりました。顕微鏡の像は見慣れていないと見過ごすものもあるので,まずは慣れの問題が大きなハードルです。設置先で無事に微細構造検出ができることを祈っています。

さてきょうの画像はフリッケアの暗視野像。暗視野にするとまた眺めが違います。暗視野では散乱光を見ているので,封入剤との境界面での段差が輝度を生み出すわけで,位相差法のような光学的厚みを見ている像とは類似点が少なくなる感じです。周期的な微細構造がある場合は,その構造が解像できない対物レンズを使うと回折現象による発色を見ることができます。低NAほど発色が鮮明で,NAが大きくなるにつれて色が薄くなり,ついには解像して色が出なくなります。きょうの画像は,一枚目がNA=0.5,二枚目がNA=0.65の対物レンズによるものです(画像/MWS)。








2018年9月22日




同じフリッケアをNA=0.75の位相差で撮影したのがきょうの画像。やはり「ざらつき」は写ります。位相差での明暗は光学的な厚みの違いを表しているので,このざらつきのコントラストを見ると,ある区画の平均的な厚みの違いを表現しているのかな,とも思えます。微分干渉の絵と比較しても,ざらつきの感じはよく対応しているようにも見えます。単にNA制限のかかったローパスフィルター(=対物レンズ)を通してみたときの,その限界周波数付近での光学的厚みの分布図を見ているだけなのでしょうか…(画像/MWS)。








2018年9月21日




これはフリッケアという珪藻をNA=0.6で撮影したもの。微分干渉法の絵です。以前紹介したように,この珪藻には非常に細かな点紋列がありますが(こちら),NA=0.6レベルでは全く見えません。では平滑に見えるかというとそうはなりません。ざらつきのような感じが残ります。このざらつきがいったい何を示しているのか謎で,ながねん考えているのですが答えが出ません。解像の一歩手前のざらついた感じに,構造に関するヒントが隠されているのなら,ぜひそれを知りたいと思っています(画像/MWS)。








2018年9月20日




手元にZEISS社のDICプリズムが幾つか転がっているので,使えるかどうか検討中…。ニコンのオプチフォトDICを使い,ありあわせのコンデンサの入射瞳面にDICプリズムを配置して方位調整。レンズの組み合わせは無数にあるので確実なことはいえませんが,干渉縞の太さを見れば大体のことはわかります(たぶん)。それでいろいろ調整してわかったことは,ZEISSのDICプリズムのシャー量はニコンのそれとは異なるらしいということ。干渉縞がそもそも出ません。当たり前の事実とはいえ,ざんねん…なのです(画像/MWS)。








2018年9月19日




このカザグルマケイソウの画像は,一見するとよく写っていて,分解能も問題ないです。しかし画像の左側と右側で明るさが異なります。これは何が起きているのかというと,カバーグラス上にゴミが付着しているのです。偏光性のゴミが付着していてDICで明るい像を形成し,それのボケ像が重なっているものと推測されます。ごく細かなチリ程度であればまず気が付きませんが,繊維状のホコリのレベルになると目に見えてコントラストが変化します。場合によっては像品質を著しく落とすこともあります。「あれっ」と思ったら,確認してみる習慣をつけるとよろしいかと思います(画像/MWS)。








2018年9月18日






液浸対物レンズで高NA領域のイメージングをしていると数々の困難があります。こういった試練をかいくぐり,低NAの対物レンズを使うと,使いやすいな〜と感じます。その昔,天体望遠鏡の分野で「Fの暗さは七難隠す」という名文句がありましたが,それと似て,「低NAは誰にも優しい」というという感じでしょうか。鏡筒長,マウント時の水の厚みなどに鈍感になり,また開口数/倍率の比率が上がることが多いので見た目のシャープ感も増します。

きょうの画像はライツの水浸対物レンズ(25x, 0.60 160/0.17)で撮影したもの。自作の投影システムで,いろいろな部分で不十分なのですが,このNAの領域ではそれなりに見えてしまいます。ちょうど画角に収まる珪藻を選んでDICで撮影すればこんな感じで,悪くありません(画像/MWS)。








