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ミクロワールドサービスが顕微鏡の世界を伝えるコーナーです。
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仕事が飽和しているため,納品等が遅れております。現在のところ解消の目処はたっておりません。すみませんが,短納期のご希望には添えないことがありますことをご承知下さい。






2018年8月31日




昨日持ち帰った試料水を20μm目合いのプランクトンネットで濃縮して検鏡してみたのがきょうの画像。スケレトネマの海となっていました。たったの1,2週間で,前回のChaetoceros群集からSkeletonema群集にシフトしていました。たぶん数日前の雷雨で栄養を含んだ都市排水が大量に流れ込み,これにいち早く反応したSkeletonemaが優占したのでしょう。

この試料には有鐘繊毛虫が大量に入っており,彼等が摂餌活動で縦横無尽に動き回るので高倍率の撮影用としては不向きでした。どうも食べているのはバクテリアらしく,バクテリアの増殖速度と同等の摂餌速度を持っているようで,濃縮したサンプルでもバクテリアがあまり増えない(増えても食べられてしまう)という面白い現象も見られました。海の中の微生物食物連鎖の一コマを見ることができたわけです(画像/MWS)。








2018年8月30日






29日は東京湾で採水。研究用の新鮮な試料が必要なためネットはひかずにバケツ採水としました。濃縮しないわけなのでそれなりの量が必要で,今回は6リットルを背負って帰りました。重い…。

画像は採水風景。採水バケツはポリビンをカットして作ったもの。これにステンレスの錘をつけています。ロープは手すりなどに巻き付けます。基本的なことではありますが,これを忘れると,採水バケツを海に放り込んだときに,ロープもろとも全部投げ込まれて,「採水」のはずが「投棄」になってしまうという悲しいことが起こります。学生実習などでたまにこの種の事故が起き,参加者が皆,呆然としながらの,沈みゆく採水バケツの鑑賞タイムとなったりします(^^;

ペットボトルは飲料水(天然水)のものを流用しています。洗わずにそのまま使っても珪藻に対して無害で,そのまま培養ボトルとしても使える優れものです。密栓して持ち帰り,帰宅後に開栓して,濃縮検鏡。あまった試料には光を当てて珪藻の増殖を待ち,沸いてきた新鮮な珪藻を検鏡。増殖中の植物プランクトンにはバクテリアがつきにくいので,姿のよい珪藻を見たい場合,増やして検鏡するのはよい方法です(画像/MWS)。








2018年8月29日






スライドグラスに一滴の試料を垂らしてカバーグラスをかけたプレパラートは,そのままだとプレパラート周囲からどんどん水が蒸発して,意外に観察時間は短いです。観察時間を稼ぐために水を多くすると,油浸対物レンズでの検鏡は不可能となり,水浸対物レンズでもあまり水が厚いと像が劣化したり,ピントが届かなかったりします。

観察中にも水はどんどん蒸発して周囲から空気が侵入してきますが,このときにスライドグラスやカバーグラスに残される残留物があります。珪藻だったり,緑藻だったりといろいろです。

きょうの画像は繊維状のもの。これは浮遊珪藻がのばした粘液糸が切れたもののように思います。キクロテラなどの珪藻が豊富に入った試料だったので粘液糸もたくさんありました。これが気泡が侵入するときに引きちぎられたのだろうと想像します。水に漂っているときは微分干渉法でもかすかにしか見えない粘液糸ですが,こうして空気界面に顔を出せば光路差が大きくなりばっちりのコントラストです(画像/MWS)。








2018年8月28日






東京湾内湾部の汽水域の水を持ち帰り簡易培養したらたくさんのプランクトンが沸いてきました。ほとんどは珪藻ですが,きょうの画像のような正体不明のものも混じっています。水浸DICでの撮影でNA=1.2ですが,細胞の様子をみるとシアノバクテリアっぽい感じが漂います。肉眼観察でもうっすらと粘液糸のようなものを放射している感じだったので,撮影して画像処理をしてみると,やはり放射状に粘液糸のようなものが出ていました。活発に増殖して浮遊中の植物プランクトンは粘液糸のようなものを出していることがあり,これもその一つなのかもしれません。鮮度の高い試料を収差の少ない光学系で撮影して見えてくる世界でもあります(画像/MWS)。








2018年8月27日






お魚の品定めが終われば外は虹。高度の低い近距離の虹が港湾をまたぐようにかかっていたのでした。なんの意味もなく虹を眺めているとデフォルトモードネットワークが活性化されるのか,なんだか良い体験をしたような気になります。有り難いひとときだったのでした(画像/MWS)。








2018年8月26日






気仙沼ではまず山をうろつくのが恒例。スーパー片浜屋の開店を待って入り,お昼ごはんを調達して直ちに正面の山に入ります。スーパーの出口から林道入り口まですぐなのでとても便利。スーパー片浜屋は小さな店ながらも,置いてあるものの品質はよく,お昼ごはんに山頂でお刺身定食を頂くことも可能という優れもの。ま,今回はありきたりの助六とオニギリとおかず各種という感じでしたが。。

せっかく東京から避暑に来たのに,33〜34度超えの暑さ。路上はもっとひどいことになっていました。ので,山から下りる気がせず,林道に入ったま安波山周辺で4時間半を過ごしました。海風に吹かれながらの昼寝はぜいたくなひととき。急激な気温上昇で積乱雲が発生するのを眺めながら,日射が遮られるようになり,かつ通り雨には降られないタイミングを計ります。

14:30にぎりぎりのタイミングとなり下山。途中,可愛らしいカモシカ君が出迎えてくれました。「やさしいおじさん」を装ってにこやかに近づき,口笛を吹いて振り向かせてパチリ。ちょっともの悲しい感じの目が何かを感じさせます。ガンバレよ,という感じなのです。

せっせと歩いて「お魚いちば」へ。到着後まもなく大粒の土砂降り。全ては予想通りです。筆者は運気はありませんが,その分,先読みはできます。山で降られたらとても面倒な雨でしたが,新鮮な魚を選びながらの雨なら大歓迎。路面を冷やしてくれて多少は動きやすくなるでせう。ゆっくりと魚を品定めしたのでした(画像/MWS)。








2018年8月25日










きょうの画像は今週行われたバカ夫婦の食べ歩き 平成30年度東北地区農水産物利用状況調査のときのもの。東京でばかりカネを使わずに,東北方面で数日暮らして地元のものを食べ,飲み,お土産を買うというものです。今年はお盆も過ぎてからの調査となったので,すでに学校などは授業が始まっており,観光客も少なく静かな旅となりました。

東北方面は豊かな農水産物に恵まれているので,そこいらへんのスーパーに立ち寄るだけでも,とびきりおいしい食べ物に出会えます。特に一関にあるコープ岩手COLZAはレベルが高くみごとな品揃え。近所にお住まいの方々が羨ましい…。気仙沼のお魚いちばも健在。ここには料理人を感激させた冷凍カツオがあるのです。ほんとうに鮮度の高い冷凍カツオは,生で流通しているものを凌ぐらしいです。

農水産物利用状況調査なので,スイカ,ブルーベリー,ナシなどの果物はもちろんのこと,トマトやキュウリ,ナスや枝豆なども買い込み,電子レンジで加熱して品質をチェック。もちろんカツオ,メカジキ,ホウボウ,ブリ,マグロ,アナゴ,ホヤ,イカ,タコ,メカブの品質チェックも欠かせません。酒類流通も重要チェック項目なので,関山,酔心,一ノ蔵,浦霞,男山,南部美人,別格などをチェック。

筆者の運気のなさを表すかのように,滞在中は東京を越える暑さで参りましたが,食べるものがウマイと活力低下が小さい感じがして,なかなかハードではありましたが,いつまでも調査していたいような,充実した東北での日々となりました(画像/MWS)。








2018年8月24日






出先で検鏡確認したいときに持ち出す機材はいろいろですが,最近は千代田の顕微鏡の出番が増えています。もちろん,日本光学の誇る携帯顕微鏡H型でもよいのですが,重さや写真撮影,サンプルのマウント,レンズの種類などを考えると,千代田の方がよい場合もあるので,出番が増えているのです。きょうの画像1枚目は,出先での検鏡のようす。コンデンサなしの機種ですが,対物レンズ瞳面の状態をみて像質がわかる技量を持っている顕微鏡観察者であれば,像はLEDライト一本で自在に変えられますので,どうにかなるものです。画像2枚目はこの顕微鏡で撮影した池のサンプル。簡易撮影ですが,スタウロネイスが存在していることくらいは証拠として残せます。屋外で顕微鏡写真撮影が簡単にできるという点で重宝しているシステムでもあります(画像/MWS)。