2018年9月17日






撮影システムを自分で組み上げたときに,そのシステムが光学的に正しいのか間違っているのか,システムの外見だけでは分からないこともあります。あり合わせの筒を用いて,対物レンズで作られた像を接眼レンズでCMOS上に投影,などという撮影システムを自作することがよくありますが,このときの投影距離や使用するレンズによって像質はいろいろに変化します。どこかで「正しい像」であることを確かめなければなりません。

そんなときはもちろん,珪藻プレパラートを検鏡するのです。収差を生み出さない標本を使い,いつも同じ珪藻を覗いていれば,その自作システムにより得られた像が正しいのか否か,客観的に判断できる項目がいくつかあります。像コントラスト,像面湾曲,観察系と撮影系での対物レンズWDのズレ,軸上色収差,倍率色収差,拡大率,解像限界(分解能)などをチェックすることができます。

きょうの画像はライツの水浸対物レンズ(100x,1.20 160/0.17)にライツのペリプラン10xを投影レンズとして用いた撮影システムのテスト撮影画像。拡大率が高すぎる点を除けば,軸上色収差,倍率色収差,解像限界,WDのズレともに許容範囲内です。水浸対物レンズの解像限界を追求するイメージングには使えそうです(画像/MWS)。








2018年9月16日




有限鏡筒長の対物レンズを直接焦点で使うとき,倍率色収差が発生しないのはニコンCF,NCF対物レンズだけなので,必然的にこれらを使うことになります。しかしスペック的に必要用件を満たさない場合は,他のメーカーのレンズを使うことになります。倍率色収差が残存することを許容しつつ,それ以上のイメージング効果があればよしとします。水浸対物レンズなどでそのような使用法を行うことが多いです。

もし倍率色収差を消したいなら,コンペンの接眼レンズを正しく使用し,コリメート法で撮影すればOKです。倍率色収差は打ち消され,カメラのレンズも単独で倍率色収差は補正されているので正しい像が得られます。接眼レンズを使うので鏡筒長はつねに守られます。コリメート法の欠点は,多数のレンズを使うために像のS/Nが落ちることと,接眼レンズから撮像面までの光軸上のゴミが投影されやすいことですが,デジタル時代では,投影されたゴミはからの画像を撮影して減算すれば消すことができますし,画像のコントラストも調整できます。ので,コリメート法はじつに正しい撮影法なのです。

しかし実際にコリメート法をやってみると,瞳の伝送というやっかいな問題が発生してうまくいかないことも多いです。コリメート法では,接眼レンズの射出瞳と,カメラレンズの入射瞳の位置を合わせる必要があります。しかし最近の多くのカメラレンズでは,凹レンズ先行型の構成のものが多く,瞳がレンズの内部に引っ込んでいて,接眼レンズにいくら近づけても瞳の位置がマッチングしません。

こういった場合は仕方なくケラレたまま使うか,望遠レンズに替えるのです。しかし望遠レンズに替えて瞳のマッチングをとると,こんどは拡大率が大きすぎて大幅な無効拡大になってしまいます。デジタル時代にあっては,大幅な無効拡大でも,画像処理で縮小すれば適切な画像が得られ,これは素子のノイズを目立たなくする良い効果もありますが,それと引き替えに視野はうんと狭くなります。

きょうの画像はライツの水浸対物レンズでコリメート法を用いた例。極小の珪藻群集が再現されていますが,欲を言えば,専用の投影レンズか,コリメート法用のリレーレンズが欲しいところですね。画像処理を施しても,どこかに甘さが残る気がします(画像/MWS)。








2018年9月15日




これは東京湾を漂っていたChaetoceros属の一種。Chaetocerosの多くは長い群体を形成するのですが,この群体はバネのようにぐるぐる巻いていたり,直線だったり,ねじれていたりと様々です。四方に伸びる刺毛は平面に収まるものもあれば,いろんな方位に射出するものもあり,こういった性質も分類の参考になります。分かりやすい画像が撮れれば同定試料として参考になるわけですが,被写体としてはじつに難しい部類で,一枚で全体の形質を表現するような絵を撮ることはなかなかできません。きょうの画像は相当に良い方です。こういう難しい被写体は,ムリして画像で表現せずに,スケッチを使うのもよいかもしれません(画像/MWS)。