2018年8月23日




これは先日,東京内湾にサンプリングに出掛けたときのようす。海水が緑色がかった褐色とでもいう感じの濁った濃い色になっています。これは汚濁の流入により汚濁物質の着色によってこのようになっているわけではなく,東京湾に負荷された(付加された)窒素,リンなどの栄養物質により植物プランクトンが異常増殖し,植物プランクトンの色によりこのように見えているものです。この時の主な光合成生物の群集は珪藻類で,続いて渦鞭毛藻類でした。彼等の,太陽光を受け取るための色素が,このような色となって海洋表層で見えているわけです(画像/MWS)。








2018年8月22日




出先で見かけた素敵なやつ。もう少し早ければ加熱処理してデュラム・セモリナと混合してセラミック製の容器に入れ,30秒ほど鑑賞する標本ができたかも…と思いつつ記念撮影(画像/MWS)。








2018年8月21日




ここのところ水の中の画像ばかりだったので,たまには空の画像でも。筆者が14歳で一眼レフをいじり始めたのは,風景写真がやりたかったからで,特に夕焼けを追い求めていたのです。ので,中年になった今でも,きれいな空を見ると眺めていたい,撮影したい,という気になりますね…(画像/MWS)。








2018年8月20日




『第11・光の鉛筆』が出版されていた(こちら)。いつも心待ちにしていて,出版後にも出版社のHPをチェックしていたりしていたのに気が付かずに時間が経過していました。ところが先日,この方面に詳しい方と会ったところ,第11が出てるよと教えて頂いたのでした。ほんの一言ふたことの情報ですが,天から光が射してくるような有り難さで,翌日には書泉グランデの物理コーナーで見つけることができ,無事に連れ帰ることができたのでした。

今から13年以上前に,筆者はこの本のことを「日本の応用光学上の重要財産」と書きました(こちら)。その意見は今でも何ら変わるところがないばかりか,「日本の光学界の至宝」でさえあると思うに至っています。この本がなければ筆者が顕微鏡を深く理解することは難しかったかもしれませんし,当サービスを開業することもなかったかもしれません。とにかく,多くを学びましたし,これからも,いくらでも学ぶことがあります。

理論/技術的な根拠を明確にして構成された,11巻にもなる,1冊400〜500ページの光学エッセイを持っている国がほかにどこにあるのだろうかと考えると,『光の鉛筆』の大きさが際だちます。著者の鶴田さんはニコンで様々なお仕事をしていた方ですが,一企業にとってこのような人材が在籍していたことは,幸運以外の何者でもないだろうと思います。

『第11・光の鉛筆』は38年間にわたって連載されてきたシリーズの最終巻です。人生を賭けて素晴らしいお仕事を継続されてきたお姿にはただただ敬服する以外にありません。ありがとうございますという気持ちで一杯です。

すでに こちら でも光の鉛筆に関する記事が出ています。ご参照頂ければと思います(画像/MWS)。








2018年8月19日




これは昨日の東京湾海水に入っていたプランクトン。海水は茶色で赤潮状態でしたが顕微鏡で見ればChaetoceros属を中心としてSkeletonema属や他の珪藻が混じる典型的な珪藻群集でした。筆者は大学院で数年間,Chaetocerosをいじりましたので,海水サンプルにChaetocerosが現れると何時間でも見ていられます。18日も13時から始めた検鏡は23時50分にお開きになるまで,何度も試料をマウントし直してひたすらChaetocerosなどの検鏡でした。こういう自然を眺めていると,じつに疲れが抜ける気がします…(画像/MWS)。








2018年8月18日






センチュウは長細いシアノバクテリアを丸呑みするのか…。透明ボディに透けて見える色素が涼を感じる雰囲気を醸し出しています(画像/MWS)。








2018年8月17日








ヒルガタワムシの繊毛冠を激写。明視野絞り込み。水浸対物レンズ(NA=0.6[1枚目],NA=1.2[2,3枚目])。シャッター速度1/3200。Nikon1J5(画像/MWS)。








2018年8月16日








この人は自分の体長よりもずっと長いシアノバクテリアを飲み込もうと全力を振り絞っていました。体を変形させ,体内でシアノバクテリアを曲げながら悪戦苦闘していましたが,のちに敗退して吐き出しました。1〜2分の出来事でした。ふしぎなのは,飲み込めないということをどうやって感知して,どこまでがんばったらあきらめるのかということ。この単細胞の微生物はまるで意思を持っているかのように全力で飲み込もうとしていたのに,ダメだとわかるとあっさりと吐き出すのです。細胞内に疲労物質でも溜まってくるのでしょうか(画像/MWS)。








2018年8月15日




これは昨日掲載したサンプルですが採取から20時間後くらいのようす。採取時には見られなかったバクテリアの群集が広く見られます。このくらい濃密だと顕微鏡で覗いていても見事な感じで見飽きません。ほかの生物もまだ元気に生きていますが,生物群集の組成は短時間の間に刻々と変化していくのがわかります。図鑑やweb上にはきれいな微生物の絵がたくさん転がっていますが,それらの絵は鮮度の高いサンプルを用いて生きのいい姿を撮影したものです。だらだらしていると,あっというまにいい絵がとれなくなってしまいます。

かつて『ずかんプランクトン』の撮影をしたときも,昼間に東京湾でサンプリングして,帰宅して夕飯後に撮影をはじめて,そのまま夜通し撮影を続け,明け方を迎える頃にサンプルの状態が悪くなり,撮影を終了した覚えがあります。とにかく生き物は鮮度が大事です。夏場などは冷蔵保存も有効で,希釈したサンプルをチルドで保存し,撮影時に濃縮して使うようにすれば少しは時間稼ぎができます(画像/MWS)。








2018年8月14日




池の生サンプルを覗いているとぷっくりとして立派な珪藻が見つかることがよくあります。だいたいはピンヌラリア,スタウロネイス,キンベラといったところが定番ですが,これらの珪藻は活発に動き回るので撮影がむずかしい…。カバーグラスとスライドグラスの間でゴミのない視野に現れた珪藻は滅多に止まってくれません。移動速度はかなり速く,明視野の高速シャッターなら止めることもできますが,微分干渉の低速シャッターでは止まってくれません。ストロボを使えば止めることはできますが,ストロボに切り換える間にも移動するので視野中央に入れるのが難しくなります。うまくいかないものです。

きょうの画像の珪藻もそんな感じで,単独行動のものはじつによく動きます。でも,凝集物に埋もれた感じのときはお休みして動かないので,そこを撮影。ひょっとして彼等は,凝集物にくっついて従属栄養的に何かをチュウチュウ吸っているのかしら,などと考えてしまいます(画像/MWS)。








2018年8月13日




ペルセウス座流星群の極大なのですが,あいにくのお天気。この,「あいにくのお天気」というのは今年だけでなく,過去30年,この日は何かよくないことが起きる特異日なのです。筆者は1980年頃から,ペルセウス座流星群の観望を始めたのですが,東京近郊では,決まって8月12日によくないことが起きて,それは大雷雨だったり,信じがたい集中豪雨だったり,変人が乱入してきたりと,それはそれは異常な体験をしてきたのです。

若い頃には,このくらいの空模様なら出陣して,曇天の空の下,大宴会を繰り広げていたに違いありませんが,中年にもなると,各メンバーが集結することが難しく,結局は山の上よりも,酒コントロールセンター(MWSのこと)の方が都合がよく,花より団子,流星より酒,という人生の実質が露呈することとなるのでした(画像/MWS)。








2018年8月12日




笠井トレーディングさんはいつもユニークな製品を発掘して紹介してくれるのでチェックを欠かせません。すでに25周年ということで,望遠鏡市場で永年活動されていて心底感心します。当サービスが通信販売を開始するにあたって最も参考にしたのが笠井さんのHPで,ある種スジの通った一貫した姿勢に共感したのです。実際には同じような手法は取らず,当サービスの方がいろいろな面で「ゆるい」設定にしてあります。これは顕微鏡趣味が一般に根付いているとは言い難いので,初心者からマニアまでを対象に,後払いで「もの」をとりあえず見てもらおうという考えがあるからです。