2018年9月14日






プランクトン性の珪藻の中には,粘液の糸を放出して浮力を得ているように見える種がいます。きょうの画像は東京湾で採取したタラシオシーラ属の一種ですが,やはり粘液の糸を放出しています。この糸,中心部のものはある程度の太さがあって顕微鏡下ではっきり見えますが,四方に放射している糸は極端に細くて,暗視野で輝度を上げないと見づらいです。撮影するときも,本体の細胞は露出を大幅にオーバーするくらいにしないと見えてきません。

この粘液糸,とんでもなく細いのに,まるで鋼でできているかのように芯のある直線性を持っています。なぜ柔らかいはずのものがこんなにぴーんと直線になるのか,昔からふしぎで仕方がありません。未だ謎はとけません。不勉強なだけかもしれませんが(画像/MWS)。








2018年9月13日




クンショウモはそこいらへんの池にも発生するくらいポピュラーな植物プランクトンでありながら立派な姿をしていて,なんとなく王者の風格があります。こういうものが視野に現れると,そのむかし単離培養をして研究していた血が騒ぐ感じがします。ガラスを加熱して引き延ばして作ったマイクロピペットで吸い取り,培養液に移して,適度な照明を施して増やしたくなるのです。うまく培養が確立できれば,視野一面に広がるクンショウモも夢ではありません…。が,それは仕事は関係ないことなので,時間を失うだけになります。ぐっとこらえて我慢するのです。でも,ひょっとするとクンショウモの培養株を販売したら,少しは需要があるかしら,などとも考えます。いかんいかん。こういう雑念が仕事を阻害するのです(画像/MWS)。








2018年9月12日












日本プランクトン学会・日本ベントス学会秋季大会に参加してきました。今年の会場は創価大学(八王子)で,緑豊かな丘陵の中にあるキャンパスで9月9日(シンポジウム),10-11日(研究発表)の日程で行われました。筆者は,水浸対物レンズを用いた珪藻類生細胞の高分解能イメージングについてポスター発表してきました。

ポスター発表のコアタイムは1時間でしたが,お客様が途切れることがなく,1時間45分にわたって話し続けることとなりました。これは新記録かもしれません。今回は入魂のイメージングで高水準の絵を掲載しましたので,レベルの高さに,「きれい!」を感じ取ってくださった方々もおられたようです。嬉しいことです。

研究発表(聴講)では,昨年参加できなかった分も質問を飛ばし,大変興味深い講演がたくさんあったので有意義な交流ができました。植物プランクトン系の発表が多く,若い研究者によって新知見が次々と増加していく様子を見るのは,中年オジサンにとってもじつに嬉しいのです。

ほかにもうれしいことがたくさん。久しぶりに木村妙ちゃんに会ってハイタッチできたこと,顕微鏡の講義を聴いてくださった学生の方が若手研究者となって学会講演していたこと,顕微鏡の講義を聴いてくださった学生の方で,卒業して勤め人になっている方が学会に参加して「オクせんせいお久しぶりです〜」と声をかけてくれたこと。筆者の発表中に,当サービスの顕微鏡関係者の知人が訪れてくれたこと。かつての古巣の企業の方が挨拶にきてくれたこと。懇親会で学生さんがいろいろ話を聞きにきてくれたこと…など,きりがないほど嬉しい楽しい時間の連続でした。

二日目は「本気で顕微鏡を勉強したいので教えて欲しい」という研究者が現れ,ちょうど昼食前後の時間に空きがあったので,水浸対物の高分解能イメージングや,試料に最適化した観察法,画像処理の実演などについてPC画面を使った個人授業を行いました。研究者が帰宅できるぎりぎりの時間まで続きました。