きょうの画像は笠井さんのじつに面白い発想の双眼装置。光路分割の軸外し系のような発想で,プリズムを使わずに追加光路長なしで双眼にしてしまうというもの。思いついた発想は何でも製品にしてしまうという国でなければできない製品でしょう。天体望遠鏡に取り付けて,これで月を観望するのが楽しみです。

笠井トレーディングのサイトは こちら

ELS正立双眼装置のページは こちら

笠井さんのサイトは魅力的なレンズものが満載。筆者もいろいろ購入して望遠鏡用,顕微鏡用に活用しています。皆さんも,もしご存じなければ覗いてみてください(画像/MWS)。








2018年8月11日




この画像はここのところずっと取り組んでいる開発系の仕事のようす。世界中の誰も観察に成功していない,見えたこともない物体を見えるようにしてくれという内容の依頼。撮像してもこの通りで何も見えません。見えないものを見えるようにする仕事というのは最高レベルの検鏡技術/画像処理技術が求められます。大企業の研究開発課で不可能だったことなのに,なぜウチに依頼が来るのか…。口を開く元気もなくなるほどの重労働なんだけれども。ま,結局,見えるようにしてしまうんですけどね。

このレベルになると,検鏡法を指定して機材を準備しても,一般レベルの検鏡技術では全く対応できません。あらゆる検鏡法を駆使して,それぞれの方法に対して最適なパラメータ設定をできることはもちろん,対物レンズやコンデンサの扱いにも深い経験が求められます。レンズの選択は特に重要で,コンデンサ,対物レンズともに観察できるNAの領域が狭いことがあります。分解能,検出能,コヒーレンスなどのバランスを取りつつ,見えないものが見えてくる条件を探ります。

もし結局何も見えなければ労働時間は全てムダになります。絶対に見えるところまで持ち込むという確信がなければ着手もできない,じつに恐ろしい作業です(画像/MWS)。








2018年8月10日




新たな世界を知るには「もの」が必要。スマホで黄鉄鉱の画像を表示することは簡単ですが,何をどうがんばっても「もの」にはかないません。だから本当は「もの」というのは貴重なのですが,なぜか世間の人々は「情報」に走り,「もの」を大切にする人の割合が減っているような気がします。気のせいだと良いのですが…。

きょうの画像は,「もの」として配布用に作った黄鉄鉱アクセサリー。1mm〜数mmの黄鉄鉱をピンセットで拾い出し,まずはハイドロハイターに漬けて加温して超音波。これをざーっと洗ってからクエン酸で温浸,超音波。これを濯いでから希釈パイプユニッシュで常温,超音波。次に水道水で濯いで超音波。これを水道水で濯いで,プランクトンネットに引き上げ,精製水で洗ってからキッチンペーパーを使って水を吸い取りトレー上で乾燥。乾燥後にドライヤーで加温して完全に水をとばします。

このように処理したものをマルエムのミクロチューブに入れて栓をして,ガラス部分を東レのトレシーで拭き上げれば黄鉄鉱の詰め合わせが出来上がりです。このまま水浸にするときらきらきれいなのですが,分解反応が進行して黒色に変化するので一時的な楽しみです。乾燥してから密封すれば,輝きは永く保てます。ちなみに,油浸もできますが,あまり輝く感じがしません。ふしぎ。

こうして作った「もの」は,それまで黄鉄鉱という存在に全く興味がなかった人までも,「欲しい」物体となります。こうして新たな世界に気づいてくれる人が増えていくのです。ですから人に「もの」を施す,というのはけっこう重要なことです。特に,子どもさんの場合は,周囲から与えられたカネ,ものだけで生きていますから,どんな「もの」を与えられたかで人生が決まってしまいます。大人が意識的に注意したい部分でもあります(画像/MWS)。








2018年8月9日




8日は業務打ち合わせの一日でした。暑さにやられて活力ゼロの日々が続きどうなることかと思いましたが,奇跡的に台風さんが東北海上から涼風を運んできてくれましたので,少し生き返りました。すでに定番となった絶版騒動の話で盛り上がり,春のシンポジウムのお話を報告して,標本の検鏡タイムも設けました。

ウチに業務打ち合わせに来る方々は話題豊富でご専門の分野の経験値も確かで,きちんと筋を通す方ばかりで,今回も何だか仕事をしているのに遊んでいるような楽しさでした。ちょっとばかり打ち合わせをしたからといって仕事が進むものでもないですが,仕事で大事なのは段取り。ストレスなく自由に雑談できる関係が生まれていれば,第一の段取りとしてはなかなかよいのでは? などと中年のオッサンは思ったりもするのです。

きょうの画像は打ち合わせ後の机の上。出版されたばかりの『珪藻観察図鑑』を早速紹介してみてもらいました(画像/MWS)。








2018年8月8日




顕微鏡を覗くという行為は,どうも,デフォルトモードネットワークの活性化と深い関係がある気がします。芸術と触れたときに人の脳はデフォルトモードネットワークが活性化するらしいのですが,たぶんそれと同じ感じ。様々な珪藻や放散虫,プランクトン,鉱物,昆虫などを眺めている時間は,芸術と触れる時間,風景を眺める時間,そんなものと同じなのかもしれません。

当サービスのお客様でも,寝る前に珪藻を検鏡するのが日課,という方が何人もおられます。たぶんデフォルトモードネットワークが活性化して,その後の睡眠,ストレス解消に何らかの影響があることを感じ取っておられるのかもしれません。

きょうの画像は黄鉄鉱。大きく見えますが顕微鏡写真です。硫化鉄の結晶がごろごろしているだけなのですが,なぜかいつまでも眺めていられます(画像/MWS)。








2018年8月7日




イカリナマコ骨片,テスト封入品。欠けたものを使用しています。イカリの形が何か意思のようなものを感じさせ,どのように並べてもそこからメッセージを読み取ろうとしてしまう気がします(画像/MWS)。








2018年8月6日






多数の光学機材と珪藻在庫と暮らしていると,コンタミネーションを避けることが第一優先の人生を暮らすことになる。これらのガラス製品に悪影響を与える最たるものは油煙なので,可能な限り油煙を避ける生活をすることとなる。タバコの煙は最悪で,近隣から入ってくる副流煙も可能な限り室内に吸い込まないようにしています。揚げ物,炒め物からあがる油煙もよろしくないもので,当室では揚げ物はやりません。根本的な対策として,サラダ油の類は置いていません。あるのは垂らし用のごま油だけ。

炒め物もから煎りが基本で,材料に肉類があるときはそれらの脂身をカットしてアブラ代わりに使います。ほんの少量です。それでも油煙がよくないので,その日の風向風速を考慮した上で換気扇を回しつつ,開けるべき方位の窓を考え,気流をコントロールします。。

さて揚げ物をやらなくても食べることはあります。近所にはそれなりに食べられるから揚げを売っている店が2つあって,一つは専門店,一つは駅に近い小さなスーパー。前者はやや複雑な調味で後者は単なる生姜醤油という感じ。しかしどちらの店も,そのままでは食べられません。油切りが不完全なのです。

そこで砥石の出番です。台所で目の前に並んでいる大量の砥石は,刃研ぎにも役立つけれども,重しとしても便利。から揚げをキッチンペーパーで巻き巻きして,100円ショップで売っているお皿のフタをかぶせて,砥石を積み上げて一時間。から揚げの温度,油の粘度によって時間を変え,キッチンペーパーも途中で取り替えます。

こうすることにより,中年おっさんの胃袋を直撃する過酸化脂質が取り除かれ,驚くべき品質の向上を感じることができます。市販のから揚げはまずいものが大半ですが,その理由は,「まずい油」にまみれている,というのが半分くらい。素材そのものがひどい,というケースはそんなには多くない気がします。ので,一日はたらいてくたびれてしまった過酸化脂質を取り除き,「素材」の味を感じるようにしてやれば,けっこういいじゃないか,というように蘇るのです。