そのあと会社を立ち上げた社長と経営談義。契約の苦労や事業展開の悩みについて話は尽きません・・。

研究発表も無事に終わり,楽しかった大会も閉会となり。会場をあとにして西東京バスで八王子駅へ。研究者1名と社長さん1名を連れて『九州らーめん桜島』へ。お薦めの「みそわかめ」と「ギョウザ」をオーダーして,八王子の味を楽しんで頂きました。

筆者の学会参加は,気晴らしの秋の旅行といった側面がつよいのですが,今年は,ふるさと八王子で行われたので,なんか,学会旅行の気分は発生せず,見慣れた浅川の流れや駅前の風景に郷愁を感じつつ,なんか高尾山のさんぽから帰宅するような気分で家に戻りました。いやー楽しかった(画像/MWS)。








2018年9月11日




これは東京湾をうろうろしていた渦鞭毛藻。種名は調べていません。非常に特徴的な構造があり,専門家なら種同定は可能ではないかと思います。この画像を良くみると,細い粘液糸を射出しているように見える部分があり,これがこの鞭毛藻から本当に出ているものなのか,それとも他の珪藻などの粘液糸がまとわりついたものなのか,どちらなのだろうと考えさせられます。右下の部分などを見ると,どうもこの鞭毛藻が射出しているような感じがするのですが,それには他の個体なども観察して詳細な高解像イメージングをしなければなりません。

このレベルのライブセルイメージングになると,油浸ではとても難しく,水浸対物レンズの方が効率は遙かによくなります。きょうの画像はライツの水浸対物レンズを使い,直接焦点でイメージングしたものです。倍率色収差が残っているので正しくない使用法ですが,ほかに使えるレンズが存在しないので,これでも最適な機材の使用法です。フルオールなので軸上色収差も出ますが,これは画像合成でどうにでもなります。

大きな画像は こちら に置きましたので,じっくりみてみてください(画像/MWS)。



*1 周囲に写っているつぶつぶはバクテリアです。

*2 機材はオプチフォトDIC,Leitz Fluoreszenz100x対物,直焦点,Nikon1J5,電球色LED,LBDフィルタです。コンデンサも水浸にしています。





2018年9月10日




クチビルケイソウ(Cymbella)の仲間は池でも川でも淡水ならけっこうどこにでもいて,特定の種を除けば入手は難しくはありません。その簡単に手に入るヤツを生きたままきれいに撮影しようとすると,これがけっこう難物…なのです。活きのいいものはきょうの画像のような色素の格好をしていることが多いのですが,そういった細胞を狙うと,とにかく滑走運動が止まりません。えんえんとクチビルケイソウを追いかけることになります。最後は根負けします。。

珪藻が滑走運動するときは,つねにこちらを向いてくれるわけではなく,浮き上がったり,ねじれたり,回転したりします。ので,クチビルケイソウをきれいに平面的に写して,さらに条線も見え,点紋もわかるとなると,その瞬間を待たねばなりません。そんなことから,クチビルケイソウのいい絵は手持ちがほとんどない状況です。

きょうの画像は先月撮影してみたものの一枚。一応,色素は元気っぽい感じですし,条線も点紋も見えますし平面的にも写っています。かなり良好なのですが細かく見れば不満が一杯でもあります。良いサンプルに巡り会い,一日中でも撮影しているような贅沢な時間が欲しいところです(画像/MWS)。








2018年9月9日






その後,胃痛の方は落ち着きをみせ,購入したクスリは4包を服用したところで7,8割の回復となりました。荒れた胃の調子を整えるにはコツがあって,まず,一日2食にして食間の時間を十分に取ること。水分摂取(飲みもの)は食前30分前まで。食後は3時間後から。食事中は汁物,飲み物はとらないこと。当然,酒はのまないこと。油ものを食べないこと。生野菜,特にキュウリとレタスは避けること,そして非常に重要なのは,日常生活で砂糖を一切摂らないことです。こうしていれば荒れた胃も速やかに回復してきます。

逆に食後にお茶やコーヒーをがぶ飲みしたり,ごはんを味噌汁で流し込んだりしているような人は回復が遅れるだろうと思います。食べ物を消化している最中にその生化学的条件を大きく変えるようなことをすれば良くないのは当然と思いますが,無頓着な人をよく見かけます。きっとそういう方はお身体が丈夫で何ごともないとお感じなのでしょうが,実際には負担がかかっているので,調子を崩したときに困るかもしれません。