じつにくだらない話のように思うかも知れませんが,細かい作業をする職人にとっては,食後の胃もたれの時間などというのは百害あって一利なしなのです(画像/MWS)。








2018年8月5日




なんと近所のダイソーに100円の実験器具が存在することが判明。このサイズのビーカーやフラスコは生きている珪藻を濃縮検鏡するときにも便利ですし,珪藻被殻の有機物処理にも使えます。インテリアグッズとしての販売でしょうが,白ガラスを使ったビーカーなので,問題なく使えるものと考えられます。ホウケイ酸ガラスのような耐久性は期待してはいけませんが。。それにしてもこれ,素材は何だろう。ソーダ石灰ガラス辺りか。気になりますね(画像/MWS)。








2018年8月4日






ここ数日,文京区,豊島区方面は最低気温29℃,最高気温38℃くらいの状態です。地上に現出した地獄,熱地獄です。昼間の路面はタンパク質の凝固が始まるレベルに熱せられており,好熱菌以外は生育のできない温度環境。しかも水が存在しないので実際には好熱菌でさえも増殖できない過酷な地獄です。

この熱資源を有効活用しようとしたのがきょうの画像。そこいらへんに転がっているアオドウガネはせっせと拾って偏光の教材用に保管していますが,これの虫干しを行いました。虫を虫干し。。強烈な天日に焼かれてカッチカチになりました。。

アオドウガネの発色は入射角依存性があり,カメラのアングルによって色が変化します。そのことを示したのがきょうの画像。昼間の南中時頃の太陽光の入射に対して,カメラを真上から構えると銅っぽい鈍い赤みが混じります。斜めに構えると鮮やかな緑色になります。ので,アオドウガネを人に見せるときは,目の高さまで持っていって見ると鮮明な緑に見えます。机などに置いて上から見ると鈍い色になります。教材として使用するときのちょっとしたテクニックです(画像/MWS)。








2018年8月3日




対物レンズはケースに収めて保管するわけですが,このケースがチリの発生源になることはあまり知られていません。ねじこみ部分はプラスチックですが,ここに金属の対物レンズをねじ込むわけですので,何度も使用していると切削屑のような,粉状のチリが発生します。ケース自体のねじ込み部分も摩擦により樹脂の粉が発生しています。このため,長期間使用されたケースの内部には粉状のチリが大量に入っていることがあります。

そこでまず,ケースを拭くのです。キムワイプに精製水をつけてよーく拭き拭きして乾燥すればOKです。溶剤拭きの必要はありませんが,EE-3310で軽く拭くくらいであれば実害もないので拭いても結構です。こうしてから,対物レンズを収納すればレンズにチリが入り込むことを防止できます。

これまで山ほどのused品の対物レンズケースを見てきましたが,ケースをきれいにしているケース(駄洒落)は見かけません。ちょっとしたことですので,大事な対物レンズをベストのコンディションに保つためにも,ケースの汚れを気にかけてみるのも良いかもしれません(画像/MWS)。








2018年8月2日




きょうの画像(中央)は特筆大書してお薦めする本,『細胞生物物理学者への道』(井上信也)です。

この本は大型連休前くらいに存在に気が付いて入手し,顕微鏡のプロの方々には直接持参して勧めました。プロの方々はこの本の表紙の写真を見ただけで,この出版物の重要性を理解するような人たちだったので,大変好評で,一週間以内にほとんどの方が購入したようでした。

しかし,この本は安易に勧めるような内容の本ではありません。購入判断はもちろん個々人の責任ですが,本というのは読むタイミングというものがあります。この本はまさに典型的に読むタイミングが重要なもので,皆様に勧めるには,それなりに責任ある記事にしたいので,精読に時間をかけました。

まず,この本を伝記として読んで,細胞生物物理学的な内容の理解はわからなくてもOKという人(たとえば顕微鏡の手持ちがなく,自然科学系の素養とは縁遠い方など)は,即買いで夏の読書,秋の読書として楽しめることと思います。戦前から現在までのとても長い時間が一人の人間によって記述されており,大学者が生まれていく経過を没入感とともに読めます。

次に,自然科学系の学生の方,院生の方は,直ちに購入してお読みになることをお薦めいたします。研究生活の理解,という意味でとても参考になることと思います。本書と同時並行で顕微鏡の勉強もすればさらに稔りが多いことと思います。

科学的な内容をきちんと理解して,この本の神髄を味わいたい人は,いきなり本書を読まずに積ん読状態にしておいて,まず井上信也先生の『ビデオ顕微鏡』を通読する必要があります。先生のお仕事の重要な部分がまとめられた,それでいて生物顕微鏡の入門書としても使える,この分野の金字塔です。デジタル処理の部分は現在から見ると古いですが本質は変わっていないので今なお最良の教科書と言っても過言ではありません。

『ビデオ顕微鏡』を読むのと同時に,自前の生物顕微鏡を一台調達し,その顕微鏡であらゆる試料を検鏡し,可能な限りの工夫を行って経験を積むことが重要です。工夫というのはホビーレベルでも構いませんが,思いついたコントラスト法や照明,画像処理などをやってみるということです。『細胞生物物理学者への道』は偏光顕微鏡法が一つのテーマなので,偏光顕微鏡を自作するとか,偏光遊びをするなどというのも必須事項です。また他の光学書を読んで,顕微鏡光学にも慣れておくとさらにグッドです。可能であれば『光の鉛筆』(鶴田匡夫)を全巻,分かる部分だけでも読んでおけばさらによいでしょう。

こういった過程を経てからこの本を読めば,じつに味わいのある,深い読書体験となることと思います。

この本に出てくる化学系,生物系,水産関係などの登場人物は日本人,外国人を問わずオールスター状態です。はじめの方のページに出てくる日本人の先生方も,超一流の方々ばかりですし後半に出てくる外国人もトップリサーチャーの面々です。そういった人物名と研究分野に詳しく,偏光顕微鏡も日々利用していて,偏光計算が自前でできる顕微鏡顕微鏡使いであれば,脳天が痺れるようなめくるめく時間を過ごすことになるだろうと想像します。

きょうの画像はこの本を中心にして,その右には『ビデオ顕微鏡』,左うしろには『ビデオエンハンス装置』を並べてみたもの。この3つは,井上信也先生のお仕事により生み出されたもの。なお,井上信也先生のお姿は, こちら で見ることができます。英語が得意な方は覗いてみてください(画像/MWS)。








2018年8月1日




火星が大接近中なので31日の夜は5インチアポをセットして観望しました。もっとも真夏の最悪の暑さですので,火星表面の模様を見ようと期待したわけではなく,大きな赤っぽい円盤を見るため,といった感じです。22時現在の気温は約29℃で,都心の蓄熱が抜けていません。蜃気楼の底から宇宙を覗いているわけで,火星を見ているというよりは,火星を光源としたシュリーレン装置で気流のゆらぎを観察しているといった感じです。実際,赤っぽい円盤と表面のほんの少しの濃淡以外は何も見えませんでした。それでもまあ,前回の大接近以上のでっかい火星が拝めたわけで,何もしないよりはよかったかと…。

きょうの画像は惑星用に使っている接眼レンズ。これを出すと筆者が中年であることがばれてしまう代物。一つはナグラーの4.8mmで,高倍率用の超広角接眼レンズです。歪曲が盛大に残っていますがそれと引き替えに視野が広いので,経緯台で屈折を扱うときには重宝します。それなりにはよく見えて感動的ですが,赤道儀にのせた屈折で谷オルソを見ると別格な感じがします。やはりアッベは天才なんですね。

もう一つはニコンの実体顕微鏡用接眼レンズ。顕微鏡用の接眼レンズは歪曲が少なくてすっきりしていてじつに覗きやすいです。像も非常にシャープです。ただ,ゴースト対策がしてありませんので,惑星などでははっきりとしたゴーストが出ます。しかし像の良さ,視野の広さには代えられず,常用レンズの一つとなっています。

実体顕微鏡の接眼レンズですから,差し込み部の直径は約30mmです。望遠鏡のアメリカンサイズは31.7mmなので,そのままでは使えません。そこで,いまでは入手困難になった,「フィルムケース」に接眼レンズを差し込んでアルミテープで留めています。これでまったく問題なく使えます。こんな小技にも中年ジジイの特性が如実に現れていたりします…(画像/MWS)。









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