きょうの画像はそんな話題とは完全に関係のない,渦鞭毛藻(うずべんもうそう)。東京湾表層水を漂っていたものです。有殻のもので,鞭毛をぶるぶるとふるわせながら泳ぎます。水浸対物レンズによる微分干渉法での撮影で,細胞表面の殻と,細胞の断面を示してみました。特徴的な構造の殻に囲まれた内部には,大きなDNAの塊と,油球などの各種の顆粒が見えています(画像/MWS)。








2018年9月8日




5年振りに胃を壊した感じがしています…。原因はたぶん,サバ缶とホッケの干物で胃が荒れたところに酒を飲んだことだろうと思います。ふだんは寝ている時間に胃痛で目が覚めてしまいました。胃痛の薬がなかったのでとりあえず太田胃散を飲んで横になるも全く効果なし。胃の運動に同期するように周期的な痛みが来て,その痛みは空腹感を数十倍にしたみたいな感じで,胃けいれんではありません。耐えることはできますが不愉快ですし体に力が入りません。

平滑筋が関与していることを疑い,芍薬甘草等を一服。これで一時間はラクになりましたが,またすぐにぶり返しました。やはり胃けいれんではありません。お粥を食べてみて少し楽になるかと思ったら,ほんの少し楽になりましたが,またぶり返し。こんな状況なので,まず胃薬の勉強をして,それから薬局へ。胃痛での薬の飲み方は案外難しく,症状に合ったものを服用しないと逆に悪化することもあるので,種類別に購入しないといけません。それで散財したのがきょうの画像。

最初に試したのがガストール。M1ブロッカーですが,一応は効果がありました。H2ブロッカーの方が強力だろうけれども,心臓にも作用するので念のためパス。ガストールの効果はだいたい4時間くらいで,5時間後にはまた周期的な痛みが復活してきました。ただ,痛みは少し軽くなっています。M1ブロッカーが効いたということは,粘膜の荒れと胃酸が関係していると推測してよろしいので,次のステップとして粘膜を修復するスクラートを服用。すると30分もせずに速やかに痛みがひいていきます。重たい感じは残りますが。これでしばらく様子見というのがいまの状況。やれやれです。

ブスコパン(スコポラミン)は胃けいれんに発展したときと,スクラートとガストールが効かずに,胃の収縮と同調して痛みがくる場合に服用することを考えています。そうならないことを祈りながら。まあ,精神安定剤みたいなものです。薬は間違ってのむとろくなことがないので,こうやって一気に買って症状に合うものを探すのも一法かと思います。今回はM1ブロッカー,スクラルファート,スコポラミンの製剤で作用機序が全部異なります。合わないものは廃棄することになりますが,それでよいと思います。

しかし日頃,食べ物にはずいぶん気を遣っているのですが,たまに当たってしまいますね。食味では全く問題ないのに,あとから胃がチリチリしてくる食品というのがあって,ホント困ります。下手にそういうものを食してしまうと,回復するのに一週間くらいかかります。運が悪かったです…(画像/MWS)。








2018年9月7日




こんどの日曜日,9月9日に,日本プランクトン学会の公開シンポジウムが行われます(こちら)。分類学系の内容ですが,微細藻類からカイアシ類,ヤムシなどの大きな動物プランクトンまでいろいろな分類群にわたっているので,お勉強になりそうな感じです。発表する先生方も豪華メンバーという感じです。会場は創価大学(東京都八王子市)です。プランクトン学会に入っていなくても参加できますので,興味のある方は覗いてみるのもよいかもしれません。

きょうの画像はそんな話題と,それほど深くは関係のない,珪藻プランクトン群集。池の水にわき出てきたメロシラ・バリアンスの群集です。この珪藻はどちらかといえば春に大量発生しますが,条件さえ整えば年中出てきます。今回は,業者が池の掃除をして生物が少なくなったところに緩い流れで栄養が供給され,大発生したものです(画像/MWS)。








2018年9月6日








ある国立大学で,研究者のための画像処理というセミナーが開かれて,そこに出席した先生から「頭から湯気が出た」とのご連絡を頂きました。内容を聞けば確かにあまりにもひどく,基本的なことが抜けている上に,間違いを教えている。教育という行為でいちばん大事なことは「害を与えないこと」だと筆者は確信していてそれを実行しているつもりですが,この画像処理セミナーでは「多大な害」が参加者に与えられてしまったわけで残念です。

いろいろとひどいのですが,特にひどいのが「コントラスト調整は使ってはダメ,ヒストグラムを引き延ばすのはよい,ガンマ補正はいじってはいけない」といった感じの内容。顕微鏡を使用してデジタルイメージングしている方々に向かって,これはないでしょう。もしこれに参加していたら,ふだんはやさしいオジサンの筆者も,恐いオジサンに豹変して「素人の質問で恐縮ですが」を連発して講師の先生の撃沈を狙ったかもしれません…。一度は痛い目に遭わないと,今後も自信満々で嘘を教え続けることになるからです。

きょうの画像は東京湾の小型浮遊珪藻群集を暗視野で撮影したもの。一枚目が元画像。二枚目がヒストグラムを引き延ばしたもの。三枚目がガンマ補正してヒストグラム調整も施したもの。三枚目のガンマ補正を施した画像が,珪藻類の刺毛や粘液糸を表現できていることが一目瞭然でしょう。ガンマ補正がダメなら,一枚目のような画像のままで,刺毛や粘液糸のような重要な画像情報を埋もれさせたままにすることになります。

顕微鏡画像の処理といった分野は,これといったスタンダードな方法がなく,研究者が試行錯誤してやっているのが実態でしょう。試料の特性はまちまちですし,必要とされる処理も様々です。イメージングに用いた機材でも画像処理は変わりますし,標準化すること自体にムリがあります。

このようなことから,画像処理の講師の方々も,自己流でやってきた経験で「画像処理セミナー」をやるしかなく,今回のように素人が素人に教えているような状況が出てきてしまうのでしょう。教育というものを真剣に考えている人ならば,自分は人様に教える何を持っているのかをつねに内省しているものですが,そうでないタイプの人の場合は,自分がやってきたことの押しつけが教育と勘違いしているケースもあり,そうなると間違いを教えても本人が気づいていないということになってしまいます。

旧帝大クラスでこのような低レベルのセミナーが行われているということは,ほかでもこのような事象は頻発しているのでしょう。何だか暗澹とした気分です。過去10年間の筆者の経験からみて,本ページの読者の方々は,遙かに上を行くレベルであると思うので,ぜひ,低レベルな素人先生を駆逐して,正しい顕微鏡の活用法や画像処理法を,大学のえらい先生方に教えてあげて欲しいと願います(画像/MWS)。








2018年9月5日








きょうの画像はシアノバクテリアの仲間(ユレモ)の蛍光画像。一枚目はV励起,ほかはVを含むUV励起での撮影。こうしてみると,シアノバクテリアが真核生物っぽくないな〜というのがよくわかります。UV励起でDNAを強く光らせて撮像し,DNA部分を最大エントロピー法で超解像処理をしてみたのが画像三枚目。画像処理によって人為生成の構造ができることがあるので再現度の高低には注意が必要ですが,DNAっぽいものが折りたたまれているようにも思える密度の濃い部分と薄い部分があって興味深いですね(画像/MWS)。








2018年9月4日






きょうの画像はやや小型のスリレラ。池などで見られる淡水珪藻です。画像一枚目は蛍光染色(ヘキスト33258)して葉緑体の自家蛍光と,バクテリアを同時に表現したもの。核も見えています。被殻の表面に多数のバクテリアが付着していることがわかります。珪藻類では,活発に増殖しているときには抗菌物質らしきものが出ているようで,バクテリアはほとんど付着しません。しかし増殖活性が落ちてくると,たちまちにしてバクテリアがとりついてしまいます。このスリレラも運動をしなかったので弱っているのだろうと思います。

画像二枚目は同じ細胞を透過明視野で撮影したもの。色素体は蛍光画像と同じように写っていますが,バクテリアはほぼ見えません。このような絵を見ると,顕微鏡というのはつくづく,見たい絵を自分で作って観察する装置だなぁと思います。珪藻類の画像を撮るには,透過明視野は良いかもしれませんね。バクテリアが写らないので,いっけんまともに見える絵にできます。

きょうの画像も昨日と同じシステムで撮像したもの。鏡基はフルオフォト。鏡筒は直焦点に改造。カメラはNikon1J5。照明はNVSU233A,ミラーはDM420で,励起側フィルタは外しています。対物レンズはLeitzのFluoreszenz 100x 1.2 160/0.17の水浸,カバーガラスは0.170±0.005mmのハイパフォーマンスカバーグラス(ZEISS)。接眼レンズはライツペリプラン10x。コンデンサはAAコンを水浸で使っています。30〜40年前の機材ですが,設計上の特性を詳しく把握して性能を引き出すようにすれば,現代最新の機種と比較してもほとんど見劣りしない像を得ることができます(画像/MWS)。








2018年9月3日




ときどき顕微鏡の視野にはお花畑が出現します。じつに鮮やかでいつまでも眺めていられます。きょうの画像は池から採取した付着生物群集を落射蛍光顕微鏡で見たもの。ヘキスト33258染色で,照明はNVSU233A,ミラーはDM420で,励起側フィルタは外しています。これによりブロードな照明になり,ヘキストで染まったA-T領域(核など)と,クロロフィルの赤色蛍光を同時に表現できます。レンズはLeitzのFluoreszenz 100x 1.2 160/0.17の水浸,直接焦点です。カバーグラスはZEISSのハイパフォーマンスカバーグラス。珪藻やシアノバクテリアの色素体からの赤色蛍光,染色された核やバクテリアからの青色蛍光が視野一杯に広がっています(画像/MWS)。








2018年9月2日




最近はブログやホームページは流行でなく,興味深い記事を掲載してくれていたブログ等が次々と更新が止まり,管理人さんはどこかに行ってしまったようです。たぶん,ツイッターやインスタグラムなどのSNSに移動して,そこで豊かなコミュニティーを築いておられるのかもしれません。が,筆者は流行についていけないので,多大な時間を浪費するSNSについて,まだそれを利用する意義を見いだせていません。こうして石頭になっていくのかと思うと寒気がしなくもありませんが,ひょっとすると「もともと石頭」なのかもしれず,ならばこのままでいいや,という感じです。

さてそんな筆者にとって一点の光明となるメールが舞い込みました。永くお付き合い頂いているお客様がブログを開設したという連絡です。

コゲラ工房さん(こちら

管理人さんは珪藻と顕微鏡などにのめり込んでいるようで,記事を拝見しましたが,とても活き活きと工作や実験を楽しんでおられ,読んでいてすがすがしい気分になりました。珪藻を洗浄している記事もありますが,その技術は超一流です。河川の鉱物まみれのサンプルから,キラキラ輝く宝の山を製造できた気分は,きっと最高だったのではと思います。これからも興味深い記事が更新されていくことと思います。ぜひ本ページの読者様も訪問してみてください。

きょうの画像はそんな話題とはあまり関係のない生きている珪藻。二種類がニアミスしたところです(画像/MWS)。








2018年9月1日






最近購入した本2冊を紹介。内田老鶴圃さんの珪藻図鑑です(こちら と こちら)。巨大で重たい本ですが,中身も詰まっていて,珪藻の資料として一級品かと思います。お値段も一級品ですが…

内田老鶴圃さんは教科書系で有名ですが,国内でも藻類関係に最も強い出版社で,学生時代から種々の本を読んで大変お世話になりました。学生時代は八王子に住んでいたので都会の遠いところにある出版社という感じでしたが,いまでは日々のお散歩コースの途中にあるご近所さんという感じです。ますます身近に感じるのです(画像/MWS)。









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